2026年第24週(6月第2週)のGitHub Trendingを、週間スター獲得数ベースのランキング形式でお届けします。今週は17リポジトリ中13件が新規ランクインという入れ替わりの激しい週となり、AIエージェント関連のエコシステムが引き続き勢いを保っています。
1位には、Reddit・X・YouTube・Hacker Newsなどを横断して直近30日のトピックを調査するエージェントスキル「last30days-skill」が週間1万2,000スター超でランクインしました。2位のコンテキスト圧縮レイヤー「headroom」も先週に続きトップ層をキープしており、エージェントに「調べさせる」スキルと、その結果を「効率よく読ませる」基盤の両輪が伸びている構図です。
また今週は、Google NotebookLMのオープンソース実装「open-notebook」、Appleが公式に開発するmacOS向けコンテナツール「apple/container」、Linux Foundation傘下に移管された汎用エージェント「goose」など、大手・著名プロジェクトの存在感も目立ちました。AIエージェントの周辺ツールだけでなく、コンテナ・セキュリティといったインフラ系の定番も顔を出しており、バランスの取れたラインナップです。
それでは、各リポジトリの注目ポイントを順に見ていきましょう。
ランキング
1位: mvanhorn/last30days-skill ⭐ +12,422 NEW
github.com/mvanhorn/last30days-skill | Python | ★ 39,882 | Forks: 3,208
任意のトピックについて、Reddit・X・YouTube・Hacker News・Polymarket・Webを横断して直近30日の情報を調査し、要約ブリーフを合成するAIエージェントスキルです。アップボートやいいね数といった実際のエンゲージメント指標で情報をスコアリングするため、「ネット上で本当に話題になっていること」を根拠付きで把握できます。
Reddit・Hacker News・Polymarket・GitHubは設定不要で即座に動作し、セットアップウィザードを使えばXやYouTube、TikTokなども追加できます。Claude Codeのマーケットプレース経由でのインストールが推奨されていますが、CodexやCursor、Gemini CLIなど50以上のエージェント環境に対応している点も普及を後押ししています。「エージェントにリサーチを任せる」ユースケースの定番スキルになりつつある注目株です。
2位: chopratejas/headroom ⭐ +11,282
github.com/chopratejas/headroom | Python | ★ 23,456 | Forks: 1,521
→ 深掘り記事: LLMトークンを最大95%削減するOSS「Headroom」とRTK・lean-ctxの違い
ツール出力・ログ・ファイル・RAGチャンクをLLMに渡す前に圧縮する「コンテキスト最適化レイヤー」です。トークン消費を60〜95%削減しながら、回答品質は維持できるとうたっています。ライブラリ・プロキシ・MCPサーバーの3形態で導入でき、ローカルで動作するためデータが外部に出ない点も安心です。
JSON・コード・ログ・diffなどコンテンツ種別ごとの圧縮器と、圧縮結果をキャッシュして原文を取り出せるCompress-Cache-Retrieve(CCR)ストアを組み合わせており、LLMが必要なときに元データへアクセスできる「可逆圧縮」が特徴です。エージェントの長時間稼働でコンテキストコストが膨らむ課題への現実解として、先週に続きトップ層をキープしています。
3位: lfnovo/open-notebook ⭐ +4,796 NEW
github.com/lfnovo/open-notebook | TypeScript | ★ 29,326 | Forks: 3,321
→ 深掘り記事: NotebookLMの自己ホスト代替OSS「Open Notebook」とは|選定基準と違い
Google NotebookLMのオープンソース実装です。Dockerでセルフホストでき、PDF・動画・音声・WebページをアップロードしてRAGベースの分析・要約・チャットができます。マルチスピーカーのポッドキャスト生成にも対応しており、NotebookLMの看板機能を一通り押さえています。
最大の差別化ポイントはモデルの自由度です。NotebookLMがGemini固定なのに対し、open-notebookはOpenAI・Anthropic・Ollama・LM Studioなど18以上のプロバイダに対応し、タスクごとにモデルを使い分けられます。機密文書を外部クラウドに送らずにAI分析したい企業ニーズとも合致しており、MITライセンスという扱いやすさも追い風です。技術スタックはNext.js + FastAPI + SurrealDBで構成されています。
4位: phuryn/pm-skills ⭐ +4,005 NEW
github.com/phuryn/pm-skills | ★ 16,410 | Forks: 1,700
プロダクトマネージャー向けに100以上のエージェントスキル・コマンド・プラグインを集めた「PM Skills Marketplace」です。プロダクト発見から戦略・実行・ローンチ・グロースまで、PM業務の全工程をカバーしています。
各スキルはTeresa TorresやMarty Caganといった著名プロダクト思想家のフレームワークをエンコードしており、市場調査・プロダクト戦略・ディスカバリー・AIアプリの出荷支援など9つのプラグインで構成されます。コマンド同士がPMのワークフローに沿って連結し、完了後に次のコマンドを提案してくれる設計も実務的です。エンジニア向けが中心だったエージェントスキルが、PMのような非開発職へ広がっている象徴的なプロジェクトといえます。
5位: openai/plugins ⭐ +1,424 NEW
github.com/openai/plugins | JavaScript | ★ 2,822 | Forks: 324
OpenAIによるCodex向けプラグイン例のキュレーションリポジトリです。各プラグインは.codex-plugin/plugin.jsonマニフェストを必須とし、skillsやMCP設定などの補助ファイルを同梱する構成になっています。
OpenAIは2026年3月末にプラグインマーケットプレースをローンチし、4月には90以上の統合に拡大しました。コミュニケーション・プロジェクト管理・CI/CD・データベース・コードレビュー/セキュリティなど7カテゴリが揃い、エンタープライズでの採用事例も増えています。本リポジトリはその公式リファレンス実装集にあたり、Codexプラグインを自作する際の出発点として注目を集めています。
6位: Panniantong/Agent-Reach ⭐ +5,186 NEW
github.com/Panniantong/Agent-Reach | Python | ★ 26,444 | Forks: 2,170
→ 深掘り記事: AIエージェントのWeb横断にAgent Reachが選ばれる理由|競合OSSとの違い
AIエージェントに「インターネット全体を見る目」を与えるCLIツールです。Twitter/X・Reddit・YouTube・GitHub・Bilibili・小紅書(XiaoHongShu)など16以上のプラットフォームを、API利用料ゼロで読み取り・検索できます。
仕組みとしては、Cookie認証・公開スクレイピング・無料のMCPサービス(Exa、Jina Reader)を組み合わせることで、有料APIへの依存を回避しています。pip install agent-reachとagent-reach installを実行するだけで、Claude Code・Cursor・Windsurf・Codexなどシェルコマンドを実行できる任意のエージェントに組み込める手軽さが支持されています。中国系プラットフォームへの対応が厚い点もユニークです。
7位: NVIDIA/cosmos ⭐ +1,099 NEW
github.com/NVIDIA/cosmos | Jupyter Notebook | ★ 9,940 | Forks: 642
ロボット・自動運転車・スマートインフラなどの「Physical AI(物理AI)」開発を支える、NVIDIAのワールドモデル・データセット・ツールのオープンプラットフォームです。
言語・画像・動画・音声・アクションを統合的に処理するオムニモーダルワールドモデル群「Cosmos 3」を中心に、動画形式で世界の未来状態を予測するCosmos-Predict2.5、空間制御入力に基づく高品質シミュレーションを生成するCosmos-Transfer2.5、物理常識を理解して推論するCosmos-Reason2などで構成されます。視覚言語モデル・動画生成・ワールドシミュレータを単一フレームワークに統合するアプローチで、ロボティクス分野の研究開発者から熱い視線を集めています。
8位: Leonxlnx/taste-skill ⭐ +8,413 ↑
github.com/Leonxlnx/taste-skill | Shell | ★ 41,727 | Forks: 2,921
→ 深掘り記事: AI生成UIの量産化を防ぐ「Taste Skill」が選ばれる理由
AIコーディングエージェントに「良いデザインセンス」を与えるスキルです。AIが生成しがちな、退屈で汎用的なUI——いわゆる「slop(スロップ)」を防ぐことを目的としています。
具体的には、レイアウト・タイポグラフィ・余白・モーションの設計ルールを提供し、「AI紫グラデーション」「中央寄せヒーローセクション」「等幅3枚の機能カード」といったLLMの定番出力を意図的に避けさせます。実験的なv2が新しいデフォルトとなり、参照ボード用の画像生成スキルも同梱されました。先週9位から順位を1つ上げており、AI生成UIの没個性化に対する問題意識の高まりを反映しています。
9位: apple/container ⭐ +4,081 NEW
github.com/apple/container | Swift | ★ 33,198 | Forks: 922
Apple公式の、Mac上で軽量仮想マシンを使ってLinuxコンテナを作成・実行するツールです。Swiftで書かれ、Apple siliconに最適化されています。
OCI互換のコンテナイメージを扱えるため、Docker Hubなど標準レジストリからのpullや、ビルドしたイメージのpushがそのまま可能です。低レベルのコンテナ・イメージ管理にはAppleのContainerization Swiftパッケージを利用し、macOS 26の仮想化・ネットワーキング新機能を活用します。--arch指定でarm64/amd64両対応イメージもビルドでき、Docker Desktopの代替としてMac開発者の関心を集め続けています。
10位: microsoft/markitdown ⭐ +7,280 ↓
github.com/microsoft/markitdown | Python | ★ 151,395 | Forks: 10,437
Microsoftによる、各種ファイルやOffice文書をMarkdownに変換するPythonツールです。LLMやテキスト分析パイプラインへの入力整形を主目的としています。
見出し・リスト・テーブル・リンクなどの文書構造を保持したまま変換でき、ExcelはMarkdownテーブルに、文書プロパティはYAMLフロントマターに変換されます。OCRオプションを使えば画像ベースのPDFからのテキスト抽出にも対応します。pip install 'markitdown[all]'で導入でき、わずか数行のコードで変換できる手軽さが魅力です。先週3位からは順位を下げたものの、累計15万スターを超える定番ツールとして安定した人気を保っています。
11位: Open-LLM-VTuber/Open-LLM-VTuber ⭐ +1,676 NEW
github.com/Open-LLM-VTuber/Open-LLM-VTuber | Python | ★ 11,036 | Forks: 1,273
→ 深掘り記事: ローカルで動くAI VTuber「Open-LLM-VTuber」の仕組みと類似OSSとの違い
任意のLLMとハンズフリーで音声対話できる、Live2Dアバター付きのAIコンパニオンです。Windows・macOS・Linuxに対応し、全機能が完全オフラインで動作します。
リアルタイム音声認識と音声活動検出に加え、エコーキャンセルによって「ヘッドホンなしでもAIの発話に割り込める」体験を実現している点が技術的な見どころです。感情マッピング付きのLive2D表情や、デスクトップに常駐させる透過背景のペットモードも備えます。LLMはOllama・OpenAI・Claude・DeepSeekなど、音声認識・合成も多様なエンジンから選択可能です。AI VTuber「neuro-sama」のオープンソース再現を目指して始まったプロジェクトで、ローカルAIコンパニオン需要の高まりとともに再浮上しました。
12位: CopilotKit/CopilotKit ⭐ +2,751 NEW
github.com/CopilotKit/CopilotKit | TypeScript | ★ 34,759 | Forks: 4,335
AIエージェントと生成UIのための「フロントエンドスタック」です。React・Angular・モバイル・Slackなどマルチプラットフォームに対応し、チャットUI・生成UI・共有状態・Human-in-the-Loopの4つを柱としています。
開発元はエージェントとユーザー向けアプリを双方向につなぐ「AG-UIプロトコル」の策定元でもあり、同プロトコルはGoogle・LangChain・AWS・Microsoft・PydanticAIなどに採用されています。同一のエージェントをWebアプリ・モバイルアプリ・Slackワークスペースに展開できる点が近年の進化で、エージェントを「バックグラウンドの処理」から「ユーザーと協働する存在」に変えるレイヤーとして存在感を増しています。
13位: aquasecurity/trivy ⭐ +792 NEW
github.com/aquasecurity/trivy | Go | ★ 36,350 | Forks: 470
→ 深掘り記事: コンテナ脆弱性スキャンにTrivyが選ばれる理由|GrypeやClairとの違い
コンテナ・Kubernetes・コードリポジトリ・クラウドを対象に、脆弱性(CVE)・設定ミス・シークレット・SBOMを検出する総合セキュリティスキャナーです。Aqua Securityが開発するGo製のOSSで、この分野の事実上の定番ツールとなっています。
OSパッケージと言語別依存関係の両方を可視化でき、SBOMの生成・スキャンや、Kubernetesクラスタの構成要素を棚卸しするKBOM(Kubernetes Bill of Materials)にも対応します。自動更新されるコンパクトなデータベースを内蔵し、外部ミドルウェアなしでCI/CDパイプラインに組み込める手軽さが強みです。AI関連が席巻する今週のランキングで、インフラセキュリティの普遍的な需要を示す存在です。
14位: santifer/career-ops ⭐ +4,111 NEW
github.com/santifer/career-ops | JavaScript | ★ 52,887 | Forks: 10,589
Claude Code上に構築されたAI求職支援システムです。14のスキルモード、Go製ダッシュボード、PDF生成、バッチ処理を備えています。
Playwrightで企業の採用ページを自動巡回し、キーワードマッチではなく「CVと職務記述を読み比べた推論」で適合度を評価する点が特徴です。求人ごとに10次元の加重スコアでA〜F評価を付け、ATS(採用管理システム)に最適化した履歴書PDFを自動生成します。作者が自身の転職活動で631件の求人を評価するために作ったツールをオープンソース化したところ急拡大した、という経緯も話題を呼びました。Claude CodeのほかOpenCodeやGemini CLIでも動作します。
15位: NousResearch/hermes-agent ⭐ +10,733 NEW
github.com/NousResearch/hermes-agent | Python | ★ 191,192 | Forks: 33,215
Nous Researchによる「あなたとともに成長するエージェント」です。IDEに紐づくコーディング支援でも単なるチャットボットでもなく、自分のサーバーに常駐して学習を蓄積し、稼働期間が長いほど有能になる自律パーソナルエージェントを目指しています。
永続メモリに加え、複雑なタスクを完了すると自律的にスキルを生成し、そのスキル自体が使用を通じて自己改善していく設計が核心です。Telegram・Discord・Slack・WhatsApp・Email・CLIなど複数チャネルから同じエージェントにアクセスでき、モデルはOpenRouterの200以上のモデルや自前エンドポイントを自由に切り替えられます。週間1万スター超を獲得しており、「育てるエージェント」というコンセプトへの関心の高さがうかがえます。
16位: revfactory/harness ⭐ +973 ↓
github.com/revfactory/harness | HTML | ★ 6,854 | Forks: 935
→ 深掘り記事: Claude Codeのエージェントチームを自動設計するOSS「Harness」
ドメイン特化のエージェントチームを設計し、専門エージェントの定義から各エージェントが使うスキルの生成までを単一プロンプトで行う「メタスキル」です。
「build a harness」と指示すると6フェーズの構造化パイプラインが走り、.claude/agents/と.claude/skills/にプロジェクト固有のエージェントチーム一式を自動生成します。パイプライン型・ファンアウト/ファンイン型・エキスパートプール型・スーパーバイザー型など複数のチームアーキテクチャに対応し、10ドメイン100種の本番向けハーネス集「harness-100」も公開されています。先週4位からは順位を下げましたが、エージェントチーム設計の自動化という方向性は引き続き注目に値します。
17位: aaif-goose/goose ⭐ +2,509 NEW
github.com/aaif-goose/goose | Rust | ★ 48,952 | Forks: 5,157
→ 深掘り記事: 汎用AIエージェントgooseとは|Aider/OpenHandsとの違いと選び方
コード提案にとどまらず、インストール・実行・編集・テストまで任意のLLMで実行できる、オープンソースの汎用AIエージェントです。Rust製で、macOS・Linux・Windows向けのネイティブデスクトップアプリ、CLI、組み込み用APIの3つの形態を提供します。
もともとBlock社(旧Square)が開発していたgooseが、Linux Foundation傘下の新組織Agentic AI Foundation(AAIF)に移管され、本リポジトリでの開発体制となりました。Anthropic・OpenAI・Ollamaなど15以上のプロバイダに対応し、MCP経由で70以上の拡張に接続できます。中立的な財団ガバナンスの下でエージェント基盤の標準を目指す動きとして、移管後も高い注目を集めています。
今週の傾向分析
今週のランキングで最も目立ったのは、「エージェントスキル」エコシステムの多様化です。1位のlast30days-skill(リサーチ)、8位のtaste-skill(デザインセンス)、4位のpm-skills(プロダクトマネジメント)、16位のharness(チーム設計のメタスキル)と、用途の異なるスキルが4つもランクインしました。コーディング支援が中心だったスキル市場が、リサーチ・デザイン・PM業務といった非コーディング領域へ急速に拡大していることが読み取れます。
2つ目の傾向は、エージェントの「入出力インフラ」への投資です。2位のheadroom(コンテキスト圧縮)と6位のAgent-Reach(Web読み取り)は、いずれもエージェント本体ではなく、エージェントが情報を「読む」コストと範囲を改善するレイヤーです。12位のCopilotKit(フロントエンド接続層)も含め、エージェントの周辺基盤を固めるプロジェクトが評価される段階に入っています。
3つ目は、大手企業・財団によるオープンソース戦略の存在感です。5位のopenai/plugins、7位のNVIDIA/cosmos、9位のapple/container、10位のmicrosoft/markitdown、そしてLinux Foundation傘下に移管された17位のgooseと、ビッグネームのリポジトリが5件を占めました。特にgooseのAAIF移管は、エージェント基盤を特定企業ではなく中立的なガバナンスで育てる流れの象徴といえます。
前週との比較では、17件中13件が新規ランクインと大きく入れ替わりました。先週1位のMoneyPrinterTurboや上位常連だったプロジェクトの多くが圏外となる一方、headroom(2位継続)とtaste-skill(9位→8位)が定着の気配を見せています。
まとめ
2026年第24週のGitHub Trendingは、「エージェントスキルの守備範囲拡大」と「エージェント周辺インフラの成熟」が同時に進む一週間でした。リサーチ・デザイン・PM業務・求職活動まで、スキルとして配布できる業務の幅が広がり、それを支えるコンテキスト圧縮やWeb読み取りといった基盤も着実に育っています。
一方で、apple/containerやtrivyのようなコンテナ・セキュリティの定番、NVIDIA/cosmosのような物理AIプラットフォームも上位に入っており、AIエージェント一色ではない健全な多様性も保たれています。来週はどのプロジェクトが定着し、どんな新顔が現れるのか、引き続き定点観測していきます。



