副業を始めようと調べると、「エージェントおすすめ〇〇選」「プラットフォーム〇〇選」という記事が大量に並んでいます。どれも似たようなサービスが並んでいて、「自分に合うのはどれだろう?」と迷ってしまう方は少なくないでしょう。
特に、本業を続けながら週1〜数時間の複業を希望するエンジニアにとって、「週2〜3日前提」や「フリーランス独立前提」のエージェントは使いにくいケースがあります。サービスの種類と自分のスタイルのギャップに気づかず登録してしまい、希望に合う案件がなかった、という体験をした方もいるかもしれません。
この記事では、「エージェント型」と「プラットフォーム型」の構造的な違いから、複業エンジニアが自分のスタイルに合ったサービスを選ぶための判断軸を解説します。大量のサービス比較ではなく、あなたの稼働時間・キャリア目標・営業スタンスに合う選択基準を持てるよう、具体的なフレームワークをお伝えします。
エージェントとプラットフォームのどちらが向いているかを知りたい方、マージンの実態や稼働条件の現実を事前に把握したい方はぜひ最後まで読んでみてください。
エージェント型とプラットフォーム型は何が違うのか

副業・複業エンジニア向けサービスは大きく「エージェント型」と「プラットフォーム型(直接マッチング型)」の2種類に分かれます。この違いを把握しないまま登録すると、希望に合わない案件しか紹介されない、あるいはサービスの使い方が分からずに離脱してしまうことになります。
エージェント型の仕組みとメリット
エージェント型は、専任の担当者(エージェント)がエンジニアと企業のマッチングを代行するサービスです。担当者が希望条件(稼働日数・単価・職種)をヒアリングし、条件に合う案件を選んで紹介してくれます。
メリット:
- 案件の紹介から契約交渉まで担当者が代行してくれる
- 非公開案件にアクセスできる場合がある
- 営業が苦手なエンジニアでも案件を獲得しやすい
代表的なサービスとして、レバテックフリーランス、ITプロパートナーズ、シューマツワーカー(副業特化)などがあります。
プラットフォーム型(直接マッチング型)の仕組みとメリット
プラットフォーム型は、エンジニア自身がサービス上で案件を検索し、直接クライアントにコンタクトして契約するサービスです。エージェントを介さないため、マージン(手数料)が発生しないのが最大の特徴です。
メリット:
- マージンなし、または低い手数料で直接契約できる
- 週1〜数時間のスポット案件が豊富
- 案件・クライアント・条件を自分で選べる自由度がある
代表的なサービスとして、Workship、SOKUDAN、複業クラウドなどがあります。
2つの違いを一覧で整理
比較項目 | エージェント型 | プラットフォーム型 |
|---|---|---|
案件の探し方 | 担当者が紹介 | 自分で検索・応募 |
マージン(手数料) | 20〜30%程度 | なし〜低い |
稼働日数の目安 | 週2〜3日以上が多い | 週1〜数時間OKが多い |
案件の種類 | 業務委託・開発案件中心 | 多様(スポット・短期・プロジェクト) |
営業力の必要性 | 担当者が代行 | 自分でアピール・交渉が必要 |
向いている人 | 営業が苦手・安定した案件を求める人 | 自分で動ける・短時間稼働希望者 |
複業エンジニアが選ぶべきのはどちら?3つの判断軸

「エージェントとプラットフォームのどちらを使うか」は、以下の3つの軸で判断すると整理しやすいです。
判断軸1: 稼働可能時間(週何時間取れるか)
本業を週5日勤務している場合、平日の夜間や週末だけが稼働可能な時間帯になります。
稼働可能時間 | 向くサービス | 理由 |
|---|---|---|
週1〜10時間 | プラットフォーム型 | 週1〜数時間のスポット案件が多い |
週10〜20時間(週2〜3日相当) | エージェント型・プラットフォーム型どちらも | 選択肢が広がる |
週20時間以上(週4〜5日相当) | エージェント型 | 長期・安定案件の紹介が得意 |
エージェント型の多くは「週2〜3日以上」の稼働を前提とした案件を中心に扱っています。週1日・週末のみを希望する場合は、副業特化のエージェント(シューマツワーカー等)か、プラットフォーム型を選ぶほうが案件がマッチしやすいです。
判断軸2: キャリア目標(何のために複業するか)
キャリア目標 | 向くサービス |
|---|---|
新しいスキル・技術を習得したい | プラットフォーム型(スタートアップ案件が多い) |
収入を安定して増やしたい | エージェント型(長期・安定案件が多い) |
いずれフリーランス独立を検討している | エージェント型(フリーランスのスタートを支援する体制あり) |
本業と全く異なる領域で経験を積みたい | プラットフォーム型(多様な案件・短期で経験が積みやすい) |
判断軸3: 営業・交渉への抵抗感
営業スタンス | 向くサービス |
|---|---|
自分で案件を探し、クライアントと交渉したい | プラットフォーム型 |
営業や交渉が苦手、担当者にお任せしたい | エージェント型 |
判断早見表
条件 | 推奨 |
|---|---|
週1〜10時間、スキルを広げたい、自分でも動ける | プラットフォーム型 |
週2〜3日以上、収入増・安定希望、営業が苦手 | エージェント型 |
将来的にフリーランス独立を検討中 | エージェント型(まずフリーランスエージェントに相談) |
どちらも気になる | 両方に登録(複数登録は一般的) |
エージェント型を使う前に知っておくべきデメリット
エージェント型を選ぶ前に、デメリットも正直に把握しておきましょう。競合記事の多くはエージェント運営のメディアのため、この視点が薄くなりがちです。
マージンの実態と手取り計算例
エージェント型ではクライアントが支払う報酬からマージン(手数料)が引かれます。マージン率の相場は一般的に20〜30%程度とされており、公開されていないエージェントも多くあります(出典: エンジニアスタイル「フリーランスエンジニアが注意すべきエージェント会社のマージンの仕組」)。
手取り計算例(月50万円案件の場合):
マージン率 | クライアント支払額 | あなたの手取り |
|---|---|---|
10% | 50万円 | 45万円 |
20% | 50万円 | 40万円 |
30% | 50万円 | 35万円 |
マージン率が公開されていない場合は契約前に確認することをお勧めします。また、マージン率が低いエージェント(テクフリ: 10%(公開)、PE-BANK: 8〜15%等)も存在します。
「週2〜3日以上」前提の案件が多い理由
多くのエージェントは、クライアント企業が求める「一定の稼働量(週2〜3日以上)」の案件を中心に扱っています。クライアントにとって、週1日だけの外部エンジニアはプロジェクトへの関与度が低く、管理コストに見合わないケースが多いためです。
「週1日しか稼働できない」とエージェントに伝えると、案件の選択肢が非常に限られてしまうことがあります。
担当者の質と相性によるリスク
エージェントの担当者の質はサービスによって、また担当者個人によって差があります。スキルに合わない案件を強く勧められるケースや、連絡が滞るケースも報告されています。複数のエージェントに登録して比較することで、このリスクを分散できます。
プラットフォーム型のメリットと複業エンジニアへの向き方
プラットフォーム型(直接マッチング型)は、本業を維持しながら短時間の複業をしたいエンジニアに向いているケースが多いです。
直接マッチング型のメリット(マージンなし・短時間稼働OK)
マージンなしで手取りが増える
直接契約のためクライアントが支払う報酬がそのまま手取りになります(プラットフォームによっては少額の手数料が発生する場合もありますが、エージェントのマージンより大幅に低いです)。
週1〜数時間のスポット案件が豊富
SOKUDANは週1〜3日の案件が多く92%がリモート対応、Workshipも週1〜3日の案件を扱っています。複業クラウド(Another Works)は80種類以上の職種・業界に対応し、週1日〜稼働OKの案件が豊富です。
稼働条件を自分でコントロールできる
案件を自分で検索して選ぶため、稼働日数・単価・クライアントを自分の都合に合わせて絞り込めます。
注意点(自己PRと応募文作成が必要・スキル証明が鍵)
プラットフォーム型では、担当者が営業を代行してくれません。案件の応募文・ポートフォリオ・GitHubのリポジトリなどでスキルを自分でアピールする必要があります。
また、プラットフォーム型の案件はスポット・短期が多いため、継続的な収入を安定させるには複数の案件を掛け持ちしたり、継続案件に移行できるクライアントとの関係構築が重要になります。
複業エンジニアにおすすめのサービス(週1〜数時間OKに絞り込み)

大量のサービスを比較するよりも、「週1〜数時間の複業に対応しているか」という観点で絞り込んだほうが効率的です。
エージェント型(副業・複業特化)のおすすめ
シューマツワーカー 週あたり10時間程度の稼働で参画できる案件を多く取り扱っており、90%以上がリモートワーク案件です。週末に副業したいエンジニアに特化したエージェントです。
HiPro Tech(パーソルキャリア運営) 土日稼働OKや複業での短時間・ハイスキル案件を絞り込める機能があります。人材大手パーソルキャリアが運営するため安定感があります。
プラットフォーム型(直接マッチング)のおすすめ
SOKUDAN 週1時間・週1日など短時間の案件が多く、92%がリモート対応。副業・子育て中など稼働時間が制限される方に適しています。平均稼働日数は週2.4日で、週1〜週3日の案件が中心です。
Workship エンジニア・デザイナー向けの案件を豊富に取り扱い、土日のみや週1〜3日の案件のバラエティが豊富です。大手からベンチャーまで幅広いクライアントが掲載されています。
複業クラウド(Another Works) 日本最大級の副業マッチングプラットフォームで、80種類以上の職種・業界に対応。週1日〜稼働OKの案件が多く、クライアントとの直接契約のためマージンが発生しません。80,000人以上が登録しています(2025年1月時点)。
失敗しない複業エンジニアの始め方チェックリスト
サービスを選ぶ前に、以下のチェックリストを確認してから始めることをお勧めします。
本業の副業規定を確認する(最重要)
副業・複業を始める前に、本業の就業規則に副業禁止規定がないかを確認してください。多くの企業では副業を認めるようになっていますが、競業避止義務や情報漏洩リスクへの制限が設けられているケースもあります。
副業が認められている場合でも、「本業への支障なし」「競合他社への参画禁止」等の条件が付いている場合があります。契約前に確認しておくことで、後のトラブルを避けられます。
稼働時間を先に決めてからサービスを選ぶ
「週に何時間、何曜日に稼働できるか」を事前に明確にしてから、サービスを選びましょう。稼働時間が決まっていると、案件の選定やエージェントへの伝え方が明確になり、ミスマッチが減ります。
複数サービスへの登録(1社絞りのリスク)
1社のみに登録するのは案件数・選択肢が限られるリスクがあります。エージェント型1〜2社とプラットフォーム型1〜2社に並行して登録し、どのサービスが自分に合うかを比較することをお勧めします。
確定申告の準備(年20万円超で必要)
副業・複業による所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。会社員の場合は年末調整で本業の税務処理をしているため、副業分の申告を忘れがちです。帳簿・領収書の管理を最初から習慣化しておくと、確定申告時の手間を大幅に減らせます。
複業を始めるにあたって、エージェント型とプラットフォーム型のどちらが向いているかは、稼働時間・キャリア目標・営業スタイルによって変わります。本記事で紹介した3つの判断軸(稼働可能時間・キャリア目標・営業への抵抗感)を参考に、自分のスタイルに合ったサービスを選んでみてください。
まずは複数サービスに登録して、どんな案件があるかを眺めることから始めるのが、無理なく複業をスタートさせる第一歩です。



