用語集
2025.10.12

ラボ型開発とは?請負/SESとの違いからメリット・デメリットまで解説


ラボ型開発とは?請負/SESとの違いからメリット・デメリットまで解説

システム開発を外部に依頼したいけれど、どんな契約方法があるのか分からない。中でも最近よく聞く「ラボ型開発」って一体なんだろう?そんな疑問をお持ちではありませんか。

この記事では、システム発注に慣れていない方にも分かりやすく、ラボ型開発の基本的な仕組みから、メリット・デメリット、そして混同されがちな「請負契約」や「SES契約」との違いまで、具体例を交えながら解説します。

石川瑞起
執筆者
秋霜堂株式会社 代表 石川瑞起
中学生でプログラミングを独学で習得し、HP制作やアプリ開発の事業を開始。 大学入学後に事業を売却し、トヨクモ株式会社へ入社。 3年間にわたり1製品の開発責任者を務めたのち秋霜堂株式会社を設立し、多数の企業をサポートしている。
毎日の
作業時間削減
人数
日数
=
たなる挑戦
あなたの会社にシステム開発部門をご提供。
システム化を通して時間を生み出し、ビジネスの加速をサポートします。
月額10万円から
システム開発が可能に
\ 無料トライアル受付中! /

ラボ型開発とは?

ラボ型開発とは、クライアント(発注者)専用の開発チームを、ベンダー(開発会社)の社内に確保し、一定の期間(通常は半年~1年程度)を月額で契約する開発手法のことです。「ラボ」は「研究所(Laboratory)」を意味し、まるで自社の開発部門や研究室を外部に持つようなイメージです。法律上は「準委任契約」という契約形態にあたります。

「システムの完成」を約束するのではなく、「契約期間中、クライアントのために誠実に開発業務を行うこと」を約束する契約です。

ラボ型開発が注目されている背景

現在、多くの日本企業がIT人材の不足という深刻な課題に直面しています。「新しいサービスを立ち上げたいのに、開発できるエンジニアが社内にいない」「優秀なエンジニアを採用したくても、なかなか見つからない」といった声は後を絶ちません。

このような状況において、必要なスキルを持つ優秀なエンジニアチームをスピーディーかつ安定的に確保できるラボ型開発は、課題に対する有効な解決策として大きな注目を集めています。

オフショア開発・ニアショア開発との関係性

ラボ型開発と併せて耳にすることが多い「オフショア開発」や「ニアショア開発」という。これらはしばしば混同されますが、実は異なる概念を指しています。

・ラボ型開発:契約形態の一種
・オフショア開発/ニアショア開発:開発拠点の立地

これらは相互排他的な概念ではなく、組み合わせて活用できます。例えば「ベトナムの開発チームとラボ型契約を締結する」といった形で、実務では両者を掛け合わせるケースが一般的です。

特に開発コストの最適化を図りたい企業にとって、人件費の抑制が可能な海外チームとラボ型契約を結ぶ「オフショア・ラボ型開発」は、効果的な選択肢として広く採用されています。

ラボ型開発と他の契約形態との違い

ラボ型開発への理解を深めるために、よく比較される「請負契約」と「SES契約」との違いを解説します。

ラボ型開発と請負契約

この二つの最も大きな違いは、「契約のゴール」と「仕様変更への柔軟性」です。

ラボ型開発

請負契約

契約のゴール

業務の遂行(チームが働くこと)

成果物の完成(システムを納品すること)

仕様変更

非常に柔軟(契約期間内なら自由)

原則難しい(追加見積もりが必要)

SCROLL→

請負契約は、家を建てる契約をイメージすると分かりやすいです。「こういう仕様の家を、この金額で、この日までに建ててください」と約束し、完成した家に対して支払いが発生します。途中で「やっぱり窓を大きくしたい」といった変更をするには、追加の料金と期間が必要になります。

一方、ラボ型開発は、チームの「時間」を確保する契約です。契約期間内であれば、その時間を使って「ここのデザインを変えたい」「急だけど、この機能を追加したい」といった変更にも、追加の見積もりなしで柔軟に対応できます。

ラボ型開発とSES契約

SES(システムエンジニアリングサービス)契約は、エンジニアの労働力を提供する契約です。ラボ型開発との主な違いは、「エンジニアが働く場所」と「指示を出す権限の範囲」にあります。

ラボ型開発

SES契約

働く場所

ベンダー(開発会社)の社内

クライアント(発注者)の社内に常駐

指揮命令権

クライアントにある

ベンダーにある

SCROLL→

SES契約では、エンジニアはクライアントのオフィスに来て働きますが、クライアントはエンジニアに「これをやってください」と直接指示を出すことはできません。業務の指示は、あくまで開発会社の責任者を通じて行う必要があります。

対してラボ型開発では、エンジニアは開発会社の中で働きますが、クライアントは自社のチームのように、直接「次はこの機能の開発をお願いします」といった指示を出すことが可能です。この指揮命令権の有無が、両者の大きな違いと言えます。

ラボ型開発を導入するメリット

ラボ型開発が多くの企業に選ばれるのには、いくつもの魅力的な理由があります。ここでは、代表的な5つのメリットをご紹介します。

仕様変更に強く、アジャイル開発と好相性

「作りながら、もっと良くしていく」という考え方で開発を進める手法を「アジャイル開発」と呼びます。例えば、いきなり完璧なアプリを目指すのではなく、「まずは最低限の機能だけを持つ試作品を作り、ユーザーに使ってもらいながら意見を反映して、少しずつ改善を重ねていく」といった進め方です。

ラボ型開発は、契約期間内であれば仕様変更に柔軟に対応できるため、このようなアジャイル開発と非常に相性が良いのが特徴です。急な方針転換や新しいアイデアの追加にも、スピーディーに対応できます。

▼関連記事
アジャイル開発で費用対効果を最大化しROIを早期化するWebシステム発注方法とは?

優秀なITエンジニアを中長期的に確保できる

プロジェクトが終わるたびに、また一から開発チームを探し、契約を結ぶのは大変な手間がかかります。ラボ型開発では、一度チームを組めば、自社の専属チームとして中長期的に開発を任せることができます

毎回パートナーを探す手間が省け、安定した開発体制を維持することが可能になります。

開発ノウハウが自社に蓄積され、資産となる

同じチームが長くプロジェクトに関わることで、チームメンバーは自社のビジネスやサービスに対する理解を深めていきます。その結果、単に言われたものを作るだけでなく、「こうした方がユーザーにとって使いやすいのでは?」といった、より良いサービスにするための提案も生まれやすくなります

このようにチーム内に蓄積されていく知識や経験(ノウハウ)は、開発の品質とスピードを向上させ、会社にとっての大きな「資産」となります。

オフショア活用による開発コストの最適化

特に海外のエンジニアチームとラボ型契約を結ぶ(オフショア開発)場合、日本国内で同規模のチームを組むよりも人件費を大幅に抑えられる可能性があります

一方で、言語や文化、時差の違いによるコミュニケーションの難しさといった、海外チームならではの課題も存在します。 こうした点をしっかりと管理し、円滑な連携体制を築くことができれば、開発プロジェクト全体のコストを最適化し、限られた予算を有効活用できるというメリットを享受できます。

採用・育成コストをかけずに開発チームを構築

自社でエンジニアを一人採用するには、求人費用や面接にかかる時間、入社後の教育など、多くのコストと手間がかかります。

ラボ型開発であれば、開発会社に所属する経験豊富なエンジニアで構成されたチームをすぐに立ち上げることができます。自社で採用や育成を行う必要がなく、迅速に開発をスタートできる点は大きなメリットです。

ラボ型開発のデメリットと対応策

多くのメリットがある一方で、ラボ型開発には注意すべき点もあります。ここでは、主なデメリットと、その対策について解説します。

開発タスクがない期間もコストが発生する

ラボ型開発はチームの稼働時間を確保する契約のため、もし開発作業がなくなってしまっても、契約期間中は毎月一定の費用が発生します。

【対策】
すぐに着手するタスクだけでなく、「将来的には改善したいこと」や「追加したい機能」などを常にリストアップしておく(バックログ)ことが重要です。チームの手が空いてしまうのを防ぎ、契約した時間を無駄なく活用できます。

発注者側にプロジェクトマネジメントの負担がかかる

請負契約とは異なり、何をどのような優先順位で開発していくかを決めるのは発注者側です。そのため、プロジェクト全体の進捗管理や意思決定など、マネジメントの負担が大きくなります。

【対策】
社内にプロジェクトの専任担当者を置き、チームとの窓口役や進捗管理の責任を明確にすることが不可欠です。誰が指示を出し、誰が進捗を管理するのか、体制をしっかりと整えましょう

コミュニケーションの質がプロジェクト成功を左右する

特に海外チームとのオフショア開発では、言葉の壁や文化、働く時間帯の違いなどから、意思疎通がうまくいかないリスクがあります。コミュニケーション不足は、認識のズレや開発の手戻りを生む原因となります。

【対策】
日本語と現地の言葉の両方に堪能で、両者の橋渡し役となってくれる「ブリッジSE」をチームに加えてもらうことが有効です。定期的なオンラインミーティングの開催や、チャットツールを活用した密な情報共有を心がけるなど、円滑なコミュニケーション体制を築くようにしましょう。

チームの立ち上がりに時間がかかる場合がある

新しいチームは、まず自社のビジネスや既存のルールを理解するところからスタートします。そのため、契約開始直後は、チームが業務に慣れるまで生産性が上がりにくい可能性があります。

【対策】
開発を依頼したい内容について、事前に分かりやすい資料を準備しておきましょう。また、契約初期は特に丁寧に情報共有を行うことで、チームの理解を助け、スムーズな立ち上がりをサポートすることができます。

ラボ型開発が向いている・向いていないプロジェクト

これまでの内容を踏まえ、ラボ型開発がどのようなプロジェクトに適しているのか、具体的なケースを整理してみましょう。

ラボ型開発が向いているケース

仕様変更が多い新規事業・サービスの開発
「まず作ってみて、反応を見ながら改善したい」というプロジェクトに最適です。

継続的な機能改善が必要な既存サービスの運用・保守
毎月のように機能追加や改修が発生するようなサービスに向いています。

アジャイル開発を実践したいプロジェクト
柔軟な仕様変更に対応できるため、アジャイル開発との相性は抜群です。

中長期的に開発リソースを確保したい場合
安定した開発体制を維持したい企業に適しています。

ラボ型開発が向いていないケース

要件や仕様が完全に固まっている短期のプロジェクト
作るものが最初から最後まで明確に決まっている場合は、完成を約束する「請負契約」の方が適していることが多いです。

発注者側でプロジェクト
管理ができない場合 進捗管理や仕様の決定を行う担当者を社内に置けない場合は、ラボ型開発のメリットを活かせません。

Webサイト制作など、小規模で単発の依頼
開発規模が小さい場合は、月額契約のラボ型開発ではコストが見合わない可能性があります。

ラボ型開発パートナーの選定ポイント

ラボ型開発を成功させるには、信頼できる開発会社をパートナーとして選ぶことが何よりも重要です。パートナー選びで失敗しないための3つのチェックポイントをご紹介します。

開発実績と得意領域の確認

まず、自社が作ろうとしているシステムやサービスと関連性の高い開発実績があるかを確認しましょう。例えば、スマートフォンアプリを作りたいなら、アプリ開発の実績が豊富な会社を選ぶべきです。また、どのような技術を得意としているのかも重要な確認項目です。

契約内容の柔軟性

ビジネスの状況は常に変化します。「サービスが好調なのでチームを大きくしたい」「少し開発ペースを落としたいのでチームを縮小したい」といった、チームの規模(人数)の変更に、契約期間の途中でも柔軟に対応してくれるかを事前に確認しておくことが大切です。

事前の面談やトライアルの可否

契約を結ぶ前に、実際に開発を担当する中心メンバーと面談できるかどうかを確認しましょう。スキルはもちろん、人柄やコミュニケーションの取りやすさといった「相性」もプロジェクトの成功を左右する重要な要素です。 会社によっては、短期間のお試し(トライアル)契約が可能な場合もあります。ミスマッチを防ぐ上で非常に有効なので、ぜひ活用を検討しましょう。

自社内にシステム開発部門を持てる「テックバンド」のご案内

ここまでラボ型開発のメリットや特徴について解説してきましたが、「魅力的だけど、良いパートナー企業を見つけられるか不安」「自社でプロジェクトを管理できるか心配」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

もし、「単なる外注先」ではなく、ビジネスの成功を一緒に目指してくれる、まるで自社の“システム開発部門”のようなチームを求めているなら、秋霜堂が提供する「テックバンド(TechBand)」がそのお悩みを解決できるかもしれません。

テックバンドの目的は、単にシステムを開発して納品することではありません。テクノロジーの力でお客様のビジネスを内側から加速させることです。

ラボ型開発のメリットを最大限に活かすサービス

テックバンドは、本記事でご紹介したラボ型開発の持つ強みを、さらに昇華させた開発サービスです。

“システム開発部門”として伴走
一般的な受託開発とは異なり、私たちはビジネスを支える内部組織として活動します。「何を作るか」という仕様が決まっていなくても、ビジネスの課題をヒアリングするところからご一緒し、最適な解決策を提案します。

追加見積もりなしの柔軟な対応
プロジェクトを進める中での「仕様を変更したい」「新しい機能を追加したい」といったご要望は当然のことです。テックバンドはチーム体制のため、追加の見積もりではなくスケジュール調整で柔軟に対応します。

採用通過率5%の専門家集団による高い品質
開発を担当するのは、厳しい選考を通過したハイスキルなエンジニアチームです。お客様のビジネスを深く理解し、高品質なシステムをスピーディーに構築します。実際に「海外で開発に失敗したシステムを立て直せた」「数ヶ月という驚きの速さでアプリをリリースできた」といったお声もいただいています。

「社内にITに詳しい人がいない」「システム開発は初めてで、何から手をつけていいか分からない」。テックバンドは、そんなお悩みを抱える企業様にこそ最適なサービスです。ご興味をお持ちいただけましたら、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

毎日の
作業時間削減
人数
日数
=
たなる挑戦
あなたの会社にシステム開発部門をご提供。
システム化を通して時間を生み出し、ビジネスの加速をサポートします。
月額10万円から
システム開発が可能に
\ 無料トライアル受付中! /
Ebook
お役立ち資料集

秋霜堂のサービス紹介資料や、
お役立ち資料を無料でダウンロードいただけます。


Contact
お問い合わせ

ご質問・ご相談など、まずはお気軽に
お問い合わせフォームより無料お問い合わせください。

お役立ち資料
お問い合わせ