Web開発
2025.06.11

いま学ぶべきReact Suspenseの本質と応用方法


Reactアプリケーションの開発が進むにつれ、非同期データの取得やUI表示の複雑さに直面することはよくあります。こうした課題を効率良く解決し、アプリ全体のユーザー体験を向上させる手段として便利なのがReactのSuspenseです。公式ドキュメントでも、Suspenseはデータフェッチや非同期処理の管理をよりシンプルにするための機能として詳しく解説されています。

本記事ではSuspenseの役割や基本的な使い方、実際のコード例を取り上げ、Suspenseへの理解を深めることを目標とします。これにより、より快適なUI、柔軟な状態管理が可能となります。

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React Suspenseとは

ReactのSuspenseは、データの取得やコード分割など非同期処理を伴うUI更新を、より自然に扱えるように設計された仕組みです。登場したのはReact 16.6ですが、本格的に機能するようになったのはReact 18からの比較的新しい機能です。

もともと、JavaScriptアプリケーションではデータが取得できるまでUIが待たされることが多く、ユーザー体験の低下や複雑なローディングの処理が頻繁に発生していました。Suspenseの導入によって、こうした非同期処理中の状態をReactのコンポーネントツリー上で適切に“サスペンド”し、読み込み中にはローディングのUI(fallback)を表示しつつ、処理が完了したら自動的に所定のコンテンツへ切り替えられるようになります。たとえば、APIからデータフェッチをする場面や、コンポーネント分割による遅延ロードなど、ブラウザでの表示タイミングを柔軟に制御できます。

React公式ドキュメントでもSuspenseは「コンポーネントの読み込みを一時中断し、完了した時点で再開する」機能と説明されています。結果、開発者はエラー処理や状態遷移の複雑さに悩まされることなく、より明快かつ統一的に非同期UIを設計できるようになりました。こうした背景や目的から、ReactのSuspenseは現代的なフロントエンド開発において必須の技術として普及しています。

React Suspenseがもつ機能とはなにか

React 18以降において、Suspenseはアプリケーション全体のコンポーネント設計に不可欠な基本概念です。従来の非同期処理ではuseEffectや独自の状態管理でローディング制御する必要がありましたが、Suspenseを用いることでこれらの処理が統合的かつシンプルにまとめられます。そのため、開発効率や可読性が向上し、UIの一貫性も保ちやすくなります。

たとえば、React公式コンポーネントは子要素のデータ取得やコード分割が未完了の時は読み込み用のUI(fallback)を自動的に表示し、完了後にコンテンツを切り替える設計となっています。加えて、React 18で導入されたConcurrent FeaturesやStreaming SSRといった新機能の土台にもSuspenseの実装と理解が欠かせません。これにより、複数のコンポーネントのレンダリング・更新が最適なタイミングで分割実行されたり、サーバーサイドとクライアントサイドのレンダリングを連携させる際も柔軟な制御が行えます。

現時点でSuspenseを十分活用できていない場合は、今後のReact開発に大きな影響を与えるため、基本的な動作や設計思想を学ぶことが重要です。参考となる例や公式ドキュメントを確認し、理解を深めておきましょう。

React 18以降のReact Suspenseで何が変わったのか

React 18以降、Suspenseの扱いに大きな進化がありました。非同期処理に関する新しいAPIや仕様が導入され、アプリケーションのパフォーマンスと開発体験が向上しています。

以前は非同期データ取得やCode Splittingを行う際、状態管理や副作用フックなどを手動で組み込む必要がありましたが、Suspenseがネイティブ対応したことにより、より直感的にUIの読み込み状態を管理できるようになりました。特に、React 18ではConcurrent Featuresが正式機能となり、複数のUI更新タスクを細かく分割して実行することが可能です。その上、SSR(サーバーサイドレンダリング)におけるStreaming SSRと組み合わせることで、サーバーから徐々にHTMLを送信しつつ、クライアント側でデータ取得完了後に本来のコンテンツに切り替えるといった高度なUXを実現できます。これにより大規模なReactサイトでも遅延なく表示開始が可能となり、エンドユーザーの体感品質も大きく向上します。

これまで必要だった手動によるローディング制御やエラー処理が大幅に簡略化され、より堅牢で効率的な開発が行いやすくなりました。

React Suspenseの基本的な使い方

React Suspenseの基本的な使い方は、非同期でデータを取得するコンポーネントや動的インポートするコンポーネントをSuspenseでラップし、fallbackプロパティでローディング状態のUIを指定する形が一般的です。

import React, { Suspense } from 'react';
const Albums = React.lazy(() => import('./Albums'));

function Component() {
  return <Suspense fallback={<div>Loading...</div>}>
    <Albums />
  </Suspense>
}

たとえば、上記のように遅延ロード対象を定義することで、Albumsコンポーネントの実装内でデータ取得やコード分割が完了するまでローディング中のUIを表示できます。この構造によって、UIの状態管理や非同期処理の完了検知を意識せず、シンプルに待機表示を実装することができます。

特にReactのConcurrent Featuresが前提となる場合、Suspenseは状態の中断・再開も自動化してくれ、UIの一貫性と開発効率が高まります。ドキュメント等を参考にしつつ、実際に手を動かしながら、fetch APIを活用した生のSuspense処理や、Promiseベースのデータ取得とUI制御の組み込み方を習得すると良いでしょう。こうした方法を押さえておくことで、開発現場での柔軟な対応や最適な設計が可能になります。

コンポーネントでローディングUIをシンプルに実装する方法

従来のReactアプリケーションではページ全体のJavaScriptがロードされるまでHydrationが開始できず、読み込み遅延が発生していました。特にファイルサイズが大きなコンポーネントが存在する場合、それに引きずられて他の小さなコンポーネントも遅延する問題がありました。

Suspenseを使えばこれらの遅延を個別のコンポーネント単位で切り分けることが可能になります。各コンポーネントをSuspenseでラップし、fallbackプロパティでローディング表示を指定するだけで、それぞれの読み込み状態を自動的に制御できるようになります。この方法により、例えばAPIからデータを取得している間だけ限定的にローディングUIを表示させるなど、よりきめ細かいUIのユーザー体験を実現できます。実装もシンプルで、非同期完了後は自動的に本来の表示コンテンツへ切り替わるため、従来のような複雑な分岐や状態管理の記述は不要です。こうした仕組みを活用すると、メンテナンス性やパフォーマンスの面でも優位性が生まれます。

fallbackを利用して読み込み中のコンテンツ表示を制御する

アプリケーションの必要な部分をSuspenseバウンダリで囲むと、Reactは子要素が必要とするデータやコードが完全に取得できるまで、指定したfallback UIを画面に表示します。例えば、Albumsコンポーネントがデータ取得中の場合は、最も近い親のSuspenseバウンダリで指定されたLoadingなどのコンポーネントが一時的に表示されます。データ取得が完了すれば、そのバウンダリは自動的にAlbumsなど本来のコンテンツへ切り替わります。これにより、各部分ごとに独立したローディング制御ができ、一部だけ重いコンポーネントがあっても全体のUIがフリーズすることを防止します。

fallbackの活用は、ユーザー体験の向上とアプリ全体の柔軟な更新にとって不可欠です。

React Suspenseを使った非同期処理の具体的な実装例を見る

これまで非同期データフェッチをReactで実現する場合、useStateでローディング状態やデータ取得の状態を管理し、多くはuseEffectを利用してAPIリクエストを実行していました。例えば、以下のような記述をしたことがあるのではないでしょうか。

function Component() {
  const [posts, setPosts] = useState([]);
  useEffect(() => {
    fetchPosts().then(setPosts);
  }, []);

  if (isLoading) {
    return <div>読込中...</div>
  };
}

Suspenseを利用することで、こうした状態やuseEffectを使った手動による管理が不要になり、より宣言的な方法で非同期ローディングを実装できます。具体的には、一度Promiseをthrowする関数(wrapper)が必要になり、Promiseの解決を検知して自動で状態が切り替わる形にします。

たとえばwrapPromiseというラッパーで非同期処理を包み、そのreadメソッドがまだ解決していなければPromiseをthrowし、完了後に結果を返すといった設計で、以下のようなイメージです。

import { Suspense } from "react";

// ① データ取得ロジックを持つ「リソース」を作成
const fetchData = () => {
  let data;
  // 非同期でフェッチし、結果を data に格納
  let promise = fetch("https://dummyjson.com/users/1")
    .then(response => response.json())
    .then(json => {
      data = json;
    });
  return {
    // ② read() メソッドでデータ取得の完了を待つ
    read() {
      if (!data) {
        // データ未取得なら Promise を投げ、Suspense による待機をトリガー
        throw promise;
      }
      // データ取得済みなら結果を返す
      return data;
    }
  };
};

// ③ リソースオブジェクトを生成(レンダー前にフェッチが開始される)
const userData = fetchData();

// ④ Suspense でラップし、子コンポーネントのレンダリング完了を待つ
const UserComponent = () => (
  <Suspense fallback={<p>ユーザー情報を取得中…</p>}>
    <UserWelcome />
  </Suspense>
);

// ⑤ read() を呼び出してデータを読み込み、UI に表示
const UserWelcome = () => {
  const userDetails = userData.read();  
  return (
    <div className="app">
      <div>
        <h4>ようこそ、{userDetails.firstName} さん</h4>
        <p>Email: {userDetails.email}</p>
      </div>
    </div>
  );
};

lazyと組み合わせるとこのようになります。

import { Suspense, lazy } from "react";

// ⑥ lazy() で動的インポート
const UserWelcome = lazy(() => import("./UserWelcome"));

const UserComponent = () => (
  // ⑦ Suspense で読み込み中 UI を指定
  <Suspense fallback={<p>ユーザー情報を取得中…</p>}>
    <UserWelcome />
  </Suspense>
);

こうしたアプローチにより、UI更新の中断・再開をReactが自動で制御し、エラー処理やリトライも一元的に担ってくれます。現代的なアプリケーションの複雑なデータ取得も、コードが整理され、開発体験が大きく向上します。

データフェッチ処理をReact Suspenseでシンプルに

Suspenseを使えば非同期のデータフェッチ処理も非常に簡潔に記述できます。従来のように状態管理(useStateやuseEffect)を駆使してデータの状態を追う必要はなく、Promiseベースのfetch関数をwrapPromiseなどでラップして、コンポーネント内で必要なデータの取得・UI表示を実装します。React 18以降、Concurrent Featuresなどと組み合わせることで、複数のデータフェッチもUIを中断せずにユーザーにスムーズな体験を提供できるようになります。

こうした方法を理解・活用することで、アプリケーション全体のUXや開発効率が高められます。

Render-as-you-fetchパターンを使った実践的な実装方法

Render-as-you-fetchパターンは、データの取得とコンポーネントのレンダリングを密接に結び付け、必要なデータが準備でき次第UI側の更新を可能にする設計手法です。ReactのSuspenseと組み合わせることで、レンダリング時に必要なデータが常に揃っているようなUXを実現できます。

function Component() {
  const { data } = useSWR('/api/user', fetcher, { suspense: true });
}

例えば上記のように記述すると、data がundefinedになることなく、描画の時点でデータが存在し、状態の一貫性が保たれます。ただし、条件付きや依存フェッチの場合はisReadyがfalseの際にdataがundefinedとなるため、こうした場合は挙動やライブラリ側の規約も確認しておく必要があるので注意してください。

まとめ

React Suspenseは、非同期データ取得やコード分割をコンポーネント単位で扱い、SuspenseのfallbackプロパティでローディングUIを指定できる仕組みです。Promiseをthrowするラッパーを使ったread()メソッドやReact.lazyと組み合わせることで、状態管理やuseEffectが不要になり、UIの一貫性を保ったまま待機表示を実現します。React 18以降はConcurrent FeaturesやStreaming SSRにも対応し、複数タスクの分割実行やサーバーサイドとクライアントサイドの連携が可能に。これにより、開発効率向上とユーザー体験の改善が図れます。エラー処理やリトライも一元的に扱え、複雑なデータ依存のあるUI設計がシンプルかつ堅牢になります。

本記事で解説したReact Suspenseの本質と使い方を、より完成度の高いReactアプリケーションの開発に役立てていただけたら幸いです。

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