システム開発
2025.11.13

システム開発における見積もりのチェックポイントとは?費用相場からRFP作成まで詳しく解説


システム開発における見積もりのチェックポイントとは?費用相場からRFP作成まで詳しく解説

システム開発を発注しようと複数の会社から見積もりを取り寄せた際、「なぜ同じ内容なのにA社は100万円、B社は500万円と、ここまで金額が違うのか?」と驚いた経験はありませんか?

システム開発の見積書は専門用語も多く、一見しただけでは妥当性の判断が非常に難しいものです。

もし価格の安さだけで安易に選んでしまうと、「本当に必要な機能が足りなかった」「契約後に高額な追加費用を請求された」といった、プロジェクトが失敗する(いわゆる「炎上」)事態に繋がりかねません。

この記事では、システム開発の見積もりが会社によって異なる根本的な理由から、費用の内訳と相場、そして「騙されない」ために適正な見積書を見抜くチェックポイントまで、発注担当者が知っておくべき知識を解説します。

さらに、開発会社から正確な見積もりを引き出すための「RFP(提案依頼書)」の作り方も紹介しますので、最後までご覧ください。

▼システム開発に関しては「システム開発とは?開発手法・工程・費用・外注メリットまで徹底解説」の記事でも解説しています。
システム開発とは?開発手法・工程・費用・外注メリットまで徹底解説

石川瑞起
執筆者
秋霜堂株式会社 代表 石川瑞起
中学生でプログラミングを独学で習得し、HP制作やアプリ開発の事業を開始。 大学入学後に事業を売却し、トヨクモ株式会社へ入社。 3年間にわたり1製品の開発責任者を務めたのち秋霜堂株式会社を設立し、多数の企業をサポートしている。
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システム開発における見積もりの役割と重要性

まず初めに、「見積書=価格表」という考えを改める必要があります。システム開発において、見積書はプロジェクトの成否を分ける「契約書の土台」となる、非常に重要な文書です。その本当の役割と重要性を理解しましょう。

見積もりは単なる「価格表」ではない

多くの人が、見積書を「いくらかかるか」だけを知るための価格表だと考えがちです。しかし、システム開発において、見積書は「プロジェクトの設計図」そのものです。

そこには、「どんな機能を作るか」「どこまでの作業を開発会社が担当するか」といった、プロジェクトの全範囲(スコープ)が定義されています。この「設計図」が曖昧なままプロジェクトを進めると、完成形がズレてしまうのは当然です。

見積書は、発注者と開発会社が「これから一緒に何を作るのか」という共通のゴールを確認し、合意するための最も重要な資料なのです。

発注側・開発側の「認識のズレ」を防ぐ重要性

「こんな機能も当然入っていると思った」 「その作業は聞いていないので、別料金です」

システム開発で最も多いトラブルが、こうした「認識のズレ」です。発注側が「常識」だと思っていることでも、開発側にとっては「指示されていない作業」であることは珍しくありません。

例えば、「会員登録機能」と一口に言っても、「LINEやGoogleでのログイン機能も含むのか?」「パスワードを忘れた時の再発行機能は必要か?」といった詳細なレベルで認識を合わせておかなければ、後から「それは見積もりに入っていません」と追加費用を請求される原因になります。

見積もり段階での綿密なすり合わせこそが、後のトラブルを防ぐ最大の防御策です。

システム開発特有の「2段階見積もり」とは?

システム開発では、見積もりが2回に分けて提示されることが一般的です。

概算見積もり

相談の初期段階で、「大体これくらい」と幅を持たせて提示される、ざっくりとした金額です。開発会社の過去の似たような事例を参考にしているため、提示は速いですが精度はかなり低いです。

詳細見積もり

「要件定義」(どんなシステムを作るかを、発注者と開発会社で細かく話し合って決める作業)を行った後で、必要な機能や作業時間を一つずつ積み上げて算出する、精度の高い見積もりです。

発注担当者が陥りがちなのが、「概算見積もり」の金額を鵜呑みにして予算を組んでしまうことです。詳細なヒアリングの結果、当初の想定より必要な機能がはるかに多くなり、「詳細見積もりが概算の3倍になった」というケースも珍しくありません。

必ず「これは概算ですか?それとも詳細見積もりですか?」と確認することが重要です。

なぜ会社によって金額が違う?見積もりが変動する4つの理由

同じ内容を依頼したはずなのに、A社は100万円、B社は500万円と、見積もり額が大きく変わるのはなぜでしょうか。その理由は、見積もりの「原価」の構造にあります。金額が変動する主な4つの理由を見ていきましょう。

作業範囲(スコープ)とクオリティの定義が異なる

見積もり金額が違う最大の理由がこれです。 例えば「ECサイト(ネットショップ)を作りたい」と依頼したとします。

A社(100万円):「商品をカートに入れ、決済する」という最低限の機能だけを見積もっている。

B社(500万円):A社の機能に加え、「在庫管理機能」「顧客へのメール自動送信機能」「売上分析機能」「入念なテスト作業」「操作マニュアルの作成」まで含めて見積もっている。

当然、手厚いB社の方が高額になります。同じ「ECサイト構築」という言葉でも、含まれる作業範囲や品質(例:どれだけ細かくバグチェックをするか)の定義が会社ごとに違うため、価格差が生まれます。

エンジニアの人月単価とスキルレベルの違い

システム開発費用の大部分は「人件費」です。見積もりは「人月単価(にんげつたんか)」という単位で計算されることが多く、これは「エンジニア1人が1ヶ月働いたらいくらか」という費用のことです。

例えば、経験10年のベテランエンジニアなら人月単価120万円、経験3年の若手エンジニアなら60万円、といった具合にスキルや経験によって単価が異なります。

安い見積もりの会社は、若手中心のチームで開発する前提かもしれません。その場合、ベテランが作るシステムに比べて、品質が低くなったり、開発が難航したりするリスクも考慮する必要があります。

開発会社の規模と間接費

開発会社の規模も価格に影響します。 例えば、都心の一等地に大きなオフィスを構える大手企業は、その家賃や広告宣伝費、営業担当者や総務部員といった「開発以外の人件費」も、見積もり価格に上乗せする必要があります。こうした費用を「間接費」と呼びます。

一方、地方の小規模な会社や、自宅で仕事をしているフリーランスは、こうした間接費が少ないため、同じスキルレベルのエンジニアが作ったとしても、見積もりは安くなる傾向があります。

リスク(不確実性)の織り込み方

システム開発にトラブルはつきものです。「作ってみたら想定外の問題が見つかった」「途中で少しだけ仕様を変えたくなった」といった事態は、残念ながら必ず発生します。

経験豊富な開発会社は、こうした万が一の事態に備えた「バッファ(余裕)」を、あらかじめリスク費用として見積もりに含めていることが多いです。

一方、安すぎる見積もりは、このバッファを一切見ていない可能性があります。何か問題が起きた瞬間に「それは想定外なので、追加費用です」と請求されるリスクをはらんでいます。

【規模・種類別】システム開発の見積もり相場

見積もりの構造がわかったところで、次は「具体的にいくらかかるのか」という費用相場を見ていきましょう。もちろん、作りたいシステムの内容次第で金額は大きく変動しますが、一般的な目安を知っておくことは重要です。

見積もりの大部分(約8割)は「人件費」

システム開発の見積もりは、その約8割が「人件費」と言われています。計算式は非常にシンプルです。

費用 = 人月単価 × 開発人数 × 開発期間

例えば、人月単価100万円のエンジニア2名が3ヶ月かけて開発する場合、人件費だけで「100万円 × 2名 × 3ヶ月 = 600万円」となります。

さらに機材費や管理費などが加わって、最終的な見積もり金額となります。 つまり、「安くする」ということは、結局「(単価の安い)人を(少なく)」「(短期間で)作る」しかなく、それは品質の低下に直結しやすいことを意味します。

参考までに、エンジニアの役職・スキルレベル別の人月単価の目安を紹介します。

役職・スキルレベル

人月単価

主な担当業務

プログラマー(初級)

60万〜70万円

詳細設計書に基づくコーディング、単体テスト

システムエンジニア(中級)

80万〜120万円

基本設計、詳細設計、中核機能の開発、テスト設計

システムエンジニア(上級)

100万〜160万円

要件定義、アーキテクチャ設計、技術的な課題解決

PM / PL

70万〜200万円

プロジェクト全体の進捗管理、品質管理、リソース調整

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開発手法別の費用相場

作り方によっても費用は変わります。

フルスクラッチ

「フルスクラッチ」は、既存のものを一切使わず、ゼロからすべてをオーダーメイドで開発する手法です。家を設計図から特注で建てるのと同じで、自社の業務に完璧にフィットしたシステムが作れますが、開発に時間がかかるため、費用は最も高額になります。 (例:500万円~数千万円以上)

パッケージ

「パッケージ」は、すでに完成している市販のソフトウェア(例:会計ソフトや在庫管理ソフト)をベースに、自社の業務に合わせて必要な部分だけを修正・追加(カスタマイズ)する手法です。家の「建売住宅」にオプションを付けるイメージです。土台ができているため、フルスクラッチに比べて開発期間が短く、費用も安価に抑えられます。 (例:100万~500万円)

システムの規模・種類別の費用相場と開発期間

開発したいシステムの種類によっても、相場は大きく異なります。

規模

システム種類

主要機能・特徴

費用目安

開発期間

小規模

社内情報共有

掲示板
スケジュール管理
簡易ワークフロー

100〜300万円

2〜4ヶ月

小規模

簡易顧客管理

顧客情報の登録・検索
履歴参照

200〜500万円

3〜5ヶ月

中規模

予約管理システム

予約受付
スケジュール管理
顧客管理
決済連携

600〜1200万円

4〜8ヶ月

中規模

ECサイト

商品管理
決済
会員管理
注文管理
在庫連携

800〜1500万円

6〜10ヶ月

中規模

CRM(顧客関係管理)

営業管理
案件管理
レポート分析
MA連携

1000〜2000万円

8〜12ヶ月

大規模

基幹システム(ERP)

全社業務の統合
複雑なワークフロー
会計連携

3000万円〜

1〜2年

大規模

金融系システム

高セキュリティ
リアルタイム処理
大量トランザクション

5000万円〜

1〜3年

アプリ

スマホアプリ
(フルスクラッチ)

IOS/Android対応
API連携
プッシュ通知

500万円〜

6ヶ月〜

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開発会社はどう計算している?システム開発の見積もり手法

開発会社は、一体どうやって「300万円」や「500万円」といった金額を算出しているのでしょうか。見積もりにはいくつかの専門的な手法があり、これを知っておくと見積もりの「精度」を推測するのに役立ちます。

工数積上げ(ボトムアップ)法

必要なタスク(作業)を、「ログイン機能を作る」「決済機能を作る」「ボタンのデザインをする」「テスト作業をする」…というように、細かく洗い出します。

その各タスクにかかる時間(工数)を一つひとつ見積もり、最後にすべてを合計する手法です。 家計簿で「食費」「家賃」「光熱費」と細かく計算するのに似ています。

非常に手間がかかり、見積もり作成にも時間がかかりますが、最も詳細で精度の高い見積もり方法です。主に「詳細見積もり」で使われます。

類推見積(トップダウン)法

開発会社の担当者が、過去に手がけた類似プロジェクトの経験則から、「今回の案件は、前のあの案件とだいたい同じ規模だから、500万円くらいだろう」と全体費用を推測する手法です。「今月の出費は、先月と大体同じくらいだろう」と予測するのに似ています。

非常にスピーディーに見積もりが出せるため、「概算見積もり」でよく使われます。ただし、担当者の経験やカンに依存するため、見積もりの精度はバラつきがちです。

パラメトリック法(係数モデル)

「この機能を作るには、これくらいの時間がかかる」といった過去のプロジェクトデータを統計的に分析し、決まった計算式(係数)に当てはめて費用を算出する手法です。個人の経験やカン(属人性)を排除し、客観的に見積もれるのが特徴です。

ファンクションポイント法

システムが持つ「機能」に着目する手法です。 「入力画面の数」「出力する帳票(レポート)の数」「扱うデータの種類」など、機能の数とそれぞれの複雑さに応じて点数(ポイント)を付け、その合計ポイントから費用を算出します。

開発者の感覚ではなく、機能の「規模」に基づいて客観的に計算できるため、国際的な標準手法の一つとして使われています。

その他

標準タスク法

WBS(作業分解構成図)という、プロジェクトの全作業をツリー状に洗い出した図に基づき、あらかじめ標準化されたタスク(例:「画面設計」は〇時間)ごとに工数を積み上げる手法です。工数積上げ法と似ていますが、より体系化されています。

プログラムステップ法

完成するプログラムの総行数(何行コードを書くか)を予測し、それに基づいて費用を計算する、昔ながらの手法です。しかし、現代の開発では使用する技術によって生産性が大きく異なるため、あまり使われなくなっています。

プライスツーウィン法

発注者から「予算100万円でお願いします」と先に金額が提示され、その予算内でできる限りの仕様や機能を開発会社が調整する手法です。予算は確実に守られますが、「本当に必要な機能が予算不足で削られてしまった」という本末転倒な事態に陥る危険性もあります。

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システム開発の見積書を受け取ったら確認すべきチェックポイント

開発会社から見積書が届いたら、合計金額だけを見て一喜一憂してはいけません。以下の9つのポイントを指差し確認し、少しでも不明点があれば「これはどういう意味ですか?」と必ず質問しましょう。

作業範囲(スコープ)は明確か?

最も重要な確認事項になります。「何をやってくれるか」が書いてあるのは当然ですが、本当に見るべきは「何をやらないか」という記述です。

例えば、「OSやサーバーの設定作業は含まない」「システムに入力する元データの作成(例:過去の顧客リストの入力)は含まない」「デザイン制作費は別途」といった「除外項目」が明記されているか確認しましょう。ここが曖昧だと、後で「それは別料金です」と言われる最大の原因になります。

見積もりの前提条件は認識通りか?

見積もり金額は、何らかの「前提条件」のもとに算出されています。 例えば、「使用する技術は〇〇とする」「サーバーは発注側が契約・準備すること」「発注側の担当者が週1回の定例会に必ず出席すること」などです。

この前提がもし自社の認識とズレている(例:サーバーも開発会社が準備すると思っていた)と、後で金額が大きく変わる可能性があります。

内訳の各項目に抜け漏れはないか?

見積もりを安く見せる手口として、意図的に必須の工程を抜いているケースがあります。 特に「要件定義費用(どんなものを作るか決める費用)」や「テスト費用(バグがないか調べる費用)」が極端に安いか、項目自体が内訳にない場合は要注意です。

これらの工程を省くと、まともなシステムは絶対に完成しません。

管理費用は含まれているか?

プロジェクト全体を管理・監督する「プロジェクトマネジメント(PM)費用」または「進行管理費」が計上されているか確認しましょう。

この費用がない場合、開発チームの管理体制が手薄であるか、あるいは発注者側がその役割(スケジュール管理や課題のとりまとめ)を負担することを期待されている可能性があります。

修正・トラブル対応費は含まれているか?

システムを納品した後、バグ(不具合)が見つかった場合に、いつまで無償で直してくれるか(これを「瑕疵担保責任」と呼びます)の期間が明記されているか確認しましょう。

「納品後3ヶ月間は無償対応」など、具体的な期間が重要です。また、「デザインなどの軽微な修正は2回まで無償」といった修正対応の範囲も確認できるとベストです。

責任の所在(役割分担)は明確か?

システム開発には、プログラムを書く以外にも多くの作業が発生します。 例えば、「サーバーの契約・設定」「システムに投入する元データ(例:既存の顧客リストや商品マスタ)の準備」「公開前の最終チェック」などです。

これらの細かい作業を、開発会社と発注側のどちらが担当するのか、役割分担が明確になっているかを確認しましょう。

検収・支払いの条件は妥当か?

「何をもってプロジェクトが完了(検収)となるか」の定義を必ず確認してください。 例えば、「発注者がテスト環境で確認し、OKを出した時点」など、明確な基準が必要です。

また、支払いタイミングも重要です。「契約時に全額前払い」を要求する会社はリスクが高いかもしれません。「着手時50%、納品時50%」など、作業の進捗に合わせた分割払いになっているか確認しましょう。

ランニングコスト(保守・運用費)は明記されているか?

見積書に書かれているのは、あくまでシステムを作るための「初期費用(イニシャルコスト)」です。 システムは完成してからが本当のスタートであり、稼働させ続けるための「運用費用(ランニングコスト)」が毎月・毎年かかります。

・サーバー代、ドメイン代(Webサイトのアドレス代)
・システムの監視やアップデートのための保守費用

これらが別途見積もりとして明記されているか、必ず確認しましょう。「初期費用0円」をうたうサービスは、この月額保守費用が非常に高額な場合があります。

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システム保守費用の妥当性を見極める!相場と算出方法の完全ガイド|適正価格の判断基準とは

使用する技術やインフラの条件は明確か?

専門的な内容になりますが、担当者に「なぜその技術(仕組みや言語)を選ぶのですか?」と質問してみましょう。 「一般的によく使われており、将来的に改修できるエンジニアを見つけやすいからです」「御社の将来の拡張性を考えて、この仕組みを選びました」といった明確な答えが返ってくれば安心です。

あまりに古すぎたり、特殊すぎたりする技術を使うと、将来的に「誰もメンテナンスできない」システムになってしまうリスクがあります。

「安すぎる見積もり」の危険性とは?価格だけで選ぶリスク

複数の見積もりの中で、一社だけ極端に安い見積もりがあると魅力的に見えますが、それには必ず「理由」があります。価格だけで飛びついた場合の典型的な失敗例(リスク)をご紹介します。

開発者のスキル不足

安さの最も単純な理由は、人件費、つまりエンジニアの単価が安いことです。 経験の浅い若手エンジニアばかりでチームが構成されていたり、コミュニケーションが難しい海外のチームに丸投げされていたりする可能性があります。

その結果、バグが多かったり、処理が異常に遅いシステムになったりと、品質の低下に直結します。

品質の欠如

見積もり金額を抑えるため、発注者からは見えにくい「テスト」や「品質管理」の工程が、大幅に省略されている可能性があります。

一見、動いているように見えても、実際に大勢の人が使い始めるとバグが多発し、結局、その修正費用で高くつくという「安物買いの銭失い」の典型的なパターンです。

スコープの欠落

最も悪質なケースです。発注者が「当然入っているだろう」と思い込んでいる必須機能(例:パスワード再発行機能など)を、意図的に見積もりの作業範囲(スコープ)から外しておきます。

そして契約後に、「その機能は見積もりに入っていません。追加費用として〇〇万円必要です」と高額な追加費用を請求する手口です。契約書にサインする前に、作業範囲を徹底的に確認する必要があります。

適正な見積もりを引き出す「RFP(提案依頼書)」の作り方

ここまで見積もりの見方やリスクを解説しましたが、「では、どうすれば精度の高い、適正な見積もりをもらえるのか?」という疑問が湧くのではないでしょうか。

その疑問の解消に効果的なのが「RFP(提案依頼書)」の作成です。

RFP(提案依頼書)とは?

RFP(Request for Proposal)とは、発注者が開発会社に対して、「自社はこんな課題を抱えており、こんなシステムを作って解決したい」という要求や目的を具体的に伝えるための文書です。

よく似た言葉に「RFI(Request for Information)」がありますが、RFIが「まずは各社の情報を収集したい」という初期段階で使うのに対し、RFPは「この内容で、具体的な提案と見積もりが欲しい」という、本格的な発注準備段階で使う文書です。

RFP作成のメリット

RFPを作成する最大のメリットは、複数社の提案を「リンゴとリンゴで」比較できる点です。

RFPなしで「ECサイトが欲しい」とだけ伝えると、各社がバラバラの前提条件(A社は高機能、B社は最低限)で見積もりを作ってしまい、A社とB社のどちらが本当に「お得」なのか、比較が困難です。

RFPで「この機能は必須」「予算は〇〇円」と条件を統一することで、初めて各社の提案内容と金額を公平に比較できます。 また、RFPを作る過程で、発注者自身の「本当にやりたいこと」が整理され、開発会社との認識のズレを根本から防ぐ効果もあります。

RFPに盛り込むべき必須項目

難しく考える必要はありません。完璧なRFPでなくても、以下の項目をWordやExcelでまとめるだけで、見積もりの精度は格段に上がります。


プロジェクトの背景と目的

・なぜこのシステムが必要なのか?

・例:手作業で行っている顧客管理を自動化して、残業時間を減らしたい


現状の課題

・今、具体的に何に困っているのか?

・例:顧客情報がエクセルでバラバラに管理されており、最新情報が誰にもわからない


必須機能の一覧

・「絶対に外せない機能」を箇条書きにする。

・例:顧客情報の登録・検索機能、担当者へのメール一斉送信機能


希望機能

・できれば欲しいが、予算次第で削っても良い機能」

・例:LINEとの連携機能


予算

・おおよその予算感。(例:300万円~500万円)


納期

・いつまでに必要なのか。(例:2026年4月1日までに本番稼働)


提案依頼の範囲

・どこまでを依頼したいか。

・例:デザインも含むのか、システム開発だけで良いのか。公開後の保守・運用もお願いしたいのか

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