フリーランスエンジニアとして独立し、案件数が増えてくるタイミングは誰もが経験する節目です。1件目の案件をこなしながら2件目、3件目と受注が重なりはじめたとき、「スプレッドシートやGoogleカレンダーで回しているけど、そろそろ限界かな」と感じていませんか。
複数のプロジェクトを並行して管理するためのツールは、Notion・Asana・Backlog・Trello・ClickUpなど数多く存在します。しかし、いざ選ぼうとすると「チーム向けの高機能ツールは自分一人では持て余しそう」「シンプルすぎてクライアントをまたいだ横断管理ができない」という壁にぶつかる方が多いのではないでしょうか。
この記事では、「フリーランスエンジニアがソロで複数案件を回すため」という軸に特化して、主要5ツールを5つの選定基準で比較します。機能の羅列ではなく、「自分の状況ならどれを選ぶべきか」を判断できる比較・選定ガイドとしてまとめました。
各ツールの特徴を把握する前に、まずフリーランスという状況ならではの課題と、ツール選定で失敗しやすいパターンを整理します。課題の原因を理解することで、5つの選定基準がより腑に落ちるはずです。
この記事を読み終えるころには、「自分の状況ならこのツールで決まり」と確信を持って選べるようになっているはずです。翌日からセットアップを始められる状態を目標に解説していきます。
フリーランスエンジニアの複数プロジェクト管理が難しい理由
チーム開発とフリーランス個人では管理の課題が違う
チーム開発で使っていたプロジェクト管理ツールをそのままフリーランスに持ち込もうとすると、意外なほどうまくいかないことがあります。チーム開発では、タスクの優先度調整やリソース配分はリーダーやPMが担い、稼働時間の記録は会社のシステムが管理し、クライアントとのコミュニケーションは営業や担当者が仲介します。
フリーランスとして独立すると、これらすべてを自分一人でこなす必要があります。
- タスクの優先度判断: 複数クライアントの締切が重なったとき、どちらを優先するかは自分の判断
- 稼働時間の記録: 時間単価で請求する場合、正確な作業時間を自分で記録しなければ請求の根拠がない
- クライアントとの情報共有: 進捗報告のフォーマットや頻度はクライアントごとに異なる
チーム向けに設計されたツールは、こうした「ひとりで全部やる」という状況に必ずしも最適化されていません。一方で、個人向けのシンプルなToDoアプリでは、複数クライアントの案件を横断して管理する機能が足りません。
フリーランス特有の複数プロジェクト管理には、その両方の間を埋めるツール選択が必要です。
フリーランス×複数プロジェクトで陥りがちな3つの落とし穴
複数案件を同時進行し始めた多くのフリーランスエンジニアが経験する落とし穴は、主に次の3つです。
落とし穴1: 優先度の混乱 クライアントAから「今週中に確認してほしい」という連絡が来た翌日、クライアントBからも「明日までに」という依頼が重なる。どちらを優先すべきか、全案件を俯瞰できる場所がなければ即座に判断できません。プロジェクト管理ツールを使っていても、クライアントごとに別々のボードやワークスペースを作っていると、横断的な優先度が見えなくなります。
落とし穴2: 稼働時間の把握漏れ 時間単価で請求する案件を複数抱えると、「あのタスクに何時間使ったか」が後から曖昧になります。月末に請求書を作成する段になって稼働時間の集計が大変な思いをした、という経験は多くのフリーランスが持っています。稼働時間の記録を「あとでまとめて入力しよう」と後回しにすると、誤差が積み重なっていきます。
落とし穴3: クライアントごとのツール分散 クライアントAはBacklog、クライアントBはJira、クライアントCはメールでやり取り、という状況になると、案件の状況を一箇所で把握できなくなります。クライアント側のツールに合わせることは必要ですが、自分自身のプロジェクト管理は一元化することが重要です。
ツール選定で失敗しやすいパターン
フリーランスのプロジェクト管理ツール選定でよく見られる失敗パターンを2つ紹介します。
パターン1: 「チームで使っていたから」で選ぶ 会社員時代にJiraやAsanaをチームで使っていたからと、そのままフリーランスでも使い続けるケースです。チームで使うことを前提に設計された権限管理・通知・ダッシュボードは、ひとりで使うと機能が過剰になりがちです。設定に時間がかかり、ツールを維持するコストが高くなってしまいます。
パターン2: 「有名だから」で選ぶ Notionは高機能で人気があります。しかし、何でもできるがゆえに「どう設定すればいいか」という学習コストも高いツールです。ゼロからデータベースを設計し、ビューを作り込む時間は、案件を抱えた忙しいフリーランスには思った以上の負担になります。
失敗を避けるためには、「有名かどうか」ではなく「自分のフリーランスとしての状況に合っているか」という軸で選ぶことが重要です。次のセクションでは、その判断軸となる5つの選定基準を提示します。
フリーランスエンジニアがツール選定で重視すべき5つの基準

基準1: 複数クライアント・案件を一画面で横断管理できるか
フリーランスエンジニアにとって最も重要な基準です。複数クライアントの案件が一つの画面で俯瞰できるかどうかは、日々の優先度判断に直結します。
具体的には、「今週締切のタスクを全案件横断で一覧表示できるか」「クライアントごとにプロジェクトを分けながら、横断ビューに切り替えられるか」がポイントです。
プロジェクトを作るたびに別のボードに移動しなければならないツールは、案件数が増えるほど管理コストが上がります。
基準2: 稼働時間・工数の記録または連携機能があるか
時間単価で請求するフリーランスにとって、稼働時間の記録は請求書作成の根拠です。ツール内にタイムトラッキング機能が内蔵されているか、または外部の時間追跡ツール(Toggl・Clockify等)と連携できるかを確認してください。
タスクを記録してから別のアプリに切り替えて時間入力、という手間は想像以上に積み重なります。ワークフロー内で完結できるか、最低限スムーズに連携できるかは重要な選定基準です。
基準3: 個人利用で十分な機能を持つプランの料金は現実的か
フリーランスとしてひとりで使う場合、チームプランは機能過剰になりがちです。個人プランまたは少人数プランで、複数プロジェクトの管理に必要な機能がカバーされているかを確認します。
目安として、月額1,000〜2,000円程度の個人プランで十分な機能が使えるかどうかを確認してください。また、無料プランでどこまでできるかも重要です。案件数が増えたときの上限(プロジェクト数・タスク数)に注意しましょう。
基準4: セットアップと運用の学習コストが低いか
案件を抱えながら新しいツールを覚える時間は限られています。初日から直感的に使いはじめられるか、設定に数時間かけなくても基本機能が使えるかを重視してください。
テンプレートやサンプルワークスペースが豊富なツールは立ち上げコストが低い傾向があります。反対に、データベース設計を自分でゼロから行う必要があるツールは、初期投資の時間が大きくなります。
基準5: クライアントへの進捗報告・共有に対応できるか
クライアントに進捗を報告する際、ツールのリンクを共有する場面があります。ゲストアクセス機能があれば、クライアントをツールに招待して進捗を確認してもらうことができます。
ただし、ゲスト招待がすべてのプランで可能かどうかは要確認です。有料プランでのみ対応している場合、招待したいクライアントの数によってはコストが上がります。「メールで週次報告書を送る」というスタイルなら、ツールのエクスポート機能が整っているかを確認するのも一つのアプローチです。
用途別おすすめツール5選と選び方

Notion|カスタマイズ性が高く「自分だけのダッシュボード」を作れる
Notionはどんな人に向いているか
自分専用のダッシュボードを一から設計したい、ツール管理だけでなく議事録・メモ・資料も一元管理したい、という方に向いています。フリーランスとして使う場合、プロジェクト管理・作業メモ・請求管理・情報整理をひとつのツールで完結させたい方に特に人気があります。
フリーランスとしてのメリット
- 無料プランでもページ数無制限でデータベースが作成でき、複数クライアントのプロジェクトをデータベースで管理できます
- テーブル・カンバン・カレンダー・タイムラインなど複数のビューを切り替えて、案件の状況を多角的に確認できます
- APIが公開されており、TogglやSlack等の外部ツールと自動連携する設定が可能です
フリーランスとしてのデメリット
- 自由度が高い反面、「どう設定するか」を自分で考える必要があり、最初のセットアップに数時間かかることがあります
- 稼働時間のタイムトラッキング機能はデフォルトでは持っていないため、外部ツールとの連携または手動入力が必要です
- 複数のデータベースを連携させる「リレーション」の設計は、慣れるまでに学習が必要です
選ぶとしたらこんな人
Notionは、ある程度セットアップに時間をかけられる方、かつ「自分の仕事全体を一元管理するハブ」を作りたい方に最適です。複業エンジニアとしてNotionやTogglを組み合わせた具体的な設定・運用手順を知りたい場合は、複業エンジニアのプロジェクト管理ツール活用ガイドも参考にしてください。
Asana|複数プロジェクトの進捗を視覚化するのが得意
Asanaはどんな人に向いているか
複数案件の締切・マイルストーンを一画面で把握したい、視覚的なタイムライン(ガントチャート)で進捗管理をしたい、という方に向いています。UIが洗練されており、操作を直感的に覚えやすいのも特徴です。
フリーランスとしてのメリット
- 個人プロジェクト向けの「マイタスク」ビューで、複数プロジェクトをまたいだタスクを一画面に集約できます
- 無料プランでも最大15メンバーまで使用でき、クライアントをゲストとして招待して進捗共有が可能です
- タイムラインビュー(有料)で、複数案件の締切・依存関係を視覚化できます
フリーランスとしてのデメリット
- タイムトラッキング機能はなく、稼働時間管理は外部ツール(Toggl・Clockify)との連携が必要です
- 無料プランではダッシュボード機能やタイムラインビューが使えないため、本格的なプロジェクト横断管理には有料プランが必要になります
- プロジェクトの構成がAsanaの設計に沿う必要があり、自由なカスタマイズはNotionほどできません
選ぶとしたらこんな人
視覚的に進捗を把握したい方、タイムラインやマイルストーン管理を重視する方に向いています。クライアントとの進捗共有が多い場合、ゲスト招待機能も活用できます。
Backlog|エンジニア向け機能が充実、クライアントとの共有に強い
Backlogはどんな人に向いているか
システム開発案件を中心に受けているエンジニア、かつクライアントと同じツール上で課題管理・進捗共有を行いたい方に向いています。日本の開発現場での普及率が高く、クライアント側がすでにBacklogを使っているケースも多いツールです。
フリーランスとしてのメリット
- 課題管理・Wiki・ファイル共有・ガントチャートがひとつのプロジェクトに統合されており、開発案件の管理に必要な機能が揃っています
- Gitリポジトリ連携(Git・Subversion)により、コードの変更履歴とタスクを紐付けて管理できます
- クライアントをプロジェクトのメンバーとして招待し、課題の状況をリアルタイムで共有できます
- スタータープラン(月額2,178円)で1プロジェクト・無制限ユーザーが使用可能で、少数案件なら低コストで始められます
フリーランスとしてのデメリット
- タイムトラッキング機能はなく、稼働時間の管理は別途必要です
- UIはNotion・AsanaよりもシンプルでSaaS系のタスク管理には最適化されていないため、開発案件以外の管理には使いにくさを感じる場合があります
- 複数プロジェクトを横断して一覧表示する機能は限定的で、案件数が増えると管理しにくくなります
選ぶとしたらこんな人
システム開発案件が中心で、クライアントとの課題管理・進捗共有をツール上で完結させたい方に最適です。特にクライアントがBacklogを使い慣れている場合は、導入コストが低く安心です。
Trello|カンバン方式でシンプルに案件を管理したい場合に最適
Trelloはどんな人に向いているか
複雑な設定をせずにすぐ使い始めたい方、カンバン方式(「未着手→進行中→完了」の列管理)が自分の作業スタイルに合っている方に向いています。学習コストが最も低いツールのひとつです。
フリーランスとしてのメリット
- 無料プランでも10ボードまで使用でき、ボードごとにクライアント・案件を分けた管理ができます
- ドラッグ&ドロップでタスクを移動するカンバン操作が直感的で、初日から迷わず使えます
- Power-Ups(拡張機能)でTogglとの連携が可能で、稼働時間記録を追加できます
フリーランスとしてのデメリット
- 複数ボードを横断して全タスクを一覧表示する機能は無料プランでは限定的です(有料のWorkspaceビューが必要)
- カンバン以外のビュー(タイムライン・ガントチャート等)は無料プランでは使えません
- タスク数が増えるとボード内のカードが膨らみ、全体の把握が難しくなる傾向があります
選ぶとしたらこんな人
今すぐ使い始めたい方、シンプルさを最優先する方に向いています。管理する案件が2〜3件で、複雑な横断管理より「今やるべきことをカード一枚で把握したい」というニーズに合っています。
ClickUp|多機能かつ個人プランが充実、1ツールで完結したい場合に
ClickUpはどんな人に向いているか
プロジェクト管理・ドキュメント管理・時間追跡・ゴール管理を1つのツールで完結させたい方に向いています。機能の幅広さではNotion・Asana・Backlogの特徴を兼ね備えており、「ひとつのツールで全部やりたい」という方に支持されています。
フリーランスとしてのメリット
- 無料プランでもストレージ以外の主要機能がほぼ使用でき、タスク管理・複数ビュー・タイムトラッキングが無料で利用できます
- ネイティブのタイムトラッキング機能があり、外部ツールを追加しなくても稼働時間を記録・集計できます
- 複数プロジェクトを横断した「すべてのタスク」ビューで、クライアントをまたいだ優先度管理が可能です
- カスタムフィールドでプロジェクトごとの情報(クライアント名・単価・締切)を追加できます
フリーランスとしてのデメリット
- 機能が非常に多く、最初は「どの機能を使えばいいか」の選択に迷うことがあります
- UIがNotion・Trelloと比べると複雑で、慣れるまでに若干の学習期間が必要です
- 無料プランのストレージ制限(100MB)があるため、ドキュメント・ファイルを大量に保存する場合は有料プランが必要です
選ぶとしたらこんな人
タイムトラッキングを内蔵したプロジェクト管理ツールをひとつで完結させたい方、無料プランでも多機能に使いたい方に向いています。
ツール比較表(5基準×5ツール)
評価基準 | Notion | Asana | Backlog | Trello | ClickUp |
|---|---|---|---|---|---|
複数案件横断管理 | ◎(カスタム設計) | ○(マイタスクビュー) | △(プロジェクト別) | △(ボード別) | ◎(全タスクビュー) |
稼働時間記録・連携 | △(外部連携のみ) | △(外部連携のみ) | △(外部連携のみ) | △(Power-Up連携) | ◎(ネイティブ内蔵) |
個人プランの料金 | ◎(無料で使える) | ○(無料あり) | ○(スターター約2,200円/月) | ◎(無料で使える) | ◎(無料で使える) |
学習コスト | △(設計が必要) | ○(直感的) | ○(シンプル) | ◎(最も低い) | ○(やや学習が必要) |
クライアント共有 | ○(ゲスト招待) | ○(ゲスト招待) | ◎(メンバー招待・課題共有) | ○(ゲスト招待) | ○(ゲスト招待) |
状況別おすすめツールの結論(「〜ならこれ」の決め打ちガイド)
今すぐ使い始めたい・シンプルさ優先 → Trello 設定に時間をかけず、カード1枚で「今やること」を管理したい場合はTrelloが最適です。2〜3件の案件管理なら無料プランで十分です。
タイムトラッキングを一元化したい → ClickUp 稼働時間記録もプロジェクト管理もひとつで完結させたい場合はClickUpを選んでください。無料プランでタイムトラッキングが使える唯一のツールです。
自分専用ダッシュボードを作り込みたい → Notion プロジェクト管理だけでなく、議事録・請求管理・情報整理も含めて一元化したい場合はNotionが向いています。セットアップに時間をかけられる方に向いています。
開発案件でクライアントとの課題共有が重要 → Backlog システム開発案件中心で、クライアントと同じツール上で課題管理・進捗共有をしたい場合はBacklogが最適です。
視覚的な進捗管理・タイムラインを重視 → Asana 複数案件の締切・マイルストーンをタイムラインで把握したい場合はAsanaが向いています。UIの洗練度も高く、クライアントへの見せ方にこだわる方にも向いています。
稼働時間・工数管理はツールだけでは解決しない

プロジェクト管理ツール単独 vs 時間追跡ツール併用、どちらが向いているか
プロジェクト管理ツールを選んだ後、「稼働時間の管理はどうすればいいか」という問いが残ります。選択肢は大きく2つです。
選択肢A: プロジェクト管理ツール内蔵のタイムトラッキングで完結する ClickUpが該当します。タスクを開始・終了するたびにタイマーを記録し、月末に集計してCSV出力できます。「ツールをひとつに絞りたい」「切り替えの手間を最小化したい」場合に向いています。ただし、ClickUpのタイムトラッキングはシンプルなため、細かいレポート機能を求める場合は物足りなさを感じることがあります。
選択肢B: プロジェクト管理ツール + 時間追跡ツールの2本立てにする Notion・Asana・Backlog・Trelloを使う場合に選ぶ方法です。専用の時間追跡ツール(Toggl TrackまたはClockify)を組み合わせて使います。
どちらが向いているかは「時間管理の精度をどこまで求めるか」によって変わります。月末に請求書を出す際に「プロジェクトAに何時間使ったか」が把握できればよい場合は内蔵機能で十分です。クライアントごとの詳細なレポートが必要な場合は専用ツールの方が適しています。
Toggl / Clockify との連携パターン(プロジェクト管理ツール別の推奨連携)
Toggl Track(無料プランあり)との連携
- Notion + Toggl: Toggl TrackのブラウザExtensionをインストールすると、Notionのタスクページ上にTogglのタイマーボタンが表示されます。タスクを開いてワンクリックでタイマーを起動できます
- Trello + Toggl: Toggl Trackの公式Power-Upをボードに追加することで、カード上からタイマーを起動できます
- Asana + Toggl: Toggl TrackのブラウザExtensionでAsanaのタスク上にタイマーボタンが表示されます
Clockify(無料プランあり、チーム機能充実)との連携 ClockifyもTogglと同様にブラウザExtensionを介して主要ツールと連携できます。無料プランでもプロジェクト・クライアント別のレポート出力が充実しており、請求書に必要な工数集計に向いています。
月末の請求書作成に向けた工数集計フロー
時間追跡ツールを使う場合、月末の請求書作成に向けた工数集計フローを事前に設計しておくと、月末の作業が大幅に楽になります。
- 作業開始時: タスクを開始するたびにタイマーを起動し、クライアント名・プロジェクト名のタグを付ける
- 週次確認: 週に一度、その週の稼働時間を確認する(後述の「週次15分棚卸し」と合わせると効率的)
- 月末集計: TogglまたはClockifyのレポート機能でクライアント別・プロジェクト別の稼働時間を出力し、請求書作成に使う
この3ステップを習慣化することで、月末に「あの作業は何時間だったか」と記憶を掘り起こす作業がなくなります。
ツールを選んだ後の「運用を続けるコツ」3原則

原則1: 週次15分のタスク棚卸しをルーティン化する
プロジェクト管理ツールを導入して最もよく起きる失敗は、最初の数週間は熱心に使っていたのに、いつの間にかタスクの入力が滞り、ツールの中身が現実とズレていくというパターンです。
防ぐために効果的なのが「週次15分の棚卸し」です。毎週同じ曜日・同じ時間帯(例: 月曜の朝または金曜の夕方)に、以下だけを確認します。
- 完了したタスクにチェックを入れる
- 翌週の締切タスクを確認し、未記載のものを追加する
- 優先度が変わったタスクを更新する
15分以内で終わらせることがポイントです。「完璧にメンテナンスしよう」とすると時間がかかりすぎて続きません。
原則2: ツールへの入力情報を「次のアクション」だけに絞る
プロジェクト管理ツールに情報を入れすぎると、ツールが重くなって更新が面倒になります。フリーランスがひとりで運用するツールに必要な情報は、「今、次にやるべきこと(ネクストアクション)」だけです。
具体的には、タスクのタイトルは「〇〇の機能実装の修正箇所をクライアントに確認する」のように、「誰が・何を・どうする」が一行で分かる粒度にします。「機能実装」という大きなくくりではなく、「次の具体的な1アクション」を書くことで、ツールを開いた瞬間に何をすべきかが分かります。
「将来やるかもしれないこと」「アイデアのメモ」はタスクとして入力せず、別のメモ帳や「Someday/Maybe」リストに分けることをおすすめします。
原則3: クライアントごとの報告テンプレートを用意してツール内に保存する
週次報告や月次報告のフォーマットをクライアントごとに毎回ゼロから作るのは時間の無駄です。クライアントごとに「報告テンプレート」をツール内に保存しておくと、報告書作成の時間を大幅に短縮できます。
テンプレートには以下の情報を定型文として入れておきます。
- 今週の完了タスク
- 来週の予定タスク
- 懸念事項・確認事項
この3項目をツール内のメモまたはドキュメント機能に保存しておき、報告のたびにコピーして更新するだけで報告書が完成します。Notionのテンプレート機能、BacklogのWiki、ClickUpのドキュメントがこの用途に使いやすいです。
まとめ|自分の状況に合うツールを選んで複数案件を安定管理する
ツール選定のまとめ(状況別の結論を再掲)
この記事では、フリーランスエンジニアが複数プロジェクトを並行管理するためのツール選定について、5つの基準と5ツールの比較を解説しました。状況別の結論をあらためてまとめます。
- 今すぐ使い始めたい・シンプルさ優先 → Trello
- タイムトラッキングを一元化したい → ClickUp
- 自分専用ダッシュボードを作り込みたい → Notion
- 開発案件でクライアントとの課題共有が重要 → Backlog
- 視覚的な進捗管理・タイムラインを重視 → Asana
プロジェクト管理ツールは「使い続けられるか」が何より重要です。高機能なツールを選んで設定に疲れてしまうより、シンプルなツールを3ヶ月続けた方が確実に成果につながります。まずは無料プランで試してみて、自分の作業スタイルに合うかどうかを確認してください。
ツール選定と並行して、案件数が増えてきたときに「受けすぎていないか」を判断する基準も持っておくと安心です。複数案件の掛け持ち判断・適正案件数の考え方についてはフリーランスエンジニアの案件掛け持ち戦略で詳しく解説しています。
複数プロジェクトを安定して管理できるようになると、収入の安定化だけでなく、クライアントからの信頼獲得にもつながります。今日から使えるツールを選んで、複数案件管理の仕組み作りを始めてみてください。
よくある質問
- 複数案件を管理するツールを初めて選ぶなら、何から始めればよいですか?
まずはTrelloの無料プランを試してください。設定不要で当日から使い始められ、2〜3件の案件管理なら無料プランで十分です。使い続けるうちに「横断ビューが欲しい」「タイムトラッキングが必要」と感じたら、そのタイミングでClickUpやNotionへの移行を検討してください。
- クライアントがBacklogやJiraを使っている場合、自分用のツールも別に用意すべきですか?
はい、クライアントのツールとは別に自分用の管理ツールを持つことをおすすめします。クライアントごとに異なるツールを使うと全案件を俯瞰できなくなるため、自分用のダッシュボードでクライアントをまたいだ優先度を一元管理し、クライアントツールはコミュニケーション用と割り切るのが安定した複数案件管理の基本です。
- 時間単価で請求している場合、稼働時間の記録はどのツールで管理すればよいですか?
ClickUpを選べばタイムトラッキングが無料で内蔵されており、タスクごとにタイマーを記録して月末にCSV出力できます。Notion・Asana・Trelloを使う場合は、無料で使えるToggl TrackのブラウザExtensionを追加するのが最も手間が少なく、請求書作成に必要なクライアント別の稼働集計をそのまま出力できます。
- ツールを導入してもしばらくすると更新が続かなくなります。どう対処すればよいですか?
更新が続かない最大の原因は「1回の入力コストが高すぎること」です。タスクのタイトルを「機能実装」のような大きな単位で書くと、次に開いたとき何をすべきか一瞬で分からず、更新が億劫になります。タイトルを「〇〇のAPI仕様をクライアントに確認する」のように「次に取る具体的な1アクション」に絞ると、入力・更新ともに短時間で終わります。また、Googleカレンダーなどのリマインダーとツールを連動させ、締切タスクをカレンダー側に通知させる設定にすると、ツールを能動的に開く頻度が減っても締切の見落としを防げます。ClickUpやNotionはカレンダー連携が標準で用意されているため、まずこの設定から試してみてください。
- 無料プランで案件数が増えてきた場合、有料プランにいつ切り替えるべきですか?
「横断ビューでの優先度管理が週に複数回必要になった」か「請求書作成の工数集計に毎月30分以上かかっている」と感じたタイミングが切り替えの目安です。ClickUpは無料プランでタイムトラッキングと複数プロジェクト横断ビューが使えるため、まずはClickUpの無料プランで上限まで試してから判断することをおすすめします。



