「社内にセキュリティの専門家がいない。けれど、取引先からはセキュリティチェックシートへの回答を求められ、経営層からは『ウチは本当に大丈夫なのか』と問われる」。こうした状況に立たされて、はじめて「セキュリティエンジニアという専門人材が必要だ」と痛感する企業は少なくありません。
そこで採用を検討してみると、セキュリティエンジニアの年収相場は600万〜1,000万円台。求人を出しても応募が集まらず、採用は現実的でないと感じてしまう。かといって何もしないわけにもいかない——多くの担当者がこの「採用は無理そう、でも専任者は要る」という宙ぶらりんの状況で止まってしまいます。
その出口として浮かぶのが「外部委託」という選択肢です。ところが、いざ委託を考え始めると、今度は別の壁にぶつかります。委託の相場はいくらなのか。そもそも委託すべきなのか、それとも内製採用やセキュリティ監視サービスを使うべきなのか。自社の状況だと、どの業務をどの形で頼めば過不足がないのか。判断軸がないまま、見積もりを依頼する前の段階で立ち止まってしまうのです。
本記事では、発注者の視点に立って「セキュリティエンジニアを外部委託すべきかどうかの判断基準」と「委託形態別・業務領域別の費用相場」を整理します。さらに、安く頼んで失敗してしまう典型パターンを先回りで潰すためのチェック観点まで、見積もり依頼や社内稟議に進める状態を作ることをゴールに解説します。
セキュリティエンジニアの外部委託を検討する前に整理すべきこと

最初に、なぜ今「委託」という選択肢が現実的なものとして浮上するのか、その前提を整理しておきます。ここで自社の状況を言語化しておくと、後半の費用相場や選び方が「自社ごと」として読めるようになります。
セキュリティ専任者が「急に必要になる」3つのきっかけ
セキュリティ人材の必要性は、普段は意識されないまま、ある日突然顕在化します。代表的なきっかけは次の3つです。
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取引先からのセキュリティ要求: 大手企業やSaaS事業者との取引で、セキュリティチェックシートへの回答や情報セキュリティ体制の証明を求められるケースです。回答の精度が取引の可否を左右することもあり、片手間では対応しきれません。
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インシデントへの不安: ランサムウェアや情報漏えいの報道が相次ぐなか、「自社は大丈夫か」という経営層からの問いに、明確な根拠を持って答えられない状態への不安です。何かが起きてからでは遅い、という焦りが専門人材の必要性を押し上げます。
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新規システム・サービスのリリース: 自社でWebサービスや社内システムを新たに公開する際、脆弱性が残ったまま世に出してしまうリスクへの備えです。リリース前の脆弱性診断や、運用開始後の監視体制の整備が課題になります。
いずれのケースも共通しているのは、「専門知識を持った人が、しかるべきタイミングで関与する必要がある」という点です。問題は、その人材を社内で確保するのが極めて難しいことにあります。なお、専門人材を確保する前に「自社として何を優先的に守るべきか」の全体像を整理しておきたい場合は、中小企業のセキュリティ対策で対策の優先順位や費用感を確認しておくと、委託範囲を絞り込みやすくなります。
正社員採用が現実的でない理由
セキュリティエンジニアを正社員として採用しようとすると、多くの企業が3つの壁に直面します。
1つ目は年収相場の高さです。転職市場では、セキュリティエンジニアの求人は初年度年収600万〜1,000万円台のレンジが中心で、コンサルティングファームや外資系企業ではマネージャー・シニアクラスで1,000万円を超えるケースも珍しくありません(マイナビ転職エンジニア求人サーチ、2026年)。1人を採用するだけで、社会保険料や採用コストを含めれば年間1,000万円規模の固定費になります。
2つ目は圧倒的な人材不足です。経済産業省とIPAの推計では、2030年に最大で約79万人のIT人材が不足するとされ、なかでもサイバーセキュリティ・クラウド・AIといった分野は需要の伸びに供給が追いつかない構造が続いています(経済産業省「IT人材育成の状況等について」)。情報セキュリティ分野に限っても人材の不足感は過去最大級とされており、求人を出しても採用できないのが実情です。
3つ目は売り手市場ゆえのミスマッチです。仮に応募があっても、自社が求めるスキル領域(後述するように、脆弱性診断・SOC運用・クラウドセキュリティ設計などは別物です)と候補者の専門が合わないことが多く、採用の難易度をさらに引き上げます。
つまり「専任者は要る、でも採用は現実的でない」という状況は、特定の企業だけの問題ではなく、市場構造に根ざした共通の課題です。だからこそ、必要な専門性を必要な分だけ外部から確保する「委託」が、現実的な第3の道として浮上します。次の章では、その「委託」を含めた選択肢の全体像を整理します。
「内製採用・業務委託・MSS」3つの選択肢の違いと選び方

セキュリティの専門性を確保する手段は、大きく3つ(実務的には4つ)に整理できます。それぞれ「何を」「どう」確保するかが異なり、自社の状況によって最適解が変わります。ここが本記事の核となる判断フレームです。
3つ(+1)の選択肢の比較
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(A) 内製採用(正社員・契約社員): セキュリティ人材を社内に抱える方法です。常時対応でき、社内事情への理解も深まりますが、前章で見たとおり採用難易度とコストが高く、1人ですべての領域をカバーするのも困難です。
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(B) 業務委託(準委任で人を確保): フリーランスや専門会社のエンジニアに、準委任契約で業務を担ってもらう方法です。月額単価で稼働してもらうイメージで、必要な領域の専門家をピンポイントで確保できます。内製ほどの固定費を抱えず、採用リードタイムもかかりません。
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(C) MSS/サービス委託(業務単位でアウトソース): ログ監視やEDR運用、脆弱性診断といった「業務そのもの」をサービスとして外部に委託する方法です。MSS(マネージドセキュリティサービス)はその代表で、24時間監視のように自社では持ちにくい体制を、月額のサービス料で利用できます。
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(D) 開発委託先にセキュリティごと任せる: 新規システムやWebサービスの開発を外注している場合、その開発委託先にセキュリティ設計や脆弱性診断まで含めて任せる選択肢です。開発とセキュリティを分断せず、一体で品質を担保できるのが特徴です。
これらを「常時性・カバー範囲・コスト・運用負荷」の4軸で比較すると、次のように整理できます。
選択肢 | 常時性 | カバー範囲 | 初期/継続コスト | 自社の運用負荷 |
|---|---|---|---|---|
(A) 内製採用 | 常時 | 採用した個人のスキル領域に依存 | 採用コスト大・年収600〜1,000万円台の固定費 | 高(マネジメント・育成が必要) |
(B) 業務委託(準委任) | 契約した稼働分 | 必要な専門領域をピンポイントで確保 | 月額単価(領域により変動) | 中(業務指示・連携が必要) |
(C) MSS/サービス委託 | サービス内容に準拠(24時間監視等も可) | 委託した業務単位(監視・診断等) | 月額のサービス料・スポット費用 | 低(運用を任せられる) |
(D) 開発委託先に一体委託 | 開発・改修フェーズ中心 | 開発対象システムのセキュリティ | 開発費に内包 or 追加 | 低(開発と一括で管理) |
セキュリティに限らず、外部の人材・チームをどう組み合わせて経営課題を解くかという視点で全体設計を考えたい場合は、外部人材の活用戦略も参考になります。本記事はその中でも「セキュリティ職種を委託で確保する」という具体ケースに絞って掘り下げます。
自社の状況から選ぶ判断フロー
どれを選ぶべきかは、自社の課題の性質によって決まります。次の3つの問いに答えると、おおよその方向性が見えてきます。
問1: 常時の監視・運用が必要か、それとも単発の対応か。 24時間体制でのログ監視やインシデント対応が必要なら、自社で人を抱えるより**(C) MSS/サービス委託**が適しています。一方、リリース前の脆弱性診断のように単発の専門対応であれば、(C)のスポット委託か(B)の業務委託で足ります。
問2: 特定領域の専門知見を継続的に社内に取り込みたいか。 セキュリティ方針の策定やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の運用など、自社の事情を理解した上で継続的に関与してほしい場合は、(B) 業務委託で専門家に伴走してもらう形が向いています。
問3: いま課題になっているのは、開発中・改修中のシステムか。 新規開発や大規模改修と一体でセキュリティを担保したいなら、(D) 開発委託先への一体委託が有力です。開発の文脈を理解した上で設計段階からセキュリティを織り込めるため、後追いで診断するより手戻りが減ります。
実際には、これらを組み合わせるケースも多くあります。たとえば「常時監視は(C)のMSSに任せ、年1回のペネトレーションテストは(C)のスポットで依頼し、新規開発のセキュリティ設計は(D)で開発会社に一体委託する」といった具合です。重要なのは、「何でもまとめて1社に」ではなく、課題の性質ごとに適した形態を当てはめることです。
次の章では、これらの選択肢それぞれにいくらかかるのか、具体的な費用相場を見ていきます。
セキュリティエンジニア外部委託の費用相場(委託形態×業務領域)

ここからは、いちばん気になる「いくらかかるのか」に答えます。相場は大きく2系統に分かれます。1つは「人を確保する委託(準委任・常駐)」の月額単価、もう1つは「業務・サービス単位の委託」の費用です。それぞれ性質が違うため、分けて見ていきます。
人を委託で確保する場合の月額単価相場
セキュリティエンジニアに準委任で稼働してもらう場合、月額単価は専門領域によって大きく異なります。同じ「セキュリティエンジニア」という肩書きでも、脆弱性診断の専門家とSOC運用の担当者では市場価値が別物だからです。2026年時点のおおよその相場は次のとおりです(セキュリティエンジニアSES単価2026(Heyday))。
専門領域 | 月額単価の目安 | 主な業務内容 |
|---|---|---|
脆弱性診断・ペネトレーションテスト | 100〜160万円 | Webアプリ・ネットワークの脆弱性調査、疑似攻撃による検証 |
クラウドセキュリティ設計 | 110〜180万円 | AWS/Azure等のセキュアな構成設計・レビュー |
SOC運用(監視・分析) | L1〜L3で変動 | アラートの一次対応から高度な分析・マルウェア解析まで |
セキュリティコンサル・ISMS支援 | 90〜140万円 | 方針策定、規程整備、認証取得支援 |
なお、フルタイム稼働ではなく週1〜2日や特定タスクのみの稼働であれば、上記をベースに稼働割合で按分した金額になります。「常時1名分の固定費は持てないが、月数日だけ専門家の知見がほしい」というニーズには、この按分での委託がフィットします。
業務・サービス単位で委託する場合の費用相場
人ではなく「業務そのもの」をサービスとして委託する場合の相場は、月額の継続サービスと、1回ごとのスポット費用に分かれます。
月額で利用する継続サービス(MSS等)
サービス | 月額費用の目安 |
|---|---|
ログ監視 | 5〜15万円 |
EDR運用(エンドポイント監視) | 10〜25万円 |
フルマネージドセキュリティ | 30〜50万円 |
中小企業の標準的な利用では、必要な領域を選んで月額10万〜30万円の範囲に収まるケースが多いとされています(セキュリティ対策の外注費用相場(情シス365))。年間に換算すると120万〜360万円程度で、専門チームの監視体制を持てると考えると、内製で1名採用する固定費と比べてもイメージしやすいはずです。
1回ごとに依頼するスポット費用(脆弱性診断・ペネトレ等)
診断種別 | 費用の目安(1回あたり) |
|---|---|
自動(ツール)診断 | 20〜50万円 |
手動診断 | 50〜300万円 |
ペネトレーションテスト | 100〜500万円(大規模では数千万円規模も) |
これらは対象範囲や深さによって幅が大きく、Webアプリ診断ではページ単価で積み上げる方式もあります(脆弱性診断の費用相場(GMOサイバーセキュリティ byイエラエ))。「リリース前に1回だけ診断したい」というニーズなら、人を月額で確保するより、スポットでの診断委託のほうが合理的です。
費用が大きく上下する要因
同じ業務でも、見積もり金額は条件によって数倍変わります。見積もりを読み解くために、費用を左右する主な要因を押さえておきましょう。
- 対象範囲: 診断対象のページ数・サーバー台数・システムの規模が大きいほど費用は上がります。範囲を曖昧にしたまま依頼すると、後から追加費用が発生しがちです。
- 診断手法の深さ: ツールによる自動診断と、専門家が手動で行う診断、さらに攻撃者目線で侵入を試みるペネトレーションテストでは、深さに応じて費用が跳ね上がります。
- 対応時間帯: 24時間365日の監視や、夜間・休日のインシデント対応を含めると、月額は当然高くなります。営業時間内対応で十分か、常時監視が必要かを見極めることがコスト最適化の鍵です。
- アフターフォロー: 診断後の再診断(修正確認)や報告会、改善支援が含まれるかどうかで総額が変わります。
- 担当者の資格・経験: 委託先の担当者がCISSP(+10〜20万円)や情報処理安全確保支援士(登録セキスペ。+5〜10万円)といった資格を持つ場合、その分単価が上がる傾向があります(セキュリティエンジニアSES単価2026(Heyday))。高度な領域では信頼性の裏付けとして、こうした資格保有者を指定するケースもあります。
費用の幅が大きいということは、裏を返せば「自社に過不足のない範囲で頼めば、コストを抑えられる」ということでもあります。そのためには、見積もりを依頼する前にスコープを固めておくことが欠かせません。次の章で、その具体的な観点を見ていきます。
委託で失敗しないためのスコープ定義と契約形態の注意点

委託の失敗の多くは、技術力の問題ではなく「頼み方」の問題です。安さだけで選んだり、依頼内容が曖昧なまま契約したりすると、「想定していた範囲をやってもらえなかった」「契約形態を誤ってトラブルになった」という事態に陥ります。ここでは、見積もり依頼の前に潰しておくべき落とし穴を整理します。
見積もり依頼前に固める3点
委託先に見積もりを依頼する前に、社内で次の3点を言語化しておくと、的外れな見積もりや認識のズレを防げます。
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対象範囲(スコープ): 「セキュリティ対策をお願いしたい」だけでは、委託先も見積もりの出しようがありません。診断ならどのシステムの何を対象にするのか、監視ならどの機器・どのログを対象にするのかを具体的に定義します。範囲が曖昧なまま契約すると、「それはスコープ外です」というトラブルの温床になります。
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対応時間帯とレベル: 営業時間内の対応で足りるのか、24時間365日の監視が必要なのか。インシデントが起きたときに「検知して通知するところまで」なのか「初動対応まで」なのかで、費用も体制も大きく変わります。
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インシデント発生時のフロー: 万一の際、誰が・どのタイミングで・何をするのかを事前に取り決めておきます。ここが曖昧だと、いざというときに「契約に含まれていなかった」となり、対応が遅れます。
この3点が固まっていれば、複数社から見積もりを取っても比較しやすく、過不足のない委託につながります。
契約形態の選び方と指揮命令・偽装請負の落とし穴
人を委託で確保する場合(前述の業務委託)に、特に注意したいのが契約形態です。業務委託には主に「準委任契約」と「請負契約」があり、性質が異なります。
- 準委任契約: 一定の業務(労働力・専門知見)の提供そのものを対象とする契約です。成果物の完成義務は負わず、専門家としての善管注意義務に基づいて業務を遂行します。SOC運用やコンサル的な継続支援に向いています。
- 請負契約: 成果物の完成を約束する契約です。「脆弱性診断レポートの納品」のように、明確な成果物がある場合に適しています。
ここで最も注意すべきは、指揮命令の取り扱いです。業務委託は本来、委託先が自らの裁量で業務を進めるものであり、発注者が委託先の担当者に対して、雇用関係にある社員のように直接的・日常的な指揮命令を行うと、「偽装請負」と見なされるリスクがあります。偽装請負は労働者派遣法・職業安定法に抵触する違法状態であり、発注者・委託先の双方が是正指導や罰則の対象になり得ます。
実務上は、「業務の進め方は委託先に委ね、発注者は業務の目的・要件・成果のレベルを伝える」という線引きを意識します。常駐してもらう場合ほど、この線引きが曖昧になりやすいので注意が必要です。委託形態と指揮命令の関係は奥が深いため、契約締結の前に、自社の依頼内容がどの形態に当たるのかを整理しておくことをおすすめします。
成果物の認識ずれも、よくある失敗です。診断を頼んだら「脆弱性のリストは出たが、どう直せばよいかの示唆はなかった」というように、報告のレベル感を事前にすり合わせておかないと、受け取った成果物を自社で活かせません。「報告書にはリスクの優先度と推奨対応まで含めてほしい」といった要望は、契約前に明示しておきましょう。
委託先・委託形態を選ぶ実務ステップ
ここまでで、選択肢・相場・失敗の落とし穴が整理できました。最後に、実際に委託へ進むための手順を具体化します。判断がついた読者が、そのまま見積もり依頼や社内稟議に動けるようにすることがゴールです。
委託に進む5ステップ
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自社課題の棚卸し: まず「なぜセキュリティ人材が必要になったのか」を改めて言語化します。取引先要求への対応なのか、リリース前診断なのか、常時監視なのか。出発点を明確にすると、必要な領域が絞れます。
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必要な領域と常時性の特定: 棚卸しした課題を、本記事で見た専門領域(脆弱性診断・SOC運用・クラウドセキュリティ設計・コンサル等)に対応づけ、それが常時必要なのか単発なのかを判定します。
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委託形態の決定: 領域と常時性が決まれば、「内製採用・業務委託・MSS・開発委託先への一体委託」のどれが適しているかが導けます。前述の判断フローを使って形態を選びます。
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複数社からの見積もり取得: 固めたスコープをもとに、2〜3社から見積もりを取ります。このとき、金額の安さだけで選ばないことが肝心です。同じ「脆弱性診断」でも対象範囲や手法、アフターフォローが違えば金額は変わるため、何が含まれているかを揃えて比較します。
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スモールスタートで相性確認: いきなり大規模・長期で契約せず、まずは小さな範囲(1回の診断、短期の準委任など)で依頼し、報告の質やコミュニケーションの相性を確認します。相性が良ければ範囲を広げる、というステップを踏むと失敗リスクを抑えられます。
開発とセキュリティを一体で委託するという選択肢
最後に、見落とされがちな選択肢を1つ補足します。それは、システム開発を外注している(あるいはこれから外注する)企業にとっての、開発委託先にセキュリティまで一体で任せるという道です。
セキュリティを開発と分断して別会社に頼むと、「開発会社の作ったシステムを、別のセキュリティ会社が診断する」という構図になり、責任の切り分けや手戻りの調整に手間がかかることがあります。一方、設計段階からセキュリティを織り込める開発会社に一体で委託すれば、後追いの診断で問題が見つかってから直すよりも、手戻りを抑えられます。
たとえば秋霜堂株式会社では、Web開発・AI開発・業務システム開発において、設計段階からセキュリティを考慮した開発を行っています。新規システムやサービスのリリースを控えている場合、「開発とセキュリティをまとめて相談できる委託先」という観点も、選択肢に加えてみる価値があります。どの形態が最適かは自社の状況によりますが、「セキュリティだけを切り出して頼む」以外の道もあることを知っておくと、判断の幅が広がります。
まとめ|自社の状況に合った委託形態と予算のアタリをつける
本記事の要点を整理します。
- セキュリティ専任者は「採用したくても採用しづらい」市場構造にあり、必要な専門性を必要な分だけ確保する外部委託が現実的な選択肢になります。
- 確保手段は (A) 内製採用 / (B) 業務委託(準委任で人を確保)/ (C) MSS・サービス委託 / (D) 開発委託先への一体委託 の4つ。常時性・カバー範囲・コスト・運用負荷で比較し、課題の性質ごとに当てはめるのが基本です。
- 費用相場は2系統。人を確保する委託は専門領域別に月額90〜180万円台、業務・サービス単位の委託は月額5〜50万円(継続) や 1回20〜500万円(スポット診断) が目安です。
- 失敗を避ける鍵は「頼み方」。対象範囲・対応時間帯・インシデント時フローを見積もり前に固め、契約形態(準委任/請負)と指揮命令の線引きに注意することで、安く頼んで失敗するパターンを回避できます。
これらを自社に当てはめれば、「ウチの規模・課題なら、この形態でこの予算帯」というアタリをつけられるはずです。あとは、固めたスコープで2〜3社から見積もりを取り、スモールスタートで相性を確かめながら進めれば、専任者がいない状況からでも着実にセキュリティ体制を整えていけます。
よくある質問
- スモールスタートで始めるなら、最初に何を依頼すればよいですか?
まずはリリース済みの主要Webアプリを対象にしたスポット脆弱性診断(自動ツール診断)を1回依頼するのが最小の第一歩です。費用目安は20〜50万円で、報告書から「自社のリスク感覚」と「委託先の相性」を同時に確認できます。
- 取引先からのセキュリティチェックシート回答だけを外部に依頼できますか?
依頼できます。セキュリティコンサルタントへの準委任契約で、チェックシート回答の作成・精査をスポットで依頼するのが最も合理的な形です。月額の固定費を持たず、取引先からの要求が発生したタイミングだけ発注できます。
- 準委任と請負のどちらで契約すればよいですか?
継続的な相談・運用支援(コンサル・SOC監視)なら準委任、脆弱性診断レポートのように明確な成果物がある場合は請負が原則です。判断に迷う場合は、委託内容が「業務の遂行」か「成果物の完成」かで分類してください。
- 社内にセキュリティの知識がなくても委託先を適切に管理できますか?
管理できます。鍵は「何を依頼するか」と「どこまでを成果物とするか」を契約前に言語化することです。報告書には「リスクの優先度と推奨対応」を含めるよう明示すれば、専門知識がなくても内容を経営判断に活かせます。
- 月額10万円以下でセキュリティ対策を外部委託できますか?
ログ監視などのMSS(マネージドセキュリティサービス)は月額5〜15万円から利用できるため、10万円以下でのスタートは現実的です。ただし業務委託(人を確保する形)はこの予算では困難で、サービス単位の委託に絞ることになります。
- 偽装請負と指摘されないためにどう注意すればよいですか?
「業務の進め方は委託先が決める、発注者は目的・要件・成果のレベルを伝える」という線引きを守るのが基本です。特に常駐形態では日常的な細かい業務指示を避け、必要なら契約形態を派遣に切り替える検討を行ってください。



