SES企業に所属しながら「このままでいいのだろうか」と感じたことはありますか?
毎月の給与は安定しているし、案件は会社が取ってきてくれる。でも、もし自分で案件を選べたら、もっと稼げるのかもしれない。フリーランスという働き方が気になっている方は多いのではないでしょうか。
SESとフリーランスを比べた記事はたくさんありますが、「どちらが稼げるか」「どちらが自由か」という単純な比較で終わっているものが多く、実際の判断に役立てにくいと感じることもあるかもしれません。
この記事では、受注側つまりエンジニア自身の視点から、SESとフリーランスの違いを収入・案件の自由度・安定性の3つの軸で具体的に比較します。そして、いきなりの独立が不安な方に向けて、リスクを最小化しながらフリーランスを試す方法も紹介します。
SESとフリーランスエンジニア、根本的な違いは何か
雇用形態と契約の違い
SES(システムエンジニアリングサービス)とフリーランスエンジニアは、働く場所(クライアント先)が似ていることから混同されがちですが、契約の性質はまったく異なります。
SESエンジニアは、SES企業と雇用契約(正社員・契約社員)を結び、そのSES企業が取得した案件にアサインされてクライアント先で働きます。給与を支払うのはSES企業であり、社会保険・雇用保険もSES企業経由で適用されます。
フリーランスエンジニアは、特定の企業に雇用されていません。クライアント企業または仲介エージェントと個別に業務委託契約を結び、報酬を受け取ります。税務処理(確定申告)や社会保険(国民健康保険・国民年金)は自分で手続きする必要があります。
同じ「クライアント先で働く」という外形でも、雇用主・保険・税務の責任主体が異なる点が最大の違いです。
案件の決め方・選び方の違い
SESエンジニアが参画する案件は、基本的にSES企業が取得し、エンジニアに紹介・アサインする形で決まります。希望は出せますが、企業の都合や案件の空き状況によって最終的な案件が決まることも多いです。
フリーランスエンジニアは、フリーランスエージェント(ITプロパートナーズ、レバテックフリーランス等)に登録したり、クラウドソーシングや知人の紹介など、自分で複数のチャネルから案件を探します。案件の選択権は完全に自分にあります。ただし、その分、案件探しの手間と営業コストも自分で負担することになります。
収入・年収を比べてみる

SESエンジニアの収入モデル
SESエンジニアの収入は、基本的に月額固定給が中心です。
SES企業はクライアントから月次でエンジニアの稼働費用を受け取り、そこから会社の利益(マージン)を差し引いた残りがエンジニアの給与になります。
SESエンジニアの年収は経験年数・スキル・企業規模によって幅がありますが、目安としては350〜600万円程度が一般的です。
フリーランスエンジニアの収入モデル
フリーランスエンジニアの収入は、月額単価 × 稼働月数で決まります。
2026年時点のフリーランスエンジニアの平均月額単価は75〜81万円程度(エージェント掲載案件ベース)とされており、スキルや経験次第でさらに高い単価を設定することも可能です。
年間フル稼働(12ヶ月)した場合の額面収入は、平均単価で計算すると900〜970万円程度になります。
実際の手取りで比較すると?
ここで注意が必要なのは、額面の違いが「そのまま手取りの差」にはならない点です。
フリーランスは国民健康保険・国民年金の保険料を全額自己負担します。SESエンジニアは健康保険・厚生年金の保険料を会社と折半するため、社会保険料の負担差は年間で数十万円になることがあります。さらに、フリーランスは経費(通信費・書籍代・機器代等)を計上できますが、消費税の納付義務が発生する場合もあります。
年収600万円のフリーランスと年収500万円のSESエンジニアの実質的な手取り差は、思ったより小さくなることがあります。フリーランスへの移行を検討する際は、税務・社会保険の観点まで含めて収入を試算することをおすすめします。
働き方の自由度と案件の質を比べる
案件の種類・技術領域の選択
フリーランスエンジニアの最大のメリットのひとつが、案件選択の自由です。
SES企業に所属している場合、案件はある程度企業が保有するネットワークの中から選ばれます。希望を出しても通らないことがある、という経験を持つ方も多いでしょう。
フリーランスになると、全国(リモートなら全世界)の案件の中から自分の技術領域・業界・上流下流のバランスを考えて選べます。「今後はインフラよりもバックエンド寄りの案件を積みたい」「決済系のドメイン知識を深めたい」といったキャリア意図に沿った案件選びができるのは、フリーランスならではの強みです。
勤務地・稼働時間の裁量
SES企業の場合、案件によってはクライアント先への常駐が求められることがあります。リモート案件の多寡はSES会社の営業力と方針によります。
フリーランスエンジニアは、案件を選ぶ段階からフルリモート・週3〜4日稼働といった条件を絞り込むことができます。ライフスタイルや育児・介護の都合に合わせた働き方の設計が、SES勤務より柔軟に行えます。
キャリアの設計主導権
SES企業に所属していると、キャリアの方向性が企業の方針やアサインされる案件に依存しがちです。「上流工程を経験したいのに、ずっと実装フェーズの案件ばかり」という悩みを持つ方も珍しくありません。
フリーランスでは、参画する案件・接触するクライアント・扱う技術を自分で選べるため、キャリアの方向性を自分の手で設計することができます。
安定性とリスクを正直に比べる
SESエンジニアが持つ安定性
SES企業に所属することの最大のメリットは、やはり収入と雇用の安定性です。
- 毎月決まった日に給与が振り込まれる
- 雇用保険があるため、退職後は失業給付を受け取れる
- 傷病手当金があるため、病気・怪我で働けない期間も一定の収入が保障される
- 案件と案件の間(アサイン待ち期間)も、多くのSES企業では給与が支払われる
これらの保障は、会社員という雇用形態が持つ本質的な強みです。
フリーランスが直面するリスク
フリーランスになると、以下のリスクを自分で管理する必要があります。
収入の不安定性: 案件が途切れると収入がゼロになります。契約更新のサイクル(3ヶ月〜1年ごと)のたびに、次の案件の確保を意識する必要があります。
病気・怪我時の収入保障がない: 会社員に適用される傷病手当金(給与の2/3を最大1年6ヶ月)のような制度はフリーランスにはありません。病気で働けない期間は原則として収入がゼロになります。
契約トラブルのリスク: 業務委託契約はSES雇用と異なり、トラブルが起きた際の法的な保護が薄くなることがあります。契約内容の確認が重要です。
リスクを軽減する現実的な方法
フリーランスのリスクをゼロにすることはできませんが、軽減策はあります。
- 3〜6ヶ月分の生活防衛資金を確保する: 案件が途切れても慌てないための「貯金」を作ること
- 複数の案件チャネルを持つ: 1社のエージェントだけに依存せず、複数のルートを確保する
- フリーランス向けの賠償責任保険に加入する: 契約トラブル時の損害を補償する保険が存在する
- 小さく試す(副業から始める): 後述する「段階的移行」で、いきなりフル独立のリスクを回避する
SESのまま続けるメリット
フリーランスへの移行が常に正解ではありません。SESで働き続けることにも、明確なメリットがあります。
- 収入と雇用の安定: 上述の傷病手当・失業保険・厚生年金などの社会保障がフルに適用される
- 案件獲得を会社に任せられる: 営業活動・契約交渉・請求書発行はすべて会社が担う
- チームでの開発経験が積める: SES案件ではチームへの参画が多く、チームワークや組織の仕事の進め方を学ぶ機会がある
- スキルを磨きながらタイミングを見極められる: 「3年後に独立する」という目標のもと、SESで経験を積みながら準備を進められる
「フリーランスになりたいが、まだスキルが不足している」と感じるなら、SESで意図的に経験を積む期間を設けることは合理的な判断です。
フリーランスに移行するメリット
一方で、フリーランスへの移行を選ぶ理由も明確です。
- 収入の上限がない: スキルと稼働量次第で、SESの固定給を大きく超える収入を得ることができる
- 案件・技術・働き方を自分で設計できる: キャリアの主導権を自分が持てる
- 副業・週3稼働など柔軟な働き方が可能: 複数のクライアントと並行して仕事をしながら、ポートフォリオを多様化できる
- 努力がダイレクトに収入に反映される: スキルアップや実績積み重ねが、直接的に単価交渉の根拠になる
SESで「評価されない」「収入が上がらない」というフラストレーションを感じているなら、フリーランスへの移行がキャリアの転換点になる可能性があります。
フリーランス独立に向いているエンジニアの特徴
すべてのエンジニアにフリーランスが向いているわけではありません。以下の特徴が当てはまる方は、フリーランスとして活躍しやすい傾向があります。
向いている方の特徴:
- 実務経験3年以上(特に要件定義・設計など上流工程の経験があると有利)
- 自分の技術的な強みが明確(「私はRailsとPostgreSQLが得意」と言える専門性がある)
- 自主的に情報収集や営業ができる(受け身ではなく、自分から動ける)
- 収入の変動をある程度許容できる(毎月固定収入でないことへの心理的耐性がある)
- 事務処理(確定申告・請求書作成)を苦にしない(またはアウトソースできる)
逆に、「安定収入が最優先」「営業や人脈形成が苦手」「まだ1〜2年目でスキルが浅い」という方は、SESでもう少し経験を積んでからフリーランスを検討する方が現実的かもしれません。
いきなり独立が不安なら「段階的移行」を検討する

フリーランスへの転向を考えているものの、「会社を辞めていきなり独立するのはリスクが大きい」という方に向けて、もうひとつの選択肢を紹介します。
副業で最初の案件を経験する
SES企業に所属したまま、副業として初めてのフリーランス案件を受注する方法があります。
副業での案件受注は、以下の点で「フリーランス入門」として非常に合理的です。
- 本業(SES)の収入を維持しながら、フリーランスの案件獲得・稼働・請求のサイクルを体験できる
- 「案件が途切れたら収入がゼロになる」というリスクが回避できる
- 「自分のスキルでどのくらいの単価が取れるか」を安全な状況でテストできる
- 週1〜2日の副業でも、月10〜25万円程度の追加収入になる案件が存在する
副業で一度フリーランス案件を経験してみることで、「独立後のイメージ」が具体化します。「思ったよりイケる」と確信が持てたら独立へ踏み出す。「やっぱりSESの方が合っている」と気づいたなら続けることができる。どちらに転んでも損がない戦略です。
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まとめ
SESとフリーランスエンジニア、どちらが「正解」というわけではありません。それぞれに明確なメリットとデメリットがあります。
比較軸 | SES | フリーランス |
|---|---|---|
収入の安定性 | 高い(固定給) | 案件次第(変動あり) |
年収の上限 | 企業の給与体系に依存 | スキル・稼働次第で青天井 |
案件の自由度 | 低め(企業が選定) | 高い(自分で選択) |
キャリア設計 | 企業方針に依存 | 自分でコントロール |
社会保障 | 充実(厚生年金・傷病手当等) | 自己負担(国民年金・国保) |
事務負担 | 会社が担当 | 自分で対応(確定申告等) |
独立を検討している方には、いきなりフル独立ではなく、副業でフリーランスを体験する段階的移行がリスクを最小化できる選択肢です。
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