スクラム開発を外注する進め方|失敗しない外注先選びのポイントも解説

スクラム開発の外注を検討しているものの、「ウォーターフォールと何が違うのか」「発注側はどこまで関与しなければいけないのか」と疑問を持っている担当者の方は多いのではないでしょうか。
スクラム開発は、柔軟な要件変更や短いサイクルでのリリースが強みです。しかし、外注する際には従来のウォーターフォール開発と異なる考え方が必要で、発注者が適切に関与しないと逆に失敗するリスクが高まります。
この記事では、スクラム開発を外注する前の準備・外注先の選び方・外注後に発注者がすべきことの3フェーズに分けて、実践的な進め方を解説します。失敗しないためのチェックリストや、よくある失敗パターンとその回避策もご紹介しますので、スクラム外注を初めて検討している方にも参考になる内容です。

失敗しないためのシステム開発の考え方と開発パートナー選定チェックリスト

この資料でわかること
こんな方におすすめです
スクラム開発の外注とは?
スクラム開発の外注とは、スクラムフレームワークを採用する開発会社にシステムやアプリの開発を依頼することです。ウォーターフォール型の外注との最大の違いは、「要件を最初に全て確定させない」点にあります。
ウォーターフォール開発では、要件定義→設計→開発→テスト→リリースという順序で進み、基本的に後から要件を変更することが難しい契約形態(請負契約)が主流です。一方、スクラム開発では1〜4週間の短いサイクル(スプリント)を繰り返しながら、フィードバックを受けて随時改善していきます。
そのため、スクラム外注では「準委任契約(タイム&マテリアル型)」が基本となります。実際に使った工数に対して費用が発生する形式で、変化に柔軟に対応できますが、発注者側の継続的な関与が前提です。
スクラムの基本概念(役割・スプリントの流れ)については、スクラム開発とは?流れ・役割・発注者の関与ポイントを徹底解説で詳しく解説しています。
外注前に準備すること
スクラム開発を外注する前に、発注者側でいくつかの準備をしておくことが重要です。準備不足のまま外注を始めると、外注先との認識のズレが生じやすく、プロジェクトが迷走する原因になります。
プロダクトビジョン・ゴールの言語化
まず最初に、「何を作りたいのか」「なぜ作るのか」「誰のためのシステムか」を明確にしましょう。完璧な要件定義は必要ありませんが、プロダクトの方向性を言語化したビジョンは必須です。
プロダクトビジョンが不明確なまま外注を始めると、スプリントごとに「やっぱりこれも追加したい」「方向性が違う」というフィードバックが増え、プロジェクト全体のコストと期間が膨らんでしまいます。
ビジョンが固まったら、「プロダクトバックログの叩き台」として実現したい機能・価値をざっくりとリストアップしておくと、外注先との初回打ち合わせが格段にスムーズになります。
プロダクトオーナー(PO)担当の選任
スクラム開発では、発注者側から「プロダクトオーナー(PO)」を担う人物を選任する必要があります。POの主な役割は以下のとおりです。
- プロダクトバックログの作成・管理・優先順位づけ
- スプリントレビューへの参加(デモを見て方向性を確認)
- 「次のスプリントで何を作るか」の最終意思決定
POは外注先の開発者や外部のスクラムマスターと密に連携するため、意思決定権限を持ち、週に数時間〜半日程度を割ける担当者を選ぶことが重要です。担当者が多忙すぎてフィードバックできない状況は、スクラム外注の最も多い失敗原因の一つです。
スプリント期間・コミュニケーション体制の検討
外注前に、スプリント期間(1〜4週間)とコミュニケーション体制の方針を検討しておきましょう。
初めてスクラム外注に取り組む場合は、2週間スプリントが一般的でフィードバックサイクルも適度に取りやすいためおすすめです。1週間スプリントはスピード感がありますが、発注者側の準備負担も上がります。
コミュニケーション体制については、週次定例に加え、Slackなどのチャットツールでのリアルタイム連絡が取れる環境を整えることを推奨します。
予算・スコープの考え方を変える
ウォーターフォール開発では「この仕様でいくら」という固定費用で発注するのが一般的ですが、スクラム外注では「このチームを何ヶ月使うといくら」という考え方に変わります。
スコープは随時変更できる一方、月額費用はほぼ固定されるため、最初から大規模な開発を外注するよりも、MVP(最小限の製品)からスモールスタートすることをおすすめします。
外注先の選び方
スクラム開発の外注先を選ぶ際は、通常のシステム開発会社の選定とは異なる観点が必要です。
スクラム開発の実績・経験を確認する
まず確認すべきは、外注先がスクラム開発の実績を持っているかどうかです。「アジャイル開発も対応しています」という記述だけでは不十分で、以下の点を具体的に確認しましょう。
- スクラム開発の実績件数: 3件以上あれば一定の経験値があると判断できます
- スクラムマスター(SM)の在籍: スクラムガイドに準拠した開発を進める専任者がいるか確認します
- 具体的な進め方の説明: スプリントプランニング・デイリースクラム・レビューの具体的な進め方を説明できるか確認します。「ざっくりアジャイルっぽくやります」という曖昧な回答は要注意です
準委任契約(タイム&マテリアル)を選ぶ
スクラム開発の外注では、準委任契約を選ぶことが基本です。請負契約では「仕様変更は別料金」となるため、スクラムの柔軟性が活かせません。
準委任契約のポイントを整理すると以下のとおりです。
項目 |
準委任契約 |
請負契約 |
|---|---|---|
費用の考え方 |
工数×単価(月額固定が多い) |
成果物に対する固定費 |
仕様変更 |
柔軟に対応可能 |
追加費用が発生 |
発注者の責任 |
要件・優先順位の管理が必要 |
仕様確定時のみ関与 |
スクラムとの相性 |
非常に高い |
低い |
費用の総額は変動しますが、スプリントごとに成果物を確認できるため、コントロールしやすいというメリットがあります。
コミュニケーションスタイルの相性を見る
スクラム外注では発注者との密なコミュニケーションが前提のため、会社の文化・スタイルが合っているか確認することも重要です。
- スプリントレビューで実際のデモを見せてくれるか
- 問題が発生したときに正直に報告する透明性があるか
- 発注者側の状況・制約を理解した提案ができるか
外注先チェックリスト
以下のチェックリストを活用して外注先を評価することをおすすめします。
- □ スクラム開発の実績が3件以上ある
- □ スクラムマスターが在籍している
- □ 準委任契約での契約が可能
- □ スプリントレビューへの参加を前提としている
- □ バックログ管理ツール(Jira・GitHub Projects等)を使用している
- □ 週次以上の定例・報告体制がある
- □ 過去の失敗事例とその対処を具体的に語れる
- □ 初回のスモールスタートに対応している
外注後に発注者がすべきこと
外注先が決まったら、プロジェクト中も発注者側が積極的に関与し続けることが重要です。「あとはお任せします」という姿勢では、スクラムは機能しません。
スプリントレビューに必ず参加する
スプリントレビューは、開発チームが完成した機能をデモし、発注者がフィードバックを行う場です。ここで方向性のズレを早期に発見・修正することが、スクラムの最大のメリットです。
多忙で参加できない場合でも、代理の意思決定権者が参加できる体制を整えましょう。レビューに参加しないと、「実際に使ってみたら全然違う」という問題がリリース後に発覚するリスクが高まります。
バックログの整備・優先順位管理を続ける
プロダクトバックログは一度作って終わりではなく、プロジェクトを通じて常に更新・整備し続ける必要があります。
スプリントレビューのフィードバックを受けて優先順位を調整したり、新たな要望をバックログに追加したりすることがPOの主な業務です。「バックログが古くなる」「何をすべきか不明確になる」という状態は、次のスプリントの計画が立てられなくなるリスクがあります。
定期的な振り返り(レトロスペクティブ)に参加する
スプリントの終わりには、チームで「良かったこと」「改善すべきこと」を振り返るレトロスペクティブが行われます。発注者もこの場に参加することで、プロセス改善のサイクルをチーム全体で回すことができます。
KPT(Keep・Problem・Try)やYWT(やったこと・わかったこと・つぎにやること)などのフレームワークを活用することで、振り返りの質を高めることができます。
スクラム外注でよくある失敗と回避策
スクラム開発の外注では、特定のパターンで失敗が起きやすい傾向があります。よくある失敗事例と回避策を整理しておきましょう。
失敗パターン |
主な原因 |
回避策 |
|---|---|---|
要件のズレが蓄積してリリース時に大幅修正 |
PO不在・バックログ放置・スプリントレビュー欠席 |
スプリントごとに必ずフィードバックし、バックログを更新する |
コストが予算を大幅オーバー |
準委任契約の変動費用を理解していない・スコープが膨らんだ |
スモールスタートし、スプリントごとの予算をモニタリングする |
外注先がスクラムを形だけ実施(名ばかりスクラム) |
スクラム実績が少ない外注先を選んだ |
チェックリストで実績・SM在籍を確認してから選定する |
発注者が多忙でフィードバックを返せない |
PO担当の兼任過多・優先度の低さ |
専任または準専任のPO体制を事前に整備する |
外注先が言われたことしかやらない |
受け身の文化の外注先を選んだ |
提案力・問題提起ができるか事前に確認する |
スモールスタートで始める方法
スクラム開発の外注が初めての場合は、最初から大規模な開発を依頼するのではなく、スモールスタートから始めることをおすすめします。
具体的には以下のステップで進めましょう。
ステップ1: MVP(最小限の製品)の定義 最優先で実現したいコア機能に絞り込んだMVPを定義します。「まず動くものを作る」ことを優先し、完璧を追わないことが重要です。
ステップ2: PoC(概念実証)スプリントの実施 1〜2スプリント(2〜4週間)を試験的に実施し、外注先との相性・コミュニケーションの品質・開発のスピードを確認します。この段階で「合わない」と判断した場合は、早期に方針を変更できます。
ステップ3: 本格的なスプリント開発への移行 PoCで信頼関係が構築できたら、正式にバックログを整備してスプリント開発を本格化します。
小さな成功体験を積み重ねることで、社内のステークホルダーへの説明や、外注先との信頼構築もスムーズになります。
まとめ
スクラム開発の外注を成功させるためのポイントを3つのフェーズでまとめます。
【外注前の準備】
- プロダクトビジョン・ゴールを言語化する
- プロダクトオーナー(PO)担当を社内で選任する
- スプリント期間とコミュニケーション体制を検討する
- スモールスタート・MVP思考で予算計画を立てる
【外注先の選び方】
- スクラム開発の実績(3件以上)・スクラムマスター在籍を確認する
- 準委任契約での対応が可能かを確認する
- 外注先チェックリストで総合評価する
【外注後の関与】
- スプリントレビューに必ず参加する
- バックログの優先順位管理を継続する
- レトロスペクティブに参加して改善サイクルを回す
スクラム開発の外注は、発注者が適切に関与することで、ウォーターフォールでは実現できない柔軟で高品質な開発が可能になります。
費用相場についてはシステム開発の費用相場は?抑えるコツや開発会社を選ぶポイントを解説もあわせてご参照ください。
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