AIを使ったコンテンツ配信を自動化したいと考えたとき、最初に行き詰まるのは「どのOSSを選ぶか」という判断です。Postizはチームコラボ機能が充実しており、Bufferなどの商用SaaSは使いやすい。では、AiToEarnはなぜ13,000以上のスターを集め、一部のエンジニアやクリエイターに選ばれているのでしょうか。
本記事では、AiToEarnのアーキテクチャと機能をドキュメントベースで整理し、類似OSSとの違いを明確にします。「自分のユースケースに合うか」を判断するための材料として活用してください。
AiToEarnとは:「稼ぐ」を中心に据えたSNS AIエージェントOSS
AiToEarnは、yikart が MIT ライセンスで公開しているオープンソースのコンテンツマーケティングプラットフォームです。「Let's use AI to Earn!」というリポジトリの説明文が示す通り、単なるスケジューリングツールではなく、コンテンツ収益化まで組み込んでいる点が特徴です。
2026年5月時点のリポジトリ状況は以下の通りです。
指標 | 値 |
|---|---|
Stars | 13,878 |
Forks | 2,349 |
言語 | TypeScript(92.6%) |
ライセンス | MIT |
最新バージョン | v2.1.0(2026年3月28日) |
最終更新 | 2026年5月15日 |
MITライセンスで提供されているため、商用利用・改変・再配布を自由に行えます。コピーレフトの制約(AGPL等)がないため、プロダクト内に組み込む際の法的リスクが低い点も採用理由の一つです。
4つのAIエージェントが担う機能
AiToEarnのコアは、目的別に分離された4つのAIエージェントです。それぞれが独立して機能するため、必要な機能だけを利用することも設計上可能です。
Create:動画・画像・テキストをAIが自動生成
Create エージェントは、コンテンツ生成モデル(Grok、Veo、Seedanceなど)を呼び出してコンテンツを自動制作します。動画・画像・テキストのバッチ生成に対応しており、大量のコンテンツを効率的に量産できます。翻訳機能も内包しており、多言語対応コンテンツの作成も可能です。
Publish:13以上のプラットフォームへの一斉配信
Publish エージェントはカレンダースケジューリング機能を提供し、以下のプラットフォームへの一斉配信に対応しています。
海外プラットフォーム(8): TikTok / YouTube / Facebook / Instagram / Threads / X(Twitter)/ Pinterest / LinkedIn
中国系プラットフォーム(5): 抖音(Douyin)/ 小紅書(Xiaohongshu)/ 快手(Kuaishou)/ 哔哩哔哩(Bilibili)/ 微信視頻号(WeChat Video)
中国系プラットフォームへの対応は、競合 OSS の Postiz にはない AiToEarn 固有の強みです。
Engage:コメント・DMのAI自動応答
Engage エージェントはブラウザ拡張機能として提供されており、オートいいね・保存・フォローの自動操作と AI を使ったコメント返信が可能です。「高コンバージョン信号」の特定機能により、商業的なリードを生みやすいコメントへの返信を優先できます。
Monetize:CPS/CPE/CPMの収益化マーケットプレイス
Monetize エージェントは AiToEarn 独自の機能です。v2.1.0 から独立したコンテンツ取引マーケットプレイスとして公式リリースされており、ブランドとクリエイターがタスクをマッチングできます。3種類の決済モデルをサポートしています。
モデル | 説明 |
|---|---|
CPS(Cost Per Sale) | 販売成果に応じた報酬 |
CPE(Cost Per Engagement) | エンゲージメント数に応じた報酬 |
CPM(Cost Per Mille) | 1,000インプレッションあたりの報酬 |
5通りの利用方法:WebからDockerまで
AiToEarnは用途に応じて5通りの利用方法を提供しており、環境構築の難易度が異なります。
方法 | セットアップ要件 | 推奨ユースケース |
|---|---|---|
Webアクセス(aitoearn.ai / aitoearn.cn) | 不要 | 手軽に試したい |
OpenClaw(龍蝦)統合 | APIキーのみ | ワークフロー自動化ツール内で使いたい |
Claude / Cursor(MCPプロトコル) | APIキーのみ | AI アシスタントから直接操作したい |
Dockerデプロイ | サーバー | データ主権を確保して自己ホストしたい |
ソースコード開発 | 開発環境 | 機能改変・拡張を行いたい |
公式サイト(aitoearn.ai) では、APIキーを発行してすぐに利用を開始できます。
技術スタック:Electron × NestJS × MongoDBの設計思想
AiToEarnのバックエンドは Node.js 20.18.x 以上が必要で、NestJSとNxモノレポで構成されています。
レイヤー | 技術 |
|---|---|
Frontend(Web) | React + TypeScript |
Frontend(Desktop) | Electron |
Backend | Node.js + NestJS + Nx モノレポ |
データストア | MongoDB + Redis |
インフラ | Docker Compose + Nginx |
AI 統合 | MCP Protocol |
Electronを採用したデスクトップクライアントは、ブラウザ拡張機能(Engageエージェント)との連携を強化するために設計されています。NestJSによるバックエンドの構造化により、モジュール単位での機能追加がしやすい設計です。
MongoDBはコンテンツデータ(投稿スケジュール・収益データ・エンゲージメント履歴)の保存に使用されており、Redisはキャッシュとキュー管理を担います。
公式ドキュメントでは、各コンポーネントの詳細設定を参照できます。
MCPプロトコル対応:Claude・CursorからSNS投稿を自然言語で制御する
v2.1.0 からMCPプロトコルに対応したことで、AiToEarnはAIアシスタントのエコシステムに直接組み込めるようになりました。Claude DesktopやCursorからAiToEarnのMCPサーバーに接続することで、自然言語でSNS操作を指示できます。
設定例(Claude Desktopのclaude_desktop_config.jsonへの追記):
{
"mcpServers": {
"aitoearn": {
"type": "http",
"url": "https://api.aitoearn.ai/mcp",
"headers": {
"Authorization": "Bearer YOUR_API_KEY"
}
}
}
}
出典: https://github.com/yikart/AiToEarn
設定後は「今日のブログ記事の要点をTikTokとInstagramに投稿して」のような指示を Claude から直接実行できるようになります。コンテンツ配信ワークフローをAIオーケストレーション層に組み込みたいエンジニアには特に有用な機能です。
AiToEarnとPostizの比較:何が決め手になるか
同カテゴリの代表的なOSSであるPostiz(gitroomhq/postiz-app)との比較を整理します。
項目 | AiToEarn | Postiz |
|---|---|---|
GitHub Stars | 13,878 | 30,400 |
ライセンス | MIT | AGPL-3.0 |
中国系SNS対応 | あり(Douyin/Xiaohongshu/Kuaishou等) | なし |
対応プラットフォーム数 | 13以上 | 20以上 |
収益化マーケットプレイス | あり(CPS/CPE/CPM) | なし |
MCP対応 | あり(v2.1〜) | あり |
デスクトップクライアント | あり(Electron) | なし |
チームコラボ機能 | 限定的 | 充実 |
主な強み | 中国系SNS+収益化+AI生成 | 多プラットフォーム+チーム管理 |
AiToEarnを選ぶケース:
- 中国系SNS(抖音・小紅書・Bilibili等)への配信が必要
- コンテンツ収益化(ブランド×クリエイターマッチング)を実装したい
- MITライセンスで商用プロダクトに組み込みたい
- 自然言語(Claude/Cursor経由)でSNS操作を制御したい
Postizを選ぶケース:
- 西洋プラットフォーム中心で20以上のSNSをカバーしたい
- チームでの共同編集・承認フローが必要
- Bluesky/Mastodon等の分散型SNSに対応したい
ライセンスの違いも重要です。PostizのAGPL-3.0はネットワーク越しのサービス提供にもコピーレフトが適用されるため、SaaSとして再配布する場合は法務確認が必要です。AiToEarnのMITライセンスにはその制約がありません。
セルフホストの始め方:3コマンドで動く構成
Dockerを使用したセルフホストは3コマンドで完了します。
git clone https://github.com/yikart/AiToEarn.git
cd AiToEarn
docker compose up -d
出典: https://github.com/yikart/AiToEarn
起動後は http://localhost:8080 からアクセスできます。Docker Compose がMongoDBとRedisも合わせて起動するため、データベースを別途インストールする必要はありません。
ソースコードから開発する場合はNode.js 20.18.x以上が必要です。Nxモノレポ構成のため、フロントエンド(React)とバックエンド(NestJS)は同一リポジトリで管理されています。
まとめ:AiToEarnが適しているユースケース
AiToEarnは、以下のニーズを持つエンジニアやチームに適しています。
- 中国系SNSへの配信が必要: Douyin・Xiaohongshu等へのアクセスが不要なら Postiz の方が対応プラットフォーム数で優位
- 収益化機能が必要: CPS/CPE/CPMのマーケットプレイスは AiToEarn 固有の機能
- MITライセンスで商用利用したい: AGPL制約を避けたい場合に有利
- AIアシスタントからSNS操作を制御したい: MCP対応によりClaude/Cursorとの統合が容易
一方で、チームコラボ機能や分散型SNS(Bluesky/Mastodon)対応を重視するなら Postiz の方が適しています。OSSのSNS一括投稿ツールを選ぶ際は、「どのプラットフォームに配信するか」と「ライセンス上の制約条件」の2点を軸に判断するとよいでしょう。
詳細は公式ドキュメントとGitHubリポジトリで確認してください。



