「この外国人エンジニア、技術力が高くてぜひ業務委託でお願いしたい。でも、外国の方に業務委託で仕事を頼んで、法的に本当に大丈夫なのだろうか」——エンジニア採用が難しさを増すなか、紹介やマッチングサービス経由で出会った優秀な外国籍エンジニアに、業務委託で開発を任せたいと考える発注担当者の方は増えています。
一方で、日本人フリーランスへの発注は何度も経験していても、外国人特有の「在留資格」や「不法就労助長罪」といった言葉を前にすると、急に足がすくむのではないでしょうか。法務部門が小さく自分で一次判断しなければならない立場では、なおさら「知らないうちに法令違反をして、会社を巻き込んでしまうのではないか」という不安がつきまといます。
この不安の正体は、情報の散らばりにあります。在留資格の解説記事は行政書士による「外国人本人がビザを取れるか」という視点が中心で、エンジニア採用の記事は正社員雇用が前提。「発注企業が外国人エンジニアに業務委託する」という、まさに知りたい交差点を正面から扱った情報が見つかりにくいのです。
結論からお伝えすると、外国人エンジニアへの業務委託は適切な確認を行えば問題なく進められます。怖いのは「何を確認すべきか分からないまま契約してしまうこと」であり、確認すべき項目さえ手順化できれば、リスクは十分に管理できます。
本記事では、外国人エンジニアを業務委託で活用する際に発注者が負うリスクの正体を正確に整理したうえで、発注前に確認すべき5つの事項と、社内に法務専任がいなくても進められる実務ステップを解説します。読み終えるころには、自信を持って契約締結に進むための判断軸が手元に残るはずです。
外国人エンジニアを業務委託で活用できる?まず押さえる結論
最初に、検索の動機になっている「そもそも業務委託で外国人エンジニアに発注して法的に問題ないのか」という疑問に答えます。
結論——業務委託でも外国人エンジニアの起用は可能
外国人エンジニアを業務委託(フリーランス契約)で起用すること自体は可能です。エンジニアの就労に関わる代表的な在留資格である「技術・人文知識・国際業務」(通称・技人国)は、雇用契約だけでなく業務委託契約や委任契約でも該当しうるとされています。実際、出入国在留管理庁の運用上も、在留資格の前提となる「契約」は雇用契約に限定されていません(出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」)。
つまり、「外国人だから業務委託では頼めない」「正社員として雇わなければならない」というのは誤解です。日本人フリーランスと同じように、業務委託で開発を依頼する選択肢は法的に存在します。
ただし「在留資格が認める活動の範囲内か」が条件
ここからが発注者にとって重要なポイントです。業務委託で起用できるとはいえ、無条件ではありません。前提となるのは、その外国人エンジニアの在留資格が、これから委託しようとする業務(活動)を認めているかどうかです。
たとえば「留学」の在留資格で来日している人が、許可なくフルタイムで開発業務を請け負えば、本人は資格外の活動をしたことになります。そして発注者側も、不法就労と知りながら、あるいは確認を怠って仕事をさせた場合には「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。
ここで多くの発注担当者が抱く「業務委託なら相手のことだから、発注側は責任を負わないのでは」という感覚は、残念ながら通用しません。雇用ほど重くはないものの、発注者にも在留資格を確認する責任が及ぶ——これが、業務委託であっても確認手順を踏むべき理由です。リスクの具体的な中身は「発注者が負うリスク——不法就労助長罪と偽装請負」で詳しく見ていきます。
外国人エンジニアの業務委託に関わる在留資格の基本

確認手順に入る前に、エンジニアへの業務委託で関係してくる在留資格を、発注者目線で整理しておきます。「在留資格って結局どれを見ればいいのか」が分かれば、後述のチェックリストがぐっと読みやすくなります。
中心となる「技術・人文知識・国際業務」とエンジニア業務の関係
エンジニアへの業務委託でまず関わるのが、在留資格「技術・人文知識・国際業務」です。システムエンジニア、プログラマー、Webエンジニアといった専門的・技術的な業務は、このうち「技術」の分野に該当します。
出入国在留管理庁の要件では、この在留資格は次のような条件を満たす活動を対象としています(出入国在留管理庁)。
- 関連する分野の専攻で大学・専門学校を卒業しているか、一定年数以上の実務経験があること(「技術」「人文知識」では原則10年以上、「国際業務」では3年以上)
- 従事する業務が、その専門知識を必要とする内容であること
- 報酬額が、同じ業務に従事する日本人と同等以上であること
つまり、委託したい開発業務がエンジニアとしての専門性を要する内容であり、本人がその在留資格を持っているなら、業務委託での起用は在留資格の面でも整合します。逆に、専門性を要しない単純作業を中心に委託する場合は、この在留資格の範囲を外れる懸念が出てきます。
就労制限のない在留資格/資格外活動許可が要るケースの見分け方
在留資格は、就労の可否という観点で大きく3つに分けて考えると見通しが良くなります。
- 就労に制限のない在留資格:「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など。これらの場合、活動内容に制限がなく、エンジニア業務の委託も基本的に自由に行えます。
- 就労できる活動が定められている在留資格:「技術・人文知識・国際業務」など。定められた範囲の業務であれば就労できます。エンジニアへの業務委託で最も多く関わるのがこのタイプです。
- 原則就労できないが、許可を得れば一定範囲で就労できる在留資格:「留学」「家族滞在」など。本来は就労を予定しない在留資格ですが、「資格外活動許可」を得ていれば、原則として週28時間以内などの範囲で就労できます。
発注者として押さえるべきは、相手がどのタイプに当たるかを見極めることです。1のタイプなら活動内容を細かく気にする必要は薄いですが、2なら委託業務が在留資格の範囲に合っているか、3なら資格外活動許可の有無と就労時間の上限を必ず確認する必要があります。
業務委託でも在留資格は取得・維持できるが審査は厳しめ
発注者が知っておくとよい背景として、外国人がフリーランス・業務委託の形で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得・更新する場合、雇用契約の場合と比べて審査が厳しくなる傾向があります。
審査では、契約内容・収入の安定性・納税状況などが細かく確認されます。契約期間が短すぎたり、稼働日数が週に数日程度で報酬月額が一定額に届かなかったりすると、在留資格の更新が不許可になりうるとも指摘されています(ビザジャパン「フリーランスでも技術・人文知識・国際業務ビザは取得できる?」)。
これは発注者にとって、二つの意味で重要です。一つは、相手のエンジニアが「安定的に継続できる契約」を求めている可能性があること。もう一つは、発注者側が報酬や契約期間を極端に絞ると、相手の在留資格維持に影響しうるという点です。発注条件は、相手の在留資格の前提を崩さないという視点でも考える価値があります。
発注者が負うリスク——不法就労助長罪と偽装請負

なぜここまで確認が必要なのか。その「怖さ」の正体を正確に把握しておきましょう。リスクを過大にも過小にも見積もらないことが、冷静な判断につながります。発注者が特に意識すべきリスクは、不法就労助長罪と偽装請負の二つです。
不法就労助長罪——「知らなかった」では免れにくい
不法就労助長罪は、在留資格のない外国人や、在留資格の範囲を超えて就労する外国人に仕事をさせた事業者などが問われる罪です。発注者にとって最も注意すべきなのは、「外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していないなど過失があれば処罰を免れない」とされる点です(出入国在留管理庁の解説をふまえた行政書士法人Treeの整理)。
「相手はフリーランスだから、在留資格は本人の責任」という感覚が通用しないのは、この過失責任の存在が理由です。確認を怠ったこと自体がリスクになります。
現行の罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。かつては「3年以下の懲役」と表記されていましたが、2022年の刑法改正(令和4年法律第67号)で懲役刑と禁錮刑が「拘禁刑」に一本化され(令和7年6月1日施行済み)、執筆時点では「拘禁刑」が正しい表記となっています。
さらに、この罰則は近年の入管法改正で強化されます。改正により、罰則の上限は現行の「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」から、「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」へと引き上げられる予定です(PROTRUDE「不法就労助長罪とは」、行政書士法人Tree)。この改正規定は、令和9年(2027年)4月1日に施行される予定です(施行期日は令和7年政令第340号により確定しています)。
重要なのは罰金額の大小よりも、「確認していれば防げたリスクを、確認を怠ったために負う」という構図そのものです。確認は、会社を守るための最も基本的な防御策と捉えてください。
偽装請負が外国人で二重リスクになる理由
日本人フリーランスへの発注経験がある方なら、「偽装請負」という言葉には馴染みがあるでしょう。業務委託契約を結んでいても、実態として発注者が業務の進め方や勤務時間を細かく指揮命令していると、その関係は「請負・委任」ではなく「労働者派遣」や「雇用」とみなされうる——これが偽装請負の問題です。判断は契約書の名目ではなく、指揮命令の実態に基づいて行われます。
外国人エンジニアの場合、この偽装請負には日本人にはない「二重リスク」が加わります。業務委託契約のつもりが実態として雇用と判断されると、契約類型を前提にしていた在留資格の適法性まで揺らぐ可能性があるためです。たとえば業務委託を前提に在留資格を得ている人が、実態は指揮命令下の雇用だったとなれば、在留資格の前提が崩れ、結果的に不法就労の状態を生んでしまう恐れがあります。
つまり、偽装請負は外国人エンジニアにおいて「労働法上の問題」と「在留資格上の問題」が連鎖する構造を持ちます。だからこそ、契約形態と日々の運用において指揮命令を持ち込まない設計が、日本人への発注以上に重要になります。具体的な回避策は、次の確認事項のなかで扱います。
外国人エンジニアへの発注時に確認すべき5つの事項

ここからが本記事の核心です。外国人エンジニアに業務委託で発注する前に確認すべき事項を、5つに整理しました。順番どおりにチェックすれば、見落としを防ぎながら安全に契約準備を進められます。
①在留資格の種類と、業務委託でのエンジニア業務が認められるか
最初に確認するのは、相手がどの在留資格を持っているかです。前述の3分類のどれに当たるかを把握し、エンジニア業務の委託が認められる在留資格かを判断します。
- 「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など就労制限のない在留資格 → 活動内容の制限は基本的になし
- 「技術・人文知識・国際業務」 → 委託する開発業務がその範囲に合うか確認
- 「留学」「家族滞在」など → 資格外活動許可の有無と就労時間の上限を必ず確認
エンジニアへの業務委託で最も多いのは「技術・人文知識・国際業務」のケースです。委託したい業務が専門的な開発業務であれば、在留資格の面で整合する可能性が高いと考えられます。
②在留カードの確認方法(在留期限・就労制限・真正性)
在留資格の種類を口頭で聞くだけでは不十分です。在留カードの現物(または鮮明な画像)を提示してもらい、次の項目を確認します。
- 在留資格の欄:①で確認した在留資格と一致しているか
- 在留期間(満了日):契約期間中に在留期限が切れないか。切れる場合は更新の見込みを確認
- 就労制限の有無の欄:「就労制限なし」「在留資格に基づく就労活動のみ可」などの記載を確認
- 資格外活動許可の有無:「留学」などの場合、カード裏面に資格外活動許可の記載があるか
さらに、在留カードそのものが本物かどうかの真正性確認も欠かせません。偽造在留カードは実在する有効な番号が使われているケースもあるため、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」でICチップの内容を読み取る方法と、「在留カード等番号失効情報照会」のWebサイトで番号の有効性を照会する方法を組み合わせて確認するのが確実です(出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」)。
業務委託だから在留カードの確認は不要、ということはありません。むしろ不法就労助長罪の過失責任を避けるためにこそ、この確認が発注者の防御線になります。
③委託する業務内容が在留資格の活動範囲に合致しているか
在留カードに問題がなくても、委託する業務の中身が在留資格の認める範囲から外れていれば適法な就労になりません。「技術・人文知識・国際業務」を持つエンジニアに、専門性を要しない軽作業ばかりを大量に委託するようなケースは、活動範囲との整合に疑問が生じます。
委託する業務が、設計・開発・技術検証といった専門知識を必要とする内容になっているかを、契約書の業務内容(仕様)の記述レベルで確認しましょう。業務内容を具体的に書き出すことは、後述の偽装請負対策にもつながります。
④契約形態の確認——偽装請負を避ける契約・運用設計
「発注者が負うリスク」で述べたとおり、外国人エンジニアでは偽装請負が在留資格リスクにも波及します。業務委託契約を実態としても業務委託として保つために、契約と日々の運用の両面で次の点を設計します。
- 成果物・業務範囲を明確に定義する:「○○機能の設計・実装」のように、依頼する成果や業務範囲を契約書で具体化する
- 指揮命令を持ち込まない:作業時間や作業場所を細かく拘束したり、業務の進め方を逐一指示したりしない。勤怠管理の対象に含めない
- 代替性・裁量を尊重する:作業の進め方や時間配分は、原則として受託者の裁量に委ねる
- 報酬を成果や業務量に対応させる:時給での時間管理を前提にした運用は、雇用的な実態と受け取られやすいため注意する
契約書のタイトルが「業務委託契約書」であっても、実態が指揮命令下の働き方であれば偽装請負と判断されうる点は、日本人への発注と同じです。外国人エンジニアではその判断が在留資格にも跳ね返るため、運用の徹底がより重要になります。
⑤報酬・源泉徴収・消費税など税務面の確認
最後に税務面です。外国人エンジニアへの業務委託で発注者が見落としやすいのが、源泉徴収の取り扱いです。ポイントは、相手が税務上の「居住者」か「非居住者」かで扱いが変わることです。
- 居住者(日本に住所があり、または1年以上継続して居所がある人):日本人フリーランスと同様の扱いになります。報酬の種類によっては源泉徴収が必要です。
- 非居住者(短期滞在で今後も国内に居住し続ける見込みがない人など):日本国内で行う人的役務の提供の対価は「国内源泉所得」に当たり、原則として20.42%の税率で源泉徴収が必要になります(国税庁「No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率」)。
日本に生活拠点を持って働く外国人エンジニアであれば居住者に該当することが多いですが、海外在住で日本のプロジェクトをリモートで請け負うようなケースでは非居住者として20.42%の源泉徴収が問題になりえます。なお、相手国との間に租税条約があり所定の届出を行えば、税率が軽減・免除される場合があります(国税庁「No.2884」)。
消費税についても、国内で行われる役務提供であれば原則として課税対象になります。税務処理は個別事情で結論が変わりやすいため、判断に迷う場合は税理士への確認をおすすめします。
発注を安全に進めるための実務ステップと専門家の使いどころ

5つの確認事項を、実際の発注フローのなかに落とし込みます。社内に法務・在留資格の専任がいなくても回せる進め方を示します。
発注前〜契約締結までの実務ステップ
おおまかには、次の順序で進めると確認事項を自然に織り込めます。
- 候補者の選定・打診:技術力や稼働条件に加え、在留資格の種類をこの段階でヒアリングしておく
- 在留カードの提示依頼・確認:在留資格・在留期限・就労制限・真正性を確認する(確認事項①②)
- 業務範囲のすり合わせ:委託する業務が在留資格の活動範囲に合うか、専門性を要する内容かを確認しながら詰める(確認事項③)
- 契約書の作成:成果物・業務範囲を具体化し、指揮命令を持ち込まない条項・運用を設計する(確認事項④)
- 税務処理の確認:居住者・非居住者の別を確認し、源泉徴収・消費税の扱いを決める(確認事項⑤)
- 契約締結・稼働開始:稼働後も、指揮命令的な運用に陥っていないかを定期的に振り返る
在留カードの確認(ステップ2)を契約準備の早い段階に置くのがコツです。ここで在留期限が契約期間より前に切れることが分かれば、更新の見込みを確認したうえで契約条件を調整できます。
自社で一次判断できる範囲と、専門家に確認すべき範囲
ここまでの確認事項の多くは、発注担当者が一次判断できる範囲です。在留カードの券面確認、就労制限の有無のチェック、契約書での業務範囲の明確化、居住者・非居住者の基本的な判定などは、社内で十分に対応できます。
一方で、次のような論点はグレーゾーンになりやすく、行政書士や税理士など専門家に確認すべき範囲です。
- 委託する業務が在留資格の活動範囲に「該当するか微妙」なケース(専門性の評価が分かれる業務)
- 「留学」など資格外活動許可が絡み、就労時間や業務内容の制限が複雑なケース
- 在留資格の更新が契約期間中に必要で、更新可否に不安があるケース
- 非居住者への報酬で、租税条約の適用を含む源泉徴収・消費税の最終判断が必要なケース
「自社で確認できることは確認し、判断に迷う部分だけを専門家に切り分けて相談する」という線引きができれば、過度な不安で発注をためらうことも、確認を怠って後でトラブルになることも防げます。すべてを丸投げするのではなく、論点を整理したうえで相談すれば、専門家への相談も効率的になります。
採用難の打開策としての外国人エンジニア×業務委託
エンジニアの採用競争が激しいなか、外国人エンジニアへの業務委託は、人材プールを広げる現実的な選択肢の一つです。正社員採用にこだわらず、必要なスキルを必要な期間だけ業務委託で確保できれば、開発体制の柔軟性も高まります。
その際、在留資格や契約形態の確認をすべて自社だけで背負うのが難しい場合は、外部人材活用に知見のあるマッチングサービスやエージェントを介する方法もあります。候補者の在留資格まわりの情報整理や契約面のサポートを受けられれば、発注者側の確認負担を軽くしながら、本記事で挙げた確認事項を着実に押さえられます。外部人材をどう活用するかは、自社の体制と案件の性質に合わせて選ぶとよいでしょう。
まとめ——外国人エンジニアの業務委託活用を安全に始めるために
外国人エンジニアへの業務委託は、適切な確認手順を踏めば問題なく進められます。怖いのは法令違反そのものよりも、「何を確認すべきか分からないまま契約してしまうこと」です。確認事項を手順化できれば、リスクは管理可能なものに変わります。
本記事で押さえた要点を振り返ります。
- 業務委託でも外国人エンジニアの起用は可能。ただし「在留資格が認める活動の範囲内か」が前提で、発注者にも確認責任が及ぶ
- 発注者が負う主なリスクは「不法就労助長罪」(確認を怠った過失でも問われ、罰則は強化の方向)と「偽装請負」(外国人では在留資格の適法性まで揺らぐ二重リスク)
- 発注前に確認すべきは、①在留資格の種類、②在留カード(期限・就労制限・真正性)、③業務内容と在留資格の整合、④偽装請負を避ける契約・運用設計、⑤源泉徴収・消費税など税務面の5項目
- 多くは自社で一次判断でき、グレーゾーンだけを行政書士・税理士に切り分けて相談すればよい
リスクを正しく恐れて手順で潰していけば、外国人エンジニアの業務委託は採用難を打開する確かな一手になります。まずは在留カードの確認から、安全な発注の第一歩を踏み出してみてください。
よくある質問
- 外国人エンジニアへの業務委託で、発注者が不法就労助長罪に問われるのはどんなケースですか?
在留カードを確認しないまま発注し、相手が在留資格の範囲を超えて就労していた場合、「知らなかった」では免責されず過失責任として問われます。「業務委託だから本人の責任」という認識は通用しないため、契約前に在留カードの確認を必ず行うことが防御策になります。
- 在留カードのどの欄を、具体的にどう確認すればよいですか?
確認すべきは「在留資格」「在留期間満了日」「就労制限の有無」の3欄と、カード裏面の資格外活動許可の記載です。さらに出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリ」でICチップを読み取り、失効情報照会サイトで番号の有効性を照合することで真正性まで確認できます。
- 「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格を持つエンジニアにも業務委託できますか?
「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など就労制限のない在留資格であれば、業務内容の制限なく委託できます。「留学」「家族滞在」の場合は資格外活動許可の有無と週28時間以内の就労上限を確認することが必須です。
- 外国人エンジニアへの業務委託で偽装請負とみなされないようにするには、何に気をつければよいですか?
作業時間・場所の細かな拘束や逐一の進め方指示など、指揮命令に当たる行為を避け、成果物と業務範囲を契約書に具体的に記載することが基本です。外国人エンジニアの場合は偽装請負と判断されると在留資格の適法性まで揺らぐ二重リスクがあるため、日本人への発注以上に契約・運用の設計が重要です。
- 源泉徴収はどう判断すればよいですか?日本在住の外国人エンジニアに毎回20.42%を引く必要がありますか?
日本に住所があり1年以上居所がある「居住者」であれば、日本人フリーランスと同様の源泉徴収扱いとなり20.42%の一律適用は不要です。20.42%が必要なのは海外在住の「非居住者」が国内源泉所得を得るケースで、租税条約がある国籍の場合は軽減・免除の余地もあるため税理士に確認することをお勧めします。
- 社内に法務専任がいなくても外国人エンジニアへの業務委託を進めるには、どこから始めればよいですか?
まず候補者の在留資格の種類をヒアリングし、在留カードの現物確認(期限・就労制限・真正性)を契約準備の最初のステップに置くことを推奨します。カード確認と業務内容の整合確認は自社で対応でき、グレーゾーン(資格外活動許可が絡む場合・非居住者の税務判断など)のみを行政書士・税理士に相談すれば十分です。



