Webシステム保守の会社選び方ガイド|失敗しないための7つのポイントとチェックリスト

自社のWebシステムを誰かに任せたい——そう思って保守会社を探し始めると、似たような会社が数十社も見つかり、何をどう比べればいいのか分からなくなります。
「対応実績が豊富」「迅速なサポート」「費用対効果に優れる」。どの会社の紹介文を読んでも、どれも同じように見えてしまいます。そして心の奥に残るのは、「この会社を選んで、いざ障害が起きたとき、本当に頼れるだろうか」という不安です。
その不安は当然です。保守会社の「本当の力」は、平常時ではなく障害発生時に初めて分かります。選定の段階では、見えにくい部分だからこそ、何を確認すれば信頼性を事前に見極められるかが問われます。
本記事では、保守会社選びで失敗しないための7つのチェックポイントと、事前には気づきにくい失敗パターンを解説します。「どんな会社があるか」よりも「どう評価するか」に徹底的に焦点を当て、中小企業の担当者が実際に使えるガイドを目指しました。

目次
失敗しないためのシステム保守の引継ぎチェックリスト

この資料でわかること
こんな方におすすめです
Webシステム保守を外注する前に整理すべきこと

保守会社を選ぶ前に、まず自社側の要件を整理しておく必要があります。要件が曖昧なまま選定に進むと、見積もりの比較ができず、「頼んだのにやってもらえない」というトラブルの元になります。
保守対象のシステムと業務影響を整理する
最初に確認すべきは「何のシステムを保守してほしいのか」と「そのシステムが止まると業務にどう影響するか」の2点です。
たとえば、顧客向けの受注システムであれば障害時の業務影響は甚大です。一方、社内の管理ツールであれば翌営業日対応でも許容できるかもしれません。
この「業務影響度」の整理が、後のSLA(サービスレベル合意)交渉や対応優先度の設定に直結します。
保守会社に依頼する業務範囲を決める
「保守」といっても、その内容は会社によって大きく異なります。依頼する前に、以下の3つの軸で「どこまでを依頼するか」を決めておきましょう。
区分 |
内容 |
依頼するか |
|---|---|---|
障害対応・バグ修正 |
発生した不具合の原因調査・修正 |
必須 |
定期メンテナンス |
セキュリティアップデート・ログ監視 |
多くの場合依頼 |
機能追加・改善 |
新機能の開発・既存機能の変更 |
要判断 |
特に「機能追加・改善」については、保守契約に含まれる場合と含まれない場合があります。「それは保守の範囲外です」というトラブルを防ぐために、事前に範囲を明確にしておくことが重要です。
詳しい業務区分については、システムの保守と運用の違いとは?もあわせてご覧ください。
予算感と対応時間帯の要件を確認する
保守費用の目安として、一般的に**年間保守費用 = システム開発費の15〜20%**が業界で広く用いられています(システム幹事「システム開発の保守費用相場」)。
ただし、この数字はあくまで参考値です。自社にとって「年間いくらまでなら出せるか」と「いつ・どんな時間帯に対応が必要か(24時間365日か、平日日中のみか)」を事前に決めておくことで、見積もりの比較が格段にしやすくなります。
保守会社に依頼できる業務の範囲を理解する
保守会社への依頼範囲は、大きく3つに分けられます。選定の際には、それぞれの違いを理解した上で、どこまでを依頼するかを確認することが大切です。
障害対応・バグ修正(必須保守)
システムに不具合が発生したときに原因を調査し、修正対応を行うものです。「問い合わせを受けてから何時間以内に一次回答するか」「修正完了まで何日かかるか」をSLAとして明確にしておきましょう。
障害の重要度に応じた対応時間の目安は以下の通りです(一般的なシステム運用のSLAに基づく):
障害レベル |
業務影響 |
目安の一次回答時間 |
|---|---|---|
重大(サービス停止) |
システム全体が使えない |
30分〜2時間以内 |
中(一部機能停止) |
一部機能が使えない |
2〜4時間以内 |
軽微(表示崩れ等) |
業務への直接影響なし |
翌営業日以内 |
定期メンテナンス・セキュリティ対応
セキュリティパッチの適用、サーバーやデータベースのバージョンアップ、ログの定期確認などが含まれます。「保守に入っているから安心」と思っていたら、この作業が実は対象外だったというケースも珍しくありません。契約時に具体的な作業内容を確認しましょう。
機能追加・改善(開発保守)の扱い
既存機能の改善や新機能の追加は、保守ではなく「追加開発」として別途費用が発生することが一般的です。ただし、軽微な機能調整(テキスト変更・設定変更など)は保守に含まれる場合もあります。この境界線をどう引くかを、契約前に確認しておくと後のトラブルを防げます。
保守会社を選ぶ7つのチェックポイント

ここからが本記事の核心です。保守会社の「信頼性を事前に検証できる」7つのチェックポイントを紹介します。
チェックポイント1: 対応時間帯とSLA(サービスレベル合意)を確認する
確認すべきこと: 「営業時間外の障害にも対応できるか」「対応時間をSLAとして文書化しているか」
口頭で「迅速に対応します」と言う会社は多いですが、それを書面化できない会社は要注意です。信頼できる保守会社は、障害発生から一次回答までの時間・復旧目標時間(RTO)などをSLAとして明示します。
面談時の確認方法: 「過去に重大障害が起きたとき、実際にどのくらいで対応しましたか?」と具体的な事例を聞いてみましょう。抽象的な回答しか返ってこない場合は要注意です。
チェックポイント2: 障害発生時の対応フローを具体的に聞く
確認すべきこと: 「障害発生から解決までのプロセスが明確か」「誰に連絡すれば何時間で動いてもらえるか」
保守契約を結んでも、実際に障害が起きたとき「どこに連絡するか分からない」「連絡したが折り返しがない」という事態が起きることがあります。
選定前に「障害発生時のエスカレーションフローを教えてください」と具体的に聞きましょう。担当者→リーダー→マネジャーという明確な連絡体制を文書で示せる会社は、組織として障害対応が設計されています。
チェックポイント3: 引き継ぎ対応力——ドキュメントなし環境での実績があるか
確認すべきこと: 「ドキュメントや設計書が不足している状態でも、保守を開始できるか」「過去にそういった環境での引き継ぎ実績があるか」
中小企業のシステムでは、ドキュメントが整備されていないことは珍しくありません。「ドキュメントが整っていないと対応できない」という会社では、そもそも保守が始められない可能性があります。
一方、ドキュメント不足の環境でも既存システムの調査・仕様の読み取り・ドキュメント整備を含めて対応できる会社は、実践的な引き継ぎ経験が豊富です。
属人化・引き継ぎリスクについては、システム保守の引き継ぎで失敗しないための完全ガイドで詳しく解説しています。
チェックポイント4: 担当者が変わっても対応品質が変わらない体制か
確認すべきこと: 「担当者が1人ではなくチームで対応しているか」「担当者が退職しても引き継ぎ体制があるか」
保守会社の中には、実質的に担当者1人の属人化状態になっているケースがあります(JBサービス「保守サービスの属人化によるリスクと回避方法」)。その担当者が退職した途端、対応品質が急落したり、「引き継ぎができていない」と言われたりすることがあります。
面談時の確認方法: 「担当者が変わる場合、どのように引き継ぎをしますか?」「チームで対応しているか、個人での対応か?」と直接聞いてみましょう。
チェックポイント5: 月額費用の内訳と「超過した場合」の取り決め
確認すべきこと: 「月額費用に何が含まれているか」「対応工数が超過した場合の追加費用はどうなるか」
月額固定費用の中に含まれる作業時間・対応件数に上限が設けられている場合、その上限を超えると追加費用が発生します。この取り決めが曖昧な場合、後になって予想外の請求が来ることがあります。
見積もり段階で「月に何時間・何件の対応が含まれるか」「超過時の単価はいくらか」を明確に確認しましょう。
費用の見極め方については、システム保守費用の妥当性を見極める完全ガイドで詳しく解説しています。
チェックポイント6: 自社システムの技術スタックへの対応実績
確認すべきこと: 「自社システムで使用している言語・フレームワーク・クラウド環境への対応実績があるか」
どれだけ評判が良くても、自社のシステムに使われている技術(例: Node.js + AWS + PostgreSQL)の経験が浅い会社では、障害対応に時間がかかる可能性があります。
実績を確認する際は「同じ技術スタックの保守事例を見せてもらえますか?」と具体的に聞くのが有効です。
チェックポイント7: 契約終了・乗り換え時の移行支援はあるか
確認すべきこと: 「契約終了時に、次の保守会社への引き継ぎ支援をしてもらえるか」「保守で蓄積したドキュメント・ノウハウはどう扱われるか」
「出口戦略」は選定時に考えにくいですが、重要なチェックポイントです。保守期間中に蓄積したドキュメント・設定情報・対応履歴が、契約終了時にきちんと引き渡される保証があるかを確認しましょう。
費用の相場感と見積もりで確認すべき項目
保守費用の相場感(開発費の15〜20%が目安)
Webシステム保守の年間費用は、一般的に**システム開発費用の15〜20%**が目安とされています。たとえば、500万円のシステムを開発した場合、年間保守費用は75〜100万円(月額約6〜8万円)が一つの参考値になります。
ただし、この数字は業種・システム規模・対応範囲によって大きく変わります。「費用が高い = 悪い会社」でも「費用が安い = お得な会社」でもありません。重要なのは「費用に対して何を提供してくれるか」の透明性です。
見積もり時に必ず確認すべき3つの項目
- 月額費用の内訳: 何が含まれて何が含まれていないかを明示してもらう
- 超過費用の取り決め: 月の対応工数・件数の上限と超過時の単価
- 最低契約期間と解約条件: 6ヶ月や1年の最低契約期間がある場合の違約金・解約手順
「安すぎる」保守契約のリスク
月額1〜2万円などの非常に低価格な保守契約は、対応範囲が極めて限定的であったり、実際には障害対応が別途費用になるケースが多いです。「保守に入っているのに対応してもらえない」という状況を防ぐために、安さだけで選ぶのは避けましょう。
こんな保守会社には要注意:失敗パターン3選

選定基準を知るだけでなく、「こういう会社は選んではいけない」という失敗パターンを知っておくと、消去法での判断が格段に楽になります。
失敗パターン1:担当者が1人で体制化されていない
体制が属人化している会社は、担当者の退職・病気・休暇時に対応が滞ります。「○○さんが担当しているので、○○さんに聞いてみます」という回答が頻繁に返ってくる場合は要注意です。
保守対応はチームで行い、誰が担当しても同じ品質で対応できる体制があるかを確認しましょう。
失敗パターン2:契約範囲が曖昧で追加費用が頻発する
「それは保守の範囲外です」という言葉が頻繁に出てくる会社は、契約前に業務範囲の定義が明確になっていないことが多いです。
月額費用を安く見せるために対応範囲を絞り、追加対応はすべて別途費用という設計にしている場合があります。見積もり段階で「月額に含まれない作業の例を教えてください」と聞いてみましょう。
失敗パターン3:初動対応が遅く、問い合わせに2〜3日かかる
「保守契約に入っているのに、連絡しても3日後にしか返事がない」という不満は非常に多いです。
選定前に「過去にシステム障害が起きたとき、初動対応まで何時間かかりましたか?」と聞くか、可能であれば既存顧客の声を求めましょう。サービス品質の透明性を重視する会社は、こうした質問に誠実に答えます。
保守会社の変更・乗り換えを検討するタイミング

乗り換えを検討すべき3つのシグナル
現在の保守会社との関係で、以下のような状況が続く場合は乗り換えを検討する時期かもしれません。
- 対応スピードの低下: 問い合わせへの初動対応が以前より遅くなった、または規定のSLAを頻繁に下回っている
- 担当者の属人化が進んでいる: 担当者が退職し、新しい担当者が業務を把握していない
- 費用対効果の悪化: 同等のサービスが他社でより低コストで提供されている、または追加費用が頻繁に発生している
乗り換え時の注意点と引き継ぎの進め方
保守会社の乗り換えはハードルが高いと感じがちですが、計画的に進めることでスムーズに移行できます。
まず、現在の保守会社に「契約終了の意向」を早めに伝え、ドキュメント・設定情報・対応履歴の整理と引き渡しを依頼しましょう。理想的には、新旧の保守会社が並走できる期間(1〜3ヶ月程度)を設けることで、知識の継承漏れを防げます。
具体的な手順については、システム保守の引き継ぎで失敗しないための完全ガイドをご参照ください。
作業時間削減
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システム開発が可能に
秋霜堂株式会社のWebシステム保守サポートについて
秋霜堂株式会社は、Webシステムの開発・保守を手がけるシステム開発会社です。「ドキュメントが整っていないが保守を依頼したい」「担当者が退職して引き継ぎが不安」というご相談を、これまで数多くいただいてきました。
本記事で紹介した7つのチェックポイントに照らすと、秋霜堂の特徴は以下の通りです。
- 引き継ぎ対応力: ドキュメントが不足している環境でも、既存システムの調査・仕様の読み取りから保守を開始できます(事例実績あり)
- チーム体制: 特定の担当者に依存せず、チームで対応するため、担当者交代時もサービス品質を維持します
- 費用の透明性: 月額費用の内訳と超過費用の取り決めを明示し、後から予想外の請求が発生しない設計です
「今の保守会社との関係を見直したい」「初めて外注保守を検討している」という方は、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
秋霜堂株式会社について
秋霜堂は、Web開発・AI活用・業務システム開発を手がけるシステム開発会社です。要件定義から設計・開発・運用まで一貫してご支援しています。
システム開発のご相談や、自社課題に合った技術的アプローチについてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
失敗しないためのシステム保守の引継ぎチェックリスト

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