「AIを導入したいが、CO2排出量が増えて自社のカーボンニュートラル目標に逆行しないか」——AI活用の検討が進むほど、こうした懸念が経営層やサステナビリティ部門から投げかけられる場面が増えています。生成AIの利用拡大に伴い、世界全体でデータセンターの電力消費が急増していることが報じられ、AIと環境負荷の問題は無視できないテーマになりました。
一方で、「グリーンAIとは何か」「AIはどのくらいCO2を出すのか」を解説する記事は多いものの、AIシステムを発注する側が具体的に何をどう確認すればよいのかまで踏み込んだ情報は多くありません。概念は理解できても、ベンダー選定やRFP(提案依頼書)、契約交渉の場面で使える判断基準がないと、社内の問いに答えられず稟議が前に進まない、というのが多くの担当者の本音ではないでしょうか。
特に難しいのは、AIの排出量が「自社の問題」と地続きである点です。後ほど詳しく説明しますが、発注したAIサービスの排出は、自社のESG情報開示における「Scope3」に算入されうるため、ベンダー任せにできません。にもかかわらず、何を確認すれば十分なのかの基準が社内に存在しないことが、不安の正体になっています。
そこで本記事では、グリーンAIの意味とAIの環境負荷の実態を整理したうえで、AIシステムの発注者がベンダーに確認すべきカーボン排出量の基準を、ESG・Scope3の観点からチェックリストとして解説します。読み終えたときに、社内説明やRFP・契約に落とし込める確認項目を手元に持てる状態を目指します。
はじめての AI 導入ガイド――中小企業が失敗しないための7ステップ

この資料でわかること
AI導入を検討しているが「何から始めればよいか分からない」中小企業の意思決定者に対し、導入プロジェクトの全体像を一気通貫で提示し、「自社でも着手できる」という確信と具体的な行動計画を持ってもらうこと。
こんな方におすすめです
- AI導入を検討しているが、何から始めればよいか分からない
- ベンダーの選び方や費用感がつかめず、判断できない
- 社内でAI導入の稟議を通すための資料が必要
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グリーンAIとは?AI自体の環境負荷を下げる考え方
まず押さえておきたいのは、「グリーンAI」という言葉が文脈によって少し違う意味で使われている点です。ここを整理しないと、社内の議論やベンダーとの会話がかみ合わなくなります。
グリーンAI(Green AI)の意味とレッドAIとの対比
グリーンAIとは、AIの開発・運用にともなう電力消費やCO2排出といった環境負荷を抑えることを重視する考え方を指します。精度や性能を高めることだけを追い求めるのではなく、その精度を「どれだけのエネルギーやコストで実現したか」という効率も評価軸に含めようとする立場です。
これに対比して使われるのが「レッドAI(Red AI)」です。レッドAIは、精度向上のために計算量・データ量・モデルサイズをひたすら拡大していくアプローチを指します。近年の大規模AIモデルは性能を大きく伸ばしてきましたが、その裏では膨大な計算資源と電力が消費されており、この「精度のための物量主義」への問題提起としてグリーンAIという概念が広がってきました。
発注者の立場で重要なのは、「高性能なAI=良いAI」とは限らない、という視点です。自社の用途に対して過剰な規模のモデルを選べば、得られる精度の差はわずかでも、電力消費とコストは大きく膨らみます。グリーンAIの発想は、性能と環境負荷・コストのバランスをとる意思決定そのものに直結します。
「AI for Green」との違い(混同しやすい点の整理)
グリーンAIと混同されやすいのが「AI for Green」です。両者は方向が逆なので区別しておきましょう。
- グリーンAI(Green AI): AIそのものの環境負荷を下げる取り組み。AIは「負荷をかける側」であり、その負荷をいかに減らすかが論点です。
- AI for Green: AIを使って環境課題を解決する取り組み。たとえばAIで電力需要を予測して再生可能エネルギーの利用効率を高める、工場のエネルギー消費を最適化する、といった用途です。ここではAIは「課題解決の道具」です。
AI導入の発注者が、自社の排出リスクという観点で気にすべきなのは主に前者の「グリーンAI」です。本記事も以降は、AI自体の環境負荷をどう抑え、どう確認するかに焦点を当てて解説します。
なぜ今グリーンAIが重要視されるのか
グリーンAIが注目を集める背景には、大きく3つの流れがあります。
- AI利用の急拡大による電力需要の増加: 生成AIの普及で、世界全体のデータセンターの電力消費が急速に伸びています(具体的な数値は次の章で扱います)。
- 企業のカーボンニュートラル目標とESG情報開示の広がり: 多くの企業が排出量削減目標を掲げ、サプライチェーン全体の排出(Scope3)を含めた開示を求められるようになりました。AI導入がこの数値を押し上げるリスクが、経営課題として認識され始めています。
- 電力・コストの問題が経営に直結すること: 電力消費はそのまま運用コストにも跳ね返ります。環境配慮とコスト最適化は、AI活用において同じ方向を向いた論点になりつつあります。
つまりグリーンAIは「環境に良いことをしよう」という理念だけの話ではなく、排出量の開示義務とコスト管理という、発注者がまさに直面している実務課題と結びついているのです。
AIの環境負荷の実態|CO2排出量はどこで生まれるのか
「AIは環境に負荷をかける」と言われても、漠然としていて確認のしようがありません。確認基準をつくるには、まずどこで排出が生まれるのかを構造的に理解しておく必要があります。
学習時・推論時の電力消費
AIの電力消費は、大きく「学習(トレーニング)」と「推論(実際にユーザーの問いに応答する処理)」の2フェーズに分かれます。
- 学習フェーズ: 大規模なモデルを一から学習させる際には、多数の高性能GPUを長時間稼働させるため、まとまった電力を消費します。ただしこれは基本的に開発時の一度きり(または更新のたび)の負荷です。
- 推論フェーズ: いったん完成したモデルを使い続ける運用段階の負荷です。1回あたりの消費は学習より小さくても、利用回数が膨大になれば積み上がります。実際、AIの電力消費の内訳は、かつてのトレーニング中心から推論中心へとシフトしており、現在は推論が全体の6〜7割を占めるという指摘もあります(情熱電力)。
身近な比較では、生成AIへの問い合わせ1回の消費電力は、一般的なWeb検索1回の約10倍にあたる約2.9Wh程度とされる試算もあります(情熱電力)。発注者にとって重要なのは、自社の使い方が「学習を大量に伴うのか」「推論を大量に回すのか」によって、負荷の発生源が変わるという点です。これは後述する確認項目の前提になります。
データセンターの電力・冷却(水資源)と電力需要の見通し
AIの計算処理は、最終的にデータセンターで行われます。データセンターでは、サーバーそのものの電力に加え、サーバーを冷却するための空調や、設備の照明・電源変換などにも電力を使います。冷却方式によっては大量の水を使う場合もあり、電力だけでなく水資源も環境負荷の論点になります。
電力需要の見通しは、AIブームを背景に大きく上方修正されています。国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンターの電力消費量が2024年の約415TWh(世界の電力の約1.5%)から、2030年には約945TWhへとほぼ倍増し、世界全体の電力消費の3%近くを占めると見込んでいます(IEA「Energy and AI」)。さらにIEAは、この増加の主因がAIであり、AI向けに最適化されたサーバーの電力消費は年率30%で伸び、データセンター全体の電力消費増加分の約半分を占めると分析しています。
国内でも、AI需要を背景にデータセンターの新規建設・電力調達が活発化しています。こうした流れを受け、日本政府はグリーン成長戦略において、データセンター・半導体分野のカーボンニュートラル化を他分野より前倒しして2040年に達成する方針を掲げています(経済産業省 デジタルインフラ整備に関する有識者会合資料)。AIの環境負荷は、もはや一部の専門家の懸念ではなく、エネルギー政策レベルの課題になっています。
排出量はどう測るのか(算定の考え方と指標)
「どのくらい排出しているか」を語るには、測り方を知っておく必要があります。AIに関連する排出量は、おおまかに次のように考えます。
AIの消費電力 × その電力の排出係数(その電力をつくる際にどれだけCO2が出るか)
ここで重要なのが、同じ電力消費量でも、電力の調達方法によって排出量が変わるという点です。火力発電中心の電力を使えば排出量は多くなり、再生可能エネルギーで賄えば排出量は抑えられます。つまり「電力をどれだけ使うか」と「その電力がどれだけクリーンか」の両面を見る必要があります。
データセンターの効率を測る代表的な指標がPUE(Power Usage Effectiveness/電力使用効率)です。PUEは「データセンター全体の消費電力 ÷ IT機器の消費電力」で計算し、1.0に近いほど、冷却などの付帯設備のロスが少なく効率的とされます(週刊BCN+)。日本では、資源エネルギー庁がデータセンター業の目指すべき水準として2030年までにPUE1.4の達成を掲げています(グリーンITブログ)。
発注者がすべてを自分で算定する必要はありません。ただし、ベンダーが排出量を算定・開示できる体制にあるか、PUEや電力の再エネ比率といった指標を提示できるかを確認できれば、定性的な印象に頼らず比較・判断できるようになります。
AIの排出量とESG・カーボンニュートラルの関係
ここまでで「AIがどこで排出するか」を見てきました。次に整理したいのが、なぜ発注者がその排出を気にしなければならないのかという根拠です。鍵になるのがGHGプロトコルの「Scope(スコープ)」という考え方です。
Scope 1/2/3 の基礎|AIの排出はどのScopeか
企業のCO2排出量は、国際的な算定基準であるGHGプロトコルにもとづき、3つのScopeに分けて整理されます。
区分 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
Scope 1 | 自社が直接排出する分 | 自社の工場・車両での燃料燃焼 |
Scope 2 | 購入した電力・熱の使用に伴う排出 | 自社オフィスで使う電力 |
Scope 3 | 自社の活動に関連する他社の排出(上流・下流) | 購入した製品・サービス、出張、輸送など |
注目すべきはScope3です。Scope3は自社の外で発生する排出を含むため範囲が広く、CDP(旧:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の分析では、多くの企業で総排出量の平均して4分の3程度(おおむね7割以上)をScope3が占めるとされています(IBM「What Are Scope 3 Emissions?」)。中でも「購入した製品・サービス」のカテゴリは、ほぼすべての業種に関係する主要な排出源です。
AIベンダーの排出が自社Scope3になるケース
ここが本記事の核心につながる部分です。自社が外部のAIサービスを契約して利用する場合、そのサービスの提供に伴う排出は、発注者から見れば「購入したサービスに伴う排出」、すなわち自社のScope3に算入されうるのです。
つまり、AIベンダーやクラウド事業者のデータセンターでどれだけ排出が出ているかは、発注者にとって「他人事」ではありません。ベンダーの排出が大きく、しかもそれが自社の利用分として算定されれば、自社のScope3排出量が押し上げられ、カーボンニュートラル目標やESG開示の数値に直接影響します。経営層やIRが「AI導入でScope3が増えないか」と問うのは、まさにこの構造を踏まえた懸念なのです。
逆に言えば、再生可能エネルギーで運用され、排出量を算定・開示できるベンダーを選べば、自社のScope3への影響を抑え、説明責任も果たしやすくなります。ベンダー選定が、自社のESGパフォーマンスを左右する意思決定になっているということです。
カーボンニュートラル目標・ESG開示への影響
近年、サステナビリティ情報の開示は任意の取り組みから、制度的に求められる対応へと移行しつつあります。サプライチェーン全体(Scope3を含む)の排出量を把握・開示する流れが強まる中で、「AIサービスの排出量を把握していない」状態は、開示上の空白やリスクになりかねません。
したがって発注者には、次の2つが求められます。
- AI導入が自社のScope3にどう影響するかを把握すること
- その影響を抑え、必要なデータを取得できるよう、ベンダー選定・契約の段階で確認・条件化しておくこと
この「確認・条件化」を具体的な項目に落とし込んだものが、次の章のチェックリストです。
AIシステム発注者がベンダーに確認すべきカーボン排出量の基準
ここからが本記事の中心です。AIシステムを発注する際、環境負荷の観点でベンダーに確認すべき項目を、実務で使える形に整理します。すべてを満点で満たすベンダーばかりではないため、自社の優先順位に応じて取捨選択して使ってください。
確認すべき項目チェックリスト
発注時にベンダーへ確認したい主な項目を、観点別にまとめます。
観点 | 確認する内容 | なぜ確認するか |
|---|---|---|
再エネ調達 | 利用するデータセンターの電力に占める再生可能エネルギーの比率、再エネ調達の計画・目標 | 同じ電力消費でも排出量を左右する最大の要因。自社Scope3の大小に直結する |
データセンターの効率・立地 | PUEの値、冷却方式(水使用の有無)、リージョン(地域)の電力事情 | 効率と地域の電力構成によって排出量が変わる。リージョン選択は発注者が選べる場合もある |
排出量の算定・開示 | AIサービス利用分の排出量を算定・提供できるか、その単位(リクエスト当たり・利用量当たり等)と算定根拠 | 自社Scope3の算定・開示に必要なデータを取得できるかが決まる |
モデル効率化の取り組み | 用途に合った規模のモデル提案、モデルの軽量化・効率化への取り組み | 過剰な規模を避けることで、性能を保ちつつ電力消費とコストを抑えられる |
認証・準拠フレームワーク | サステナビリティ報告の有無、第三者認証、GHGプロトコル等への準拠 | 自己申告だけに頼らず、客観的な裏付けで比較できる |
なお、AWS・Google・Microsoftといった主要クラウド事業者は、再生可能エネルギー比率の引き上げやカーボンニュートラル/カーボンネガティブの目標を公表しており、利用分の排出量を可視化するツールを提供している場合もあります(スマートグリッドフォーラム)。ベンダーがこうした基盤の上でサービスを提供しているかも、確認の手がかりになります。
確認項目をRFP・提案依頼にどう盛り込むか
上記の確認項目は、口頭での質問にとどめず、RFP(提案依頼書)の評価項目として明文化しておくと効果的です。文書化することで、ベンダー各社から比較可能な形で回答を引き出せ、社内の意思決定でも根拠として使えます。
RFPに盛り込む際のポイントは次のとおりです。
- 必須項目と加点項目を分ける: 「排出量データを提供できること」を必須にするか加点にするかは、自社のESG要件の厳しさに応じて決めます。
- 回答の形式を指定する: 「再エネ比率を%で」「PUEを数値で」のように、定量的な回答を求める形にすると比較しやすくなります。
- 用途・想定利用量を明示する: 自社の使い方(学習中心か推論中心か、想定リクエスト数など)を伝えることで、ベンダーから現実的な排出量の見積もりや適切なモデル規模の提案を受けやすくなります。
契約・SLAで押さえる環境データ提供条項
ベンダーが選定された後は、確認した内容を契約やSLA(サービス品質保証)に落とし込み、運用フェーズでも環境データを継続的に取得できるようにしておくと安心です。検討に値する条項の例を挙げます。
- 環境データの定期提供: 利用分の排出量や再エネ比率などのデータを、定期的(例:四半期・年次)に提供してもらう取り決め。
- 算定方法の開示: 提供される数値の算定根拠・前提を開示してもらい、自社のScope3算定と整合させられるようにする。
- 変更時の通知: データセンターの移転や電力調達方針の変更など、排出量に影響する変更があった場合の通知。
すべてを契約に盛り込めるとは限りませんが、「運用後にデータが取れず、開示に困る」という事態を避けるために、最低限どのデータをどの頻度で受け取るかは合意しておく価値があります。
ベンダー回答の評価のしかた
確認項目への回答が得られても、「何をもって十分とするか」の基準がないと判断できません。完璧な回答を求めるよりも、次の観点で総合的に評価するのが現実的です。
- 具体性: 「環境に配慮しています」という抽象的な表明ではなく、再エネ比率やPUEなど数値で示せているか。
- データ提供の可否: 自社のScope3算定に使えるデータを、実際に提供できるか。「将来対応予定」なのか「現時点で提供可能」なのかを区別する。
- 第三者の裏付け: 報告書や認証など、自己申告以外の根拠があるか。
- 自社用途との適合: 自社の使い方に対して過不足のない規模・構成を提案できているか。
すべての項目で満点を取れるベンダーは多くありません。重要なのは、自社のESG要件にとって譲れない項目(多くの場合は再エネ調達と排出量データの提供可否)を優先軸に据え、相対的に評価することです。
AIカーボンニュートラルに向けて発注者・開発側でできる工夫
ベンダー選びだけでなく、発注者側の判断や運用の工夫によっても、AIにまつわる排出量は変わります。確認するだけでなく、自ら排出を抑える選択肢を持っておくと、意思決定の幅が広がります。
発注者側でできる工夫(モデル規模・運用・リージョン選択)
- 用途に合ったモデル規模を選ぶ: 高性能な大規模モデルが常に必要とは限りません。タスクによっては、より小さいモデルでも十分な精度が得られ、その分電力消費とコストを抑えられます。「精度の差はわずかなのに負荷は大きい」選択を避けることが、グリーンAIの実践そのものです。
- 不要な再学習・再生成を減らす運用: 同じ処理を何度も繰り返さない、結果をキャッシュする、といった運用上の工夫で、無駄な推論を減らせます。
- リージョン(地域)を選ぶ: クラウドサービスでは、利用するデータセンターの地域を選べる場合があります。再生可能エネルギーの比率が高い地域を選べば、同じ処理でも排出量を抑えられる可能性があります。
開発側の省エネ手法の概要
受託でAIを開発する場合や、ベンダーの取り組みを理解する際の参考として、開発側の代表的な省エネ手法も概要だけ押さえておきましょう。
- モデルの軽量化: モデルのパラメータを削減したり、計算精度を調整したりして、性能を大きく落とさずに計算量を減らす手法。
- 蒸留(ナレッジ・ディスティレーション): 大きなモデルの知識を、より小さなモデルに引き継がせ、小規模でも実用的な精度を出す手法。
- 効率的な学習: 学習の工夫により、必要な計算回数や時間を抑えるアプローチ。
これらは専門的な内容ですが、「ベンダーがモデル効率化に取り組んでいるか」を確認する際の語彙として知っておくと、提案内容の評価に役立ちます。
グリーンAIに関するよくある質問(FAQ)
グリーンAIとAI for Green、レッドAIの違いは?
グリーンAIはAI自体の環境負荷を下げる取り組み、レッドAIは精度のために計算量・規模を拡大していくアプローチで、両者は対比関係にあります。AI for Greenはこれらとは別の概念で、AIを使って環境課題を解決する取り組みを指します。発注者が自社の排出リスクの観点で気にすべきなのは、主にグリーンAIです。
AIはどれくらいCO2を排出するの?
一概には言えませんが、世界規模では、データセンターの電力消費が2030年に約945TWh(世界の電力の3%近く)に達し、その増加の主因がAIだとIEAは見込んでいます(IEA)。個別の排出量は、利用量・使うモデルの規模・電力の調達方法によって大きく変わるため、自社の利用分はベンダーから算定データを取得して把握するのが確実です。
AIベンダーの排出量は自社のScope3に含まれる?
外部のAIサービスを契約して利用する場合、その提供に伴う排出は「購入したサービスに伴う排出」として、発注者のScope3に算入されうる構造があります。そのため、ベンダーの排出は発注者自身のESG数値に影響します。詳しくは「AIの排出量とESG・カーボンニュートラルの関係」で解説しています。
環境に配慮したAIベンダーはどう見分ける?
「環境に配慮しています」という抽象的な表明ではなく、再生可能エネルギーの比率やPUE、利用分の排出量を数値やデータで示せるか、第三者の裏付け(報告書・認証)があるかで見分けます。本記事のチェックリストをRFPの評価項目に落とし込むと、各社を比較しやすくなります。
排出量を確認しても自社で削減が難しい場合はどうすれば?
すべてをベンダー任せにせず、発注者側でも工夫の余地があります。用途に合ったモデル規模の選択、不要な再学習・再生成を減らす運用、再エネ比率の高いリージョンの選択などです。詳しくは「AIカーボンニュートラルに向けて発注者・開発側でできる工夫」をご覧ください。
まとめ|グリーンAIを発注時の確認基準に落とし込む
グリーンAIとは、AI自体の環境負荷を下げることを重視する考え方です。生成AIの普及でデータセンターの電力消費が世界的に急増する中、AIの排出は環境課題であると同時に、発注者にとっては自社のScope3・ESG開示に跳ね返る経営課題になっています。
発注者が漠然とした不安を行動に変えるには、次のステップが有効です。
- AIの排出がどこで生まれるか(学習・推論、データセンターの電力・冷却)を理解する
- 外部AIサービスの排出が自社のScope3に算入されうることを前提に置く
- 再エネ調達・データセンター効率・排出量データの提供可否・モデル効率化・認証といった項目をベンダーに確認する
- それらをRFPの評価項目や契約条項に明文化し、運用後もデータを取得できるようにする
- リージョン選択や適切なモデル規模など、発注者側でできる工夫も併用する
まずは本記事のチェックリストを、自社のRFPや社内説明資料に反映するところから始めてみてください。確認すべき基準が手元にあれば、「AIで排出が増えないか」という社内の問いにも、根拠をもって答えられるようになります。
はじめての AI 導入ガイド――中小企業が失敗しないための7ステップ

この資料でわかること
AI導入を検討しているが「何から始めればよいか分からない」中小企業の意思決定者に対し、導入プロジェクトの全体像を一気通貫で提示し、「自社でも着手できる」という確信と具体的な行動計画を持ってもらうこと。
こんな方におすすめです
- AI導入を検討しているが、何から始めればよいか分からない
- ベンダーの選び方や費用感がつかめず、判断できない
- 社内でAI導入の稟議を通すための資料が必要
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