「Salesforceフリーランスは月80万円を超えるらしい。自分もHubSpot案件だけで満足していていいのだろうか」——CRM/MA領域でフリーランス活動をしていると、SNSやエージェント面談を通して一度はこの問いに突き当たります。周囲の話や単価公開データを見ると、Salesforceは案件数も単価レンジも見えやすく、そこに寄せた方が安全に見えるのは事実です。
一方で、Salesforceは競合エンジニアも多く、Apex・LWC・Flowといった開発スキルへの投資が前提です。今からApexを学ぶ時間投資に見合うのか、それともHubL・Custom Object・Private Appを深掘りして「HubSpot専業」で戦うほうが差別化しやすいのか——判断材料がないまま両方を薄く追いかけ、結局どちらの面談でも刺さらないという状態は避けたいところです。
このモヤモヤの正体は、「HubSpot」と「Salesforce」のフリーランス市場を、単価レンジ・案件数・スキル要件・認定資格・キャリアパスといった複数軸で並べて比較したデータが少ないことにあります。多くの記事はどちらか片方を単独で解説しており、比較したうえで意思決定を促してくれる情報は限られています。
本記事では、HubSpotエンジニアのフリーランス単価相場を軸に、Salesforceフリーランスとの単価差・案件数の需給バランス・スキル要件の重複と差分・認定資格の投資対効果・2つのキャリアパスを整理します。ペルソナのスキルレンジ(HubSpot運用経験あり × Salesforce未経験〜浅)を前提に、「あなたが主軸にすべきはHubSpotかSalesforceか」を意思決定できる形に落とし込み、最後に翌週から着手できる案件獲得ロードマップまで具体化します。
HubSpotエンジニアの単価相場|Salesforceと比べた立ち位置

まず結論から示すと、フリーランス案件の「単価の見えやすさ」ではSalesforceが優位、「専門家不足による上振れ余地」ではHubSpotが優位です。この非対称性を理解することが、主軸選択の出発点になります。
HubSpotエンジニア案件の月額単価レンジ(実装・運用・コンサルの3系統)
HubSpotエンジニアのフリーランス案件は、大きく3つの系統に分かれます。それぞれで単価帯が異なります。
- 運用系(Marketing Hub・Sales Hub運用、Workflows設定、レポート整備など): 月30〜60万円レンジ。副業・週2〜3日案件も多く、CRM運用担当の代行や補助として稼働するパターン
- 実装系(HubL テンプレート開発、Custom Object 設計、Private App 開発、API 連携、外部システム連携): 月60〜90万円レンジ。開発工数が明確で、Web開発スキルを持つエンジニアが差別化しやすい
- コンサル・PM寄り(要件定義、HubSpot導入設計、既存CRMからの移行支援): 月80〜120万円レンジ。少数だが単価上限が高く、認定資格・パートナー経験・移行案件の実績が問われる
HubSpotの案件は「運用中心の低単価案件」と「実装・コンサル中心の中〜高単価案件」に二極化する傾向があり、公開データで「相場〇〇万円」と単一の値で語られると実態を掴みにくいという特徴があります。副業で月30〜40万円のHubSpot運用案件を回している方が「HubSpotは低単価」と感じてしまうのは、実装・コンサル層の案件に触れていないことが原因のケースが多いです。
Salesforceエンジニア案件との単価差(平均・中央値・上限の比較)
一方、Salesforceエンジニアのフリーランス単価は、公開データで比較的整った数値が出ています。フリーランススタート調べでは、Salesforceエンジニア案件の平均月額単価は79.3万円・最高200万円という数字が確認できます(出典: フリーランススタート「Salesforce案件・求人」、2026年参照)。
両者を並べると、次のような構図になります。
指標 | HubSpotエンジニア | Salesforceエンジニア |
|---|---|---|
平均単価レンジ | 60〜80万円(実装・コンサル層) | 約79万円(全体平均) |
上限単価 | 100〜120万円(コンサル・PM層) | 200万円(アーキテクト・大規模導入層) |
単価情報の見えやすさ | 案件数が少なく分布が読みにくい | エージェント公開データが豊富 |
単価レンジのばらつき | 二極化(運用系30万円台〜コンサル系100万円超) | ロール・案件規模で分布が広い |
「平均だけを見るとSalesforceの方が高い」というのは事実ですが、HubSpotの実装・コンサル層に絞ると単価差は縮まります。むしろ問題は「HubSpotの中〜高単価層に到達するまでの道筋が公開情報からは見えにくい」ことにあります。Salesforce側の単価戦略と資格投資対効果の詳細はSalesforceフリーランスの単価相場と認定資格の投資対効果で個別に整理していますので、Salesforce主軸を検討する場合は併読することをおすすめします。
「HubSpotだから単価が低い」は本当か —— 案件数と競合数の需給バランスから読み解く
単価を語るときに見落とされがちなのが、需給バランスです。単価は「絶対値」ではなく「案件数」と「対応可能なエンジニア数」の比率で決まります。
- Salesforce案件は多い(レバテックフリーランス単体でSalesforce CRM関連は数十件〜数百件レンジで常時掲載)が、Salesforce認定保有者・実務経験者も同時に多い
- HubSpot案件は少ない(同エージェントで数件〜10数件レンジ)が、実務経験のあるエンジニアはさらに少ない
つまり、Salesforceは「案件は豊富だが応募者も多く、平均に収束しやすい」市場であり、HubSpotは「案件は少ないが実装レベルで対応できるフリーランスが希少で、案件ごとの単価が上振れしやすい」市場です。「案件数が少ない=単価が低い」ではなく、「案件数が少ない=アクセス機会が限られる」だけであり、案件にアクセスできれば単価は競争にさらされにくいという構造があります。
この非対称性を理解せずに「案件数が多いSalesforceに寄せた方が安全」と判断すると、平均単価帯の競争に巻き込まれる可能性がある——ここが本記事の重要な出発点です。
HubSpot案件とSalesforce案件|案件数・稼働形態・案件ソースの違い

需給バランスをもう一歩具体化します。案件数・稼働形態・獲得経路の3軸で違いを見ることで、「HubSpotに寄せた場合の稼働イメージ」と「Salesforceに寄せた場合の稼働イメージ」が具体的になります。
主要エージェントのHubSpot案件掲載数とSalesforce案件掲載数の比較
主要フリーランスエージェント(レバテックフリーランス、Workship、フリーランススタート、Hi-ProTech、フリーランスHub等)の公開情報を横並びで見ると、以下の傾向があります。
- Salesforce案件: どのエージェントでも常時数十〜数百件が掲載されており、「Salesforce」というスキル検索1本で候補案件が絞り込めるレベル
- HubSpot案件: 各エージェント数件〜10数件レンジ。「HubSpot」で検索しても掲載数はSalesforceの1/10〜1/20程度で、時期によっては掲載自体が途切れることもある
数だけを見ると圧倒的にSalesforceが優位です。ただし、HubSpot案件は「掲載されないうちに紹介経由で決まる」ケースが多いという特徴があります。公開案件として掲載される前に、エージェントがHubSpot実務経験のあるフリーランスへ個別に打診して決まるパターンが少なくありません。この構造のため、「求人サイトを毎日巡回する」だけの案件獲得スタイルはHubSpotとは相性が悪く、エージェント担当者に「HubSpot実装ができる人材」として認識されておくことが重要になります。
稼働形態の分布(週2〜3日 / フルタイム / スポット)の違い
稼働形態の分布も異なります。
- Salesforce案件: フルタイム(週5日)常駐・準常駐が主流。大規模導入プロジェクト・運用引き継ぎ・保守フェーズなど、長期の稼働を前提とした案件比率が高い
- HubSpot案件: 週2〜3日案件・スポット案件・成果物ベース案件の比率が相対的に高い。「Marketing Hubの運用代行を週2日」「Custom Objectの初期設計だけスポットで」といった、副業・複業と親和性の高い案件が多い
副業でHubSpot案件を回している方から見ると、「週2〜3日の稼働で月30〜40万円」のポジションはHubSpot市場の典型例です。逆にSalesforce側でフルタイム常駐に切り替えると、単価は月80万円レンジに到達しやすい代わりに、時間投下量も大きく変わることになります。同じ月収80万円を目指す場合でも「Salesforceフルタイム常駐で80万円」と「HubSpotの実装・コンサル案件を週3〜4日で80万円」ではライフスタイルへの影響がまったく異なるという点は、意思決定時に必ず考慮したい要素です。
案件獲得経路の傾向(エージェント経由 / 直請け / 紹介)の違い
案件獲得経路にも違いがあります。
- Salesforce: エージェント経由での獲得比率が非常に高い。Salesforce特化エージェント・大手フリーランスエージェントの両方でSalesforce案件を潤沢に扱っており、複数のエージェントに登録するだけで安定的に案件情報が入る
- HubSpot: エージェント経由も一定数あるが、「HubSpot Solutions Partner企業からの再委託」「事業会社のマーケ部門からの直請け」「知人紹介」の比率が相対的に高い。エージェントに登録するだけでは案件情報が細り、Partner企業や事業会社との個別の接点を持つことが単価安定に直結する
この違いは、「営業活動としてやるべきこと」が主軸ごとに変わることを意味します。Salesforce主軸ならエージェント登録の網羅性・面談対応力が単価を左右し、HubSpot主軸ならPartner企業のリスト化・カンファレンス/勉強会での接点作り・Marketing Hubを使う事業会社への直営業といった「関係性ベース」の動きが必要になります。
なお、発注者側がHubSpot/CRMエンジニアの業務委託をどう評価・設計しているかを理解しておくと、面談での訴求ポイントが変わります。詳しくはHubSpot/CRMエンジニアの業務委託を参照してください。
HubSpotエンジニアに求められるスキルセット|Salesforce案件との重複と差分

続いて、スキル要件を比較します。「今から何を学ぶか」を決めるうえで、両者のスキル要件がどこで重なりどこで分岐するのかを把握しておくことが重要です。
HubSpotエンジニアの必須スキル(HubL / Custom Object / Workflows / API連携)
HubSpotエンジニア案件で頻出する必須スキルは以下です。
- HubL(HubSpot独自のテンプレート言語): HubSpot CMS上のページ・メールテンプレート・モジュール開発で必須。Pythonライクな構文でHTML/CSSと組み合わせて使う
- Custom Object / Custom Properties: HubSpotの標準オブジェクト(Contact / Company / Deal / Ticket)だけでは表現できない業務データを扱うためのカスタムオブジェクト設計。中〜大規模のHubSpot導入案件では必ず必要になる
- Workflows(自動化フロー): リード育成・スコアリング・タスク自動生成・通知配信などの自動化ロジックの実装
- Private App / Webhooks / Custom Code Actions: HubSpot APIとの独自連携。Node.js等のサーバーサイドコードをWorkflows内で実行するCustom Code Actionsは、外部API連携・複雑な条件分岐を実装する際に必須
- API連携(RESTful API / OAuth): SFAツール・MAツール・データウェアハウス・独自基幹システムとのデータ同期
- HubSpot CMS: HubSpot上でコーポレートサイト・LPを構築する場合の基礎知識
このうち、Custom Object設計・Private App開発・Custom Code Actionsの3つは実装できるフリーランスが特に希少で、案件単価が上振れしやすい領域です。Marketing Hub運用経験だけを持つエンジニアと差別化するうえで、この3つは重要な投資対象になります。
Salesforceエンジニアの必須スキル(Apex / LWC / Flow)との比較
一方、Salesforceエンジニアの必須スキルは以下です。
- Apex: Salesforce独自のJavaライクなサーバーサイド言語。トリガー・バッチ・APIエンドポイントの実装で必須
- Lightning Web Components(LWC): Salesforce Lightning上のフロントエンドコンポーネント開発。JavaScript・HTML・CSSの知識が前提
- Flow(旧Process Builder / Workflow Rules): Salesforceのノーコード自動化ツール。宣言的な自動化を担う
- Lightning App Builder / SOQL / SOSL: Salesforce上の画面設計・データクエリ言語
- Marketing Cloud / Pardot連携: マーケティング系のSalesforce製品との連携
両者を並べると、必須スキルの体系そのものが異なることが分かります。HubSpotは「HubL+API連携+Workflows」でカバーできる範囲が広く、Web開発の延長で入りやすい設計です。一方Salesforceは「Apex+LWC+Flow」というプラットフォーム固有言語・フレームワークの習得が前提で、学習曲線が急な代わりに一度習得すれば大規模開発に対応できます。
HTML/CSS/JavaScriptを業務レベルで扱えるが本格的なサーバーサイド開発経験は限定的、というスキルレンジであれば、HubSpotの必須スキル(特にHubL・Private App・Custom Code Actions)の方がキャッチアップコストは小さく、既存スキルの延長線で単価上位層に到達しやすいと言えます。
両者に共通する上位スキル(データ移行・システム連携・要件定義)
HubSpotとSalesforceで共通して単価を押し上げる上位スキルもあります。
- CRM/MA/SFAデータの移行・統合設計: 他CRMからHubSpot/Salesforceへの移行、両者間のデータ同期、データクレンジング
- 外部システム連携の設計・実装: SFA・MA・データウェアハウス・独自基幹システムとのAPI連携設計
- 要件定義・業務プロセス設計: 事業部門と対話して業務要件をCRM設計に落とし込む力
- セキュリティ・権限設計: 部門別・ロール別のデータアクセス制御
これらは「HubSpotエンジニア」「Salesforceエンジニア」のいずれの案件でも必要とされ、両プラットフォーム経験があると強みになる領域です。ただし共通スキルだけで案件を獲得することは難しく、まずどちらかのプラットフォーム固有スキルで軸足を作ってから、共通スキルで単価を伸ばすという順序が現実的です。
差別化されやすいHubSpot特有の希少スキル(移行元CRM理解+HubL実装+データ整備の複合)
特に希少で高単価につながりやすいのは、「複合スキル」を持つエンジニアです。
- Salesforce → HubSpot移行案件対応: Salesforceの基本構造(Object・Field・Automation)を理解したうえで、HubSpotのCustom Object・Workflowsに移行設計を落とし込めるエンジニアは非常に希少
- HubL実装+Custom Object設計+データクレンジング: 実装・データ整備・自動化を一人で完結できるエンジニアは、Solutions Partner企業からの再委託先として重宝される
- Marketing Hub運用経験+Custom Objectを用いたセールス業務設計: マーケとセールスの両業務プロセスを理解したうえで、Custom Objectでセールス業務を可視化できるエンジニア
HubSpot単独で長く運用してきたエンジニアが「Salesforce基礎(Administrator相当)」を並行して学ぶと、この複合スキル領域に到達できます。Salesforce認定アドミニストレーターを既に取得している方は、逆にHubSpotのCustom Object設計・Private App開発を学ぶだけでこの層に入れる可能性が高く、既存スキルを活かした差別化戦略として有効です。
認定資格とキャリア戦略|HubSpotアカデミー vs Salesforce認定

スキル投資と並んで悩ましいのが認定資格です。取得コスト・案件単価への影響が両者で大きく異なります。
HubSpot認定資格の全体像と取得コスト(無料のHubSpotアカデミー中心)
HubSpotの認定資格は、原則としてすべて無料で取得できます(HubSpotアカデミー | 認定資格に関するヘルプとサポート)。HubSpot Academyアカウントを作成すれば、学習動画の視聴から認定試験の受験まで一切の費用がかかりません。
主要な認定資格には以下があります。
- Inbound認定: HubSpotの基礎思想であるインバウンドメソドロジーの認定
- HubSpot Marketing Software認定: Marketing Hubの機能・運用の認定
- Sales Hub Implementation認定: Sales Hub導入設計の認定
- HubSpot Solutions Partner Certified 系: Solutions Partner企業向けの上位認定(HubSpot Solutions Partnerプログラム認定コース)
取得コストは受験料ゼロ・学習時間のみ。ただし、HubSpot認定は単独では単価へのインパクトが小さく、「実務経験+認定」の組み合わせで初めて案件獲得の後押しになる性格です。認定を並べるだけでは差別化にならず、Custom Object設計案件やPrivate App開発案件の実績を並行して積むことが本質的な単価戦略になります。
Salesforce認定資格との取得コスト・単価インパクトの差
Salesforce認定は有料で、階層構造が明確です。
- 認定アドミニストレーター: 受験料30,000円(税抜)
- Platform Developer I: 受験料30,000円(税抜)
- 各種Consultant認定: 受験料30,000円(税抜)レンジ
- アーキテクト系認定: 受験料60,000円(税抜)レンジ
Salesforce認定は取得コストは高い一方、「認定アドミニストレーター保有」「Platform Developer I保有」といった保有情報がエージェント検索で明確なフィルタになり、案件紹介数に直結します。またConsultant・アーキテクト系まで取得すると、月額単価100〜150万円レンジの案件へのアクセス権が広がるという構造で、投資額と単価インパクトが対応関係にあります。
HubSpot認定とSalesforce認定を並べると、次のような対比になります。
項目 | HubSpot認定 | Salesforce認定 |
|---|---|---|
受験料 | 無料 | 3〜6万円/資格 |
学習リソース | HubSpot Academyで完結 | Trailhead+書籍+模試 |
案件マッチングへの影響 | 実務経験と組み合わせて効果を発揮 | 保有情報自体がフィルタとして機能 |
上位認定の単価インパクト | Solutions Partner経由の案件紹介 | 100〜150万円レンジ案件へのアクセス |
取得の可逆性 | いつでも再学習可能・費用リスクなし | 一定の投資が必要(年次更新もあり) |
HubSpot認定 × 実務経験の組み合わせで案件単価を上げるパターン
HubSpot認定を「単価に効かせる」使い方は、以下のパターンが有効です。
- Marketing Software認定+Marketing Hub運用実績: 週2〜3日の運用代行案件で月30〜50万円レンジを安定化
- Sales Hub Implementation認定+Custom Object設計実績: 導入プロジェクトのサブとして参画し、月60〜80万円レンジ
- Solutions Partner Certified+Partner企業経由の案件受注: Solutions Partner企業からの再委託ルートで安定した案件供給を得る(要Partner企業との関係構築)
Salesforce認定のような「保有=紹介数増加」の直線的な効果は薄いものの、実務実績の裏付けとして機能する使い方をすれば、HubSpot認定の投資対効果は十分に見合います。無料で取得できる以上、副業でHubSpot運用に関わっているフリーランスは早い段階で複数取得しておくことをおすすめします。
HubSpot主軸パス vs Salesforce主軸パス|キャリア分岐で異なる投資対効果
ここまでの単価・案件数・スキル・認定資格の比較を踏まえ、キャリアパスの選択肢を整理します。ここが本記事の中核で、「どちらを主軸にすべきか」の判断軸を明確にする章です。
HubSpot主軸パス(HubL・Custom Object深掘り → 少数精鋭案件 → 上位マーケター兼務)
HubSpot主軸パスは以下の段階を辿ります。
- フェーズ1(0〜6ヶ月): HubSpot Academyの主要認定(Inbound / Marketing Software / Sales Hub Implementation)を取得。副業でMarketing Hub運用案件を月30〜40万円レンジで受託
- フェーズ2(6〜12ヶ月): HubL実装・Custom Object設計・Private App開発の実務経験を積む。ポートフォリオにテンプレート・オブジェクト設計・API連携の事例を追加
- フェーズ3(12〜24ヶ月): Solutions Partner企業との関係構築・直請け案件の開拓。実装・コンサル寄りの案件で月60〜90万円レンジに到達
- フェーズ4(24ヶ月〜): 導入設計・移行案件のコンサルポジションへ。マーケティング戦略・データ分析を兼務し月80〜120万円レンジへ
このパスの投資対効果は、「学習コスト(無料)×高い」「上限単価(120万円レンジ)×中」「案件安定性(少数精鋭のため案件紹介数は少ない)×中」「差別化しやすさ(実装層のフリーランスが希少)×高」です。特にマーケティング業務・セールス業務の理解を持つエンジニアは、単なる実装エンジニアではなく「業務を理解した実装コンサル」として希少ポジションを築けます。
Salesforce主軸パス(認定資格拡張 → 大規模導入案件 → コンサル・アーキテクト)
Salesforce主軸パスは以下の段階を辿ります。
- フェーズ1(0〜6ヶ月): 認定アドミニストレーター取得(受験料3万円+学習時間)。エージェント複数登録・面談実施
- フェーズ2(6〜12ヶ月): Platform Developer I取得・Apex/LWC実装案件へ参画。フルタイム常駐で月60〜75万円レンジ
- フェーズ3(12〜24ヶ月): Consultant系認定取得・大規模導入案件のリード実装者ポジション。月80〜100万円レンジ
- フェーズ4(24ヶ月〜): アーキテクト系認定取得・複数プロジェクトのアーキテクトポジション。月120〜200万円レンジ
このパスの投資対効果は、「学習コスト(受験料15〜30万円+学習時間大)×大」「上限単価(200万円)×高」「案件安定性(案件豊富)×高」「差別化しやすさ(保有者多数のため上位認定が必須)×中」です。長時間の学習投資と受験料負担を許容できれば、案件安定性と上限単価の両方で優位性があります。ペルソナ像として「Salesforce認定アドミニストレーターは既に持っている」方であれば、フェーズ1をショートカットでき、フェーズ2から始められる点も評価できます。
Salesforce主軸パスの詳細(認定資格戦略と投資対効果、案件獲得までの具体的ステップ)は、Salesforceフリーランスの単価相場と認定資格の投資対効果で個別に整理しています。Salesforce主軸を検討する方は必ず併読することをおすすめします。
2パスを条件別(現在スキル / 目標単価 / 学習可能時間)で選ぶ意思決定チャート
どちらを主軸にすべきかは、以下の判断軸で整理できます。
条件 | HubSpot主軸を選ぶべき | Salesforce主軸を選ぶべき |
|---|---|---|
現在の主なスキル | HTML/CSS/JS実務・HubSpot運用経験 | Salesforce認定アドミニストレーター保有・Apex触れる |
目標単価 | 月70〜100万円レンジで安定 | 月100万円超・アーキテクト志向 |
稼働形態の希望 | 週2〜4日・複業併用 | フルタイム常駐可能 |
学習に投下できる時間 | 週5〜10時間程度 | 週10〜20時間投下可能 |
認定資格への投資意欲 | 無料資格中心で低リスク | 有料資格へ数万円〜数十万円投資可能 |
案件獲得スタイル | 関係性ベース(Partner・紹介・直請け重視) | エージェント経由の網羅型 |
キャリアの出口 | マーケター兼務コンサル・小規模Solutions Partner起業 | アーキテクト・大手SIerとの協業 |
このチャートで「HubSpot主軸」に多く該当する方は、周囲のSalesforceフリーランスの単価に引きずられずHubSpot深掘りに集中したほうが投資対効果が高い可能性が高いです。逆に「Salesforce主軸」に多く該当する方は、HubSpotは補完スキル程度に留めてSalesforce認定拡張に集中するのが合理的です。
「両方をハイブリッドで狙う」場合の落とし穴(学習分散・案件応募の刺さらなさ)
CRMエンジニアの中には「HubSpotもSalesforceも両方できます」というポジションを狙いたい方も多いですが、初期段階でこの戦略を取ると次の落とし穴に陥りやすいです。
- 学習リソースの分散: HubL/Custom Object/Private AppとApex/LWC/Flowを並行して学ぶと、どちらも中途半端になり実装案件で通用しないレベルに留まる
- エージェント面談で刺さらない: 「両方できます」と伝えると、Salesforce案件では「Salesforce専業の候補と比較して見劣り」し、HubSpot案件では「HubSpot深掘り実績が薄い」と判断されがち
- ポートフォリオが薄くなる: 両方のCustom Object設計事例を持とうとすると、どちらのポートフォリオも代表作が作れない
ハイブリッド戦略は、まずどちらか一方で月60〜80万円レンジの実装・コンサル案件を安定して取れるようになってから、補完スキルとしてもう一方を追加する順序が現実的です。ペルソナ像のように「HubSpot運用経験あり × Salesforce未経験〜浅」の状態から始める場合、HubSpot主軸でフェーズ3まで到達してから、CRM移行案件対応のためにSalesforce認定アドミニストレーターを追加する動きが最も投資対効果が高い順序です。
HubSpotエンジニアの案件獲得ロードマップ|翌週から動ける具体アクション

先ほどの意思決定チャートで「HubSpot主軸」を選んだ方向けに、翌週から着手できる具体アクションを整理します。
HubSpot案件に強いエージェント登録リスト
まず、HubSpot案件を扱っているフリーランスエージェントに複数登録します。Salesforceほど専業エージェントは多くありませんが、以下は掲載実績があります。
- レバテックフリーランス: 大手総合エージェント。HubSpot案件は少ないが公開案件・非公開案件ともに扱う
- Workship: 副業・週2〜3日案件に強い。HubSpotのMarketing Hub運用案件・Custom Object設計案件が定期的に掲載される
- フリーランススタート: 案件検索エンジン型。複数エージェントの案件を横断検索できる
- フリーランスHub: HubSpot案件のスポット・週2案件が多い
- Hi-ProTech: 高単価志向の案件が多く、HubSpotコンサル・実装案件も掲載
登録時のポイントは、面談で「HubSpotの実装・Custom Object・Private App開発ができる」ことを具体的な実績で伝えることです。「Marketing Hub運用できます」だけでは月30〜40万円レンジの運用案件を紹介されて終わりです。実装層の案件を紹介してもらうには、後述のポートフォリオが必須になります。
ポートフォリオに載せるべき実績要素(HubLテンプレート / Custom Object設計 / API連携)
HubSpot実装層の案件を獲得するためのポートフォリオには、以下の要素を含めます。
- HubLテンプレート開発の事例: メールテンプレート・LP・ページテンプレートのコード例(ドメインを伏せて構造だけを見せる)
- Custom Object設計の事例: 業務データをどうCustom Objectで表現したかの設計図・ER図
- Workflows設計の事例: リード育成・スコアリング・タスク自動生成の設計とロジック
- Private App / Custom Code Actionsの実装例: Node.jsコード・API連携先・処理フローの説明
- 他システム連携の事例: SFA・MA・データウェアハウスとのAPI連携設計と実装
- HubSpot認定資格の取得証明: Inbound / Marketing Software / Sales Hub Implementation 等
副業で運用中心の案件のみを回している場合、上記のうち「HubLテンプレート」「Custom Object設計」「Private App」の3つは自主開発で作成することもできます。HubSpotは無料アカウントでもある程度のカスタマイズが試せるため、実案件がなくてもデモ環境で作成した事例をポートフォリオに含めることが可能です。
副業 → 週2〜3 → フルタイムの稼働切り替え順序と単価交渉タイミング
稼働形態の切り替えは、次の順序で進めるのが単価上昇と両立しやすいです。
- 副業(週1〜2日相当のスポット案件)で月20〜40万円: HubSpot案件の実績を積む段階。単価より実績数を優先
- 週2〜3日案件で月40〜60万円: 副業から複業へ切り替え。エージェント面談で「実装層の案件」を紹介してもらうリクエストを明示的に出す
- 週3〜4日案件で月60〜80万円: 実装・コンサル寄りの案件へシフト。この段階で単価交渉のタイミング(初回契約 → 3〜6ヶ月後の更新)を意識し、実装成果を数値化して提示
- フルタイム相当(週4〜5日)で月80〜120万円: 導入設計・PMO・コンサルポジションへ。Solutions Partner企業との直接契約・事業会社との直請けを狙う
単価交渉のタイミングは、「契約更新の1ヶ月前」「大きな成果物を納品した直後」「別のエージェントから同等以上のオファーを受けた時」の3つが定石です。単価は待っていても上がらないため、成果と実績を数値化しておき、更新面談で必ず切り出す動きを習慣化することが重要です。
まとめ|HubSpotとSalesforce、あなたが主軸にすべきはどちらか
ここまでの内容を、意思決定チェックリスト形式で総括します。
HubSpot主軸を選ぶべき人
- 既にHubSpotの運用経験があり、HTML/CSS/JS実務レベル
- 週2〜4日の稼働形態で月70〜100万円レンジを狙いたい
- 有料資格への大きな投資は避けたい/学習時間は週5〜10時間
- マーケティング業務・セールス業務の理解も活かしたキャリアを築きたい
- Solutions Partner企業・事業会社との関係性ベースの営業に抵抗がない
Salesforce主軸を選ぶべき人
- Salesforce認定アドミニストレーターを既に取得している、またはApex経験あり
- フルタイム常駐可能で月100万円超・アーキテクト志向
- 有料資格へ数万〜数十万円投資でき、週10〜20時間の学習時間を確保できる
- エージェント経由の網羅型の案件獲得スタイルが合っている
- 大手SIer・大規模導入案件のプロジェクトに参画したい
両方をハイブリッドで狙うのが危険な人
- どちらのプラットフォームも実装レベルに到達していない状態
- 学習時間が週5時間未満で、両方を並行して深めるのが物理的に困難
- エージェント面談で「両方できます」と伝えて刺さらなかった経験がある
まず一方で月60〜80万円レンジの実装・コンサル案件を安定して取れるようになってから、補完スキルとしてもう一方を追加するのが現実的な順序です。
翌週から取れるアクションは以下の3つに集約されます。
- 意思決定チャートで主軸を決める: 現在スキル・目標単価・稼働形態・学習可能時間の観点で自分の位置を確認
- HubSpot主軸なら: HubSpot Academyの主要認定を1〜2つ取得予約+Workship・レバテックフリーランス等に登録
- Salesforce主軸なら: Salesforceフリーランスの単価相場と認定資格の投資対効果で認定資格の投資順序と案件獲得ステップを確認
主軸選択の遅れは、案件応募での「刺さらなさ」と学習リソース分散という形で単価に跳ね返ります。本記事の判断軸を使い、まず1〜2週間以内に主軸を決めることが、CRM系フリーランスとして単価を伸ばす最初の一歩になります。
関連情報
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よくある質問
- HubSpotとSalesforceの認定資格を同時に並行して取得するのはアリですか?
同時取得はおすすめしません。学習リソースが分散し実装レベルに届かないまま案件応募に刺さらなくなるため、まず一方で月60〜80万円レンジの案件を安定して獲得してから、もう一方を補完スキルとして追加する順序が現実的です。
- HubSpot案件は求人サイトを毎日チェックしていれば見つかりますか?
それだけでは不十分です。HubSpot案件は公開掲載前にエージェントから個別打診で決まることが多いため、複数エージェントに登録し「HubSpot実装ができる人材」として認識してもらう動きが欠かせません。
- 今Salesforce未経験でHubSpot主軸を選んだら、将来Salesforce案件には挑戦できなくなりますか?
その心配はありません。HubSpot主軸でフェーズ3程度まで実績を積んだ後にSalesforce認定アドミニストレーターを追加取得すれば、CRM移行案件のような希少な複合スキル領域に後からでも十分到達できます。
- HubSpot認定は無料なのに、なぜSalesforce認定ほど単価に直結しないのですか?
Salesforce認定は保有情報自体がエージェント検索のフィルタとして機能するのに対し、HubSpot認定は実務経験と組み合わせて初めて効果を発揮する性格だからです。認定取得と並行して実績づくりを進める必要があります。
- 副業でHubSpot運用案件しか経験がない場合、実装層のポートフォリオはどう用意すればいいですか?
実案件がなくても心配いりません。HubSpotの無料アカウントを使ってHubLテンプレートやCustom Object設計、Private Appの実装をデモ環境で作成し、そのままポートフォリオに含めることができます。



