システムの保守と運用の違いとは?業務内容の違いを徹底解説

「システムを作ったら終わり」ではありません。むしろ、システム開発が完了してからが本当のスタートといっても過言ではないでしょう。多くの中小企業の経営者や担当者の方々から、「システムの保守と運用って何が違うの?」「どちらも同じようなものでは?」といったご質問をいただくことがあります。
実は、システムの保守と運用は、それぞれ異なる目的と役割を持つ重要な業務です。これらを混同してしまうと、適切な予算配分ができなかったり、必要な対応が遅れたりする可能性があります。結果として、せっかく開発したシステムが期待通りに機能しなくなったり、最悪の場合はビジネスに支障をきたすこともあるのです。
この記事では、システム開発の専門知識がない方でも理解できるように、保守と運用の違いをわかりやすく解説します。それぞれの業務内容や特徴、外注する際の注意点まで、実例を交えながらご紹介していきます。記事を読み終える頃には、自社のシステムに必要な保守・運用体制について、明確なイメージを持っていただけるはずです。
特に、これからシステム開発を検討している企業や、すでにシステムを導入しているものの保守・運用体制に不安を感じている企業の方々にとって、有益な情報となることでしょう。

目次
失敗しないためのシステム保守の引継ぎチェックリスト

この資料でわかること
こんな方におすすめです
- 現在の保守会社のサービスに不満を感じている方
- 保守会社の変更を検討しているが、何から始めればよいか分からない方
- 引継ぎ作業でトラブルを避けたい方
システム運用とは?日々の安定稼働を支える業務

システム運用とは、開発されたシステムが日々安定して動作し続けるために必要な業務全般を指します。わかりやすく例えるなら、車の日常的な運転や給油、洗車などのメンテナンスに相当する業務です。システムが正常に機能し、ユーザーが快適に利用できる状態を維持することが運用の主な目的となります。
運用業務の主な内容
運用業務には、以下のような作業が含まれます。
監視業務
システムが正常に動作しているかを24時間365日チェックする業務です。サーバーの稼働状況、メモリやCPUの使用率、ネットワークの通信状態などを監視し、異常があれば速やかに対処します。これは、車のダッシュボードで速度や燃料残量を確認するようなイメージです。
定期的なバックアップ
万が一のトラブルに備えて、システムのデータを定期的に保存する作業です。日次、週次、月次など、データの重要度に応じてバックアップの頻度を決めます。大切な書類をコピーして別の場所に保管するのと同じ考え方です。
ユーザーサポート
システムを利用する社員からの問い合わせに対応する業務です。「ログインできない」「画面が表示されない」といった日常的なトラブルへの対応から、操作方法の説明まで幅広くサポートします。
障害対応(一次対応)
システムに障害が発生した際の初期対応を行います。障害の内容を確認し、影響範囲を特定して、可能な範囲で復旧作業を実施します。根本的な修正が必要な場合は、保守チームに引き継ぐことになります。
運用業務の特徴
運用業務には以下のような特徴があります。
- 定型的な作業が中心:決められた手順に従って行う作業が多い
- 継続性が重要:365日休むことなく続ける必要がある
- 予防的な活動:問題が起きる前に防ぐことを重視
- 即応性が求められる:トラブル発生時は迅速な対応が必要
このように、システム運用は「システムを安定稼働させ続ける」ことに特化した業務です。次の章では、これと対比される「システム保守」について詳しく見ていきましょう。
システム保守とは?システムを最新・最適に保つ業務

システム保守とは、開発されたシステムを改良・修正し、常に最適な状態に保つための業務を指します。車に例えるなら、部品の交換や修理、性能向上のためのチューニングなどに相当します。時代の変化やビジネスニーズの変化に合わせて、システムを進化させていく重要な役割を担っています。
保守業務の主な内容
保守業務には、以下のような作業が含まれます。
バグ修正
システムに潜んでいる不具合(バグ)を発見し、修正する作業です。例えば、「特定の条件で計算結果が間違っている」「ある画面で文字が正しく表示されない」といった問題を解決します。これらの不具合は、開発時には見つからなかったものが、実際の運用で発見されることが多くあります。
セキュリティアップデート
サイバー攻撃から守るための対策を実施する重要な業務です。新しい脅威が日々発見される中、システムの防御を最新の状態に保つ必要があります。これは、家の鍵を定期的に新しいものに交換するようなイメージです。
機能改善・追加
ユーザーからの要望や業務の変化に応じて、新しい機能を追加したり、既存機能を改善したりします。例えば、「検索機能を追加してほしい」「帳票のレイアウトを変更したい」といった要望に対応します。
パフォーマンス改善
システムの処理速度を向上させたり、動作を軽くしたりする作業です。データ量の増加やユーザー数の増加に伴って、システムが重くなってきた場合などに実施します。車のエンジンをメンテナンスして燃費を良くするような作業といえるでしょう。
保守業務の特徴
保守業務には以下のような特徴があります。
- 改良・改善が中心:現状をより良くすることが目的
- 技術的な知識が必要:プログラミングやシステム設計の理解が求められる
- 計画的な実施:影響を考慮して、適切なタイミングで実施
- ビジネスへの理解:業務要件を理解した上での対応が必要
システム保守は「システムを進化させ続ける」ことに特化した業務です。運用が「維持」なら、保守は「改善」といえるでしょう。次の章では、この2つの違いをより明確に理解できるよう、比較表を使って整理していきます。
保守と運用の比較表
ここまで、システム運用と保守について個別に説明してきましたが、まだ違いがピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。そこで、主要な観点から両者の違いを比較表にまとめました。これを見れば、それぞれの役割がより明確に理解できるはずです。
保守と運用の比較表
比較項目 | システム運用 | システム保守 |
---|---|---|
主な目的 | システムの安定稼働を維持する | システムを改善・進化させる |
業務の性質 | 日常的・定型的な作業 | 非定型的・改良的な作業 |
対応のタイミング | 24時間365日継続的に実施 | 必要に応じて計画的に実施 |
必要なスキル | 監視ツールの操作、基本的なIT知識 | プログラミング、システム設計の知識 |
コストの特徴 | 毎月一定の固定費用が発生 | 作業内容により変動する費用 |
成果の見えやすさ | 問題が起きないことが成果(見えにくい) | 機能追加や改善で成果が見えやすい |
対応する問題 | 一時的な不具合、操作ミスなど | 根本的な不具合、機能不足など |
それぞれの違いを具体例で理解する
運用の例:毎朝の健康チェック システム運用は、毎朝の健康チェックのようなものです。体温を測り、体調を確認し、異常があれば休養を取る。これを毎日欠かさず続けることで、大きな病気を防ぐことができます。
保守の例:定期的な健康診断と治療 一方、システム保守は定期健康診断と治療に似ています。詳しい検査で問題を発見し、必要があれば治療や手術を行います。また、より健康になるための改善提案も行います。
なぜ両方が必要なのか
多くの企業が「どちらか片方だけでいいのでは?」と考えがちですが、実はどちらも欠かせません。
- 運用だけの場合:システムは動き続けますが、時代遅れになったり、セキュリティリスクが高まったりします
- 保守だけの場合:改善はされますが、日々の安定稼働が保証されず、突然のトラブルに対応できません
つまり、運用と保守は車の両輪のような関係です。どちらか一方が欠けても、システムを健全に保つことはできません。次の章では、これらの業務を外注する際の注意点について詳しく見ていきましょう。
保守・運用を外注する際の注意点

多くの中小企業では、社内にIT専門スタッフを配置することが難しく、保守・運用業務を外部に委託するケースが一般的です。しかし、「丸投げ」してしまうと思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。ここでは、外注する際に押さえておくべき重要なポイントを解説します。
業務範囲の明確化
最も重要なのは、「どこまでやってもらえるのか」を明確にすることです。曖昧な契約は、後々のトラブルの原因になります。
確認すべき項目の例
- 運用面:監視は24時間365日か、平日のみか
- 保守面:軽微な修正は月何回まで含まれるか
- 対応時間:緊急時の対応は何時間以内か
- 除外事項:どんな作業が追加料金になるか
「これくらいはやってくれるだろう」という思い込みは禁物です。契約前に、具体的なケースを挙げて確認することをお勧めします。
SLA(サービスレベル合意)の重要性
SLAとは、提供されるサービスの品質を数値で約束する取り決めです。難しく聞こえるかもしれませんが、「どれくらいの品質でサービスを提供してもらえるか」を決める大切な約束事です。
SLAで決めておくべき項目
- 稼働率:システムが正常に動いている時間の割合(例:99.9%)
- 応答時間:問い合わせへの返答までの時間(例:1営業日以内)
- 復旧時間:障害発生から復旧までの目標時間(例:4時間以内)
コミュニケーション体制
スムーズな保守・運用のためには、適切なコミュニケーション体制が欠かせません。
- 定期報告:月次レポートなど、定期的な状況報告があるか
- 連絡窓口:誰に連絡すればよいか明確になっているか
- エスカレーション:重大な問題が発生した際の連絡フローは決まっているか
費用の考え方
保守・運用の費用は、単純に「安ければ良い」というものではありません。サービス内容と費用のバランスを見極めることが重要です。
費用を検討する際のポイント
- 固定費と変動費:毎月の固定費用と、作業量に応じた変動費用を理解する
- 初期費用:引き継ぎや環境構築にかかる初期費用を確認する
- 隠れたコスト:緊急対応や時間外対応の追加料金を把握する
安さだけで選ぶと、結果的に高くつくことがあります。必要なサービスレベルを確保できる適正価格を見極めましょう。次の章では、これらの課題を解決する秋霜堂のTechBandサービスについてご紹介します。
作業時間削減
システム化を通して時間を生み出し、ビジネスの加速をサポートします。
システム開発が可能に
秋霜堂のTechBandが提供する保守・運用サービスの特徴
ここまで、システムの保守・運用の重要性と外注時の注意点について説明してきました。では、これらの課題をどのように解決すればよいのでしょうか。秋霜堂が提供するTechBandは、「システム開発部門を提供する」という新しい発想で、多くの企業の保守・運用の悩みを解決しています。
「システム開発部門を提供する」という考え方
一般的な受託開発会社は、「システムを作って納品する」ことがゴールです。しかし、TechBandは違います。貴社の内部組織の一員として、ビジネスの成長を技術面から支援することを目的としています。
一般的な受託開発との違い
項目 | 一般的な受託開発 | TechBand |
---|---|---|
関わり方 | 外部の開発会社として | 内部のシステム開発部門として |
ゴール | システムの納品 | ビジネスの継続的な成長支援 |
コミュニケーション | 定期的な報告会 | 日常的な相談・連携 |
提案姿勢 | 依頼された内容を実施 | 能動的な改善提案 |
知識の蓄積 | プロジェクト終了で関係も終了 | 継続的に貴社のビジネスを理解 |
柔軟な費用・リソース調整
TechBandの大きな特徴は、必要な時に必要な分だけリソースを調整できる点です。
- 立ち上げ期:少人数でスタートし、初期コストを抑制
- 繁忙期:一時的にメンバーを増員して対応
- 安定期:最小限の体制で効率的に運用
このように、ビジネスの状況に合わせて柔軟に体制を変更できるため、無駄なコストを削減しながら、必要な時には十分なサポートを受けられます。
内部組織として機能するメリット
TechBandが「内部組織」として機能することで、以下のようなメリットが生まれます。
1. 深いビジネス理解
貴社の業務を深く理解することで、単なる技術的な保守・運用を超えた、ビジネス視点での提案が可能になります。「このシステム改善により、売上が〇%向上する可能性がある」といった、経営に直結する提案ができるのです。
2. 迅速な意思決定
外部業者との調整に時間をかける必要がありません。社内会議に参加し、その場で技術的な判断を下すことも可能です。まるで本当に社内にIT部門があるかのようなスピード感で動けます。
3. 継続的な改善サイクル
一過性のプロジェクトではなく、継続的な関係性の中で、常に最適な保守・運用体制を構築していきます。システムの成長とともに、サポート体制も進化させていくことができます。
保守と運用の一体的なサポート
TechBandでは、保守と運用を別々のサービスとしてではなく、一体的にサポートします。これにより、運用で発見された問題を速やかに保守チームが改善したり、保守での変更内容を運用チームが正確に把握したりすることが可能になります。
次の章では、実際にTechBandがどのような保守・運用を行っているか、具体的な事例をご紹介します。
TechBandの保守・運用事例
ここでは、TechBandが実際に提供している保守・運用サービスの事例を3つご紹介します。これらの事例を通じて、「システム開発部門を提供する」というアプローチがどのような成果を生むのか、具体的にイメージしていただけるはずです。
事例1:動画校正システムの継続的な進化
背景
芸能・広告業界のクライアント様向けに開発した動画校正システム。当初は社内利用のみを想定していましたが、将来的な外販も視野に入れた設計で開発しました。
保守・運用の内容
- 運用面:週末や祝日も含めたレスポンス体制を構築し、制作現場の急な要望にも対応
- 保守面:ユーザーフィードバックを即座に反映し、UI/UXを継続的に改善
- 体制:1〜2名の少人数体制でアジャイル開発を継続
成果
「もう前のやり方には戻れない」という声が社内から上がるほど、業務効率が大幅に向上。さらに、当初想定していなかった外販の可能性も生まれ、新たなビジネスチャンスにつながっています。
事例2:アパレル品質管理システムの大規模改善
背景
海外の開発会社が構築したシステムが、作業員の同時アクセスでダウンするなど、深刻な品質問題を抱えていました。すでに1,700名以上が利用しており、システムの停止は許されない状況でした。
保守・運用の内容
- 初期対応:4ヶ月でインフラを完全刷新し、データ消失リスクを回避
- 継続改善:画面表示の高速化、同時アクセス問題の解消を段階的に実施
- 体制:状況に応じて2〜4名で柔軟に対応
成果
繁忙期前に主要な問題を解消し、システム障害による業務停止を防止。クライアント様からは「本当に社内にシステム開発部門ができたよう」との評価をいただきました。
事例3:SNSマーケティング支援システムの成長支援
背景
前例のない新サービスの開発からスタート。市場の反応が読めない中、リスクを最小限に抑えながらシステムを成長させる必要がありました。
保守・運用の内容
- 初期フェーズ:2名体制でMVP(実用最小限の製品)を開発
- 成長フェーズ:市場の反応を見ながら、最大8名まで体制を拡充
- 運用保守:週次での優先度見直しと、継続的な機能改善を実施
成果
想定を大きく上回る利用者を獲得。ビジネスの成長に合わせて柔軟に開発体制を調整することで、無駄なコストを抑えながら、必要な機能を適切なタイミングで提供できました。
事例から見えるTechBandの価値
これらの事例に共通するのは、以下の3つのポイントです。
- ビジネス理解に基づく提案:単なる技術的な対応ではなく、ビジネス価値を考えた提案
- 柔軟な体制変更:プロジェクトの状況に応じて、1名から8名まで柔軟に調整
- 継続的な関係性:一過性の対応ではなく、長期的なパートナーとしての支援
TechBandは、貴社のビジネスを深く理解し、内部組織として機能することで、これらの価値を提供しています。
まとめ:システム開発後の保守・運用は秋霜堂にお任せください

ここまで、システムの保守と運用の違いについて詳しく解説してきました。改めて重要なポイントを整理すると:
- 運用は「システムを安定稼働させ続ける」日常的な業務
- 保守は「システムを改善・進化させる」改良的な業務
- 両者は車の両輪のような関係で、どちらも欠かせない
多くの中小企業では、これらの業務を適切に管理することが難しく、結果として以下のような課題を抱えています。
よくある保守・運用の課題
- システムトラブルが起きてから慌てて対応している
- 保守・運用の費用が適正なのか判断できない
- 外注先とのコミュニケーションがうまくいかない
- ビジネスの変化にシステムが追いつかない
- 社内にIT専門家がいないため、適切な判断ができない
秋霜堂のTechBandが選ばれる理由
これらの課題を解決するのが、「システム開発部門を提供する」TechBandです。
1. 貴社の一員として活動
外部業者ではなく、内部組織の一員として、貴社のビジネスを深く理解し、最適な保守・運用体制を構築します。
2. 柔軟なコスト管理
必要な時に必要な分だけリソースを調整できるため、無駄なコストを削減しながら、高品質なサービスを受けられます。
3. ワンストップサポート
開発から保守・運用まで一貫してサポートするため、情報の引き継ぎロスがなく、スムーズな対応が可能です。
こんな企業様におすすめです
- システムを開発したいが、その後の保守・運用が不安
- 現在の保守・運用体制に課題を感じている
- 社内にIT部門を作るほどの規模ではないが、専門的なサポートが欲しい
- ビジネスの成長に合わせて、柔軟にシステムを進化させたい
- 信頼できる技術パートナーを探している
次のステップ
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