「機能要望はどんどん積み上がるのに、開発の手が足りない」。急成長中のSaaS企業で開発を率いていると、この状況に行き着くことは少なくありません。プロダクトが評価されて利用が広がるほど、改善要望もバックログも膨らみ、リリース計画は少しずつ後ろ倒しになっていきます。経営からは「開発を加速してほしい」と言われる一方で、正社員エンジニアの採用は市場競争が激しく、半年先まで読めない。そんな板挟みに陥っているリーダーは多いのではないでしょうか。
ここで多くの人が外部リソースの活用を検討し始めます。ところが、いざ増員を考えると別の不安が頭をよぎります。「人を増やしても、かえって開発が遅くなるのではないか」。これは単なる思い込みではなく、ソフトウェア開発の世界では「ブルックスの法則」として知られる、半世紀にわたって語り継がれてきた経験則です。稼働が限られる複業エンジニアに複雑なコードベースを任せて、本当に速くなるのか。むしろオンボーディングに既存メンバーの手を取られて、全体が止まるのではないか。そう考えると、なかなか踏み切れません。
この記事では、あるSaaS企業が複業エンジニアを迎えてエンジニアチームを拡張し、開発速度を2倍に引き上げた事例をご紹介します。単なる成功談ではなく、「なぜ人を増やすと遅くなるのか」というブルックスの法則を正面から扱ったうえで、それを回避してむしろ加速させた具体的な設計を分解します。さらに、「開発速度2倍」が何を測った数字なのか、どんな前提条件で成立したのかまで率直にお伝えし、最後に自社で再現するためのステップを段階的に整理します。
読み終えるころには、「増員=遅延」という恐れの正体と、それを越えて加速するために何を整えればよいかが見えているはずです。自社で着手する最初の一歩を描く材料として、お役立てください。
フリーランスエンジニア採用・活用ガイド(採用〜オンボーディング)

この資料でわかること
<p>フリーランスエンジニアの採用から初期活用まで、非エンジニア担当者でも実践できる具体的な手順を一冊にまとめたガイドブックです。採用の進め方・費用感・スキル評価・社内準備・オンボーディングまでを網羅し、「何から始めればよいか分からない」という担当者の不安を解消します。Workeeを通じた採用フローも付録として収録しています。</p>
こんな方におすすめです
- フリーランスエンジニアの採用プロセスを整理したい
- エンジニアのスキル評価方法を知りたい
- 採用後のオンボーディングを改善したい
入力いただいたメールアドレスにPDFをお送りします。
開発が止まる前に — 採用が追いつかないSaaS企業が直面する壁
複業エンジニアの活用事例に入る前に、まずは多くのSaaS企業が直面している「壁」を整理しておきます。ここを正確に言葉にしておくことで、後段の事例が「自分ごと」として読めるはずです。
機能要望は増えるのに開発リソースは増えない構造
SaaSは継続的に価値を提供し続けるビジネスモデルです。だからこそ、プロダクトが軌道に乗るほど、顧客からの機能要望・改善要望・不具合報告が絶えず流れ込んできます。営業やカスタマーサクセスが新しい顧客を獲得すれば、その分だけ「この機能が欲しい」という声も増えていきます。
一方で、それをさばく開発リソースは簡単には増えません。正社員エンジニアの採用は、求人を出してから入社まで数か月、戦力になるまでさらに数か月かかるのが一般的です。エンジニア採用市場は売り手優位が続いており、採用要件を満たす候補者と出会うこと自体が難しくなっています。結果として、「要望の流入速度」と「処理できる速度」のあいだに開きが生まれ、バックログが膨らみ続けます。
この状態を放置すると、リリース計画は遅延し、優先度の低い改善は永遠に着手されず、技術的負債も溜まっていきます。開発リーダーが「とにかく人を増やしたい」と考えるのは、ごく自然な反応です。
「増員すれば解決」が通用しない理由への素朴な不安
ところが、増員は単純な足し算にはなりません。新しく入ったメンバーが戦力になるまでには時間がかかりますし、その間は既存メンバーが教育やレビューに時間を割くことになります。とくに複業エンジニア、つまり週に数日だけ稼働する外部メンバーを迎える場合、「限られた時間で複雑なコードベースを理解してもらえるのか」「コミュニケーションが噛み合わずに手戻りが増えないか」といった不安はより大きくなります。
この「人を増やしても速くならないのでは」という直感には、実はれっきとした裏づけがあります。それが次にお話しする「ブルックスの法則」です。この法則を正しく理解することが、複業エンジニア活用を成功させる出発点になります。
なぜ人を増やしても開発速度が上がらないのか(ブルックスの法則)

「ブルックスの法則」とは、「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである」という経験則です。1975年に出版されたソフトウェア工学の名著『人月の神話』の中で、著者フレデリック・ブルックスが提示しました(ブルックスの法則 - Wikipedia)。半世紀前に書かれた本ですが、その指摘は今もそのまま通用します。
ブルックスの法則が成立するメカニズム
なぜ人を増やすと遅くなるのでしょうか。主に3つの要因が挙げられます。
1つ目は「教育コスト」です。新しく加わったメンバーがプロダクトの仕様やコードベース、開発フローを理解して戦力になるまでには時間がかかります。その間、教える側の既存メンバーの手も止まります。つまり、増員直後はむしろチーム全体の生産量が一時的に下がるのです。
2つ目は「コミュニケーション経路の増加」です。チームの人数が増えると、メンバー同士の認識合わせに必要なやり取りの組み合わせは急激に増えていきます。3人なら3通りの関係ですが、6人になると15通りになります。人数の増加に対して、調整コストはそれ以上のペースで膨らんでいくのです。会議や確認のやり取りに追われ、肝心の開発に充てる時間が削られていきます。
3つ目は「仕様未確定時の手戻り」です。何を作るかが曖昧なまま人だけを増やすと、認識のずれから手戻りが多発します。作り直しのコストは人数に比例して増えるため、増員がかえって混乱を加速させてしまいます。
ブルックスはこの法則を「妊娠は1人なら9か月だが、9人集めても1か月では産めない」というたとえで説明しています。分担できない作業に人を投入しても、時間は短縮されないということです。
法則を回避する2つの原則(スコープ分割と統合責任の集約)
ここで重要なのは、ブルックスの法則は「人を増やすこと自体が悪い」と言っているわけではない、という点です。問題になるのは「分担できない作業に、調整コストを無視して人を投入すること」です。逆に言えば、この2つの落とし穴を避ければ、増員を加速につなげられます。
1つ目の原則は「独立スコープへの分割」です。互いに依存し合う作業を複数人で同時にいじると、調整コストが爆発します。そうではなく、他の作業と切り離して進められる独立した単位に仕事を切り出し、それを担当者に丸ごと任せるのです。担当者同士のやり取りが最小限で済むため、コミュニケーション経路の増加という弱点を抑えられます。
2つ目の原則は「統合責任の集約」です。分割したスコープを最終的に1つのプロダクトとして束ねる役割を、少数のコアメンバーに集約します。全体の整合性に責任を持つ人を明確にすることで、「みんなで少しずつ見る」ことによる責任の分散と混乱を防げます。
この「分割」と「統合」の2つの原則こそが、これからご紹介する事例で複業エンジニアの活用を成功させた土台になっています。
事例|複業エンジニア活用でエンジニアチームを拡張したSaaS企業

ここからは具体的な事例をご紹介します。なお本事例は、秋霜堂株式会社が複数の開発支援案件で得た知見を統合した、代表的なモデルケースとして再構成したものです。特定の1社の機密情報ではなく、同じ状況に置かれた企業が再現しやすい形に整理しています。
直面していた課題(バックログ肥大・リリース遅延・採用難)
このSaaS企業は、業務効率化ツールを提供する従業員規模数十名の会社で、エンジニアは正社員10名強でした。プロダクトの評価が高まるにつれて顧客が増え、それに比例して機能要望も積み上がっていきます。スプリントごとに着手できる量よりも流入する要望の量が多く、バックログは膨らむ一方でした。
主要顧客から依頼された機能の提供が遅れ始め、リリース予定日が後ろ倒しになるケースも出てきました。経営層からは「開発スピードを上げてほしい」という要望が強まりますが、正社員採用は思うように進みません。求人を出しても要件に合う候補者と出会えず、内定を出しても他社と競合する状況でした。
開発リーダーは「このまま採用を待っていてはリリースに間に合わない」という危機感を抱えていました。
複業エンジニアを選んだ判断軸(即戦力性・スポット稼働・採用リスク回避)
選択肢は大きく3つありました。正社員を増やす、開発を丸ごと外注する、複業エンジニアを活用する、の3つです。
正社員採用は前述のとおり時間が読めず、急な増員には向きません。一方、開発をまるごと外注する方法は、プロダクトの中核を外部に依存させることになり、SaaSのように継続的に手を入れ続けるプロダクトとは相性がよくありませんでした。
そこで選ばれたのが、複業エンジニアの活用です。判断の決め手は3つありました。
第一に「即戦力性」です。複業で動くエンジニアは、本業で現役の実務経験を持つ人が多く、教育に時間をかけずとも一定の領域をすぐに任せられます。第二に「スポット稼働の柔軟性」です。週に数日という限られた稼働でも、切り出せる仕事があれば貢献してもらえます。繁忙期に厚く、落ち着けば薄く、と調整しやすいのも利点でした。第三に「採用リスクの回避」です。正社員採用のように長期の固定費を抱えるリスクがなく、小さく試してから判断できます。
拡張後のチーム構成(正社員コア+複業メンバーの役割分担)
拡張後のチームは、正社員のコアメンバーと複業メンバーで役割を明確に分けました。
正社員コアは、プロダクト全体の設計方針や仕様の決定、そして前章で触れた「統合責任」を担います。各機能を最終的に1つのプロダクトとして束ね、品質に責任を持つ立場です。複業メンバーには、仕様が固まった独立性の高い機能開発を、スコープ単位で任せました。
つまり、「何を作るか」を決める部分と全体の整合性は正社員コアに集約し、「決まったものを作る」部分を複業メンバーに分散させたのです。これはまさに、ブルックスの法則を回避する「スコープ分割」と「統合責任の集約」を体現した構成でした。この役割分担をどう具体的な仕組みに落とし込んだのかを、次に見ていきます。
開発速度2倍を実現した3つの設計

複業エンジニアを迎えるだけでは速度は上がりません。むしろ準備が不十分なまま人を増やせば、ブルックスの法則どおりに遅くなります。この事例で速度を引き上げられたのは、次の3つの設計を意図的に整えたからです。
独立スコープへのタスク分割
最初に取り組んだのが、複業メンバーが「1人で完結できる単位」に仕事を切り出すことです。
週に数日しか稼働しないメンバーに、他の人の作業と密に絡み合うタスクを渡すと、待ち時間や調整に時間を取られ、限られた稼働がほとんど活きません。そこで、コアメンバーが仕様を固めたうえで、他機能への影響が小さい独立した機能や、明確に切り出せる改善項目を選んで任せました。
具体的には、新しい設定画面の追加、特定のデータ連携機能、レポート出力機能といった、入口と出口がはっきりしていて単独でテストできるタスクが中心です。こうすることで、複業メンバーは自分のペースで着手から完成まで進められ、コアメンバーとの調整は仕様確認とレビューの要所だけで済みました。これがコミュニケーション経路の増加という弱点を抑え、増員を素直な戦力増につなげる鍵になりました。
軽量オンボーディング
複業メンバーは稼働時間が限られているため、立ち上がりに時間がかかると、それだけで貢献できる時間が削られてしまいます。そこでオンボーディングをできるだけ軽く、速くする工夫を重ねました。
まず、開発環境の構築を自動化し、手順書どおりに進めれば短時間でローカル環境が動く状態を整えました。次に、コードベースの全体像、設計思想、コーディング規約をコンパクトなドキュメントにまとめ、最初に読むべきものを明確にしました。すべてを理解してもらう必要はなく、担当スコープに関係する部分だけ最短で把握できるようにしたのです。
そして特に効果的だったのが、参加して最初に「小さな成功」を経験してもらう設計です。いきなり大きな機能を任せるのではなく、半日〜1日で完了できる軽いタスクを最初に渡し、環境構築からレビュー、マージまでの一連の流れを早い段階で体験してもらいました。これにより複業メンバーは開発フローへの感覚をつかみ、その後の本格的なタスクにスムーズに入っていけました。
非同期コミュニケーションとコードレビューの仕組み
複業エンジニアは、稼働する曜日も時間帯も人によって異なります。全員が同時にオンラインになる前提のコミュニケーションでは回りません。そこで、非同期を前提とした仕組みを整えました。
仕様や仕事の依頼は、口頭ではなくチケットやドキュメントに文章として残し、いつ読んでも同じ理解にたどり着けるようにしました。質問や相談もチャットのスレッドに集約し、回答が後から見返せる形にしました。これにより、複業メンバーは自分の稼働タイミングで情報を取りに行け、コアメンバーも手が空いたときにまとめて応答できます。
コードレビューも非同期前提で設計しました。プルリクエストの粒度を小さく保つルールを徹底し、1つのレビューが短時間で終わるようにしたのです。レビューが重いと、複業メンバーは「次の稼働日まで作業が止まる」という待ちが発生します。レビューを軽く速く回すことで、この待ち時間を最小化しました。さらに、CI/CDで自動テストとコードチェックを走らせ、機械的に判定できる部分はレビュアーの目を介さず通すことで、人手のレビュー負荷そのものを下げました。
これら3つの設計は、いずれもブルックスの法則の「教育コスト」「コミュニケーション経路の増加」「手戻り」という3つの要因に、ひとつずつ手当てをしたものです。
「開発速度2倍」をどう測ったか — 成果と前提条件
「開発速度2倍」と聞くと、誇張ではないかと身構える方もいるはずです。ここでは、その数字が何を指していたのか、どんな前提条件で成立したのかを率直にお伝えします。再現可能性を判断する材料として、最も大事な部分です。
何を「速度」として測ったか(指標の定義)
この事例で言う「2倍」は、漠然とした体感ではなく、複業メンバーが本格稼働する前後で計測したいくつかの指標に基づいています。
中心に置いたのは、スプリントあたりに完了する開発項目の量(ベロシティ)です。複業メンバーが独立スコープを並行して進められるようになったことで、チーム全体として一定期間に消化できる開発項目がおよそ倍に増えました。あわせて、機能要望が起票されてからリリースされるまでのリードタイムも測りました。バックログが滞留しなくなったことで、着手待ちの時間が大きく短縮されています。
つまり「2倍」とは、新機能の高度さが2倍になったという話ではなく、「一定期間に世に出せる開発のアウトプット量」がおよそ2倍になった、という意味です。指標を曖昧にせず、何を測ったかを明確にしておくことが、成果を正しく評価する前提になります。
効果が出た前提条件と、効果が出にくいケース
この成果は、いくつかの前提条件がそろっていたからこそ成立しました。裏を返せば、これらが欠けると同じ効果は出にくくなります。
最大の前提は「独立して切り出せるスコープが存在したこと」です。前章で見たとおり、複業メンバーに任せられるのは、仕様が固まり他機能への影響が限定された単位でした。逆に、まだ何を作るか定まっていない探索的な領域や、プロダクトの中核設計に深く関わる作業は、外部に切り出しにくく、無理に任せると手戻りが増えます。
もう1つの前提は「コアメンバーが統合責任を担う余力を持っていたこと」です。スコープを分割しても、それを束ねる人がいなければプロダクトの一貫性は保てません。コアメンバーがレビューと仕様確認に一定の時間を割けたからこそ、分散した開発が1つにまとまりました。コアメンバーが疲弊しきっている状態でいきなり複業メンバーを増やせば、統合がボトルネックになり、かえって速度が落ちる可能性があります。
このように、複業エンジニア活用は万能の特効薬ではありません。しかし「独立スコープがある」「統合責任を担う余力がある」という条件を満たせるなら、再現性のある形で開発速度を引き上げられる現実的な手段だと言えます。
自社で再現するためのステップと体制

ここまで読んで「うちでも試せそうだ」と感じた方に向けて、実際に動き出すための手順を3つのステップに整理します。いきなり大規模に始めるのではなく、小さく試して確かめながら広げていくのが、失敗しないコツです。
ステップ1 — 外部に任せられる業務の棚卸し
最初にやるべきは、増員ではなく「棚卸し」です。今チームが抱えているバックログを見渡し、「仕様が固まっていて、他機能への影響が小さく、独立して進められる」タスクを洗い出します。
逆に、プロダクトの中核設計に関わるものや、仕様がまだ曖昧なものは、ここでは候補から外します。複業メンバーに任せやすいタスクがどれだけあるかを見極めることが、そもそも複業活用が自社に合うかどうかの判断材料になります。任せられる仕事が見つからないなら、まずは正社員コアで仕様を固める作業が先かもしれません。
ステップ2 — トライアル(小さく試す)の設計
任せられそうな業務が見つかったら、いきなり多人数を迎えるのではなく、1人の複業エンジニアに1つのスコープを任せるトライアルから始めます。
このとき、軽量オンボーディングの準備(環境構築手順、最小限のドキュメント、最初の小さなタスク)をあらかじめ整えておくと、立ち上がりがスムーズです。トライアルの目的は、開発速度の向上そのものよりも、「自社のコミュニケーション設計やレビュー体制が、外部メンバーを受け入れられる状態になっているか」を確かめることにあります。ここで見えた課題を潰しておくことが、本格拡大の成否を分けます。
ステップ3 — 受け入れ体制の整備と段階的拡張
トライアルで手応えがつかめたら、非同期コミュニケーションの仕組みやレビューフローを本格的に整え、複業メンバーを段階的に増やしていきます。一度に増やすのではなく、1人ずつ加えながら、コアメンバーの統合責任が回る範囲を確認していくのが安全です。
この段階で課題になりやすいのが、「自社に合う複業エンジニアとどう出会うか」です。即戦力で、独立スコープを任せられ、非同期コミュニケーションにも慣れた人材は、待っているだけでは見つかりません。実務経験のある複業エンジニアと出会う手段として、必要なスキルや稼働条件を提示してマッチングできるサービスを活用すると、探索のコストを抑えられます。自社のコアメンバーの負荷と、任せられるスコープの量に合わせて、無理のないペースで体制を広げていくことが、再現の最後の鍵になります。
まとめ — 増員の前に「分割と統合」を設計する
ここまで、複業エンジニアを活用してエンジニアチームを拡張し、開発速度を2倍に引き上げたSaaS企業の事例を見てきました。最後に要点を振り返ります。
「人を増やすと逆に遅くなる」というブルックスの法則は、今も有効な経験則です。しかしそれは「分担できない作業に、調整コストを無視して人を投入したとき」に起きるものでした。逆に、仕事を独立したスコープに分割し、それを束ねる統合責任を少数のコアメンバーに集約すれば、増員を素直な加速につなげられます。
この事例で速度を引き上げた要因は、人数そのものではなく、3つの設計にありました。複業メンバーが1人で完結できる独立スコープへのタスク分割、限られた稼働でも立ち上がれる軽量オンボーディング、そして稼働タイミングがばらつく前提での非同期コミュニケーションとコードレビューの仕組みです。そして「2倍」とは、一定期間に世に出せる開発アウトプット量がおよそ倍になったという、明確に測った成果でした。
もし今、採用が追いつかず開発が滞っているなら、最初の一歩は増員ではなく「棚卸し」です。外部に任せられる独立スコープがどれだけあるかを見極め、1人・1スコープのトライアルから小さく試してみてください。大切なのは人数ではなく、「分割と統合」をどう設計するか。そこさえ押さえれば、限られた稼働の複業エンジニアでも、開発を着実に加速させる戦力になります。
よくある質問
- 複業エンジニアに任せる「独立スコープ」はどうやって見つければよいですか?
バックログを見渡し、「仕様が固まっていて、他機能への影響が小さく、入口と出口が明確なタスク」を洗い出すのが出発点です。設定画面の追加・特定データ連携・レポート出力機能など、単独でテスト完結できるものが候補になります。
- コアメンバーは複業エンジニアの受け入れにどのくらいの工数が必要ですか?
仕様確認・コードレビュー・質問対応を合わせると、複業メンバー1人につき週2〜4時間程度が目安です。プルリクエストの粒度を小さく保ち、CI/CDで機械チェックを自動化することでレビュー負荷を抑えられます。
- 週何時間稼働の複業エンジニアから効果が見込めますか?
週10〜15時間(週2〜3日相当)以上が実用的な目安です。それ以下では立ち上がりのコストを回収しにくくなるため、稼働条件の確認と独立スコープの粒度調整をセットで行うことが重要です。
- トライアルの期間と「次のフェーズに進む」判断基準はどう設定すればよいですか?
1スコープ・1〜2スプリント(2〜4週間)を目安に、「環境構築からマージまでの一連フローが滞りなく回ったか」「コアメンバーの統合コストが許容範囲内だったか」の2点を判断基準にするのが現実的です。
- 即戦力の複業エンジニアにはどこで出会えますか?
必要なスキルや稼働条件を提示してマッチングできる複業・副業特化のエンジニア採用サービスを活用すると探索コストを抑えられます。本業で現役の実務経験を持つ人材と短期間でつながりやすい点が正社員採用との最大の違いです。



