システム開発で使うプロジェクト管理ツール5選!発注者が炎上を防ぐ選び方と運用方法

システム開発を外注したはいいものの、「開発が今どのフェーズにあるのかわからない」「週次報告で『問題ありません』と言われるだけで実態が見えない」という悩みを持つ発注者は少なくありません。
プロジェクト管理ツールを調べてみると、Jira、Backlog、GitHub Projects、Redmine、Notionなど数多くの選択肢が見つかります。しかしこれらの比較記事の多くは「エンジニアがプロジェクトを管理する」前提で書かれており、非エンジニアの発注者が「自分でも使えるか」を判断する材料が乏しいのが現状です。
重要なのは、ツールの機能を熟知することではありません。「開発会社に対して、何をどう確認できる状態にすべきか」という目的を明確にした上でツールを選ぶことです。目的なしにツールを導入しても、開発会社が使ってくれなかったり、発注者自身が使いこなせなかったりと形骸化してしまいます。
本記事では、外注でシステム開発を発注した経験を持つ方を対象に、「発注者として進捗を可視化し、炎上を防ぐ」観点でプロジェクト管理ツールを比較・解説します。ツールの選び方から開発会社との運用ルールまで、実務で使える知識をまとめました。

目次
発注者がプロジェクト管理ツールを使う目的とは(エンジニアとの違い)

プロジェクト管理ツールというと、エンジニアがタスクを細かく管理したり、コードレビューと連携させたりするもの――そういうイメージを持つ方が多いかもしれません。確かにそうした活用方法も存在しますが、発注者が使う目的はまったく異なります。
開発会社任せにすると進捗が見えなくなる理由
開発会社への外注では、実際の作業は開発会社のエンジニアが担当します。発注者はほとんどの場合、コードを書くわけでも、テストを実行するわけでもありません。週次定例ミーティングでの報告が唯一の情報源になりがちです。
問題は、口頭での進捗報告は「印象」で伝わるという点です。「今週は○○の機能を実装しました」と言われても、それが当初の計画と比べて早いのか遅いのか、バグが多いのか少ないのかが判断できません。
特に中小規模の開発案件では、プロジェクトマネージャーが常駐しているわけではなく、エンジニア自身が「大丈夫です」と報告するケースもあります。このとき発注者側に数値で確認できる手段がなければ、炎上の兆候を掴めないまま納期を迎えてしまいます。
発注者がツールを使うことで得られる3つの効果
プロジェクト管理ツールを発注者側が活用することで、以下の3つの効果が得られます。
1. 進捗をリアルタイムで可視化できる タスクが「未着手」「進行中」「完了」のどの状態にあるかをツール上で常時確認できます。開発会社が毎日タスクを更新していれば、発注者は定例ミーティングを待たずに状況を把握できます。
2. 炎上の兆候を早期に検知できる 完了タスクの数が計画より少ない、バグ報告が急増している、未着手タスクの数が増え続けているといった兆候を数値として捉えられます。定例で「問題ありません」と言われても、ツール上のデータが示す現実を確認できます。
3. コミュニケーションのエビデンスが残る 仕様変更の経緯、バグ報告の内容、対応状況がツール上に記録されます。「あの件はどうなっていたか」という確認が口頭ではなくツール上でできるため、認識の齟齬を防げます。
発注者視点で選ぶプロジェクト管理ツールの評価基準5つ
ツールを選ぶ前に、「どんな観点で比較すべきか」を整理しておきましょう。エンジニアが選ぶ基準(CI/CDとの連携、APIの柔軟性など)ではなく、発注者として必要な基準を5つ提示します。
評価基準① 非エンジニアでも操作できる直感的なUI
ツールを選ぶ際に最初に確認すべき項目です。どれほど高機能なツールでも、発注者自身が使えなければ意味がありません。
Backlogはシンプルな日本語UIが特徴で、エンジニア以外のメンバーでも直感的に操作できると評判です。一方、Jiraは多機能な反面、初期設定が複雑で学習コストが高いため、担当者によっては使いこなすまでに時間がかかります。
「無料トライアル期間に自分で実際に操作してみること」を強くおすすめします。
評価基準② 開発会社側と権限を分けて共有できるか
発注者(クライアント)と開発会社(ベンダー)が同じプロジェクトに参加できる権限設定が整っているかを確認します。
理想的には「発注者はタスクの閲覧・コメントができるが、コードや設定には触れない」という権限設定が可能であることです。開発会社が既に使っているツールがある場合は、そのツールへの参加を検討するほうがスムーズなケースも多いです。
評価基準③ タスクの進捗・バグ数がリアルタイムで見える
カンバンボード(タスクをカード形式で管理するボード)でタスクの状態が一目でわかること、バグや課題の件数が集計できることを確認します。
「今週何タスク完了したか」「未解決のバグが何件あるか」をすぐ確認できるツールを選びましょう。
評価基準④ ガントチャートで納期遵守状況が確認できる
ガントチャートとは、横軸に時間、縦軸にタスクを並べた進捗管理表です。「このマイルストーンまでに何を完了させるべきか」が視覚的に確認できます。
Backlogはガントチャートをスタンダードプラン以上で標準提供しています。Jiraはタイムライン機能で同様の確認が可能です。
評価基準⑤ 導入コストとサポート体制
中小企業の場合、ITツールの導入に割ける予算は限られています。月額コストと、初期設定や操作方法についての日本語サポートが充実しているかを確認します。
Backlogは国産ツールで日本語サポートが充実しており、導入コストも比較的手頃です。Jiraは機能が豊富ですが、英語ドキュメントが多い点には注意が必要です。
発注者向け主要5ツール比較(Jira・Backlog・GitHub Projects・Redmine・Notion)(2026年4月時点)

発注者視点の評価基準で5ツールを比較します。
ツール |
操作難易度(非エンジニア) |
共有機能 |
ガントチャート |
料金(目安・2026年4月時点) |
こんな案件に向く |
|---|---|---|---|---|---|
Backlog |
★★★★★(最も使いやすい) |
○ |
○(スタンダード以上) |
月額2,970円〜(スタータープラン) |
国内企業との共同開発・中小規模案件 |
Jira |
★★★(習熟コスト高め) |
○ |
○(タイムライン機能) |
無料〜(月額約1,100円/ユーザー〜) |
アジャイル開発・大規模案件 |
GitHub Projects |
★★(GitHub操作が前提) |
△(GitHubアカウント必要) |
△(ロードマップ機能) |
無料〜 |
開発会社がGitHubで管理している案件 |
Redmine |
★★(初期設定が難しい) |
○ |
○ |
無料(自社サーバー設置) |
コストを抑えたい小規模案件 |
Notion |
★★★★(直感的) |
○ |
△(別途設定が必要) |
無料〜(月額約1,850円/ユーザー〜) |
情報共有とタスク管理を一元化したい場合 |
Backlog ―― 非エンジニア発注者に最も使いやすいツール
Backlogは株式会社ヌーラボが提供する日本製のプロジェクト管理ツールで、国内14,000社以上が導入しています(Backlog公式サイト)。
発注者向けの強み:
- 日本語UIで直感的に操作できる
- 課題(タスク)の登録・進捗確認・コメントが簡単
- ガントチャートが標準搭載(スタンダードプラン以上)
- 国内の開発会社ではすでに導入済みのケースが多い
注意点:
- 高度なアジャイル管理(スプリント計画など)はJiraに比べると機能が限定的
- スタータープランはユーザー数30名まで・プロジェクト5つまでの制限がある
向いている案件: 初めてプロジェクト管理ツールを導入する発注者・国内の中小規模開発案件
Jira ―― 大規模・アジャイル開発向け。使いこなせれば強力
Jiraはオーストラリアのアトラシアン社が提供するプロジェクト管理ツールで、グローバルで最も普及しているツールのひとつです。スクラム・カンバンといったアジャイル開発手法との親和性が高く、大企業での採用実績が豊富です。
発注者向けの強み:
- スプリント管理・バーンダウンチャートなど、アジャイル開発の進捗確認機能が充実
- 無料プランがある(10ユーザーまで)
- 開発会社がJiraを使っている場合は同じ環境で確認できる
注意点:
- UIが複雑で、非エンジニアには慣れるまで時間がかかる
- 英語ドキュメントが多い
- 機能が多すぎて「どこを見ればいいかわからない」状態になりやすい
向いている案件: 開発会社がアジャイル開発を採用しており、スプリント単位での進捗を確認したい場合
GitHub Projects ―― 開発会社がGitHub管理している案件に最適
GitHub Projectsは、コード管理サービスのGitHubに内蔵されたプロジェクト管理機能です。Issueやプルリクエストとリアルタイムで連携するため、開発会社がGitHubを使って開発している場合に特に力を発揮します。
発注者向けの強み:
- GitHubアカウントがあれば追加費用なしで利用できる
- カンバンボード・テーブル・タイムラインの3種のビューが利用可能
- 開発会社のコード管理と直結しているため、バグ修正の状況まで追える
注意点:
- GitHubの操作に慣れていない場合、敷居が高い
- 外部ユーザー(発注者)の招待にはGitHubアカウントの作成が必要
- 開発会社がGitHub以外を使っている場合は使えない
向いている案件: 開発会社がGitHubでソースコード管理しており、発注者が技術的な進捗まで確認したい場合
Redmine ―― 無料・オープンソース。小規模案件に向く
Redmineはオープンソースのプロジェクト管理ツールで、自社サーバーやクラウドにインストールして使います。ライセンス費用がかからないため、コストを抑えたい場合に選択肢になります。
発注者向けの強み:
- ソフトウェア費用が無料(サーバーや管理コストは別途発生)
- ガントチャートなど基本的な進捗管理機能が揃っている
- カスタマイズ性が高い
注意点:
- 初期設定・サーバー管理の手間がかかる(技術担当者が必要)
- UIが古く、Backlogと比べると操作性が劣る
- サポートは基本的にコミュニティベース
向いている案件: ITリソースがある組織での小規模案件、コスト最優先の場合
Notion ―― タスク管理と情報共有を一元化したい場合に
Notionはドキュメント作成・データベース・タスク管理を1つのプラットフォームで実現するツールです。プロジェクト管理専用ツールではありませんが、カスタマイズ性の高さから幅広い用途に使われています。
発注者向けの強み:
- 議事録・仕様書・タスク管理を1つのツールで管理できる
- UIが直感的で非エンジニアでも操作しやすい
- テンプレートが豊富で導入しやすい
注意点:
- プロジェクト管理専用ツールではないため、ガントチャートは標準搭載していない(データベースの設定が必要)
- タスクのステータス管理はBacklogやJiraより手動設定が多い
- 開発会社側がNotionに慣れていない場合、定着しにくい
向いている案件: ドキュメント管理と進捗管理を一元化したい場合、小規模なプロジェクトで情報共有ツールとして使いたい場合
開発会社との情報共有をスムーズにする3つの運用ルール

ツールを導入しただけでは進捗は見えるようになりません。「どう使うか」のルールを開発会社と合意することが成功の鍵です。以下の3つのルールを参考にしてください。
週次定例で確認すべき3つの指標(完了タスク数・未着手タスク数・バグ件数)
週次定例ミーティングでは、定性的な「進捗報告」だけでなく、以下の3指標を数値で確認するようにしましょう。
指標 |
確認方法 |
警戒ラインの目安 |
|---|---|---|
完了タスク数 |
直近1週間で「完了」になったタスク数 |
計画比50%以下が続く場合は要注意 |
未着手タスク数 |
ステータスが「未着手」のタスク数の推移 |
増え続けている場合は計画見直しが必要 |
未解決バグ件数 |
ステータスが「解決待ち」のバグ件数 |
週を追って増加している場合は炎上のサイン |
「今週は〇〇が完了しました」という定性報告より、「完了タスク12件、残バグ5件、来週の目標は完了タスク15件」という数値の確認習慣をつけましょう。
タスクステータスの定義を開発会社と事前に合意する
「進行中」「完了」「確認待ち」といったタスクステータスの意味は、ツールによって微妙に異なります。また、開発会社によっては「テスト完了」を「完了」と呼ぶか「確認待ち」と呼ぶかが統一されていないこともあります。
プロジェクト開始前に、以下を書面で合意しておきましょう。
- 「完了」とはいつのタイミングで付けるのか(コーディング完了か、テスト完了か、発注者確認完了か)
- バグはどのステータスで何日以内に対応するのか
- 誰がタスクを更新する責任を持つのか
バグ・課題は必ずツール上で報告させる(口頭禁止ルール)
開発会社からのバグ報告や課題連絡が「Slack」「メール」「口頭」とバラバラになると、対応漏れや後からの確認が困難になります。
「バグ・課題はすべてBacklog(またはJira)に起票してから連絡すること」というルールを契約時または開始時に明確に合意してください。ツール外のコミュニケーションを許容すると、プロジェクト管理ツールがすぐに形骸化してしまいます。
実際にシステム開発の現場では、「口頭で確認した内容が記録に残っておらず、後で認識の齟齬が起きた」というトラブルが頻繁に発生します。秋霜堂株式会社でも、すべての課題・要件変更をBacklogやGitHub Issuesで管理し、口頭での決定を残さない運用を徹底しています。
「炎上しそう」と感じたときのチェックリストと対処法

「なんとなく開発が遅れている気がする」「開発会社の報告が最近あいまいになっている」と感じたら、以下のチェックリストで現状を確認してください。
炎上の前兆サイン5つ(ツール上で確認できるもの)
サイン |
確認方法 |
深刻度 |
|---|---|---|
完了タスク数が計画の50%以下が3週連続 |
ガントチャートまたはタスク一覧の完了数 |
高 |
未解決バグが毎週増加している |
バグ/課題一覧の未解決件数の推移 |
高 |
定例ミーティングがキャンセル・延期される |
カレンダー・連絡履歴 |
中〜高 |
「仕様確認が必要」「調査中」のタスクが増える |
ステータス「保留」「調査中」の件数 |
中 |
報告が抽象的になる(「進捗しています」だけ) |
週次報告の内容と数値 |
中 |
3つ以上当てはまる場合は、早急にエスカレーションが必要な状態です。
炎上が疑われるときに発注者が取るべきアクション
ステップ1: 現状の数値確認 感覚ではなく、ツール上のタスク数・バグ数・完了率の数値を確認します。「現時点の完了率が計画の何%か」を開発会社に問い合わせてください。
ステップ2: 根本原因の特定 遅延の原因は「技術的な問題(想定外の難易度)」「人員不足」「仕様変更の多発」の3つに分類されます。それぞれ対処法が異なるため、まず原因を特定します。
ステップ3: スコープの見直しまたは人員追加 納期が固定されている場合は機能のスコープを削減する(必須機能に絞る)か、開発人員を増やすかの判断が必要です。この時点で発注者側から主体的に提案することが、炎上を最小限に抑えるポイントです。
プロジェクト管理ツールを活用することで、炎上を「遅すぎる段階」ではなく「早い段階」で検知できます。詳しくは受託開発の失敗事例と成功のポイントもあわせてご覧ください。
プロジェクト管理ツール導入の失敗事例と回避策
ツールを導入したものの、うまく活用できなかった事例は少なくありません。よくある3つの失敗パターンと回避策を紹介します。
失敗事例① ツールを入れたが開発会社が使ってくれない
状況: 発注者がBacklogを契約したが、開発会社はSlackとメールで進捗報告を続けている。結果としてBacklogが形骸化した。
原因: 開発会社側がすでに別のツール(Jiraやプロプライエタリツール)を使っており、追加で新しいツールを操作することが負担になった。
回避策: ツールの選定時に「開発会社がすでに何を使っているか」を先に確認し、可能であればそのツールに発注者が参加する形にする。開発会社がBacklogを既に使っているなら発注者もBacklogに、GitHubならGitHub Projectsに合わせることで定着率が上がります。
失敗事例② 発注者自身が使い方を覚えられない
状況: Jiraを導入したが、操作が複雑すぎて発注者側のIT担当者しか使えない状態になった。経営者は報告を受けるだけで自分で確認できない。
原因: ツール選定時に「機能の豊富さ」を重視しすぎて、操作性を軽視した。
回避策: 経営者・非エンジニアが実際に触ってみる「トライアル期間」を設ける。Backlogのように国産・日本語UIのツールから始めることを推奨します。
失敗事例③ ツールが多すぎて情報が分散する
状況: プロジェクト管理にBacklog、議事録にNotionを使い、連絡はSlack。「どこに何が書いてあるか」がわからなくなった。
原因: ツールを追加するたびに情報の置き場が増え、一元管理できていない。
回避策: まず1つのツールから始め、「このツールで何を管理するか」を明確にする。最初からすべてをカバーしようとせず、「進捗管理はBacklog、それ以外はメール」という単純なルールから始める方が定着しやすいです。
まとめ ―― 発注者が今すぐできること
システム開発の進捗管理において、プロジェクト管理ツールは「開発会社との透明性を高める武器」です。ただし、ツールを入れれば自動的に問題が解決するわけではなく、「目的・ルール・習慣」がセットで必要です。
発注者が今すぐできる3ステップ
- 目的と確認サイクルを決める: 週次で何の数値を確認するかを事前に決める(完了タスク数・未解決バグ数・ガントチャートの遅延確認)
- ツールを選ぶ: まずはBacklogから始めることを推奨。開発会社がJiraやGitHubを使っている場合はそちらに参加する
- 運用ルールを開発会社と合意する: 「課題はすべてツール上で起票」「タスクステータスの定義を統一」「週次でツールの数値を確認する定例を設ける」
発注者が能動的にプロジェクト管理に関わることで、「炎上に気づくのが遅すぎた」という状況を大幅に減らせます。
また、開発生産性の指標と測定方法も参考にしながら、開発会社のパフォーマンスを定量的に把握する仕組みを整えましょう。
作業時間削減
システム化を通して時間を生み出し、ビジネスの加速をサポートします。
システム開発が可能に










