「配車は熟練の担当者が紙とホワイトボードと電話でさばき、在庫は倉庫ごとの Excel、出荷した荷物の履歴追跡は伝票を手でたどる」——物流・運送の現場では、いまもこうした業務の分断がごく当たり前に残っています。それぞれは長年回してきた仕組みだけに大きな破綻はないものの、人手不足とドライバーの残業規制が重なった今、「このやり方ではもう限界だ」と感じている方は少なくないはずです。
そこで浮かぶのが「いっそ配車も在庫もトレーサビリティも、ひとつの統合システムにまとめられないか」という発想です。ただ、統合という言葉の魅力とは裏腹に、いざ自社で考えると不安の方が先に立ちます。要件が膨らんで頓挫しないか、どれくらいの期間と体制が必要なのか、移行のときに現場が止まらないか、専任のシステム担当がいなくても発注側として進めきれるのか——判断材料がないままでは、最初の一歩を踏み出せません。
この記事では、まさにそうした分断状態にあった中堅物流会社が、配車・在庫・トレーサビリティを6か月でひとつの統合システムにまとめたプロジェクトを、時系列で振り返ります。秋霜堂株式会社が開発を支援した事例をもとに、どの順番で何をしたか、どこで時間がかかり、どこでつまずき、どう乗り越えたかを、成功談だけでなく苦労した部分も含めて整理しました。
お伝えしたいのは「すごいシステムができました」という自慢ではなく、「自社でも同じ進め方なら実現できそうか」を判断するための材料です。読み終えたときに、社内で次の一歩(何から相談し、何から整理するか)を描けるようになることを目指して解説します。
※ 本事例はクライアントの守秘に配慮し、業種・規模はレンジや匿名で記述し、固有名詞は伏せています。
システム開発 完全チェックリスト――発注前・発注中・完了後の3フェーズで使えるチェック集

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物流管理システムの開発事例|プロジェクトの全体像
最初に、今回ご紹介する物流管理システムの開発事例の全体像を押さえておきましょう。自社と条件が近いかどうかを判断する入口になります。
クライアントの状況と分断していた3つの業務
クライアントは、地域を拠点に複数の配送拠点と自社倉庫を持つ中堅の物流・運送会社です。規模は年商10〜50億円のレンジ、従業員は数十名から100名規模で、ドライバー・倉庫スタッフ・配車担当・事務が混在する典型的な体制でした。社内にシステムの専任担当者はおらず、業務改善担当者が情報システムを兼任しているという、多くの中堅企業に共通する状況です。
業務は大きく3つに分かれ、それぞれが別々の仕組みで回っていました。
- 配車: ベテランの配車担当者が、荷物量・車両・ドライバーの空き状況を頭の中とホワイトボード、紙の手配票、電話で組み立てていました。属人化が進み、その担当者が休むと現場が回りにくくなる状態でした。
- 在庫: 倉庫ごとに Excel で在庫を管理していました。拠点が違えばファイルも別で、入出庫のたびに手入力。リアルタイムの在庫が分からず、欠品や過剰在庫が起きやすくなっていました。
- トレーサビリティ(出荷追跡): 「いつ・どの荷物が・どの便で・どこへ届いたか」を確認する際は、伝票や配送記録を手作業でたどっていました。荷主からの問い合わせに即答できず、調査に時間がかかっていました。
これら3つは、本来はつながっているはずの業務です。配車が決まれば在庫が動き、在庫が動けば出荷履歴が残ります。にもかかわらず、データが分断されているために、同じ情報を何度も別の場所に入力し、照合に人手をかけていました。
なぜ「統合」が必要だったのか(2024年問題・人手不足の背景)
部分的な改善ではなく「統合」が必要だと判断された背景には、物流業界全体が直面している構造的な人手不足があります。
トラックドライバーの時間外労働の上限規制が2024年4月から適用された、いわゆる「2024年問題」により、輸送力の不足が懸念されています。試算でも、何も対策を講じない場合、営業用トラックの輸送能力が2024年には約14%、2030年には約34%不足する可能性が示されています(全日本トラック協会「物流の2024年問題」)。
限られた人員で同じ業務量をこなすには、これまで人手と経験で吸収していた非効率を、システムで肩代わりするしかありません。クライアントの場合、「配車だけ」「在庫だけ」を個別に改善しても、業務間のデータの受け渡しは相変わらず手作業で残ってしまいます。配車・在庫・トレーサビリティを1つのデータ基盤でつなぎ、入力を一度で済ませ、状況をリアルタイムに共有することが、人手不足への現実的な打ち手として浮かび上がりました。
プロジェクトの全体像(期間・体制・進め方)
プロジェクトは要件定義から本番稼働まで約6か月で進めました。おおまかなタイムラインは次のとおりです。
期間 | フェーズ | 主な内容 |
|---|---|---|
1か月目 | 要件定義 | 業務ヒアリング、統合スコープの決定、優先順位付け |
2か月目 | 基本設計・データ設計 | 3業務を1基盤に統合するデータモデル設計、画面設計 |
3〜4か月目 | 開発(実装) | 配車・在庫・トレーサビリティ各機能の実装、連動部分の作り込み |
5か月目 | テスト・データ移行準備 | 結合テスト、既存 Excel・伝票からのデータ移行設計 |
6か月目 | カットオーバー・定着支援 | 段階的な本番切替、現場教育、初期サポート |
体制は、発注側(クライアント)が業務改善担当者を中心に現場のキーパーソン数名を巻き込み、開発側が要件定義から運用支援までを一貫して担当する形を取りました。専任のシステム担当者がいない発注側でも進められるよう、開発側が業務の言語化や意思決定の整理を伴走したのが特徴です。「発注側に専門知識がないと無理なのでは」という不安に対しては、この伴走型の進め方が一つの答えになります。
統合前に抱えていた課題と「統合システム」の要件整理

統合プロジェクトで最初の山場になるのが、要件定義です。ここで「統合すると要件が膨らんで頓挫しないか」という最大の不安に、どう向き合ったかを具体的に見ていきます。
分断していた業務の具体的な課題
要件定義の前半は、3業務それぞれの課題を現場目線で洗い出すことに時間を使いました。出てきた主な課題は次のようなものです。
- 配車: 配車担当者の頭の中に手順がある一方で、他の人が代われない。手配票が紙のため、変更が発生すると関係者への共有が電話頼みになる。実績(誰がどの便を担当したか)が後から集計しづらい。
- 在庫: 拠点ごとに Excel が独立しているため、全社の在庫を一覧できない。入力が手作業で、リアルタイム性がなく、棚卸しのたびにズレが見つかる。
- トレーサビリティ: 出荷履歴が伝票ベースで、荷主からの「あの荷物は今どこか」「いつ届いたか」という問い合わせに即答できない。クレーム対応や原因調査に時間がかかる。
重要なのは、これらが「別々の困りごと」ではなく「データがつながっていないことから生まれる同じ根」を持つ課題だと整理できた点です。この共通認識が、後のスコープ判断の土台になりました。
要件定義で直面した「統合スコープの肥大化」と、段階的に区切った判断
統合システムの要件定義では、必ずと言っていいほど「あれもこれも一緒にやりたい」という要望が出てきます。今回も、配車・在庫・トレーサビリティに加えて、請求連携、勤怠、車両整備の管理まで「どうせ作るなら」という声が上がりました。
ここで全部を一度に抱え込むと、要件が膨らみ、設計が複雑化し、6か月では到底収まりません。統合プロジェクトが頓挫する典型的なパターンです。そこで取った判断は、最初のリリース範囲(第1フェーズ)を「分断による非効率が最も大きい3業務の連動」に絞ることでした。
具体的には、次のように優先順位を区切りました。
- 第1フェーズ(今回の6か月で作る範囲): 配車・在庫・トレーサビリティを1つのデータ基盤で連動させる。入力を一度で済ませ、状況をリアルタイムに共有する核の部分。
- 第2フェーズ以降(将来の拡張): 請求連携・勤怠・車両整備など。第1フェーズの基盤が安定してから追加する。
「やらないことを決める」のは勇気がいりますが、統合を成功させるうえで最も効いた判断でした。将来の拡張を見越してデータ基盤だけは拡張しやすく設計しておき、機能の実装は段階的に進める——この線引きが、スコープの肥大化を防ぎつつ「あとから足せる」という安心感を発注側に与えました。
要件定義そのものの進め方や、何を決めれば要件が固まるのかを体系的に知りたい方は、要件定義の進め方ガイドも判断材料になります。
熟練担当者の暗黙知(配車ノウハウ)をどう要件に落としたか
統合の中でも特に難しかったのが、配車担当者の暗黙知の言語化です。「この荷主は午前指定が多い」「この車両はこのエリアに強い」「この組み合わせは過去にトラブルが多かった」といった判断は、ベテランの頭の中にあり、本人も無意識に使っているため、聞いてもすぐには出てきません。
ここでは、いきなり「AIで自動配車」を目指すのではなく、まず担当者の判断を観察し、なぜその配車にしたのかを1件ずつ言葉にしていく作業を地道に重ねました。その結果を、システム上では「ルールとして固定する部分」と「担当者が最終判断する部分」に分けて設計しました。すべてを自動化しようとせず、人の判断を支援する形に落とし込んだことで、現場の納得感を保ちながら属人化を緩和できました。
暗黙知を100%システムに移すことはできません。だからこそ「どこまでをシステムに任せ、どこからを人が判断するか」の線引きを要件段階で合意しておくことが、後の定着を左右しました。
6か月の開発プロセス|配車・在庫・トレーサビリティの統合設計

ここからは、6か月で本当に作りきれるのか・どこで時間がかかるのかという疑問に、フェーズごとの時系列で答えていきます。
フェーズ別タイムライン(何月に何をしたか)
先に示したタイムラインを、もう少し中身に踏み込んで振り返ります。
- 1か月目(要件定義): 業務ヒアリングとスコープ確定にしっかり時間をかけました。ここを急ぐと後で手戻りが膨らむため、あえて時間を投資した期間です。
- 2か月目(基本設計・データ設計): 3業務を1つのデータ基盤に統合するための設計。配車・在庫・出荷履歴が同じデータを参照する構造を固めました。プロジェクトの成否を分ける、最も頭を使った期間です。
- 3〜4か月目(開発): 各機能を実装しつつ、機能どうしの連動を作り込みました。単体の機能より、連動部分の作り込みに想定以上の工数がかかりました。
- 5か月目(テスト・移行準備): 結合テストと、既存 Excel・伝票からのデータ移行の準備。ここで現場の例外パターンが次々に見つかりました。
- 6か月目(カットオーバー・定着): 段階的に本番へ切り替え、現場教育と初期サポートを行いました。
時間がかかったのは、意外にも個々の機能開発そのものよりも、業務間の連動設計とデータ移行でした。統合システムの工数は「機能の数」ではなく「機能どうしのつなぎ目の複雑さ」で決まる、というのが現場の実感です。
3業務を1つのデータ基盤に統合する設計の勘所
統合システムの心臓部は、配車・在庫・出荷履歴が同じデータをひとつの基盤で共有する仕組みです。
たとえば、配車で「どの荷物をどの便で運ぶか」が決まると、その荷物は在庫から引き当てられ、出荷のタイミングで履歴が自動的に残ります。従来は配車表・在庫 Excel・出荷伝票がそれぞれ独立していたため、同じ荷物の情報を3回入力していました。これを1つの基盤に統合することで、入力は一度で済み、在庫はリアルタイムに減り、出荷履歴は手を動かさなくても蓄積されます。
設計の勘所は、「荷物」「車両」「拠点」といった共通の情報を、業務ごとに別々に持たせず、全業務が同じ定義を参照するようにそろえることでした。ここがずれていると、配車では「A拠点」、在庫では「A倉庫」のように同じものが別名で管理され、連動が破綻します。地味ですが、この共通化が統合の土台になります。
つまずいたポイントとリカバリー
順調なことばかりではありませんでした。特につまずいたのは、要件定義の段階では見えていなかった業務の例外パターンです。
たとえば「途中で配送先が変更になる」「複数の荷主の荷物を1便にまとめる」「返品で在庫が逆に動く」といったケースは、現場では日常的に起きているのに、ヒアリングでは「いつものこと」すぎて言語化されていませんでした。これらがテスト段階で次々に表面化し、設計の一部見直しが必要になりました。
リカバリーとして有効だったのは、現場のキーパーソンにテストへ早い段階から参加してもらい、実際の業務データで触ってもらったことです。机上の確認では出てこない例外が、実データを流すと一気に見えてきます。例外をすべて作り込もうとせず、「システムで対応するもの」と「運用ルールで吸収するもの」を切り分けたことで、スコープを守りながら現実的に着地させられました。
現場を止めない移行|カットオーバーと定着のリアル

どれだけ良いシステムを作っても、本番への切り替え(カットオーバー)で現場が混乱すれば台無しです。「移行で現場が止まらないか」「作っても使われないのでは」という不安に、ここで正面から答えます。
移行方式の判断(なぜその方式を選んだか)
旧運用から新システムへの切り替えには、大きく2つの方式があります。一気に全部を切り替える「一斉切替(ビッグバン)」と、旧運用と新システムをしばらく並行して動かす「並行稼働」です。
物流の現場は1日たりとも止められません。配車が止まれば荷物が動かず、荷主にも迷惑がかかります。そこで今回は、業務ごと・拠点ごとに段階的に切り替える方式を選びました。いきなり全社・全業務を新システムに移すのではなく、影響の小さい範囲から順に切り替え、問題がないことを確認しながら広げていく進め方です。一部では旧運用と新システムを一時的に並行させ、現場が新システムに慣れるための余裕を持たせました。
「失敗が許されない」という発注側の不安に対しては、切替を一度に賭けず後戻りできる単位に分けて進めることが、最も現実的な安全策になります。カットオーバーの方式選びや移行で押さえるべき勘所をもう少し詳しく知りたい方は、カットオーバーの進め方ガイドもあわせてご覧ください。
現場が使い続けるための工夫
システムは「導入して終わり」ではなく「使われ続けて初めて効果が出る」ものです。今回、定着のために意識したのは次の点でした。
- 現場のキーパーソンを開発の早い段階から巻き込む: 要件定義・テストから現場の代表に入ってもらったことで、「自分たちが作ったシステム」という当事者意識が生まれ、稼働後の浸透が早まりました。
- 段階リリースで負荷を分散する: 一度に全機能を覚えてもらうのではなく、切り替えた業務から順に慣れてもらいました。
- 入力の手間を増やさない設計: 統合によって「入力は一度で済む」状態を作ったことで、現場にとって新システムが「面倒な追加作業」ではなく「楽になる仕組み」として受け入れられました。
定着で最も効いたのは、技術的な工夫よりも現場を巻き込む順番でした。作る前から現場の声を設計に反映し、移行も現場のペースに合わせたことが、「使われないシステム」になることを防ぎました。
導入後の成果と、振り返って見える成功要因

最後に、統合によって業務がどう変わったか、そして振り返って何が成功要因だったかを整理します。
統合によって変わった業務(ビフォーアフター)
※ ここで示す変化は、本事例における定性的な傾向です。具体的な数値はクライアントの守秘に配慮し、効果の方向性を中心に記述しています。
業務 | 統合前 | 統合後 |
|---|---|---|
配車 | ベテラン頼みの紙・電話。属人化し、実績集計も手作業 | システム上で配車を組み、変更も即共有。判断を支援する仕組みで属人化が緩和 |
在庫 | 拠点ごとの独立 Excel。全社在庫が見えず、ズレが発生 | 全拠点の在庫を1つの基盤でリアルタイム把握。入力は一度で済む |
トレーサビリティ | 伝票を手作業でたどり、問い合わせに即答できない | 出荷履歴が自動で蓄積され、荷物の状況をすぐに確認できる |
最も大きな変化は、「同じ情報を何度も入力し、人手で照合する」作業が大幅に減ったことです。配車で決めたことが在庫と出荷履歴に自動で反映されるため、入力の重複と照合の手間がなくなり、空いた時間を本来の業務判断に充てられるようになりました。荷主からの問い合わせへの即応性も上がり、対応のストレスが下がったという声が現場から上がっています。
振り返って見える成功要因
このプロジェクトを振り返ると、成果を生んだ要因は次の3点に集約されます。これらは、自社で進める際の再現条件としても参考になります。
- スコープを段階的に区切ったこと: 「あれもこれも」を最初に全部やらず、非効率が最も大きい3業務の連動に絞った。これが6か月で作りきれた最大の要因です。
- 現場を早い段階から巻き込んだこと: 要件定義・テスト・移行のすべてで現場のキーパーソンが当事者として関わったことで、暗黙知の言語化と稼働後の定着がスムーズに進みました。
- 後戻りできる単位で段階移行したこと: 一斉切替に賭けず、業務・拠点ごとに段階的に切り替えたことで、現場を止めずに移行できました。
逆に言えば、これらが欠けると統合プロジェクトは頓挫しやすくなります。技術力以上に、スコープの線引きと現場の巻き込み方という進め方の設計が、成否を分けたと言えます。
この事例から見える、自社で物流管理システム開発を進める判断材料
ここまでの事例を、自社に当てはめて考えるための判断材料として整理します。「自社でも実現できそうか」「まず何から相談すればいいか」を描く手がかりにしてください。
この事例が再現しやすい条件・しにくい条件
今回の進め方が再現しやすいのは、次のような条件に当てはまる場合です。
- 複数業務が分断され、同じ情報を何度も入力している自覚がある: 統合の効果が最も出やすいパターンです。
- 「やらないこと」を決められる: 最初から全機能を求めず、優先度の高い業務に絞れる組織は、頓挫しにくくなります。
- 現場のキーパーソンを巻き込める: 業務を分かっている人がプロジェクトに関われると、暗黙知の言語化と定着が進みます。
逆に、再現しにくいのは「全部を一度に作りたい」「現場は忙しいので開発には関わらせたくない」というケースです。統合システムは、発注して待っていれば出来上がるものではなく、業務を一番分かっている人の協力があって初めて成り立つという点は、規模を問わず共通します。
統合を頓挫させないための進め方(最初の一歩)
最後に、自社で検討を始めるときの最初の一歩を整理します。
- 分断している業務と、そこで起きている重複入力・手作業の照合を書き出す: どこに非効率が集中しているかが、統合の優先順位になります。
- 「最初に統合すべき業務」を1〜3つに絞る: 全部を一度に考えず、効果が大きい順に区切ります。
- 将来の拡張は基盤の設計で備え、機能は段階的に足す前提で考える: これがスコープの肥大化を防ぎます。
- 現場のキーパーソンを早い段階から巻き込む体制を想定しておく: 誰に関わってもらうかを先に考えておくと、いざ進めるときにスムーズです。
統合システムの開発にどれくらいの費用がかかるのかという観点では、物流システム開発の費用相場が予算感の参考になります。倉庫・在庫管理に特化して検討を始めたい場合は、WMS開発の進め方ガイドもあわせてご覧ください。
配車・在庫・トレーサビリティの統合は、確かに簡単なプロジェクトではありません。それでも、スコープを区切り、現場を巻き込み、後戻りできる単位で段階的に進めれば、専任のシステム担当がいない中堅企業でも6か月で形にできます。今回の事例が、「自社でも進められそうだ」と感じ、社内で次の一歩を相談するための材料になれば幸いです。
よくある質問
- 専任のシステム担当者がいなくても、物流管理システムの開発を発注側として進められますか?
進められます。本事例では、開発側が要件の言語化や意思決定の整理を伴走する形を取り、業務改善担当者が現場のキーパーソン数名を巻き込むことで、専任担当がいなくても6か月で本番稼働まで到達しました。必要なのは専門知識より、業務を一番分かっている人の協力です。
- 配車・在庫・トレーサビリティを最初から全部統合せず、どこまでに絞るべきですか?
「分断による非効率が最も大きい業務の連動」に絞るのが現実的です。本事例では請求連携や勤怠などを後回しにし、3業務をひとつのデータ基盤で連動させる核の部分に第1フェーズを限定しました。データ基盤だけ拡張しやすく設計しておけば、機能は後から段階的に足せます。
- 本番への切り替え(カットオーバー)で現場の業務が止まらないか不安です。どう進めれば安全ですか?
一斉切替ではなく、業務ごと・拠点ごとに段階的に切り替える方式が安全です。影響の小さい範囲から切り替えて問題がないことを確認しながら広げ、一部は旧運用と並行稼働させます。後戻りできる単位に分けて進めることが、失敗が許されない現場での最も現実的な安全策になります。
- ベテラン配車担当者の経験やノウハウは、システム化するとなくなってしまいますか?
なくなりません。本事例では暗黙知を100%自動化せず、「ルールとして固定する部分」と「担当者が最終判断する部分」に分けて設計しました。人の判断を支援する形に落とし込むことで、現場の納得感を保ちながら属人化を緩和でき、ベテランの知見も活かせます。
- 自社で検討を始めるなら、まず何から手をつければよいですか?
分断している業務と、そこで起きている重複入力・手作業の照合を書き出すことから始めてください。どこに非効率が集中しているかが統合の優先順位になります。その上で最初に統合すべき業務を1〜3つに絞り、現場のキーパーソンを巻き込む体制を想定しておくと、スムーズに進められます。



