「既存システムとAPI連携します」とベンダーから説明を受けたが、APIとは何なのかよく分からない——そう感じている発注者の方は少なくありません。ネットで調べると技術的な解説ばかりで、「自分が何を確認すればよいのか」が見えてこないという声もよく耳にします。
本記事では、エンジニアでなくても理解できるようにAPIの仕組みを解説し、発注者がシステム連携を進める前に押さえておくべきポイントを整理します。
システム開発 完全チェックリスト――発注前・発注中・完了後の3フェーズで使えるチェック集

この資料でわかること
システム開発の外注・発注を初めて経験する担当者や、過去に失敗を経験した担当者が、発注プロセスの各フェーズで「何をチェックすべきか」を明確に把握できるようにする。
こんな方におすすめです
- 初めてシステム開発を外注する担当者
- 過去の発注で失敗を経験した方
- ベンダー選定の基準が分からない方
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1. APIとは何か——サービス同士をつなぐ「窓口」
API(エー・ピー・アイ)とは Application Programming Interface の略です。名前だけ見ると難しく感じますが、仕組みを一言で表すと「ソフトウェアやサービス同士が情報をやり取りするための窓口」です。
身近な例で理解する
レストランで料理を注文するシーンを思い浮かべてください。
- お客(あなたのシステム)はウェイター(API)に注文を伝える
- ウェイターはキッチン(外部サービス)に注文を届ける
- キッチンが料理(データ・機能)を用意し、ウェイターを通じてお客に届ける
あなたはキッチンの内側(外部サービスの仕組み)を知らなくても、ウェイター(API)を通じて料理(必要な機能)を受け取ることができます。これがAPIの本質です。
具体的な例
- 自社のECサイトがクレジットカード決済を処理するとき、決済会社(Stripe・PAY.JPなど)のAPIを呼び出す
- 配送管理システムが住所から配送ルートを計算するとき、Google Maps APIを呼び出す
- 社内の勤怠管理システムが給与計算ソフトにデータを渡すとき、両システム間でAPIが使われる
いずれも、自社でゼロから機能を作るのではなく、外部サービスのAPIを「窓口」として呼び出しています。
2. API連携のメリット——開発コスト・スピード・機能拡張
なぜシステム開発でAPIを使うのか。発注者の視点で重要なメリットは3つです。
メリット1: 開発コストの削減
決済機能を自社でゼロから開発すると、セキュリティ対応・カード会社との契約・システム保守など膨大なコストがかかります。決済APIを使えば、すでに整備された仕組みを呼び出すだけで済み、開発コストを大幅に抑えられます。
メリット2: 開発スピードの向上
外部サービスのAPIを利用することで、本来数ヶ月かかる機能実装を数週間に短縮できるケースがあります。新機能のリリースを早めたい場合に、API活用は有効な手段です。
メリット3: 機能の柔軟な拡張
自社システムに新しい機能を追加したいとき、対応するAPIがあればその機能を「接続するだけ」で実現できます。たとえばチャット機能を追加したければ、SendBirdやTwilioのAPIを組み込む選択肢があります。将来の要件変化にも対応しやすい構造を作りやすくなります。
3. APIの種類——発注者が聞く主な用語
ベンダーとの打ち合わせでよく出てくるAPI関連の用語を整理します。エンジニアと会話できるレベルの理解で十分です。
REST API(レスト・エーピーアイ)
現在最も広く使われているAPIの方式です。「REST API」と呼ばれるものは、Webの標準的な通信規約(HTTP)を使ってデータのやり取りをします。
発注者として知っておくこと: ほとんどの外部サービス(Google、Stripe、Salesforceなど)がREST APIを提供しています。「REST APIで連携します」と言われたら、業界標準の方式を使うと理解して問題ありません。
Webhook(ウェブフック)
通常のAPIは「こちらから問い合わせる」形式ですが、Webhookは「向こうから通知が来る」形式です。
例: ECサイトで注文が確定したとき、決済サービスが自動的に自社システムへ「注文完了」通知を送る仕組み。在庫管理や注文処理を自動化する際によく使われます。
API Key(エーピーアイ・キー)
APIを利用する際に必要な「認証コード」です。サービスに対して「正規の利用者です」と証明するためのパスワードのようなものです。
発注者として知っておくこと: API Keyは外部に漏れると不正利用されるリスクがあります。セキュリティ管理の方針についてベンダーに確認しておくことが重要です。
エンドポイント
APIにアクセスするための「URL(住所)」のことです。「このエンドポイントに問い合わせると、この情報が返ってくる」という形で設計されています。
4. API連携を使う代表的な場面
実際のシステム開発でAPIが使われる代表的なシーンを紹介します。自社のプロジェクトに近いケースを参考にしてください。
決済サービスとの連携
ECサイトや予約システムでクレジットカード決済・コンビニ払い・銀行振込を実現するために、決済代行会社のAPIを利用します。Stripe、PAY.JP、GMOペイメントゲートウェイなどが代表的です。
地図・ロケーションサービスとの連携
店舗検索・配送ルート最適化・現在地表示などに、Google Maps APIやYahoo! Japan Maps APIが使われます。住所から緯度・経度を取得したり、地図上に店舗ピンを表示したりする用途が典型的です。
外部SaaS・業務ツールとの連携
- Salesforce(CRM): 自社システムの顧客データをSalesforceに自動連携
- Slack・Teams(チャット): 社内システムから通知をSlackに自動送信
- freee・マネーフォワード(会計): 売上データを会計ソフトに自動連携
- kintone: 業務アプリとのデータ連携
認証サービスとの連携
「Googleアカウントでログイン」「LINEでログイン」といった機能はソーシャルログインAPIを利用しています。ユーザーの利便性向上とパスワード管理コストの削減を両立できます。
5. 発注者がAPI連携の仕様を確認する際のポイント
「API連携を使います」と言われたとき、発注者として確認しておくべき事項があります。以下のチェックリストを参考にしてください。
確認ポイント1: 利用する外部APIのコストは誰が負担するか
多くの外部APIは月間リクエスト数に応じた従量課金制です。利用規模が増えるとコストも上がるため、費用負担の主体・見積もり方法・上限アラートの設定有無を確認しましょう。
確認ポイント2: 外部APIのサービス停止リスクへの対応
外部APIに障害が起きると、自社サービスにも影響が出る可能性があります。「外部APIが停止した場合の挙動」「代替手段の有無」をベンダーに確認しておきます。
確認ポイント3: API Keyなど認証情報のセキュリティ管理
API Keyや認証トークンは適切に保管・管理する必要があります。ソースコードに直書きせずに環境変数や秘密管理ツールで管理しているか確認しましょう。
確認ポイント4: 外部APIのバージョンアップへの追従
外部サービスがAPIの仕様変更・廃止を行うことがあります。「APIのバージョンアップ時に誰が対応するか」「保守費用に含まれているか」を契約段階で明確にしておきましょう。
確認ポイント5: データの取り扱いと個人情報保護
外部APIにデータを送信する際、個人情報が含まれる場合は個人情報保護法やプライバシーポリシーへの対応が必要です。どのデータを外部に送るかを把握し、利用規約・データ処理契約の確認を行いましょう。
6. まとめ
APIとは、システムやサービス同士が情報をやり取りするための「窓口」です。発注者として知っておくべき要点を整理します。
ポイント | 内容 |
|---|---|
APIとは | ソフトウェア同士が通信するための窓口・仕組み |
主なメリット | 開発コスト削減・スピード向上・機能拡張の柔軟性 |
よく使われる種類 | REST API(業界標準)、Webhook(通知型) |
代表的な活用場面 | 決済・地図・SaaS連携・認証 |
発注者の確認事項 | コスト負担・障害対応・セキュリティ・保守責任・個人情報 |
「APIを使います」と言われたとき、技術の詳細を理解する必要はありません。ただし、コスト・リスク・責任範囲については発注者として把握しておく必要があります。
API連携の具体的な活用方法や依頼先の選び方については、関連記事もご参照ください。
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