「エンジニアを1人採用するだけで、なぜこんなにお金がかかるのか」——中小企業の経営者や採用責任者の方なら、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。人材紹介会社への手数料、求人広告費、面接にかかる人件費。そして、ようやく採用できても早期に離職してしまえば、かけたコストはまるごと無駄になります。
固定費を増やさずに開発リソースを確保したい。その選択肢として「フリーランス(業務委託)活用」が頭に浮かんでいる方も多いはずです。実際、中小企業の約3割がIT人材不足の解消手段としてフリーランス活用を検討しているという調査もあります(パーソルクロステクノロジー調査、2022年)。
ただ、いざ踏み出そうとすると「本当にうまくいくのか」「結局いくら削減できるのか」という実感が持てず、決断できない——これが多くの方の本音だと思います。経営判断である以上、失敗は許されません。机上の試算ではなく、自社と同じような規模・状況の会社が「実際にやって削減できた」具体例を知りたいのではないでしょうか。
本記事では、フリーランス活用によってエンジニアの採用コストを年間500万円規模で削減した中小企業3社の実録を、課題・進め方・削減額の内訳という統一フォーマットで深掘りします。あわせて、3社に共通する「削減できる企業の条件」と、踏み出す前に押さえておきたい注意点も解説します。読み終えるころには、自社のどの採用枠をフリーランスに置き換えられそうか、最初の一歩のイメージが持てるはずです。
なお、本記事で紹介する3社の事例は、公開されている採用コスト相場や一般的な中小企業のコスト構造をもとに構成したモデルケースです。特定企業名や機密数値の断定は避け、「自社に当てはめて考えるための型」として読み進めてください。
中小企業のエンジニア採用コストが「年500万円」単位で膨らむ理由
まず押さえておきたいのは、エンジニア採用のコストが、多くの経営者が想像する以上に重いという事実です。「採用コストが高い」という漠然とした実感を、まずは金額として言語化してみましょう。
エンジニア中途採用1人あたりのコスト構造
エンジニアを1人中途採用するとき、かかる費用は大きく「外部コスト」「内部コスト」「採用後のコスト」に分かれます。
- 外部コスト: 人材紹介手数料、求人広告費、媒体掲載料
- 内部コスト: 採用担当者・面接官の人件費、選考にかける時間
- 採用後のコスト: 社会保険料の会社負担分、教育・研修費、PCや開発環境などの設備費
このうち、特に大きいのが人材紹介手数料です。人材紹介は成果報酬型で、相場はエンジニアの年収の30〜35%とされています(overflow inc.、2025年2月)。たとえば年収600万円のエンジニアを採用すれば、紹介手数料だけで約180万円が発生する計算です。
さらに採用コスト全体で見ると、その負担はIT業界で突出しています。2025年の中途採用全体の平均採用コストは696.0万円で、前年の565.3万円から100万円以上も上昇しました。とりわけIT・通信・インターネット業界の平均採用コストは870.8万円にのぼり、全体平均を大きく上回っています(type、採用単価の解説より)。専門職であるエンジニアでは、1人あたりの採用コストが200万〜300万円に達することも珍しくありません。
正社員として採用すれば、これに毎月の給与・賞与・社会保険料が固定費として上乗せされます。「1人増やす」という判断が、年間で数百万円単位の負担増につながるわけです。
採用が長期化・離職するほど膨らむ「見えないコスト」
採用コストの怖さは、表に出る費用だけではありません。
エンジニア採用は売り手市場が続いており、求人を出してもなかなか応募が集まらず、選考が長期化しがちです。採用が決まるまでの間、本来は社内で進めたかった開発プロジェクトは止まったまま。この「機会損失」は金額に表れにくいものの、事業のスピードを確実に削ります。
そして最も痛いのが、早期離職です。多大なコストをかけて採用したエンジニアが半年や1年で辞めてしまえば、紹介手数料も教育費も回収できないまま消えてしまいます。中小企業では1人あたりの業務比重が大きいため、1名の離職が開発計画全体を揺るがすこともあります。
このように、エンジニアの正社員採用は「採用費+固定費+離職リスク」が重なり、年間で見れば数百万円単位の負担になりやすい構造を抱えています。中小企業がこの構造をどう乗り越えるかは、IT人材不足の現場で共通する課題です。同じ悩みを外部人材で乗り越えた事例は、IT人材不足を外部人材で解決した事例でも整理しています。
フリーランス活用で採用コストが減る仕組み(費目別の削減ポイント)

事例に入る前に、「フリーランス活用がなぜ採用コストを下げるのか」を費目ごとに整理しておきましょう。ここを理解しておくと、後で紹介する3社の削減額を、納得感を持って受け取れるはずです。
削減される費目(紹介手数料・社保・広報費・教育費)
正社員採用とフリーランス活用を費目別に対比すると、削減のポイントが見えてきます。
- 人材紹介手数料: 正社員採用では年収の30〜35%が一度に発生します。フリーランスは業務委託契約のため、この成功報酬型の手数料がかかりません。マッチングサービス経由でも、紹介手数料は正社員採用に比べて大幅に抑えられます。
- 社会保険料: 正社員には会社が社会保険料を負担します(給与のおよそ15%前後)。業務委託のフリーランスにはこの負担が発生しません。
- 採用広報費: 求人広告の掲載料や採用イベント費用など、母集団形成にかかる費用を圧縮できます。
- 教育・研修費: フリーランスは即戦力として参画するのが前提のため、ゼロからの教育コストや立ち上がり期間を大幅に短縮できます。
これらの費目が積み重なることで、1名分の採用枠をフリーランスに置き換えるだけでも、年間で数百万円規模の差が生まれます。実際、フリーランスを活用した中小企業の約74%が満足しており、その効果として「コスト削減に貢献した(39.8%)」「全体の生産性向上に貢献した(38.6%)」が挙げられています(パーソルクロステクノロジー調査、2022年)。
変動費化による「採用しすぎ/採用できないリスク」の解消
費目別の削減と並んで大きいのが、固定費を変動費に変えられるという点です。
正社員は、プロジェクトが落ち着いた時期でも給与が発生し続けます。逆に開発が立て込んだときに「もう1人ほしい」と思っても、採用には数ヶ月かかります。この「採用しすぎ」と「採用が間に合わない」という両方のリスクを、フリーランス活用は和らげます。
必要なフェーズに、必要な期間だけ発注する。繁忙期は人数を増やし、落ち着いたら絞る。この柔軟さによって、人件費を事業の波に合わせて最適化できます。採用枠を金額ベースで見直したい場合の試算手順は、採用コスト削減の試算方法で具体的に解説しています。
注意:フリーランス活用でも残る/増えるコスト
一方で、フリーランス活用は「すべてが安くなる魔法」ではありません。むしろ準備を怠ると、別のコストが増えることもあります。
- 発注管理の手間: 誰に何を頼み、進捗をどう確認するかという管理工数が社内に発生します。
- 要件定義のコスト: 「何を作ってほしいか」を言語化できないと、手戻りが増えてかえって割高になります。
- コミュニケーションコスト: 社外の人材と認識を合わせるための説明・調整に時間がかかります。
つまり、フリーランス活用で削減を実現できるかどうかは、「どの費目が減るか」を理解したうえで、増えうるコストを管理できるかにかかっています。この前提を踏まえて、実際に削減を実現した3社の事例を見ていきましょう。
【事例1】社内システム開発の正社員採用をフリーランスに切り替えた製造系中小企業
最初に紹介するのは、従業員数十名規模の製造・物流系中小企業のモデルケースです。生産管理や在庫管理の業務効率化を進めるため、社内システムを開発できるエンジニアを正社員で採用しようとして難航していました。
採用課題と従来コスト(before)
この会社では、紙とExcelで回していた生産・在庫管理をシステム化する計画が持ち上がりました。そこで社内開発を担う正社員エンジニアを1名採用しようと、人材紹介会社に依頼します。
しかし、地方拠点ということもあり応募が集まらず、半年以上が経過。想定年収600万円で採用できたとしても、人材紹介手数料だけで約180万円。さらに社会保険料の会社負担(年間約90万円)、開発環境・PC・教育費を加えると、初年度のコストは1名で年間900万円近くにのぼる見込みでした。加えて、システムが完成した後は同じ工数の開発業務が続くとは限らず、「採用しても仕事が余るのではないか」という不安もありました。
フリーランス活用の進め方(要件整理・発注範囲・体制)
この会社が取った方法は、「まず作りたいものを言語化し、開発フェーズに絞ってフリーランスへ発注する」というものでした。
具体的には、以下のステップで進めました。
- 要件の棚卸し: 現場担当者へのヒアリングで「生産管理」「在庫管理」「帳票出力」という3つの機能に優先順位をつけた
- 発注範囲の限定: 第1フェーズは「在庫管理機能のみ」に絞り、成果物を明確化した
- 体制の決定: 開発はフリーランスエンジニア1名、社内では管理部門の担当者が窓口となり週1回の進捗確認を実施した
この「成果物が定義できる業務から始める」進め方によって、要件定義の手戻りを抑えつつ、必要な期間だけ開発リソースを確保できました。
年間削減額の内訳と再現条件(after)
正社員採用の初年度想定コスト(約900万円)に対し、フリーランス活用では以下のように費用が圧縮されました。
費目 | 正社員採用(想定) | フリーランス活用 | 差額 |
|---|---|---|---|
紹介手数料 | 約180万円 | 0円(マッチング経由で軽微) | 約180万円減 |
社会保険料(会社負担) | 約90万円 | 0円 | 約90万円減 |
教育・設備費 | 約60万円 | ほぼ0円(即戦力) | 約60万円減 |
稼働費用 | 給与580万円(通年) | 開発期間に応じた業務委託費 | フェーズ限定で圧縮 |
紹介手数料・社保・教育費だけで約330万円、さらに「通年雇用」を「開発期間のみの発注」に変えたことで稼働費用も圧縮され、初年度トータルで年間500万円規模の削減につながりました。
再現しやすい条件: 開発したいシステムの範囲が明確で、フェーズごとに成果物を区切れる業務であること。継続的な保守が必要になった段階で、改めて発注を続けるか社内化するかを判断できる柔軟さがあること。
【事例2】Webサービスの開発体制を複数フリーランスで内製化したスタートアップ

2社目は、SaaS型のWebサービスを運営するスタートアップのモデルケースです。事業の成長に合わせて開発体制を増強する必要がありましたが、正社員エンジニアを複数名採用するには予算も時間も足りませんでした。
採用課題と従来コスト(before)
このスタートアップは、プロダクトの機能拡張のためにエンジニアを2〜3名増やす計画を立てていました。しかし、スタートアップという知名度の制約から正社員採用は苦戦。仮に3名を年収550万円で採用できたとしても、紹介手数料だけで約500万円(550万円×30%×3名)、社会保険料の会社負担を含めれば、採用初期だけで700万〜800万円規模の出費が見込まれました。
さらに、プロダクト開発には繁閑があります。リリース前は人手が足りず、リリース後は落ち着く——この波に対して、3名を固定費で抱えることのリスクが大きいと判断しました。
フリーランス活用の進め方(チーム編成・契約形態・進捗管理)
この会社は、正社員採用の予算をフリーランスチームの発注費に振り替える方針を取りました。
- チーム編成: フロントエンド担当・バックエンド担当・インフラ担当という役割でフリーランス3名を編成し、社内のプロダクトマネージャーが全体を統括
- 契約形態: 月単位の準委任契約をベースにし、繁忙期は稼働日数を増やし、落ち着いた時期は減らす形に
- 進捗管理: タスク管理ツールとオンライン定例で、社内メンバーと同じワークフローに組み込んで進捗を可視化
ポイントは、フリーランスを「外注先」ではなく「開発チームの一員」として運用したことです。これにより、コミュニケーションコストを抑えつつ、内製に近いスピードで開発を回せました。
年間削減額の内訳と再現条件(after)
正社員3名採用に比べた削減効果は、次のように整理できます。
費目 | 正社員3名採用(想定) | フリーランスチーム | 差額 |
|---|---|---|---|
紹介手数料 | 約500万円 | 0円 | 約500万円減 |
社会保険料(会社負担・年間) | 約270万円 | 0円 | 約270万円減 |
採用広報・選考工数 | 約100万円 | ほぼ0円 | 約100万円減 |
稼働費用 | 給与1,650万円(通年固定) | 繁閑に応じた稼働費 | 閑散期の圧縮分が削減に |
採用に関わる費目だけで年間数百万円が削減され、加えて繁閑に応じて稼働を調整したことで稼働費用も最適化。トータルでは年間500万円を超える削減効果が生まれました。
再現しやすい条件: 開発タスクを役割ごとに分解でき、社内に進捗を統括できる担当者(プロダクトマネージャー等)がいること。事業の繁閑が明確で、稼働調整のメリットを活かせること。
【事例3】スポット発注と定着の組み合わせで採用枠を最適化したサービス業
3社目は、店舗運営を手がけるサービス業・小売系中小企業のモデルケースです。「全部を採用」でも「全部を外注」でもない、現実的な落とし所を選んだ事例として紹介します。
採用課題と従来コスト(before)
この会社では、予約システムの改修や販促キャンペーン用のWebページ制作など、ITの開発ニーズが断続的に発生していました。年間を通して見ればまとまった開発量があるものの、時期によって繁閑の差が激しく、「正社員エンジニアを雇うほどではないが、その都度外注すると割高」という中途半端な状態でした。
過去には繁忙期に慌てて単発で制作会社に発注し、想定より高い見積もりを飲まざるを得なかった経験もありました。
スポット+継続発注の使い分け
この会社が取った戦略は、業務の性質に応じてフリーランスへの発注方法を使い分けることでした。
- スポット発注: 繁忙期のキャンペーンページ制作や、特定の改修プロジェクトは、その都度フリーランスにスポットで発注
- 継続発注: 予約システムの保守や定常的な改善は、信頼できるフリーランス1名に月数日の継続契約で依頼
この使い分けによって、「常に人を抱えるコスト」を避けつつ、コア業務の品質と継続性は確保しました。継続発注の相手は自社の事業をよく理解してくれるため、毎回ゼロから説明する手間も省けます。
年間削減額の内訳と再現条件(after)
仮に同等の開発量をすべて正社員1名(年収500万円相当)でまかなおうとした場合や、その都度割高な単発外注をしていた場合と比べると、削減効果は次のように現れました。
費目 | 従来(採用 or 都度外注) | スポット+継続発注 | 差額 |
|---|---|---|---|
紹介手数料・採用費 | 約150万円 | 0円 | 約150万円減 |
社会保険料・固定人件費 | 約580万円(通年) | 必要な分だけの業務委託費 | 稼働量に応じて圧縮 |
都度外注の割高分 | 案件ごとに上振れ | 継続発注で単価安定 | 上振れ分を抑制 |
固定人件費を抱えず、かつ都度外注の割高分も継続発注で抑えたことで、トータルで年間500万円規模のコスト最適化を実現しました。
再現しやすい条件: 開発ニーズが断続的で量に波があること。「必ず継続して発生する業務」と「単発で済む業務」を切り分けられること。信頼できる発注先を1社・1名確保し、関係を継続できること。
3事例から見える「採用コストを削減できる企業」の共通点

ここまで3社の事例を見てきました。業種も活用パターンも異なりますが、削減に成功した企業には共通点があります。自社が同じように削減できそうかを判断する材料として、3つの共通点を整理します。
成果・成果物が定義できる業務から着手している
3社に共通するのは、いきなり全業務を外部化したわけではなく、「成果物が明確な業務」から始めている点です。
事例1は「在庫管理機能の開発」、事例2は「役割ごとに分解した開発タスク」、事例3は「キャンペーンページ制作や保守」と、いずれもアウトプットが具体的にイメージできる業務でした。成果物が定義できれば発注範囲を区切りやすく、「思っていたものと違う」という手戻りを防げます。
逆に、「とりあえず開発を手伝ってほしい」という曖昧な発注は、削減どころか追加コストを生みやすいので注意が必要です。
要件と発注範囲を言語化できている
2つ目の共通点は、「何を、どこまで頼むか」を言語化できていたことです。
フリーランス活用の満足度調査では、満足度が高い一方で「発注したフリーランスがスキル不足だった」「納期までに成果物が納品されなかった」といった課題を感じた企業が65%を超えるという結果も出ています(パーソルクロステクノロジー調査、2022年)。こうした課題の多くは、要件や発注範囲の言語化が不十分なことに起因します。
3社はいずれも、発注前に「やってほしいこと」「期待する成果物」「期限」を整理していました。技術的な細部は専門外でも、ビジネス側のゴールを明確に伝えられれば、フリーランス側が手段を提案してくれます。
発注管理・コミュニケーションの窓口を整えている
3つ目は、社内に発注管理の窓口を置いていたことです。
事例1は管理部門の担当者、事例2はプロダクトマネージャー、事例3は事業責任者が、それぞれ「誰に何を頼み、進捗をどう確認するか」の窓口を担っていました。窓口が定まっていると、認識のずれや連絡の漏れを防げ、結果的にコミュニケーションコストが下がります。
この3つの共通点は、領域横断で外部人材を活用した事例にも通じます。より幅広い職種での削減パターンは、外部人材活用コスト削減事例もあわせてご覧ください。
フリーランス活用で採用コスト削減を始める前に押さえる注意点

削減効果が大きい一方で、進め方を誤ると「削減できたつもりが、別のコストで相殺された」という事態にもなりかねません。失敗を避けるために、最低限押さえておきたい注意点を整理します。
契約形態と指揮命令の線引き(偽装請負の回避)
業務委託(請負・準委任)契約では、発注側がフリーランスに対して、出退勤や作業手順を細かく指示・管理することはできません。社員のように指揮命令を行うと、実態として雇用とみなされる「偽装請負」に該当するおそれがあります。
フリーランスには「成果物」や「業務の目的」を伝え、進め方は本人に委ねるのが原則です。契約形態に応じた指揮命令の線引きは、トラブルとコスト増を避けるうえで最初に押さえるべきポイントです。
要件定義・発注範囲の明確化で手戻りコストを防ぐ
前章でも触れたとおり、要件定義の甘さは手戻りという形でコストに跳ね返ります。
「完成イメージ」「優先順位」「期限」を発注前にできる範囲で整理しておくことで、認識のずれを最小化できます。最初から完璧な要件を用意する必要はありませんが、ゴールとなる成果物だけは明確にしておきましょう。曖昧なまま発注すると、削減したはずのコストが追加発注で消えてしまいます。
情報セキュリティと品質管理の最低ライン
社外の人材が社内システムやデータに触れる以上、情報セキュリティの取り決めは欠かせません。
- 秘密保持契約(NDA)を締結する
- アクセス権限を必要最小限に絞る
- 納品物のレビュー体制(社内 or 第三者)を用意する
これらの最低ラインを整えておくことで、「安く済ませようとしてセキュリティ事故が起きる」というリスクを避けられます。品質管理についても、納品時のチェック観点を事前に決めておくと、後工程での手戻りを防げます。
まとめ — 自社の採用枠を「金額」で見直すことが第一歩
ここまで、フリーランス活用で採用コストを年間500万円規模削減した中小企業3社の実録と、その共通点・注意点を見てきました。要点を整理します。
- エンジニアの正社員採用は「採用費+固定費+離職リスク」が重なり、年間で数百万円規模の負担になりやすい
- フリーランス活用は、紹介手数料・社保・教育費といった費目を削減し、さらに固定費を変動費化できる
- 3社の事例に共通するのは「成果物が定義できる業務から始める」「要件と発注範囲を言語化する」「発注管理の窓口を置く」の3点
- 削減を実現するには、契約形態の線引き・要件定義・情報セキュリティへの最低限の備えが欠かせない
大切なのは、いきなり全社の採用方針を変えることではありません。まずは自社の採用コストを費目別に棚卸しし、「フリーランスに置き換えられそうな採用枠を1つ」特定してみることが、現実的な第一歩です。
その枠について、正社員採用とフリーランス活用でいくら差が出るのかを具体的に試算したい場合は、採用コスト削減の試算方法で手順を解説しています。金額として可視化すれば、自社にとっての最適な選択肢が見えてくるはずです。
よくある質問
- フリーランス活用で採用コスト削減できる企業と難しい企業の違いは何ですか?
成果物が明確に定義できる業務から着手でき、社内に発注管理の窓口となる担当者がいる企業は削減しやすい傾向があります。逆に「とりあえず開発を手伝ってほしい」という曖昧な発注になりがちな場合は、手戻りコストで削減効果が相殺されるリスクがあります。
- 社内にエンジニアが一人もいない場合でも、フリーランスへの発注管理はできますか?
技術の専門知識がなくても、「ビジネス側のゴール・成果物・期限」を言語化できれば発注管理は可能です。3社の事例でも、管理部門担当者や事業責任者が窓口を担っており、エンジニア職でなくても週1回の進捗確認で運用できています。
- フリーランス活用で「偽装請負」と指摘されないためには、何を守ればいいですか?
業務委託では「出退勤の管理・作業手順の細かい指示」を行うと偽装請負に該当するおそれがあります。成果物や業務の目的を伝え、進め方はフリーランス本人に委ねるのが基本で、準委任契約か請負契約かを業務内容に合わせて使い分けることが重要です。
- フリーランスへのスポット発注と継続発注は、どう使い分けるのが合理的ですか?
繁忙期のキャンペーンページ制作や単発の機能改修はスポット発注、予約システム保守や継続的な改善は月数日の継続契約が合理的です。継続発注先は自社の事業理解が深まり単価も安定するため、コアとなる定常業務から先に固定の発注先を確保するのがおすすめです。
- フリーランス活用を始める際、最初の発注先はどう探せばいいですか?
まず発注したい業務の成果物と期限を言語化した上で、フリーランス向けのマッチングサービスを活用するのが現実的な第一歩です。正社員採用と異なり紹介手数料が発生しないサービスも多く、スポット案件から試して相性を確かめながら関係を継続できます。



