「育休中に複業しても、育児休業給付金はもらえる」——そう書かれた記事を読んで、複業に踏み出そうとしているエンジニアの方は多いはずです。育休に入って生活リズムが整い、隙間時間でスキルを活かしたい。けれどいざ案件を探し始めると、思っていた以上に情報が自分のケースと噛み合わないことに気づきます。
たとえば「育休中の副業は月10日・80時間まで」という説明。これはパートやアルバイトのような雇用契約を前提にしたルールで、エンジニアが実際に受けることの多い業務委託・請負の開発案件にそのまま当てはまるとは限りません。「自分の案件は雇用じゃなくて業務委託だけど、この日数ルールは関係あるの?」「稼いだ金額で給付金が止まるの?」と、調べれば調べるほど判断がつかなくなってしまいます。
さらに不安を大きくするのが、申告のミスです。育児休業給付金は、就業を隠して受け取ると不正受給とみなされ、受け取った全額の返還に加えて最大2倍の金額の納付(つまり合計3倍)を命じられる可能性があります(厚生労働省「不正受給について」)。「稼ぎたいのに、手続きを間違えて給付金を失うのが怖くて動けない」——この状態に陥っている方は少なくありません。
この記事では、その不安を「契約形態」と「申告」という2つの軸で解きほぐします。まず自分の案件が雇用契約なのか業務委託なのかを見極め、それぞれで給付金の扱いがどう変わるのかを整理します。そのうえで、ハローワークへの申告手順、確定申告・住民税の扱い、2025年4月に始まった新しい給付制度との関係までを順番に確認し、最後に「複業を始める前のチェックリスト」にまとめます。給付金を守りながら、安心して複業の第一歩を踏み出すための実務ガイドです。
なお、本記事は給付金を守るための一般的な考え方と手順を整理したものです。給付金の支給要件は個別の事情によって判断が分かれることがあるため、実際の手続きでは必ず勤務先の担当部署や管轄のハローワークに事前確認してください。
育休中の複業で給付金を失わない鍵は「契約形態」にある

育休中の複業について調べると、必ずと言っていいほど「月10日・80時間まで」という数字が出てきます。しかしこの数字の意味を正しく理解しないまま複業を始めると、後で給付金を失いかねません。まず押さえるべきは、給付金の扱いは「どんな契約で働くか」によって大きく変わるということです。
「10日・80時間ルール」は雇用契約の副業を前提にした説明
育児休業中であっても、労使の話し合いによって一時的・臨時的に就労することは認められています。そのうえで、1支給単位期間(おおむね1か月)あたりの就業日数が10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)に収まっていれば、育児休業給付金は支給されます(厚生労働省「育児休業中の就労について」)。
ここで見落とされがちなのが、この「就業日数・就業時間」という考え方が、もともと雇用契約に基づく働き方を念頭に置いているという点です。パートやアルバイトのように「1日◯時間、何日働いた」と日数・時間で勤務実態をカウントできる働き方が前提になっています。つまり、別の会社で雇用されて副業する場合のルールとして理解しておくと整理しやすくなります。
エンジニアの複業は業務委託・請負が多く、扱いが変わる
一方、エンジニアが受ける複業案件の多くは、雇用契約ではなく業務委託・請負契約です。スポットでの開発、コードレビュー、技術顧問、スポットコンサルといった案件は、企業に雇われるのではなく「個人として仕事を請け負う」形になります。この場合、得られる収入は給与ではなく事業所得(または雑所得)として扱われます。
業務委託・請負は雇用契約と法的な性質が異なるため、給付金の扱いも雇用契約の副業とは変わってきます。厚生労働省の資料では、育休中の就労について雇用関係を前提とした説明が中心で、業務委託のような自営的な働き方を就業日数・時間で一律にカウントする扱いは明示されていません。だからこそ「10日・80時間ルールが自分の業務委託案件にも当てはまるのか」が、多くのエンジニアにとって判断のつかないポイントになっているのです。
まず確認すべきは「自分の案件は雇用か業務委託か」
複業を検討するときの出発点は、案件の金額でも稼働時間でもなく、「この案件は雇用契約なのか、業務委託・請負なのか」を確認することです。契約形態によって、後述する給付金の扱い・申告の方法・税金の処理がすべて変わってきます。
見分け方の目安は次のとおりです。
- 雇用契約: 勤務時間や勤務場所が指定され、業務の進め方について指揮命令を受ける。給与(給与所得)として支払われ、源泉徴収される
- 業務委託・請負: 成果物や業務の完成に対して報酬が支払われ、働く時間や場所は自分で決められる裁量が大きい。報酬は事業所得(または雑所得)として扱われ、原則として確定申告で自分が処理する
案件募集の文言だけでは判断しづらいこともあるため、契約書のタイトルや報酬の支払い形態(給与か報酬か)を確認しましょう。このあとは、雇用契約の場合と業務委託・請負の場合のそれぞれについて、給付金の扱いを順番に見ていきます。
雇用契約で複業する場合の給付金の扱い(就業日数・時間と減額ライン)
まず、別の会社でパート・アルバイトのように雇用契約で複業するケースから整理します。雇用契約の場合は、就業日数・時間の上限と、支払われた賃金による減額ラインという2つの条件を両方クリアする必要があります。
就業日数10日・80時間の上限ルール
雇用契約で複業する場合、本業(育休を取得している会社)と複業先での就業を合わせて、1支給単位期間あたりの就業日数が10日以下である必要があります。10日を超える場合は、就業時間が80時間以下であれば給付金は支給されます(厚生労働省「育児休業中の就労について」)。
注意したいのは、この日数・時間は複業先での就労も合算されるという点です。複業先で働いた日数・時間も、育児休業給付金の支給判定に使う10日・80時間のカウントに含まれます。複業先で働きすぎると、この上限を超えて給付金が支給されなくなる可能性があります。
賃金13%・80%の減額・不支給ライン(計算例つき)
就業日数・時間の上限を満たしていても、支払われた賃金の額によっては給付金が減額・不支給になります。育児休業開始から180日目までの期間で見ると、減額・不支給のラインは次のとおりです(厚生労働省「育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について」(PDF))。
- 支払われた賃金が「休業開始時賃金月額」の 13%以下 → 給付金は減額されない(満額支給)
- 支払われた賃金が 13%を超え80%未満 → 「休業開始時賃金月額の80%相当額 − 支払われた賃金」が給付金額になる(減額)
- 支払われた賃金が 80%以上 → 給付金は全額不支給
ここでいう「支払われた賃金」には、複業先で得た給与も含めて判断されます。
たとえば休業開始時賃金月額が30万円のケースで考えてみましょう。本来の給付金(180日目まで・67%)は約20.1万円です。
- 複業先で得た賃金が 3万円(10%) の場合 → 13%以下なので減額なし。給付金は満額の約20.1万円
- 複業先で得た賃金が 9万円(30%) の場合 → 13%を超えるため減額。給付金は「30万円×80% − 9万円 = 15万円」
- 複業先で得た賃金が 24万円(80%) の場合 → 80%以上なので給付金は不支給
このように、雇用契約での複業は「就業日数・時間」と「賃金額」の両方で給付金が削られていく仕組みです。エンジニアが雇用契約で複業するケースは多くありませんが、選択肢として検討する場合はこのラインを押さえておきましょう。
業務委託・請負で複業する場合の給付金の扱い

ここからが本記事の中核です。エンジニアの複業で大半を占める業務委託・請負(事業所得)の場合、給付金の扱いは雇用契約の副業とは考え方が変わります。「就業日数・賃金で削られる」のではなく、「就労が一時的・臨時的か、恒常的・定期的か」という観点が重要になります。
業務委託・事業所得は「一時的・臨時的」なら収入額不問
業務委託・請負での就労が一時的・臨時的なものにとどまる場合、そこで得た収入の額にかかわらず、育児休業給付金は減額されないと考えられます。雇用契約の副業のように「賃金13%・80%のライン」で減額されるという扱いは、給与ではない事業所得には直接当てはまらないためです。
これは、育児休業給付金の減額・不支給ルールが「支払われた賃金(給与)」を基準に設計されているからです。業務委託の報酬は給与ではないため、収入額そのもので給付金が機械的に減額されるわけではありません。実際、厚生労働省の資料では業務委託のような自営的な就労を就業時間・収入で判定する扱いが明示されておらず、その分だけ収入額による減額の対象になりにくいと整理されています(「育休中に副業しても大丈夫?」WORK CAMP SITE(社労士監修))。
ただし、これは「業務委託ならいくら稼いでも、どれだけ働いても給付金が止まらない」という意味ではありません。鍵になるのは、その就労が「一時的・臨時的」の範囲に収まっているかどうかです。
「恒常的・定期的」な就労は支給停止リスク——境目の見極め方
育児休業給付金は、あくまで「育児に専念するために休業している」状態を支える給付です。そのため、就労が恒常的・定期的なものになると、「もはや休業しているとは言えない」と判断され、育児休業給付金そのものが支給されなくなるおそれがあります(厚生労働省「育児休業中の就労について」)。
問題は「一時的・臨時的」と「恒常的・定期的」の境目です。明確な日数や金額の線引きが法令で定められているわけではないため、就労の実態から総合的に判断されます。境目を見極める観点としては、次のようなものが参考になります。
- 継続性: 単発・短期で完結する仕事か、それとも何か月も続く契約か
- 定期性: 毎週決まった曜日・時間に稼働するなど、勤務に近い規則性があるか
- 拘束性: 稼働時間や作業場所が実質的に拘束され、勤務に近い実態になっていないか
- 頻度・分量: 育児の合間に行う範囲を超えて、本業に近い稼働量になっていないか
毎週決まった曜日にミーティングへ出席し、定例で開発業務を担うような契約は、「恒常的・定期的」と判断される方向に傾きます。逆に、不定期に発生したスポット案件を都合のつくときに片付けるような働き方は「一時的・臨時的」と整理しやすくなります。
エンジニア案件で考える——スポット開発・コードレビュー・技術顧問の扱い
抽象的な基準だけでは判断しづらいので、エンジニアが受けやすい案件タイプで整理してみましょう。あくまで一般的な傾向であり、最終的には個別の契約内容と実態で判断される点に注意してください。
- 単発のスポット開発・バグ修正: 期間が限定され、納品して完結する案件は「一時的・臨時的」と整理しやすい
- 単発のコードレビュー・スポットコンサル: 都度発生する依頼に応じる形であれば、一時的・臨時的に近い
- 継続的な技術顧問・定例の開発支援: 毎月・毎週固定で稼働する契約は、恒常的・定期的と判断されやすく、給付金の支給に影響するリスクが高い
- 長期の常駐・準委任で月◯時間の稼働が固定された契約: 勤務に近い実態になり、育児休業中の就労としては慎重な検討が必要
業務委託であっても、就業日数・就業時間の申告自体は必要になる場合があります。「収入額で減額されにくい」ことと「就労を申告しなくてよい」ことは別問題です。自分の案件が一時的・臨時的の範囲に収まるか不安な場合は、契約前に管轄のハローワークへ実態を伝えて確認するのが最も確実です。
ハローワークへの申告で給付金を失わない手続き

契約形態を見極めたら、次は申告です。「給付金を失うのが怖い」という不安の大半は、ここを正しく行えるかどうかにかかっています。申告は難しい作業ではありませんが、漏れや誤りが不正受給につながるため、手順を正確に押さえておきましょう。
支給申請書の就業日数・時間欄に複業の就労を申告する
育児休業給付金は、原則として勤務先(事業主)を通じて2か月ごとに支給申請を行います。その支給申請書には、支給単位期間中の就業日数・就業時間を記載する欄があります。ここには本業での就労だけでなく、複業先での就労も正しく申告する必要があります。
申告にあたっては、次の点を押さえておきましょう。
- 雇用契約の複業の場合は、複業先での就業日数・就業時間を本業と合算して申告する
- 業務委託・請負の場合も、就労の実態(稼働日数・時間など)について申告が求められることがある。何をどう記載すべきか迷う場合は自己判断で空欄にせず、勤務先の担当部署やハローワークに確認する
- 支給申請は勤務先経由で行うのが一般的なため、複業をしている事実と稼働状況は勤務先にも共有しておく
「業務委託だから給与は発生していない」と考えて就労そのものを申告しないと、後述する不正受給のリスクが生じます。報酬の有無ではなく「就労したかどうか」が申告の対象になる、と理解しておくと安全です。
申告漏れ・過少申告は不正受給(返還+加算金)——事前確認の原則
申告を意図的に省いたり、就業日数・時間を実際より少なく申告したりすると、不正受給とみなされる可能性があります。不正受給と判断された場合のペナルティは重く、不正のあった日以降の給付を受ける権利を失ったうえで、不正に受け取った金額の全額返還を命じられます。さらに悪質と判断されると、不正受給額の最大2倍の金額の納付を命じられ、返還分と合わせて最大で受給額の3倍を納めることになります(厚生労働省「不正受給について」(PDF))。
「知らずに申告を漏らしてしまった」場合でも、結果として要件を満たさない受給になっていれば返還を求められます。だからこそ、迷ったら自己判断で進めず、事前に確認することが何よりの防御策になります。
申告で給付金を失わないための原則は次の3つです。
- 就労は隠さず正確に申告する: 報酬の有無にかかわらず、就労した事実を申告する
- 迷ったら事前に確認する: 自分の案件の扱いや申告方法に不安があれば、契約前・申告前に勤務先の担当部署や管轄のハローワークに確認する
- 記録を残す: 稼働日・稼働時間・契約内容を自分でも記録しておき、申告内容の根拠を説明できるようにする
この3つを徹底すれば、「手続きを間違えて給付金を失う」という最も怖いシナリオはほぼ避けられます。
複業収入の確定申告・住民税と、給付金非課税の関係
給付金の次に整理しておきたいのが税金です。「給付金は確定申告しなくていいと聞いたけど、複業の収入はどうなるの?」という疑問は、給付金の非課税と複業収入の課税を切り分けて考えると整理できます。
育児休業給付金は非課税——複業収入は課税
育児休業給付金は非課税で、所得税はかからず確定申告も不要です。社会保険料も育休中は免除されるため、給付金そのものについては税務上の手続きを意識する必要はありません。
一方、複業で得た収入は課税対象です。給付金が非課税であることと、複業収入が課税されることは、まったく別の話として切り分けて考える必要があります。「給付金が非課税だから、複業の収入も申告しなくていい」というのは誤解です。複業収入については、後述する基準に従って自分で申告手続きを行う必要があります。
所得20万円超で確定申告、20万円以下でも住民税申告
会社員が複業をする場合、税務申告の要否は「所得」(収入から必要経費を差し引いた金額)で判断します。基準は次のとおりです(弥生「副業所得20万以下なら確定申告と住民税の申告は不要?」)。
- 複業の所得が年20万円を超える → 所得税の確定申告が必要
- 複業の所得が年20万円以下 → 所得税の確定申告は原則不要。ただし住民税の申告は必要
見落とされやすいのが、いわゆる「20万円ルール」は所得税の確定申告に限った特例だという点です。所得が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。確定申告をすれば住民税の情報も自治体に連携されますが、確定申告をしない場合はお住まいの自治体に住民税の申告を行う必要があります。
業務委託の収入は、原則として事業所得または雑所得として申告します。どちらに該当するかは事業としての継続性・規模などで判断されますが、いずれの場合も収入から必要経費(開発に使う機材費・通信費・書籍代など、業務に直接かかった費用)を差し引いた「所得」で20万円の基準を判定します。
なお、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の複業所得も併せて申告する必要があります。複業収入だけを見て「20万円以下だから申告不要」と判断せず、その年の確定申告の有無全体で考えましょう。
2025年4月開始の出生後休業支援給付金と複業の関係
2025年4月から、育児休業中の手取りを実質10割に近づける新しい給付制度が始まりました。複業を検討するうえでも無視できない制度なので、概要と複業との関係を押さえておきましょう。
出生後休業支援給付金とは(手取り10割相当の上乗せ給付)
「出生後休業支援給付金」は、夫婦がともに一定期間の育児休業を取得した場合に、既存の育児休業給付(出生時育児休業給付金など)に上乗せして支給される給付です。出生時育児休業給付金などの67%に、出生後休業支援給付金の13%が上乗せされ、合計で休業前賃金の80%が給付されます。社会保険料の免除と給付金の非課税を加味すると、実質的に手取り10割相当になるよう設計されています(厚生労働省「出生後休業支援給付金」(PDF))。
支給を受けるには、本人が対象期間に通算14日以上の育児休業を取得して出生時育児休業給付金などの支給を受けられること、加えて配偶者も14日以上の育児休業を取得していること(または配偶者の育児休業を要件としない場合に該当すること)といった条件を満たす必要があります。男性育休の取得を後押しする制度として注目されています。
複業で本体給付が不支給だと上乗せ給付も止まる
複業を考えるエンジニアにとって重要なのは、この上乗せ給付が「本体の給付に上乗せされる」性質を持っている点です。出生後休業支援給付金は、出生時育児休業給付金などの支給を受けられることが前提になっています。
つまり、複業によって本体の給付(出生時育児休業給付金など)が不支給になると、それに連動して出生後休業支援給付金も支給されません。本体給付が止まれば上乗せ分も止まる、という構造です。
手取り10割相当の上乗せ給付を狙って育休を取得しているなら、複業の稼働はより慎重に設計する必要があります。「収入を少し増やそうとした複業のせいで、本体給付と上乗せ給付の両方を失う」という事態は避けたいところです。上乗せ給付を確実に受け取りたい場合は、その対象期間中の複業は特に一時的・臨時的の範囲にとどめ、不安があれば事前にハローワークへ確認しましょう。
給付金を守りながら複業を始めるためのチェックリスト

ここまでの内容を、複業を始める前に確認する順序にまとめます。自分の状況に当てはめて、一つずつチェックしていけば、給付金を失う不安なく複業の第一歩を踏み出せます。
複業を始める前の6つの確認ステップ
- 案件の契約形態を確認する: その案件は雇用契約か、業務委託・請負か。契約書のタイトルや報酬の支払い形態(給与か報酬か)で見分ける
- 稼働が一時的・臨時的か恒常的・定期的かを見極める: 業務委託の場合、継続性・定期性・拘束性・頻度の観点で、育児の合間に行う範囲に収まっているかを確認する。毎週固定で稼働する契約は要注意
- 就業日数・時間が上限内か確認する: 雇用契約で複業する場合は、本業と合算して月10日以下(または80時間以下)に収まっているか。賃金が休業開始時賃金月額の13%を超えないかも確認する
- ハローワーク申告の準備をする: 就労した事実を支給申請書に正確に申告する。報酬の有無にかかわらず申告する。記載方法に迷ったら勤務先・ハローワークに事前確認する
- 確定申告・住民税の見通しを立てる: 複業の所得が年20万円を超えそうなら確定申告、20万円以下でも住民税申告が必要。経費の記録を残しておく
- 出生後休業支援給付金を狙う場合は追加配慮する: 上乗せ給付の対象期間中は、本体給付が不支給にならないよう複業の稼働を特に慎重に設計する
このうち1つでも判断に迷うものがあれば、契約や申告を進める前に確認するのが鉄則です。確認の手間を惜しんで不正受給になるより、事前に一本連絡を入れるほうがはるかに安全です。
給付金を守った複業を復職後の基盤につなげる
給付金を守りながら始める複業には、目先の収入を補う以上の意味があります。育休中に一時的・臨時的な範囲で開発案件やコードレビューを経験しておくと、「会社の外でも自分のスキルが通用する」という手応えが得られます。クライアントとのやり取りや見積もり、納品といった、雇用されているだけでは経験しにくいプロセスにも触れられます。
ここで築いた小さな実績やつながりは、復職後も続けられる複業の土台になります。育休という限られた期間に無理なく始めた一歩が、復職後に「本業の安定を保ちながら、副収入とスキルの選択肢を広げる」働き方につながっていきます。給付金を守ることは、その持続可能な複業基盤を安全にスタートさせるための前提条件なのです。
焦って稼働を増やし、給付金を失ってしまっては本末転倒です。まずは契約形態を見極め、申告を正確に行い、一時的・臨時的の範囲で着実に経験を積む。この順序を守ることが、育休中の複業を「一度きりのお小遣い稼ぎ」ではなく「長く続く働き方の入口」に変えていきます。
よくある質問(FAQ)
業務委託の複業でも育児休業給付金はもらえますか?
もらえる可能性があります。業務委託・請負での就労が一時的・臨時的な範囲にとどまっていれば、収入額にかかわらず給付金が減額されにくいと整理されています。ただし、毎週固定で稼働するような恒常的・定期的な就労になると「育児休業中とは言えない」と判断され、給付金が支給停止になるおそれがあります。自分の案件がどちらに当たるか不安な場合は、契約前に管轄のハローワークへ確認してください。
育休中の複業はハローワークに申告しないとどうなりますか?
就労を申告せずに給付金を受け取ると、不正受給とみなされる可能性があります。不正受給と判断されると、受け取った金額の全額返還に加え、悪質な場合は最大2倍の納付を命じられ、合計で最大3倍を納めることになります。報酬の有無にかかわらず、就労した事実は支給申請書に正確に申告してください。
複業収入が20万円以下なら何も申告しなくていいですか?
いいえ。「20万円以下なら申告不要」というのは所得税の確定申告に限った特例です。複業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。お住まいの自治体に住民税の申告を行ってください。
育児休業給付金に税金はかかりますか?
かかりません。育児休業給付金は非課税で、所得税はかからず確定申告も不要です。ただし、これは給付金についての話です。複業で得た収入は課税対象になるため、給付金の非課税とは切り分けて、複業収入は別途申告手続きを行う必要があります。
出生後休業支援給付金をもらいながら複業できますか?
慎重な設計が必要です。出生後休業支援給付金は、本体である出生時育児休業給付金などの支給を受けられることが前提の上乗せ給付です。複業によって本体給付が不支給になると、連動して上乗せ給付も支給されません。上乗せ給付を確実に受け取りたい場合は、対象期間中の複業を特に一時的・臨時的の範囲にとどめ、不安があれば事前にハローワークへ確認しましょう。



