ポートフォリオを作っていないから案件が取れない——そう頭では分かっていても、「何を載せれば良いのか」「どのツールで作れば良いのか」と迷ううちに、時間だけが過ぎていく。そんな経験はありませんか。
特に副業・複業として案件を探しているエンジニアの場合、本業の実績をどこまで公開して良いか分からず、さらに手が止まりやすい状況になります。
この記事では、フリーランスエンジニアが案件獲得率を上げるためのポートフォリオ作成を、クライアント(発注企業)が実際に何を確認しているかという視点から解説します。基礎的な掲載項目から、副業・複業エンジニア特有のNDA対応、2026年のAI時代に求められるアピール方法まで、実践的な内容をまとめました。
この記事でわかること
- クライアントがポートフォリオで本当に確認しているポイント
- 副業・複業エンジニアが本業実績をNDA配慮で載せる方法
- 案件獲得率を上げるための7つの必須項目と仕上げポイント
なぜポートフォリオが案件獲得に直結するのか
フリーランス・副業エンジニアとして案件に応募する場合、職務経歴書やスキルシートだけでは判断材料として不十分なケースが多くあります。
職務経歴書に書ける内容は「どんなプロジェクトに参加したか」「何年のエンジニア経験があるか」が中心です。しかし、発注企業が本当に知りたいのは「実際にどのレベルのコードを書けるか」「設計はどう考えるか」「チームでどう動くか」という実力の証拠です。
ポートフォリオは、この「動く証拠」を提示できる唯一のツールです。
職務経歴書では伝わらないこと
伝えたい内容 | 職務経歴書 | ポートフォリオ |
|---|---|---|
技術スタックの習熟度 | 一覧で示すのみ | 動くプロダクトで証明できる |
コードの品質・可読性 | 記載不可 | GitHubで直接確認できる |
設計の考え方 | 記載しにくい | READMEや実装の判断で示せる |
継続的な学習姿勢 | 書ける量が限られる | コミット履歴・ブログで示せる |
エージェントやプラットフォームでの活用場面
Workeeのようなフリーランス・副業案件プラットフォームに登録する際、ポートフォリオのURLを提示することで案件マッチングの精度が大きく変わります。プラットフォーム経由で案件担当者に確認してもらえれば、スキルに合った案件を紹介してもらいやすくなります。
また、単価交渉の場面でも、「この技術でこれだけの規模のプロジェクトを実装できる」という証拠として機能します。なお、副業エンジニアとして稼働するための税務・確定申告の注意点はエンジニアの副業がバレない対策|住民税普通徴収と確定申告の手順も参考にしてください。
クライアントがポートフォリオで実際に見ているポイント

秋霜堂株式会社では、自社プロジェクトへの参画を検討するエンジニアのポートフォリオを確認する機会があります。その際に発注企業側として実際に確認しているポイントをお伝えします。
多くのエンジニアが「技術スタック一覧」「制作物の一覧」で終わらせてしまいがちですが、発注企業が確認したいのはその先にあります。
技術選定の理由を言語化しているか
「Node.js + PostgreSQL で開発しました」という記載より、「ユーザーが多くなる想定でN+1問題を避けるためにORM設計を工夫し、PostgreSQL のインデックス設計でクエリを最適化しました」という記載の方が、設計の判断力が伝わります。
チュートリアルをそのまま実装した経験と、要件から技術選定を考えた経験では、現場での動き方が根本的に異なります。「なぜその技術を選んだか」「どの課題をその技術で解決したか」を必ず言語化してください。
チーム開発経験の痕跡があるか
フリーランス案件は基本的にチームで動きます。GitHub のPRのやり取り・コードレビューへの参加・Issueの起票と対応といった「チーム開発のコミュニケーション」が確認できると、採用判断の安心感が増します。
個人開発の成果物しかない場合でも、OSSへのコントリビューション(PR が merge されたもの)があれば、チームのコードベースへの貢献経験として評価できます。
ポートフォリオサイト自体のクオリティ
ポートフォリオサイトはそれ自体が技術力のアウトプットです。表示が遅い・スマートフォンで崩れる・デザインが雑という状態は、「この人に任せた場合の成果物の質」に直結するイメージを与えます。
エンジニアとしてアピールするなら、Lighthouseのパフォーマンススコア 90点以上を目指すことを推奨します。
フリーランスエンジニアのポートフォリオに必ず載せるべき7つの項目
1. ファーストビュー:3秒で伝える自己紹介
訪問者は最初の3秒で「この人に案件を依頼する価値があるか」を直感的に判断します。ファーストビューには以下を配置してください。
- 得意領域(例: 「バックエンド開発(Node.js / TypeScript / AWS)専門」)
- 稼働可能時間・稼働形態(例: 「週2日〜リモート対応可」)
- 連絡先へのリンク(お問い合わせフォームまたはメール)
副業・複業エンジニアの場合は「週○日稼働可能」という情報が特に重要です。発注担当者が最初に確認したい情報なので、スクロールしなくても見える位置に置きましょう。
2. 実績・制作物(最重要)
最も重要なセクションです。以下の5点セットで各プロジェクトを記載してください。
記載項目 | 記載例 |
|---|---|
プロジェクト概要 | BtoC向けECプラットフォームのAPI開発 |
期間・規模 | 6ヶ月 / チーム5名 |
担当役割・範囲 | バックエンド担当。API設計・DB設計・実装を主担当 |
使用技術 | Node.js / TypeScript / PostgreSQL / AWS(ECS) |
成果・工夫点 | 初期実装比でAPI応答速度を40%改善。N+1問題をDataLoader導入で解消 |
10〜20件程度を掲載するのが目安です。少なすぎるとスキルの幅が伝わりにくく、多すぎると読んでもらえません。
3. スキルセット
言語・フレームワーク・インフラ・ツールを一覧で示します。ポイントは習熟度を正直に記載することです。
【業務レベル】Node.js / TypeScript / React / PostgreSQL / AWS(ECS・RDS・S3)
【個人開発レベル】Python / FastAPI / GCP
【学習中】Rust / Kubernetes
「全部できます」より「これは業務で使える、これは学習中」と正直に示す方が、ミスマッチを防いで長期的な関係構築につながります。
4. GitHub / 技術アウトプット
GitHubのコントリビューショングラフと代表リポジトリを必ず載せてください。
代表リポジトリのREADMEには以下を含めましょう。
- プロジェクトの概要・目的
- 技術選定の理由
- セットアップ手順
- 工夫した実装ポイント
Zenn・Qiita での技術発信がある場合は記事一覧へのリンクも追加します。技術ブログは「継続的な学習と情報発信」の証拠になります。
5. プロフィール
氏名(ニックネーム可)・活動拠点・エンジニア歴・得意分野を簡潔にまとめます。
ビジネスパーソンが読むことを前提に、「何が得意なエンジニアか」が一文で伝わる自己紹介文を用意してください。
6. 提供サービスと料金
フリーランスとして受けられる業務内容と料金の目安を記載します。「相談してから決める」だけでは問い合わせのハードルが上がります。
【提供サービス】
- Webアプリケーションのバックエンド開発(API設計・DB設計・実装)
- 既存システムのパフォーマンス改善
- コードレビュー・技術アドバイザリー
【料金】週2日稼働:月60万円〜(スキルセットと案件内容により応相談)
7. 連絡先・問い合わせ導線
お問い合わせフォームまたはビジネス用メールアドレスを設置します。SNS(X・LinkedIn等)への誘導も効果的です。
案件獲得プラットフォームのプロフィールURLも記載しておくと、複数の窓口から問い合わせを受けられます。
副業・複業エンジニア特有の悩みと解決策

本業の実績はどこまで載せてよいか(NDA対応)
副業・複業エンジニアの最大の悩みが「本業で手がけたプロジェクトを載せて良いか」です。多くの場合、会社との守秘義務(NDA)があるため、そのままの形では掲載できません。
NDA下でも載せられる記載方法(抽象化の原則):
NG例(そのまま記載) | OK例(抽象化して記載) |
|---|---|
「〇〇社のECサイトのAPI開発」 | 「BtoC向けECプラットフォームのAPIバックエンド開発」 |
「〇〇銀行の口座管理システム」 | 「金融系業務システムのバックエンド開発(高セキュリティ要件対応)」 |
「〇〇社のアプリ開発(リリース済み)」 | 「スマートフォンアプリのバックエンドAPI設計・開発(10万DL規模)」 |
クライアント名・サービス名を伏せた上で、業界・技術スタック・規模・担当役割・成果の数値は記載できます。「技術的にどのレベルの実装をしたか」を伝えることと、NDA遵守は両立できます。
迷った場合は、上長や法務担当に確認するか、会社の「副業規程」を参照してください。なお、副業として活動する際の注意点はエンジニアの副業がバレない対策でも詳しく解説しています。
副業・複業を始めたばかりで実績が少ない場合
副業として案件を探し始めたばかりで、「フリーランス実績がない」状態でも、以下の方法でポートフォリオを構築できます。
個人開発プロジェクトを作る
小規模でも問題ありません。「なぜ作ったか(課題)」「どう解決したか(設計判断)」「実際に動くURL」があれば、採用担当の判断材料になります。
- ToDoアプリより「自分や身近な人の課題を解決したツール」の方が評価されやすい
- 技術的な挑戦(普段使わない技術を試す等)を含めると学習姿勢も伝わる
OSSへのコントリビューション
GitHubで使っているOSSライブラリに対し、バグ修正やドキュメント改善のPRを出してmergeされた経験があれば、「他者のコードベースに貢献できる」証拠として有効です。
技術ブログ・学習アウトプット
ZennやQiitaでの記事投稿は、「継続的にインプット・アウトプットできるエンジニア」を示します。クオリティより継続性と正確性を重視してください。
ポートフォリオ作成ツールの選び方と比較
エンジニアのポートフォリオ作成に使えるツールはいくつかあります。技術スタックとアピールしたい内容によって選択が変わります。
ツール | 向いている人 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
GitHub Pages + Next.js / Astro | フロント・フルスタックエンジニア | 無料 | ポートフォリオ自体が技術力の証拠になる |
Notion(公開共有) | 内容重視・手軽に更新したい | 無料〜 | 更新しやすい・見た目がシンプル |
STUDIO / Studio.design | デザイン重視・ノーコードで整えたい | 無料〜 | UIが整いやすい |
WordPress | 自由度重視・長期運用したい | サーバー代(月数百円〜) | プラグインでカスタマイズが豊富 |
Wix / Jimdo | 初心者・スピード重視 | 無料〜 | 操作が簡単・テンプレートが豊富 |
エンジニアに GitHub Pages をすすめる理由
フロントエンドやフルスタックエンジニアであれば、GitHub Pages + Next.js または Astro でポートフォリオサイトを自作することをおすすめします。
理由は単純で、「ポートフォリオサイト自体が技術力の証拠」になるからです。コミットログ・Vercelのデプロイ設定・パフォーマンス最適化の跡が、面接前から確認できます。
バックエンドエンジニアの場合はシンプルなNotionページや静的サイトでも問題なく、GitHubの代表リポジトリの品質で評価が決まります。
案件獲得につながるポートフォリオへの仕上げポイント
数値で成果を示す
定性的な説明より、定量的な成果の方が伝わります。
書き方(△) | 数値で示した書き方(○) |
|---|---|
APIのパフォーマンスを改善した | API応答速度を平均800msから480msに改善(40%短縮) |
大規模なシステムの開発に参加した | 月間100万リクエストを処理するAPIの設計・実装を担当 |
ユーザー向けアプリを開発した | 登録ユーザー数3,000人のWebアプリを個人で開発・運用中 |
数値がどうしても出せない場合は、「規模感(チーム人数・期間・機能数)」を記載するだけでも具体性が増します。
定期的な更新が差になる
GitHubのコントリビューショングラフが更新されていない状態で案件応募すると、「現在も活動中かどうか不明」と判断されます。週に1〜2回のコミット、月に1本の技術ブログ投稿など、継続的なアウトプットを習慣化することで、「現役で動いているエンジニア」であることを示せます。
2026年:AI活用経験のアピール
2026年現在、AIコーディングツール(GitHub Copilot・Cursor・Claude等)を活用した開発経験は、エンジニアとしての付加価値になっています。
ポートフォリオや GitHub READMEに、AI活用に関する記述を加えましょう。
【開発環境・ツール】
- IDE: Cursor(AI補完で実装速度向上)
- コード生成補助: GitHub Copilot
- AIによるコードレビュー補助・プロンプト設計も実施
「AIに全部書かせた」ではなく、「AI活用を前提としたプロンプト設計・出力の品質管理・レビュー能力」を示すことがポイントです。
ポートフォリオ完成後:Workee で案件獲得を加速する
ポートフォリオが整ったら、次のステップは実際の案件への応募です。
フリーランス・副業エンジニア向けの案件プラットフォーム「Workee」では、週2日〜の柔軟な複業・副業案件を多数取り扱っています。本業を続けながら案件を探しているエンジニアに特化したマッチングを提供しており、ポートフォリオURLを登録プロフィールに掲載することで、スキルに合った案件を効率よく見つけられます。
Workee が選ばれる理由
- 週2日〜の副業・複業案件が中心(本業との両立が前提)
- リモート対応案件が充実
- エンジニア特化のサポートで案件探しをサポート
ポートフォリオを整え、Workeeで案件を探すことで、フリーランス・副業エンジニアとしての収入を継続的に安定させる仕組みを構築できます。
まとめ
フリーランスエンジニアのポートフォリオは、「動く証拠」として案件獲得率・単価交渉の両方に直結します。
今回の内容を整理します。
- クライアントが見ているのは技術スタックの一覧ではなく「技術選定の判断力」と「チーム開発の実績」
- 必ず載せるべき7項目(ファーストビュー・実績・スキル・GitHub・プロフィール・サービス・連絡先)を揃える
- 副業・複業エンジニアはNDA配慮で実績を抽象化し、個人開発・OSSで補う
- 数値・定期更新・AI活用経験の言語化で差別化する
まずは既存のGitHubプロフィールとREADMEを整えるだけでも、案件担当者の印象は変わります。小さなステップから始めて、少しずつポートフォリオを育てていきましょう。
案件の単価目安についてはReact・TypeScript複業案件の単価相場と週稼働別の月収シミュレーションも参考にしてください。
ポートフォリオが整ったら、Workeeで副業・複業エンジニア案件を探してみてください。週2日〜の案件から始めて、フリーランス・副業としての実績を積み上げていくことができます。



