Claude Code を使い始めてしばらく経つが、まだコードの生成や質問応答くらいにしか活用できていない。そんな方に知っていただきたいのが MCP(Model Context Protocol)です。
MCP を設定すると、Claude Code は GitHub のプルリクエストを直接レビューし、データベースに自然言語でクエリを投げ、Sentry のエラーを読みながらデバッグを進められるようになります。コードを書く行為だけでなく、開発フロー全体にわたって Claude Code が力を発揮します。
「設定が複雑そうで試せていない」という声をよく聞きます。しかし実際には、基本的なサーバーの追加は1コマンドで完了します。本記事では、MCP の概念から設定手順・活用例まで、実際に使えるコマンドとともに解説します。
MCP(Model Context Protocol)とは?
MCPの役割:AIと外部ツールをつなぐ標準プロトコル
MCP は Anthropic が2024年11月にオープンソース公開した標準プロトコルです。AI モデルと外部ツール・データソースを接続するための共通規格で、OpenAI や Google DeepMind も採用する業界標準になりつつあります。
MCP がない場合、Claude Code に「最新のエラーを確認してデバッグしてください」と頼んでも、エラーログの内容を手動でコピー&ペーストする必要があります。MCP を使えば、Claude Code が Sentry に直接アクセスしてエラーを取得し、そのまま修正コードを提案できます。
「外部ツールからデータをコピーして貼り付ける」という繰り返し作業が不要になるのが、MCP の本質的な価値です。
MCPで何ができるか:5つの活用シーン
MCP を設定した Claude Code には、以下のようなことを自然な会話で依頼できます。
1. 課題追跡ツールから直接実装する
JIRA の課題 ENG-4521 に記載されている機能を追加し、GitHub に PR を作成してください。
2. 監視データを確認しながらデバッグする
Sentry で過去24時間の最も多いエラーを確認して、原因を分析してください。
3. データベースを自然言語でクエリする
orders テーブルから今月の売上合計を集計してください。
4. ブラウザテストを自動実行する
ログインフローが正常に動作するかブラウザテストを実行してください。
5. ドキュメントを参照しながらコードを書く
React 19 の use() フックを使って非同期データ取得のコンポーネントを実装してください。
MCPの仕組み:ホスト・クライアント・サーバーの3層構造
MCP は以下の3層から構成されます。
- Host(ホスト): MCP クライアントを内蔵する AI アプリ。Claude Code や Claude Desktop がこれに該当します
- MCP Client: Host 内部で MCP サーバーと通信する部分。Claude Code に組み込まれています
- MCP Server: 外部ツール(GitHub / PostgreSQL など)へのアクセスを提供するプロセス。サードパーティ製または自社製のサーバーを追加できます
Claude Code は MCP クライアントとして複数の MCP サーバーに同時に接続でき、タスクに応じて必要なツールを呼び出します。
MCPサーバーの設定方法
3つのスコープとその使い分け
MCP サーバーを追加する際、設定の保存場所(スコープ)を選択します。
スコープ | 保存場所 | 共有範囲 | 用途 |
|---|---|---|---|
local(デフォルト) |
| 自分のみ(現在のプロジェクト) | 個人的な試験・APIキーを含む設定 |
project |
| チーム全員(git 管理) | チームで共有するサーバー設定 |
user |
| 自分のみ(全プロジェクト) | 個人的にどこでも使うユーティリティ |
判断の原則: チームで同じ MCP サーバーを使うなら project、個人的な実験なら local、自分が全プロジェクトで使い続けるツールなら user を選択します。
リモートHTTPサーバーの追加(推奨)
Streamable HTTP は2026年現在の推奨トランスポートです(SSE は非推奨)。クラウドベースのサービスに広くサポートされており、リモートサーバーへの接続に最適です。
# 基本構文
claude mcp add --transport http <name> <url>
# GitHub MCP の追加例
claude mcp add --transport http github https://api.githubcopilot.com/mcp/ \
--header "Authorization: Bearer YOUR_GITHUB_PAT"
# Sentry MCP の追加例(OAuth認証が必要)
claude mcp add --transport http sentry https://mcp.sentry.dev/mcp
OAuth 認証が必要なサーバー(Sentry など)は、追加後に Claude Code 内で /mcp コマンドを実行し、ブラウザのログインフローで認証を完了します。
ローカルstdioサーバーの追加
stdio サーバーはマシン上でローカルプロセスとして実行されます。システムへの直接アクセスが必要なツール(データベース接続など)に最適です。
# 基本構文
claude mcp add --transport stdio <name> -- <command> [args...]
# PostgreSQL の追加例
claude mcp add --transport stdio db -- npx -y @bytebase/dbhub \
--dsn "postgresql://readonly:pass@localhost:5432/mydb"
# Playwright の追加例
claude mcp add --transport stdio playwright -- npx -y @playwright/mcp@latest
.mcp.json でチーム共有設定を管理する
チームで MCP 設定を共有する場合、プロジェクトルートの .mcp.json を git 管理します。
{
"mcpServers": {
"github": {
"type": "http",
"url": "https://api.githubcopilot.com/mcp/",
"headers": {
"Authorization": "Bearer ${GITHUB_PAT}"
}
},
"db": {
"type": "stdio",
"command": "npx",
"args": ["-y", "@bytebase/dbhub", "--dsn", "${DATABASE_URL}"]
}
}
}
${GITHUB_PAT} のように環境変数展開が使えるため、APIキーなどの機密情報は直接 .mcp.json に書かず、各メンバーがローカルの環境変数として設定します。
MCPサーバーの確認・管理コマンド
# 設定済みサーバーの一覧を表示
claude mcp list
# 特定サーバーの詳細を確認
claude mcp get github
# サーバーを削除
claude mcp remove github
Claude Code のセッション内では /mcp コマンドでサーバーのステータス確認と OAuth 認証を行えます。
開発ワークフロー別おすすめMCPサーバー5選
数万本存在する MCP サーバーの中から、開発ワークフローに即使えるサーバーを5つ選びました。
GitHub MCP — コード管理・PRワークフロー
claude mcp add --transport http github https://api.githubcopilot.com/mcp/ \
--header "Authorization: Bearer YOUR_GITHUB_PAT"
GitHub 個人アクセストークンを取得し、対象リポジトリへのアクセス権限を付与します。
活用例
PR #456 をレビューして改善点を提案してください。
自分に割り当てられているオープンな Issue を一覧表示してください。
feature/auth ブランチの最新の差分を要約してください。
MCP を活用したコードベース全体の検索については「コードベース全体をAIコンテキストにするOSS「claude-context」の仕組み」もあわせてご覧ください。
Playwright MCP — ブラウザ自動テスト・デバッグ
claude mcp add --transport stdio playwright -- npx -y @playwright/mcp@latest
活用例
test@example.com でのログインフローが正常動作するかテストしてください。
モバイルサイズでトップページのスクリーンショットを撮影してください。
検索フォームに「Claude Code」と入力して結果ページに遷移するテストを実行してください。
PostgreSQL / Supabase MCP — データベース操作
# PostgreSQL (dbhub)
claude mcp add --transport stdio db -- npx -y @bytebase/dbhub \
--dsn "postgresql://readonly:pass@localhost:5432/mydb"
本番 DB には readonly ユーザーのみを使用してください。
活用例
orders テーブルのスキーマを表示してください。
過去30日間で購入がないユーザーの件数を教えてください。
Sentry MCP — エラー監視・デバッグ
claude mcp add --transport http sentry https://mcp.sentry.dev/mcp
# 追加後、/mcp で OAuth 認証
活用例
過去24時間で最も多く発生しているエラーのトップ3を教えてください。
エラー ID abc123 のスタックトレースを分析して、修正方針を提案してください。
Context7 MCP — ドキュメント参照
claude mcp add --transport http context7 https://mcp.context7.com/mcp
ライブラリの最新ドキュメントをリアルタイムに参照するため、古い API や廃止済みメソッドを使ったコードのハルシネーションを防げます。
活用例
React 19 の use() フックを使って非同期データ取得のコンポーネントを書いてください。
Next.js 15 の App Router でミドルウェアを設定する方法を教えてください。
セキュリティを保ちながら安全に使う
MCP サーバーを信頼する前に確認すること
MCP サーバーはマシン上でコードを実行します。導入前に以下を確認してください。
- ソースコードを確認する: コミュニティ製サーバーは GitHub でソースコードを確認してから追加します
- プロンプトインジェクションのリスクを理解する: 信頼できないコンテンツを取得するサーバー(例: Web 検索)はプロンプトインジェクション攻撃のリスクがあります
- Anthropic 公認サーバーを優先する: 公式の MCP Registry(
api.anthropic.com/mcp-registry)に掲載されているサーバーは検証済みです
Tool Search でコンテキストを最適化する
Claude Code には2026年の新機能として Tool Search が搭載されています。大量の MCP サーバーを追加しても、セッション開始時にすべてのツール定義をコンテキストにロードするのではなく、タスクの内容に応じて必要なツールをオンデマンドで検索・ロードします。
これにより、複数の MCP サーバーを追加してもコンテキストウィンドウへの影響を最小限に抑えられます。特定のサーバーを常にロードしたい場合は .mcp.json で alwaysLoad: true を設定します。
{
"mcpServers": {
"core-tools": {
"type": "http",
"url": "https://mcp.example.com/mcp",
"alwaysLoad": true
}
}
}
よくある質問(FAQ)
Q: Claude Desktop と Claude Code では設定場所が違いますか?
はい。Claude Code は claude mcp add コマンドまたは .mcp.json(project scope)で設定します。Claude Desktop は claude_desktop_config.json に設定します。Claude Code に接続している claude.ai アカウントで設定したサーバーは Claude Code でも自動的に利用可能になります。
Q: MCP サーバーが接続できないときはどうすればよいですか?
まず /mcp コマンドでサーバーのステータスを確認してください。OAuth 認証が必要なサーバーは /mcp から認証フローを開始します。HTTP/SSE サーバーは接続に失敗すると指数バックオフで自動再接続(最大5回)を試みます。5回失敗した場合は /mcp から手動で再試行できます。
Q: 自社の内部ツールに MCP サーバーを作れますか?
はい。Anthropic が提供する MCP SDK(TypeScript / Python)を使ってカスタムサーバーを構築できます。詳細は公式ドキュメントを参照してください。
まとめ:MCP で Claude Code を次のレベルへ
MCP の本質は「コードを書く」という単一の行為から、「開発ワークフロー全体を自動化する」へと Claude Code の役割を拡張することです。
設定は claude mcp add コマンドで数十秒から始められます。まずは GitHub MCP または Sentry MCP の1つから試してみることをおすすめします。
チームで使う場合は .mcp.json を git 管理することで、全メンバーが同じ MCP 環境を共有できます。環境変数展開を活用してAPIキーなどの機密情報は各自のローカル環境変数として管理することが、セキュリティと共有の両立に最適な方法です。
安全な実行環境については「Claude Code の sandbox 完全ガイド」もあわせてご確認ください。


