フリーランスに転向してから、毎月自動で引き落とされる保険料が急に重く感じるようになった、という経験はありませんか。会社員の頃は給与から天引きされる感覚で、あまり意識しなかった月1〜3万円の保険料が、不安定な収入の中では固定費として確実に迫ってきます。「この保険、本当に続ける必要があるのか」と思いつつも、何を基準に判断すればいいのかわからず、気づけば数年が経ってしまった方も少なくないでしょう。
会社員時代に「なんとなく」入った生命保険を、フリーランスになっても継続しているケースは非常に多いです。しかし、会社員時代に設計された保険の内容が、フリーランスになった今の生活にフィットしているとは限りません。収入の仕組みが変わり、社会保険の種類も変わり、税制上の扱いも変わります。そのまま放置していると、保障が過剰なところには保険料を払い続けながら、本当に必要なリスクには対応できていない、という状況になってしまいます。
かといって、保険会社や保険代理店に相談すると、営業トークに乗せられてより高い保険に乗り換えさせられるのでは、と警戒する気持ちもよくわかります。ファイナンシャルプランナー(FP)への相談も、「どこまで信頼できるのか」と感じる方も多いでしょう。
本記事では、FP や保険会社の営業を介さなくても、自分で保険の見直し方向を決められる「4つの判断軸」を解説します。家族構成、収入の安定度、既存保障との重複、税制優遇の活用という4つの軸を使えば、「削る・維持・追加」のうちどの方向で動けばいいかを、自分で判断できるようになります。
フリーランスになると生命保険の意味が変わる3つの理由
保険を見直す前に、まず「なぜフリーランスになると保険の前提が変わるのか」を理解しておきましょう。会社員とフリーランスでは、保険を取り巻く環境が根本的に異なります。
収入が変動すると固定費の負担感が変わる
会社員は毎月一定の給与が保証されているため、固定の保険料を支払い続けることに大きなストレスはありません。しかしフリーランスは、案件の受注状況によって月収が大きく変動します。月収が80万円のときも、50万円のときも、場合によっては0円に近いときも、保険料は変わらず引き落とされます。
収入が安定しないということは、固定費が家計に与えるダメージが非線形に変化するということです。月収が高いときには余裕があっても、収入が落ちた月は保険料の占める割合が跳ね上がります。生命保険の見直しは、単に保障内容の話だけではなく、フリーランスの収入構造に合った支出管理の観点からも重要です。
フリーランスが失う公的保障(傷病手当金・団体労災)
会社員が当たり前のように受けていた公的保障の一部は、フリーランスには適用されません。最も大きな違いのひとつが「傷病手当金」です。会社員が病気やけがで働けなくなったとき、健康保険から最大1年6ヶ月、給与の約3分の2が補填されます。しかしフリーランス(国民健康保険加入者)には傷病手当金がありません。
また、会社員は業務中のケガや病気に対して労災保険が適用されますが、フリーランスは一般的に労災の対象外です(特別加入制度を別途申し込んだ場合を除く)。これらの公的保障がなくなった分を、民間保険でどこまでカバーするかを検討することが、フリーランスの保険設計において重要になります。
団体割引・グループ保険の消滅
多くの会社員は、勤務先が福利厚生として提供する団体生命保険やグループ保険に、割安な保険料で加入しています。退職・独立によって、こうした団体保険は原則として継続できなくなります(一部保険は個人契約への移行が可能な場合もあります)。
独立時に団体保険が終了しているにもかかわらず、代替の保険を検討しないままでいると、保障の空白期間が生じる可能性があります。一方、会社員時代に個人として加入していた生命保険は独立後も継続できますが、団体割引があった場合は実質的に保険料が割高になっているケースも少なくありません。独立のタイミングで、既存保険の整理と必要な保険の追加検討を行うことが求められます。
フリーランス転向後に改めて検討すべき保険の種類については、「フリーランスエンジニアが加入すべき保険3選」で整理しています。また、独立時に健康保険をどう切り替えるかについては「国民健康保険 vs 任意継続:フリーランス転向時の健康保険の選び方」も参考にしてください。
生命保険を見直す前に確認する:自分の「現状の保障マップ」
判断軸を適用する前に、「今の自分がどんな保障に入っていて、何がカバーされているか」を整理することが先決です。手元の情報を把握しないまま見直しを始めると、必要な保障を削ったり、重複に気づかないまま保険料を払い続けたりするリスクがあります。
手元に揃えるべき書類・情報
まず以下の情報を手元に揃えましょう。保険証書がすぐに見つからない場合は、保険会社のアプリやマイページで確認できる場合が多いです。
確認すべき書類・情報チェックリスト
- 現在加入している生命保険の保険証書(死亡保障・医療保険・がん保険・就業不能保険など)
- 各保険の毎月の保険料・保障金額・満期日・解約返戻金の有無
- 国民健康保険証(保険料の確認)
- 直近1年間の源泉徴収票または確定申告書(年収の把握)
- iDeCo の加入状況(加入している場合は毎月の拠出金額)
- 小規模企業共済の加入状況
会社員時代に入った保険が複数ある場合は、一覧表を作ることをお勧めします。保険名・会社名・毎月の保険料・主な保障内容(死亡保険金額・入院給付金額など)・いつまでの保障かを表形式で整理するだけで、重複や過不足が見えやすくなります。
高額療養費制度でカバーできる範囲の確認
医療保険に加入している場合、高額療養費制度との関係を理解することが重要です。高額療養費制度とは、同一月に支払った医療費が一定の上限額(自己負担限度額)を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
自己負担限度額は所得によって異なりますが、年収400〜600万円程度のフリーランスエンジニアの場合、1ヶ月の医療費の上限は概ね8〜10万円程度になります(標準的な負担水準の計算式: 80,100円 + (総医療費 − 267,000円) × 1%)。つまり、どれだけ高額な治療を受けても、1ヶ月の自己負担は10万円前後に抑えられる仕組みになっています。
医療保険に「入院1日あたり1万円」の給付金が設定されている場合、10日間入院すれば10万円の給付があります。高額療養費で自己負担が8〜9万円に抑えられると仮定すると、医療保険の給付金は実費の自己負担をほぼカバーできている計算になります。ただし、差額ベッド代や食費、交通費などは高額療養費の対象外のため、完全にゼロになるわけではありません。
「公的保障 + 自助努力」の現状マップを一枚の表にまとめる
棚卸しが終わったら、以下のような表を作ることをお勧めします。
リスク | 公的保障 | 民間保険 | 自己資金 | 空白の有無 |
|---|---|---|---|---|
病気・ケガで入院 | 高額療養費制度 | 医療保険(月◯円給付) | 貯蓄◯万円 | 概ね対応可 |
長期就業不能 | なし(傷病手当金は適用外) | なし | — | 要確認 |
死亡 | 遺族年金(限定的) | 死亡保険金◯円 | — | 要試算 |
がん治療 | 高額療養費制度 | がん保険(診断一時金◯円) | — | 概ね対応可 |
「空白の有無」欄に「要確認」が多いほど、保障の追加を検討する意義があります。特に長期就業不能リスクは、フリーランスエンジニアが最も見落としやすく、かつ影響が大きいリスクです。就業不能保険の仕組みや選び方の詳細については「フリーランスエンジニアの就業不能保険:傷病手当金のないフリーランスが備える方法」で解説しています。この表を作るだけで、次のセクションの4つの判断軸をより具体的に当てはめられるようになります。
生命保険の見直し判断軸4つ
ここが本記事の核心です。4つの判断軸それぞれについて、「削る条件」「維持する条件」「追加する条件」を明確に示します。全ての軸に当てはまる答えはなく、自分の状況を4軸に照らし合わせて判断することが重要です。
判断軸1 — 家族構成と死亡保障の必要保障額
死亡保障は「自分が死んだときに、残された家族が生活を維持できるか」を補うためのものです。フリーランスエンジニアの場合、会社員時代よりも収入の継続性が低いため、必要保障額を慎重に試算する必要があります。
削れる可能性が高いケース
- 独身で扶養家族がいない場合
- 配偶者がフルタイムで安定した収入を持っている場合(自分が亡くなっても配偶者が生計を維持できる)
独身で養う家族がいなければ、死亡保障の必要性は著しく低くなります。終身保険に加入している場合、積立目的(解約返戻金)のためだけに保険料を払い続けているケースもあります。後述の判断軸4(iDeCoとの比較)で検討する価値があります。
維持・追加が必要なケース
- 子どもがいる、または配偶者が専業主婦(主夫)の場合
- 住宅ローンを組んでいる場合(団体信用生命保険の保障範囲外のリスクがある場合)
子どもがいる場合の必要保障額は、以下のような考え方で試算できます。
必要保障額の目安 = 遺族が必要な生活費 × 年数 − 遺族年金の見込み額 − 配偶者収入の見込み
子どもが18歳になるまでの期間を「年数」として計算し、公的年金の遺族年金(子どもがいる場合は子どもが18歳になるまで支給)や配偶者の収入を差し引いた不足分が、必要な死亡保障額の目安となります。既存の死亡保険金が試算した必要保障額を大幅に上回っている場合は、減額の検討余地があります。
判断軸2 — 収入変動リスクと就業不能保険の優先度
フリーランスエンジニアが最も優先して検討すべきなのが、就業不能保険(または所得補償保険)です。病気やケガで長期間働けなくなったとき、会社員なら傷病手当金が受け取れますが、フリーランスにはこの制度がありません。
追加を強く検討すべきケース
- 病気・ケガで3ヶ月以上働けなくなったとき、貯蓄だけでは生活費・固定費をカバーできない
- フリーランスになって間もなく、月収が不安定で貯蓄も少ない
- 月収の大部分を固定費(家賃・保険・ローン返済)が占めている
就業不能保険は、病気・ケガで所定の就業不能状態が続いた場合に、毎月一定の給付金(例: 月10〜20万円)が支給されます。「自己負担ゼロで生活するための保険」ではなく、「最低限の生活費と固定費をカバーする保険」として位置づけると選びやすくなります。就業不能保険の具体的な選び方や比較ポイントは「フリーランスエンジニアの就業不能保険:傷病手当金のないフリーランスが備える方法」を参照してください。
自己保険(貯蓄)で対応できるケース
- 生活費6ヶ月分以上の流動性の高い貯蓄がある
- 月収が安定していて、収入が途切れるリスクが比較的低い
- 不動産収入や配偶者の収入など、複数の収入源がある
貯蓄が十分にある場合は、保険料を支払う代わりに積立を増やす「自己保険」も有力な選択肢です。毎月の保険料と期待給付金を比較し、「払い続けるコストと得られる保障の費用対効果」を考えてみましょう。
判断軸3 — 医療保険・がん保険の重複チェック
医療保険とがん保険は、フリーランスエンジニアが会社員時代に加入していることが多い保険ですが、保障が重複している場合があります。
医療保険の見直しポイント
まず高額療養費制度との関係を整理しましょう。入院給付金が1日あたり5,000〜10,000円の医療保険に加入している場合、自己負担の実費(高額療養費適用後)と比較してみてください。
- 1ヶ月の入院(30日)で給付金: 15〜30万円
- 高額療養費適用後の自己負担: 8〜10万円前後
この場合、給付金が自己負担を大きく上回っており、給付設計を見直す(給付日額を下げる)余地があります。ただし、差額ベッド代・食費・交通費・収入減少分を考慮すると、一概に過剰とも言えません。自分の生活状況に照らして判断することが重要です。
がん保険の重複確認
がん保険と医療保険を別々に契約している場合、入院・手術の保障が重複している可能性があります。がんによる入院に対して、医療保険からも入院給付金が、がん保険からも同様の給付金が出るケースです。
もし重複が大きい場合は、「がん診断一時金(まとまった金額が一度に受け取れる)」のみの単体のがん保険に切り替えることで、月々の保険料を抑えながら実態に即した保障にシンプル化できる場合があります。がん治療は治療期間が長く、通院・免疫療法など多様な費用が発生するため、一時金型のがん保険は理にかなっています。
判断軸4 — iDeCo・小規模企業共済との比較と税制優遇の再設計
フリーランス(個人事業主)は会社員と比べてiDeCoの拠出限度額が大きく、月6.8万円(年間81.6万円)まで拠出できます(会社員は企業型DCなしの場合で月2.3万円)。これは、フリーランスにとって非常に大きな税制優遇です。
終身保険の積立目的を見直す
「将来の資産形成のために終身保険(貯蓄型)に入っている」という場合は、iDeCoとの比較試算をお勧めします。iDeCo・小規模企業共済の仕組みと活用方法の詳細は「フリーランスエンジニアのiDeCo・小規模企業共済活用ガイド:節税しながら老後資産を作る方法」で解説しています。
比較項目 | 終身保険(貯蓄型) | iDeCo |
|---|---|---|
税制優遇 | 生命保険料控除(上限年4万円) | 拠出金全額が所得控除 |
流動性 | 解約時に返戻金(元本割れリスクあり) | 原則60歳まで引き出し不可 |
運用利回り | 契約時に固定(低利率) | 運用成果次第(変動) |
保障機能 | 死亡保障あり | なし |
iDeCoの最大のメリットは、掛け金の全額が所得控除になることです。年収500万円のフリーランスが月5万円をiDeCoに拠出すると、年60万円が所得控除になり、所得税・住民税合わせて約15〜20万円の節税効果が期待できます。終身保険の生命保険料控除(年最大4万円)と比べると、節税効果は圧倒的に大きくなります。
ただし、iDeCoには「60歳まで引き出せない」という流動性の低さというデメリットがあります。緊急の資金需要に備えた流動資金が十分にある場合に、終身保険の一部をiDeCoに振り替える検討が有効です。
生命保険料控除の上限に注意する
生命保険料控除は、一般生命保険(死亡保障)・介護医療保険・個人年金保険の3区分で、それぞれ所得税で最大4万円(住民税は最大2.8万円)まで控除されます。これらの合計でも所得税12万円・住民税7万円が上限です。
年間保険料がこの控除上限を大幅に超えている場合、超過部分の保険料は節税効果がゼロになります。保険料の節税メリットを根拠に多くの保険に加入している場合は、控除限度額を超えていないかを確認することをお勧めします。
判断軸をケース別に当てはめる:3つのフリーランスエンジニア像
4つの判断軸を実際のケースに当てはめて考えてみましょう。自分に最も近いケースを参考にしてください。ケースが完全に当てはまらない場合でも、「自分のケースで各軸をどう判断するか」を考えるヒントになります。
ケースA:独身・高収入・貯蓄あり(医療保険のみ加入)
- プロフィール: 独身、月収80万円、貯蓄200万円、医療保険(月5,000円)のみ加入
- 判断軸1(家族構成): 独身で扶養家族なし → 死亡保障は不要。現時点では死亡保険への加入は必要なし
- 判断軸2(就業不能): 貯蓄200万円があれば、病気で2〜3ヶ月働けなくても対応可能。ただし収入が大きいため、長期就業不能(6ヶ月以上)に備えた就業不能保険の検討は有益
- 判断軸3(医療保険): 高額療養費との重複を確認。月5,000円で入院日額5,000円の場合、給付水準は控えめで過剰感は低い。現状維持でよい
- 判断軸4(iDeCo): iDeCoを月6.8万円まで拠出できる余地があれば、終身保険の代わりにiDeCoへの増額を優先する
まとめ: 死亡保障は不要。医療保険は現状維持。iDeCoへの拠出増を優先して節税と資産形成を両立する。就業不能保険は収入水準を考えると検討する価値がある。
ケースB:既婚・子あり・住宅ローンあり
- プロフィール: 既婚(子1人)、住宅ローンあり、月収60万円、終身保険(月1.5万円)+ 医療保険(月7,000円)加入
- 判断軸1(家族構成): 子どもと配偶者の生活を守るための死亡保障は維持が必要。終身保険の死亡保険金が必要保障額(試算)と合っているかを確認する。住宅ローンは団体信用生命保険でカバーされているはずなので、ローン残高分を死亡保障から除いて試算する
- 判断軸2(就業不能): 住宅ローンと子育て費用を抱えた状態で収入が途絶えると家族への影響が大きい。就業不能保険の追加を強く検討する
- 判断軸3(医療保険): 高額療養費との重複を確認。医療保険の給付日額と実際の入院費用の差額を試算する。過剰であれば給付日額を下げてリバランスする
- 判断軸4(iDeCo): 終身保険の積立機能をiDeCoに移行できないかを試算する。ただしiDeCoは流動性が低いため、手元の緊急資金(最低3〜6ヶ月分)が十分にあることを確認した上で検討する
まとめ: 死亡保障は維持(金額の適正化を検討)。就業不能保険を追加する。終身保険の積立目的部分をiDeCoと比較して最適化を検討する。
ケースC:フリーランス1年目・収入不安定・貯蓄少
- プロフィール: 独身、フリーランス1年目、月収30〜50万円(変動大)、貯蓄50万円、生命保険(終身・月2万円)+ 医療保険(月8,000円)に加入
- 判断軸1(家族構成): 独身で扶養家族なし → 死亡保障の優先度は低い。終身保険の月2万円は、貯蓄が少ない今の状況では重い固定費
- 判断軸2(就業不能): 貯蓄50万円では1ヶ月程度しかカバーできない。就業不能保険の加入を最優先で検討すべきだが、保険料負担とのバランスを考える。まずは貯蓄を月収3ヶ月分(90〜150万円)まで増やすことを先行させる判断もある
- 判断軸3(医療保険): 高額療養費との関係を確認。月8,000円の医療保険料は収入が不安定な状態では重い。給付日額の見直しや共済(月2,000〜3,000円で基本的な保障がある)への切り替えを検討する
- 判断軸4(iDeCo): 収入が安定していないため、iDeCoより先に緊急資金の確保を優先する。収入が安定してからiDeCoの増額を検討する
まとめ: 終身保険は解約または減額を検討(死亡保障の優先度が低い)。まず貯蓄を3ヶ月分まで増やすことを優先する。収入安定後に就業不能保険とiDeCoを検討する。現在の医療保険は給付水準の引き下げまたは共済への移行を検討する。
見直しの実行手順:いつ・どこで・どう動くか
4つの判断軸を使って「削る・維持・追加」の方向が決まったら、次は実際に動くステップです。「決めたのに手が止まる」を防ぐために、実行手順を具体的に整理します。
解約・減額前に確認すること
保険を解約・減額する前に、以下を必ず確認してください。
解約返戻金の確認(貯蓄型・終身保険)
終身保険や養老保険など、積立機能のある保険は解約時に「解約返戻金」が返ってきます。ただし、保険加入から一定期間が経っていない場合は、払込保険料の総額より返戻金が少ない「元本割れ」になることがあります。
解約前に保険会社に連絡して、現時点の解約返戻金額と、将来(5年後・10年後)の解約返戻金の推移を確認することをお勧めします。返戻金のピーク(最も多く返ってくる時期)を過ぎてから解約するほうが有利な場合があります。
払済保険への切り替えという選択肢
保険料の支払いをやめたいが、保障は残したい場合は「払済保険」という選択肢があります。以降の保険料を支払わない代わりに、保険金額が減額された状態で保険が継続します。解約と「払済保険への移行」を比較した上で判断するとよいでしょう。
新規加入の選択肢と比較方法
就業不能保険や保障が不足している死亡保険を新たに検討する場合の手順です。
比較サイトの活用
「保険の窓口」「ほけんのぜんぶ」「保険スクエアbang!」などの保険比較サイトでは、複数の保険会社の商品を横断的に比較できます。ただし、これらのサイトは比較サイト経由で契約した場合に手数料が発生するビジネスモデルのため、特定の商品が優先的に表示される可能性も考慮しておきましょう。
直接申し込み(インターネット型保険)
「SBI生命」「チューリッヒ」「アクサダイレクト」など、インターネット完結型の保険は仲介手数料がかからないため、保険料が割安な場合があります。シンプルな保障設計であれば、直接申し込みで十分な場合も多いです。
「売らない FP」の探し方
どうしても専門家に相談したい場合は、「売らない(金融商品を販売しない)FP」を選ぶことで、中立なアドバイスを受けられます。
有料FP相談の探し方
- 「FP相談 有料 独立系」で検索すると、相談料を開示している独立系FPが見つかります
- 「日本FP協会 CFP相談」では、CFP資格を持つFPへの有料相談を申し込めます
- 「保険アドバイザー」という相談サービスも、保険を販売しない立場でアドバイスしてくれます
相談料の目安は1時間1〜2万円程度です。保険の見直しで月5,000円の保険料を削れるなら、2〜4ヶ月で相談料を回収できる計算になります。
見直し後の定期チェックタイミング
保険は一度見直したら終わりではありません。以下のライフイベントが起きたタイミングで、再度見直すことをお勧めします。
- 結婚・離婚
- 子どもの誕生・独立
- 住宅購入・ローン完済
- 月収が大きく変化したとき(増減どちらも)
- 40代以降(就業不能・介護リスクが高まる時期)
まとめ — フリーランスエンジニアの生命保険見直しチェックリスト
本記事の内容を4軸 + 行動チェックリストで整理します。記事を読み終えた後、自分でどこから動けるかを確認してください。
現状把握(棚卸し)
- 現在加入している保険の証書・保険料・保障内容を一覧化した
- 高額療養費制度の自己負担上限を確認した(自分の所得区分を調べた)
- 公的保障の空白(特に長期就業不能リスク)を確認した
4軸による判断
- 判断軸1: 死亡保障の必要保障額を試算して、現在の保険金額と比較した
- 判断軸2: 就業不能リスクに対応できているか(貯蓄 or 保険)を確認した
- 判断軸3: 医療保険・がん保険の重複をチェックした
- 判断軸4: 終身保険の積立目的とiDeCoを比較した、または生命保険料控除の上限を確認した
実行準備
- 解約・減額を検討している保険の解約返戻金・払済保険への移行の可否を確認した
- 新規加入を検討している保険の比較を始めた
- 次の見直しタイミング(ライフイベント or 年次)を決めた
チェックリストの全項目を埋める必要はありません。「今すぐできる1項目」を決めて動き始めることが、見直しを先延ばしにしないための第一歩です。フリーランスとして長く安定して活動するためには、収入に合った保険設計が欠かせません。ぜひ今週中に、保険証書を手元に揃えるところから始めてみてください。
保険の各テーマを深掘りしたい方は、以下の関連記事も参考にしてください。
- フリーランスエンジニアが加入すべき保険3選 — 生命保険・就業不能保険・医療保険それぞれの優先度を整理
- 国民健康保険 vs 任意継続:フリーランス転向時の健康保険の選び方 — 独立時の健康保険切り替えのポイント
- フリーランスエンジニアの就業不能保険:傷病手当金のないフリーランスが備える方法 — 就業不能リスクへの具体的な備え方
- フリーランスエンジニアのiDeCo・小規模企業共済活用ガイド — 節税しながら老後資産を作る方法
フリーランスエンジニアとして収入を安定させ、継続的に案件を獲得するための仕組みについては、Workee フリーランス向けサービスもあわせてご覧ください。フリーランスのキャリア形成や案件獲得に役立つ情報を提供しています。
よくある質問
- フリーランスエンジニアが生命保険を見直す際、最初に何をすればいいですか?
まず手元の保険証書を一覧表にまとめ、「公的保障+民間保険+自己資金」で各リスクをどこまでカバーできているかを一枚の表で可視化することから始めましょう。空白のリスクが見えれば、4つの判断軸(家族構成・就業不能・医療保険重複・iDeCo比較)を当てはめる準備が整います。
- 独身フリーランスエンジニアは終身保険を解約していいですか?
扶養家族がいない独身の場合、死亡保障の優先度は低く、解約を検討する価値があります。ただし解約前に現時点の解約返戻金額を保険会社に確認し、元本割れが大きい時期であれば「払済保険への移行」も比較した上で判断してください。
- 就業不能保険の月額給付金はいくらに設定すればいいですか?
「自己負担ゼロで生活するための保険」ではなく、毎月の最低生活費と固定費(家賃・ローン返済・保険料)の合計をカバーできる金額を目安にしてください。一般的には月10〜20万円の設定が多く、貯蓄が生活費6か月分以上あれば待機期間を長くすることで保険料を抑えられます。
- 貯蓄が十分あれば就業不能保険は不要ですか?
流動性の高い貯蓄が生活費6か月分以上あり、複数の収入源もある場合は「自己保険」として対応できます。ただし月収が高く固定費も大きいケースでは、長期就業不能(6か月以上)時の損失が大きいため、保険料と期待給付金を比較した上で加入を検討する価値があります。
- iDeCoと終身保険(貯蓄型)はどちらを優先すべきですか?
終身保険の生命保険料控除は年最大4万円の所得控除にとどまりますが、iDeCoは拠出額の全額(月最大6.8万円)が所得控除になるため節税効果が大きく、年収500万円なら年15〜20万円の節税が期待できます。ただしiDeCoは60歳まで引き出せないため、緊急資金(生活費3〜6か月分)を確保してから移行を検討してください。
- 保険の見直しにFP相談は必要ですか?
4つの判断軸(家族構成・就業不能・医療保険重複・iDeCo比較)を使えば多くのケースは自己判断できます。ただし複数の保険が絡み合っている、住宅ローンや事業用の保険も混在しているといった複雑な状況では、金融商品を販売しない独立系FPへの有料相談(1時間1〜2万円)が費用対効果に見合います。



