2026年第28週(7月6日〜7月10日)のGitHub Trendingでは、21件中14件が新規ランクインとなり、先週から顔ぶれが大きく入れ替わりました。1位を獲得したのは、Claude Code上に構築されたAI求人活動フレームワーク「ai-job-search」です。求人検索からCV作成、面接準備までを自動化する構成が支持を集め、13,847スターを一気に積み上げています。
今週の特徴は、汎用的なAIエージェント基盤ではなく「特定の業務課題を解決する」実務特化型ツールへの注目が集まった点です。求人活動(ai-job-search)、会議記録(meetily)、動画視聴・編集(claude-video、video-use)、セキュリティ診断(strix)といった、具体的な業務シーンに直結するツールが軒並み上位にランクインしています。
一方で、先週1位だった投資リサーチフレームワーク「ai-berkshire」は16位まで後退し、動画編集ツール「video-use」も17位から21位に順位を落としました。トレンドの移り変わりが速いことを示す結果です。反対に、AIペンテストツール「strix」(9位→3位)、ターミナル常駐型エージェントマルチプレクサ「herdr」(20位→7位)、インページGUIエージェント「page-agent」(18位→8位)、無料AIゲートウェイ「OmniRoute」(19位→9位)は軒並り順位を上げており、AIエージェントを「運用・管理・多重化する」ための周辺ツール群への関心の高まりがうかがえます。
以下、TOP21のランキングを詳しく見ていきます。
ランキング
1位: MadsLorentzen/ai-job-search ⭐ +13,847 NEW
github.com/MadsLorentzen/ai-job-search | TypeScript | ★ 19,454 | Forks: 5,573
Claude Code上に構築されたAI求人活動フレームワークです。プロフィールを登録すると、Claudeが求人ポータルから案件を収集し、適合度を評価した上でCVとカバーレターを個別に調整・作成し、面接対策まで支援します。/setup→/scrape→/apply <url>という3ステップのワークフローで完結する設計がシンプルで、求人ポータル検索スキル自体はデンマーク市場向けに実装されていますが、コアとなる自己プロファイリングと申請パイプラインは言語・国を問わず流用可能です。転職活動という誰もが直面する課題にAIエージェントを当てはめた分かりやすさが、今週最大の伸びにつながったと考えられます。
2位: Zackriya-Solutions/meetily ⭐ +8,885 NEW
github.com/Zackriya-Solutions/meetily | Rust | ★ 22,264 | Forks: 2,236
→ 深掘り記事: オープンソースAI議事録ツールにMeetilyが選ばれる理由と類似OSSとの違い
プライバシー重視のAI会議アシスタントです。Parakeet/Whisperによるリアルタイム文字起こしを4倍高速化し、話者分離とOllamaによる要約をRust実装で提供します。すべての処理をローカルで完結できるため、クラウドに音声データを送信する必要がなく、macOS/Windows向けのセルフホスト型ノートテイカーとして「業界No.1」を掲げています。会議の議事録作成を外部サービスに依存したくない企業からの支持が伺えます。
3位: usestrix/strix ⭐ +8,370 ↑
github.com/usestrix/strix | Python | ★ 39,679 | Forks: 4,064
→ 深掘り記事: AIペンテストOSSにStrixが選ばれる理由とPentAGIとの違い
自律型AIペネトレーションテストエージェントです。実際にアプリケーションを動的に実行しながら脆弱性を発見し、実証済みのPoC(Proof of Concept)で検証まで行います。マルチエージェント編成による並行スキャン、静的解析ツールにありがちな誤検知の少なさ、自動修正パッチの生成、コンプライアンス対応レポートの出力までを一括カバーします。GitHub ActionsやCI/CDパイプラインとの連携で、プルリクエストごとに自動で脆弱性スキャンを走らせられる点も、開発フローに組み込みやすく評価されているポイントです。先週9位から3位へ大きく順位を上げました。
4位: facebook/astryx ⭐ +4,087 NEW
github.com/facebook/astryx | TypeScript | ★ 7,503 | Forks: 519
→ 深掘り記事: Meta 発 OSS デザインシステム「Astryx」の仕組みと特徴
Meta社内で8年をかけて育まれ、13,000以上の社内アプリで使われてきたデザインシステムをオープンソース化したものです。React・StyleXをベースに150以上のアクセシブルなコンポーネント、ブランドレベルのテーマ機能、ダークモード、CLIを一体で提供します。特徴的なのは「人とAIエージェントが同じツールで同じように構築できる」ことを明示的な設計思想として掲げている点で、コンポーネントの内部実装を丸ごと自プロジェクトにeject(swizzle)できる仕組みも備えています。
5位: asgeirtj/system_prompts_leaks ⭐ +7,149 NEW
github.com/asgeirtj/system_prompts_leaks | JavaScript | ★ 55,261 | Forks: 9,030
→ 深掘り記事: ChatGPT・Claude・Geminiのシステムプロンプトを分析する方法
Claude・ChatGPT・Gemini・Grokなど、主要AIチャットボットのシステムプロンプトを収集・ドキュメント化し続けているリポジトリです。Claude Sonnet 5やGPT-5.5 Codexなど、直近のモデルアップデートに追従して更新が続いており、The Washington Postでも取り上げられた実績があります。各モデルの挙動の裏側を知りたいエンジニアやプロンプトエンジニアリング従事者から継続的に参照されています。
6位: openai/codex-plugin-cc ⭐ +4,792 NEW
github.com/openai/codex-plugin-cc | JavaScript | ★ 27,197 | Forks: 1,666
Claude Codeの内部からOpenAI Codexを呼び出せるプラグインです。/codex:reviewで読み取り専用のコードレビューを、/codex:adversarial-reviewでより踏み込んだアドバーサリアルレビューを実行できるほか、/codex:rescueや/codex:transferなどバックグラウンドジョブの引き継ぎ・管理コマンドも備えています。ChatGPTの有料/無料サブスクリプションまたはOpenAI APIキーが必要で、Claude CodeとCodexという異なるベンダーのエージェントを1つのワークフローの中で使い分けたいニーズに応える形です。
7位: ogulcancelik/herdr ⭐ +4,756 ↑
github.com/ogulcancelik/herdr | Rust | ★ 14,863 | Forks: 872
→ 深掘り記事: 複数のAIエージェントをターミナルで並列管理するOSS「herdr」の仕組み
ターミナルに常駐するエージェントマルチプレクサです。複数のAIエージェントの状態(ブロック中・作業中・完了)を一目で確認でき、デタッチ後もエージェントは動作を継続し、別のターミナルやSSH経由での再アタッチにも対応します。純粋なソケットAPIを備えており、エージェント同士がペインを操作したり、互いの出力を読み取って待機したりすることも可能です。Rust製のシングルバイナリでElectronに依存しない軽量さも支持されています。先週20位から7位へ大きく上昇しました。
8位: alibaba/page-agent ⭐ +4,459 ↑
github.com/alibaba/page-agent | TypeScript | ★ 25,557 | Forks: 2,241
→ 深掘り記事: Webページ埋め込み型AIエージェント「PageAgent」の仕組み
Webページに直接組み込めるインページGUIエージェントです。1本のスクリプトを読み込むだけで、任意のWebページにAIエージェント機能を付与できます。ブラウザ拡張機能やPythonのヘッドレスブラウザは不要で、スクリーンショットやマルチモーダルLLMを使わずテキストベースのDOM操作のみで動作する設計が特徴です。任意のLLMを組み込める柔軟性もあり、先週18位から8位へ順位を上げました。
9位: diegosouzapw/OmniRoute ⭐ +4,119 ↑
github.com/diegosouzapw/OmniRoute | TypeScript | ★ 14,401 | Forks: 2,130
237以上のAIプロバイダー(うち90以上が無料枠)を1つのエンドポイントに集約する無料AIゲートウェイです。Claude Code・Codex・Cursor・Cline・Copilotなどから、無料枠のClaude/GPT/Geminiに接続でき、プロバイダー障害時の自動フォールバックにも対応します。独自の圧縮方式によりトークン消費を15〜95%削減すると謳っており、無料枠を使い切りたくない個人開発者からの支持で先週19位から9位に上昇しました。
10位: bradautomates/claude-video ⭐ +3,630 NEW
github.com/bradautomates/claude-video | Python | ★ 6,791 | Forks: 775
Claudeに動画を「視聴」する能力を与えるツールです。/watchコマンドを実行すると、動画のダウンロード・シーンを考慮したフレーム抽出・タイムスタンプ付き文字起こしを行い、各フレームを画像としてClaudeに読み込ませます。キャプションが利用できる動画はそちらを優先して使い、キャプションがない場合のみWhisper APIにフォールバックすることでコストを抑えています。競合動画の構成分析やバグ再現動画からの原因特定など、具体的な活用シーンが明確に提示されている点も評価につながっています。
11位: TencentCloud/CubeSandbox ⭐ +2,284 NEW
github.com/TencentCloud/CubeSandbox | Rust | ★ 9,374 | Forks: 803
AIエージェント向けの高速・並行・セキュア・軽量なサンドボックスサービスです。数十ミリ秒単位の起動時間、ハードウェアレベルの分離、E2B互換API、高並行・高密度デプロイへの対応を掲げています。CNCFランドスケープにも掲載されており、エージェントに安全にコード実行環境を与えるインフラ層の需要の高まりを反映した結果と言えます。
12位: dotnet/skills ⭐ +886 NEW
github.com/dotnet/skills | C# | ★ 4,496 | Forks: 331
→ 深掘り記事: AIコーディングエージェント強化に.NET Skillsが選ばれる理由
.NETチームが公式に整備する、コーディングエージェント向けのスキル・カスタムエージェント集です。C#のLSP連携、Entity Framework、MSBuild、NuGet、.NET MAUI、ASP.NET Core、Blazorなど.NET開発の主要領域を幅広く網羅しており、各プラグインの精度・効率のスコアリング推移を可視化する専用ダッシュボードも公開しています。大手ベンダーが自社エコシステム向けにAgent Skills標準へ対応する動きの一例です。
13位: stablyai/orca ⭐ +4,111
github.com/stablyai/orca | TypeScript | ★ 15,243 | Forks: 1,061
Codex・Claude Code・OpenCode・Piなど複数のコーディングエージェントを、それぞれ独立したworktreeで並行実行できるAIオーケストレーターです。モバイルアプリからエージェントの進捗確認や追加指示の送信ができ、完了通知も受け取れます。macOS/Windows/Linux対応のデスクトップアプリとして提供されており、先週から順位を維持しています。
14位: huggingface/speech-to-speech ⭐ +788 NEW
github.com/huggingface/speech-to-speech | Python | ★ 5,847 | Forks: 725
VAD→STT→LLM→TTSの完全モジュール型音声エージェントパイプラインです。OpenAI Realtime互換のWebSocket APIとして公開されており、各コンポーネントを自由に交換できます。LLM部分はOpenAI互換プロトコルに対応していれば良いため、vLLMやllama.cppによるフルローカル構成も可能です。Hugging Faceの家庭用ロボット「Reachy Mini」の会話バックエンドとして本番運用されている実績があります。
15位: harvard-edge/cs249r_book ⭐ +1,969 NEW
github.com/harvard-edge/cs249r_book | Python | ★ 27,262 | Forks: 3,275
→ 深掘り記事: 機械学習システム工学の独学にMLSysBookが選ばれる理由
「Machine Learning Systems」と題した、AIシステムのエンジニアリング原則と実践をまとめたオープン教科書プロジェクトです。英語・中国語・日本語・韓国語に対応し、書籍本体に加えてTinyTorch・Labs・Kits・Slidesなど複数のコンポーネントをCIで検証しながら継続的に更新しています。実務者・学生の双方から参照される教育リソースとしての性格が強いプロジェクトです。
16位: xbtlin/ai-berkshire ⭐ +3,757 ↓
github.com/xbtlin/ai-berkshire | Python | ★ 12,393 | Forks: 1,660
→ 深掘り記事: AI時代のバリュー投資リサーチにai-berkshireが選ばれる理由
バフェット・マンガー・段永平・李録の価値投資方法論を体系化し、Claude Code/Codex上でAIエージェントによる投資リサーチを行うSkill集です。実運用ポートフォリオの2024年+69.29%、2025年+66.38%というリターン実績を公開し、主要指数対比の超過収益を訴求している点がユニークです。先週1位から今週は16位まで後退しました。
17位: ruvnet/RuView ⭐ +3,537 NEW
github.com/ruvnet/RuView | Rust | ★ 79,701 | Forks: 10,723
→ 深掘り記事: WiFiとESP32でカメラなし人物検知「RuView」の仕組みと使い方
市販のWiFiルーターが発する電波(CSI: Channel State Information)を利用し、カメラなしで人の存在・呼吸・心拍・転倒などを検知する空間センシングプラットフォームです。Home Assistant・Apple Home・Google Home・Alexa・Matterとネイティブ連携し、1ノード約9ドルのESP32メッシュで構築できます。すべてエッジ側で完結するためクラウド・カメラ・インターネット接続が不要で、測定値はEd25519による署名で改ざん検知する設計になっています。
18位: saadeghi/daisyui ⭐ +261 NEW
github.com/saadeghi/daisyui | Svelte | ★ 41,546 | Forks: 1,649
→ 深掘り記事: TailwindコンポーネントでdaisyUIが選ばれる理由|他OSSとの違い
Tailwind CSS向けの人気オープンソースコンポーネントライブラリ「daisyUI 5」です。今週は新規ランクインですが、既存の定番ライブラリとして着実にスターを積み上げ続けている状況で、AIエージェント系ツールが目立つ今週のランキングの中でも根強い需要があることを示しています。
19位: immich-app/immich ⭐ +2,194 NEW
github.com/immich-app/immich | TypeScript | ★ 107,123 | Forks: 6,149
→ 深掘り記事: セルフホスト写真管理にImmichが選ばれる理由と競合OSSとの違い
高性能なセルフホスト型の写真・動画管理ソリューションです。12言語以上のREADMEが用意されており、Google Photosの代替となるセルフホストソリューションとして世界的に定番化しつつあります。10万スターを超える実績が、その完成度と継続的な支持の高さを物語っています。
20位: steipete/CodexBar ⭐ +1,679 NEW
github.com/steipete/CodexBar | Swift | ★ 17,390 | Forks: 1,419
Codex・Claude・Cursor・Gemini・Copilotなど、主要AIコーディングプロバイダーの利用上限をメニューバーに一括表示するmacOSアプリです。セッション・週次・月次それぞれのリセットタイミングをカウントダウン表示し、長時間タスクを開始すべきかどうかの判断を支援します。既存のプロバイダーセッション(OAuth・APIキー等)を再利用する設計でパスワードを保存しない、プライバシー重視の実装も特徴です。
21位: browser-use/video-use ⭐ +2,645 ↓
github.com/browser-use/video-use | Python | ★ 16,291 | Forks: 1,918
→ 深掘り記事: video-useで動画編集をClaude Codeに任せる仕組みと設計
Claude Codeで動画編集を行う「video-use」です。フォルダに素材を入れてチャットするだけで完成動画を生成し、フィラーワード除去・自動カラーグレーディング・字幕焼き込み・アニメーションオーバーレイ生成(並列サブエージェントで実行)までを一括対応します。編集結果をカット単位で自己評価し、セッションメモリを永続化して次回作業を再開できる点もユニークです。先週17位から今週は21位に後退しました。
今週の傾向分析
今週のランキングを俯瞰すると、大きく4つの潮流が見えてきます。
1つ目は「業務特化型AIエージェント」の台頭です。 ai-job-search(求人活動)、meetily(会議記録)、claude-video・video-use(動画視聴・編集)など、汎用的なAIエージェント基盤ではなく特定の業務課題に特化したツールが上位を占めました。1位のai-job-searchが象徴的なように、誰もが直面する具体的な課題にAIエージェントを当てはめる分かりやすさが支持を集めています。
2つ目は「AIエージェントを運用・管理する周辺ツール」への関心の高まりです。 herdr(20位→7位)、page-agent(18位→8位)、OmniRoute(19位→9位)、CodexBar、CubeSandboxなど、複数のAIエージェントを同時に走らせ、管理し、コストを抑えるためのツール群が軒並み順位を上げました。AIエージェントの利用が「1つを動かす」段階から「複数を並行運用する」段階に移行しつつあることを示唆しています。
3つ目はAIセキュリティ領域の伸びです。 strixが先週9位から3位へ上昇し、自律型ペンテストエージェントへの注目度の高さがうかがえます。CI/CDへの組み込みやすさが評価されている点も、開発フローへのAI活用の浸透を反映しています。
4つ目は先週の上位勢の入れ替わりです。 先週1位だったai-berkshireは16位に、17位だったvideo-useは21位にそれぞれ後退しました。21件中14件がNEWエントリーという結果からも、GitHub Trendingの上位は週替わりでの入れ替わりが激しく、話題性の持続期間が短いことが読み取れます。
まとめ
2026年第28週のGitHub Trendingは、求人活動支援からペンテスト、会議記録、動画編集まで、実務課題に直結するAIエージェントツールが上位を独占する週となりました。同時に、複数のAIエージェントを同時運用するための管理・オーケストレーションツールも軒並み順位を上げており、AIエージェントの活用がより実践的・実務的なフェーズに入ってきていることがうかがえます。一方で上位の入れ替わりも激しく、今後もAIエージェントを軸にした新しいツールが次々と登場することが予想されます。来週以降の動向も引き続き追っていきます。



