「上司から『web開発で調べておいて』と言われたけど、そもそもWeb開発が何を指しているのか分からない」「自社で作りたいものがWebサイトなのか、Webシステムなのか、Webアプリなのかすら区別がつかない」——そんな状態でこのページにたどり着いた方は多いのではないでしょうか。
IT知識がないまま発注担当に抜擢されると、検索しても専門用語ばかりで手が止まってしまいます。そもそも「自分の案件がどのカテゴリに入るか」が分からないと、相談先の候補を絞ることも、費用を見積もることもできません。
この記事は、非エンジニアの事業担当者が上司に一次報告できる状態になることをゴールに書いています。難しいプログラミング言語の話は最小限にとどめ、「自分の依頼内容はどこに分類され、どんな会社に相談すれば良いか」を判断できるように構成しました。
具体的には、Web開発とは何かという基本から、Webサイト制作とWebシステム開発の違い、代表的な依頼例がどのカテゴリに該当するか、費用と期間のレンジ、相談先の使い分けまでを日本語で平易に整理しています。
読み終わる頃には、「自社が依頼したいものは〇〇で、相談先は〇〇社、費用は◯◯〜◯◯万円くらい」と一次報告できる材料が揃っているはずです。
システム開発 完全チェックリスト――発注前・発注中・完了後の3フェーズで使えるチェック集

この資料でわかること
システム開発の外注・発注を初めて経験する担当者や、過去に失敗を経験した担当者が、発注プロセスの各フェーズで「何をチェックすべきか」を明確に把握できるようにする。
こんな方におすすめです
- 初めてシステム開発を外注する担当者
- 過去の発注で失敗を経験した方
- ベンダー選定の基準が分からない方
入力いただいたメールアドレスにPDFをお送りします。
Web開発とは?日本語で押さえる基本
Web開発とは、インターネット上のブラウザ(Google ChromeやSafariなど)で動かすことを前提に、WebサイトやWebアプリケーションをつくる作業全体を指します。英語で Web development と書かれることもありますが、日本語で検索している方向けに本記事ではすべて日本語で整理します。
もう少し具体的に言うと、Web開発は次の2つを合わせた呼び方です。
- Webサイト制作: ユーザーが「見る・読む」ことを主な目的にしたページをつくること(例: 会社のホームページ、ブログ、ランディングページ)
- Webシステム開発 / Webアプリケーション開発: ユーザーが「操作する・データを入力する」ことを主な目的にしたシステムをつくること(例: 予約システム、会員登録機能、在庫管理画面)
上司から「web開発を調べて」と言われた場合、このどちらか(または両方)を意味していることがほとんどです。まずはこの2分類を押さえるだけで、「自分が調べるべき範囲」がぐっと狭まります。
なお、スマホの「ネイティブアプリ」(App StoreやGoogle Playで配布するアプリ)は、厳密にはWeb開発とは別の領域です。本記事ではブラウザ上で動くものに絞って解説します。
なぜ「Web開発」で調べると混乱するのか
「Web開発」は範囲が広すぎる言葉です。エンジニア向けのプログラミング学習情報と、事業担当者向けの発注ガイドが同じキーワードで出てきてしまうため、非エンジニアの方が検索すると情報の粒度が合わず混乱しがちです。
検索でつまずいたら、次の3つのステップで自分の案件を整理し直してみてください。
- 「見せたい」のか「操作させたい」のかを区別する
- 該当するカテゴリ(Webサイト / Webシステム)を特定する
- そのカテゴリを得意とする会社に相談する
次の章から、この判断を具体的にできるようにしていきます。
Web開発の種類|あなたの依頼はどこに当てはまる?
Web開発を発注者目線で分類すると、次の4タイプに整理できます。自社の要望がどこに当てはまるか、まずは当たりをつけてみてください。
# | タイプ | 主な目的 | 代表的な依頼例 | 発注相手の呼び方 |
|---|---|---|---|---|
1 | コーポレートサイト・LP | 情報発信・集客・ブランディング | 会社紹介サイト、採用サイト、ランディングページ | Web制作会社 |
2 | メディアサイト・ブログ | コンテンツ配信・SEO集客 | オウンドメディア、ニュースサイト、CMS導入 | Web制作会社 |
3 | Webシステム(業務系) | 業務効率化・社内利用 | 予約システム、在庫管理、顧客管理(CRM)、社内ポータル | Webシステム開発会社 |
4 | Webアプリケーション(サービス系) | 外部ユーザーへのサービス提供 | ECサイト、会員制サービス、SaaS、マッチングサービス | Webシステム開発会社 / 自社開発型の会社 |
「自社サイトに採用情報を追加したい」ならタイプ1、「社員が使う在庫管理画面を作りたい」ならタイプ3、「顧客に使ってもらうECサイトを立ち上げたい」ならタイプ4、というように当てはめていきます。
フロントエンド・バックエンドは「依頼範囲」ではなく「工程」
Web開発の記事を読んでいると「フロントエンド開発」「バックエンド開発」「フルスタック開発」という言葉がよく出てきます。これらは発注先を選ぶ分類ではなく、開発会社内での作業の呼び方なので、発注担当としてはざっくり以下を理解できれば十分です。
- フロントエンド: ユーザーが画面で見る部分(デザイン・ボタン・入力フォームなど)
- バックエンド: 画面の裏側でデータを処理・保存する部分(サーバー・データベース)
- フルスタック: 上記の両方を対応できる
依頼時は「フロントエンドだけ頼みたい」などと切り分ける必要はなく、「自社がつくりたいものを一式お願いしたい」と伝えれば、Webシステム開発会社側が必要な工程をまとめて担当してくれるのが一般的です。
「自社サイト+予約機能」のような組み合わせ案件はどう分類するか
実務では「コーポレートサイトの中に予約機能を組み込みたい」といった、タイプ1とタイプ3が混ざる案件もよくあります。この場合は、中心となる機能がどちらかで分類するのがコツです。
- 「サイトがメインで、ちょっとした問い合わせフォーム・予約フォームを足したい」→ Web制作会社
- 「予約機能がメインで、その説明用に簡単なサイトも必要」→ Webシステム開発会社
判断に迷う場合は、Webシステム開発会社に相談する方が安全です。Webシステムに対応できる会社はサイト制作も一緒に対応できるケースが多い一方、Web制作会社は複雑なシステム開発に対応しきれないことがあります。
Webサイト制作とWebシステム開発の違い|自分の案件はどちら?
本記事の中心テーマです。「自分の依頼はサイト制作なのか、システム開発なのか」が判断できれば、相談先の会社カテゴリが一気に絞り込めます。ここでは技術用語を極力使わず、事業担当者の視点で違いを整理します。
違いを1行で押さえる
- Webサイト制作 = 「見る・読む」ためのもの。基本的に誰が開いても同じ画面が表示される
- Webシステム開発 = 「使う・操作する」ためのもの。ユーザーの入力や状況によって画面が変わる
この「ユーザーが何をするか」という視点が、最も分かりやすい判別軸です(参考: Webシステム開発とWebサイト制作の違いとは? | 株式会社モノクス)。
比較表で整理する
観点 | Webサイト制作 | Webシステム開発 |
|---|---|---|
ユーザーの行動 | 見る・読む(受動的) | 操作する・入力する(能動的) |
画面表示 | 誰が見ても同じ | ログインしたユーザー・入力内容によって変わる |
主な目的 | 情報発信・ブランディング・集客 | 業務効率化・サービス提供・データ管理 |
データベースの必要性 | 基本は不要(お問い合わせフォーム程度) | 必須(ユーザー情報・取引情報などを保存) |
ログイン機能 | 基本はなし | 多くの場合あり |
更新頻度 | 月数回〜年数回(コンテンツ更新) | 日々の利用でデータが常に更新される |
費用の目安 | 数十万円〜300万円程度 | 300万円〜1,000万円以上 |
得意な会社 | Web制作会社・デザイン会社 | Webシステム開発会社・受託開発会社 |
依頼例でセルフチェック
上司から受けた要望が、どちらに分類されるかを具体例で確認しましょう。
Webサイト制作に分類される例
- 会社のコーポレートサイトをリニューアルしたい
- 新サービスの紹介ランディングページ(LP)をつくりたい
- 採用情報を載せるサイトを立ち上げたい
- ブログ形式のオウンドメディアを始めたい(WordPress等のCMS導入)
Webシステム開発に分類される例
- 顧客からの予約をWebで受け付けたい(予約システム)
- 社員がブラウザで在庫状況を確認・更新できるようにしたい(在庫管理システム)
- 自社サイトに会員登録機能とマイページをつくりたい(会員管理)
- 自社の商品をオンラインで販売したい(ECサイト・独自開発の場合)
- 社内の申請・承認フローをWeb化したい(ワークフローシステム)
迷ったら確認する質問
次の質問に1つでも「はい」がある場合、Webシステム開発寄りの案件と考えてよいでしょう。
- ユーザーにログインしてもらう予定はありますか?
- ユーザーの入力内容を保存したいですか?
- ユーザーごとに違う画面を見せる必要がありますか?
- 管理画面から情報を更新・削除する機能が必要ですか?
これらに「いいえ」ばかりであれば、Webサイト制作の範囲で収まる可能性が高いです。
ECサイトはどちらに分類される?(よくある迷いどころ)
「ECサイトは"サイト"だからWebサイト制作?」と混乱する方が非常に多いのですが、ECサイトはWebシステム開発に近い案件です。商品データの管理、カートへの追加、決済、会員情報の保存など「操作・データ処理」の要素が多く、Webサイト制作会社だけでは完結しにくいためです。
ただし、ShopifyやBASEなど既成のECプラットフォームを利用する場合は、Web制作会社がデザイン調整のみを担当するケースもあります。「ゼロから独自に作るのか、既成サービスを使うのか」で相談先が変わる点は覚えておきましょう。
Web開発の流れ|発注前に全体像だけつかむ
細かい工程は開発会社側が主導してくれるため、発注担当は全体の流れをざっくり把握しておくだけで十分です。
- 要件定義: 何を作るか・なぜ作るかを言語化する(最も重要)
- 設計: 画面のレイアウトや内部の仕組みを決める
- 開発(実装): 実際にプログラムを書く
- テスト: 動作・セキュリティ・使いやすさを確認する
- リリース: 本番環境で公開・利用開始
- 運用・保守: 公開後の監視・改善・アップデート
発注担当として特に関わるのは1の要件定義です。ここで「何を」「誰のために」「いつまでに」作るかを明確にできれば、見積もりの精度も上がり、後工程のトラブルが大きく減ります。要件定義の詳しい進め方はシステム開発の要件定義を成功させる完全ガイドで解説しているので、発注前に目を通しておくと安心です。
なお、運用・保守まで同じ会社に任せられるかは、会社選びの重要な判断材料になります(後述)。
Web開発の費用相場|上司報告に使えるレンジ感
費用は「何を作るか」で大きく変わりますが、上司への一次報告に使える目安として、タイプ別に整理します。
開発タイプ | 具体例 | 費用相場 | 開発期間 |
|---|---|---|---|
小規模Webサイト | LP、小規模コーポレートサイト | 10万〜50万円 | 2週間〜1ヶ月 |
中規模Webサイト | CMS導入、数十ページのサイト | 50万〜300万円 | 1.5〜3ヶ月 |
ECサイト(独自構築) | ショッピングカート・決済連携・商品管理 | 100万〜500万円 | 3〜6ヶ月 |
Webシステム(業務系) | 予約システム、在庫管理、社内ポータル | 300万〜800万円 | 3〜6ヶ月 |
Webアプリ(本格サービス) | 会員制サービス、マッチング、SaaS | 500万〜1,500万円以上 | 6ヶ月〜1年以上 |
※ 上記は一般的な受託開発の目安です。機能の複雑さやデザインの作り込み、外部サービス連携の有無によって変動します。既成SaaS(Shopify、kintone等)の活用で費用を大きく抑えられるケースもあります(参考: Webシステム開発の費用は?料金相場や見積書の見方をわかりやすく解説 | 比較ビズ)。
見積もりが思ったより高くなる主な要因
- 要件が固まっていない(リスク見込みで金額が膨らむ)
- オリジナルデザインを多用する
- 外部サービス(決済、チャット、地図など)との連携が多い
- スマホ・タブレット・PCすべてに最適化が必要
- セキュリティ要件が高い(個人情報・決済情報を扱う)
費用感をさらに詳しく知りたい場合は、そのシステム開発費用は妥当ですか?中小企業が知っておくべき相場と成功の秘訣も参考にしてください。
コストを抑えるコツ
- 必要な機能を絞り込み、スモールスタートで始める(MVPと呼ばれる最小構成からスタート)
- 既成のSaaSやCMS(WordPress、Shopify、kintone等)で代替できないか検討する
- 社内で必ず必要な要件と、あれば便利な要件を分けて優先順位をつける
Web開発の依頼先の選び方と費用相場
自分の案件のカテゴリが見えたら、次は相談先の会社を絞り込みます。発注先は大きく3タイプに分けて考えると整理しやすくなります。
相談先3タイプの使い分け
会社タイプ | 得意分野 | 向いている案件 | 費用傾向 |
|---|---|---|---|
Web制作会社 | デザイン・コーディング・CMS導入 | コーポレートサイト、LP、オウンドメディア | 安め |
Webシステム開発会社(受託開発会社) | Webシステム・Webアプリの構築 | 予約システム、業務システム、ECサイト、会員制サービス | 中〜高 |
自社開発型の会社(フルスタック対応) | 企画から運用まで一気通貫 | 新規サービス開発、長期的に育てるプロダクト | 中〜高 |
Web制作会社に相談すべきケース: 情報発信や集客が主目的で、データベースやログイン機能を必要としない場合。
Webシステム開発会社に相談すべきケース: 業務効率化や外部ユーザー向けサービス提供が主目的で、データの保存・操作が必要な場合。迷ったらまずこちらに声をかけて範囲を確認するのが安全です。
自社開発型の会社に相談すべきケース: 要件が完全には固まっておらず、企画段階から一緒に考えてほしい場合や、長期的にプロダクトを改善し続けたい場合。
依頼先を選ぶ5つのチェックポイント
会社の候補を3社程度に絞ったら、以下の観点で比較してください。
- 依頼内容と得意領域が一致しているか: ECサイト構築を、業務システム特化の会社に頼むとミスマッチが起きがちです。過去の実績を公式サイトで確認しましょう
- 運用・保守の体制があるか: 作って終わりではなく、リリース後の改修・監視まで一緒にお願いできるかを必ず確認してください
- 担当者のコミュニケーションが取りやすいか: 非エンジニアの要望を噛み砕いて整理してくれるか、質問に対する返答が丁寧かを初回打ち合わせで見極めます
- 会社の規模・継続性: 小規模すぎる会社は担当者の離職リスクが高く、大手すぎると単価が跳ね上がります。自社の規模・予算に合った会社を選びます
- 自社開発か再委託か: 受注した会社がさらに別会社やフリーランスに丸投げしている場合、品質管理・進捗把握が難しくなります。自社エンジニアが手を動かすかを確認するのが望ましいです
相談前に整理しておきたい5項目
見積もり精度を上げ、会話をスムーズにするために、以下を事前にメモしておきましょう。非エンジニアでも答えられる内容だけに絞ってあります。
- やりたいこと: 「予約を受け付けたい」「在庫を見える化したい」など、目的を1〜2行で
- 使うユーザー: 社員向け / 顧客向け / 会員向け など
- 想定する利用デバイス: PC中心 / スマホ中心 / 両方
- 必須の機能 / あると嬉しい機能: 絶対に必要な機能と、優先度が低い機能を分ける
- 予算と希望納期の目安: 「上限500万円まで」「来期始まりに合わせて運用開始したい」など
この5項目だけでも用意しておけば、複数社から比較可能な見積もりを引き出しやすくなります。
まとめ|上司への一次報告テンプレート
最後に、本記事の内容を上司への一次報告テンプレートとしてまとめます。この雛形に自社の案件を当てはめて報告すれば、発注担当としての第一歩は十分に踏み出せます。
【Web開発の件、調査結果のご報告】
- 案件カテゴリ: 自社の要望は「〇〇(例: Webシステム開発 / 業務系)」に該当します
- 判断根拠: ユーザーが「〇〇(操作・入力)」を行う想定で、データの保存が必要なためです
- 相談先カテゴリ: 「Webシステム開発会社」が適切です(Web制作会社では対応範囲外の機能が含まれます)
- 費用感: 類似案件の相場は「◯◯〜◯◯万円」、開発期間は「◯ヶ月程度」が目安です
- 次のアクション: 候補会社を2〜3社リストアップし、要件の概要を伝えて見積もりを取得します
Web開発は範囲が広く最初は圧倒されがちですが、「見せたいのか / 操作させたいのか」で大きく2つに分け、自分の案件のカテゴリが見えれば、相談先・費用感・期間のすべてが具体的になります。
本記事を使って上司に一次報告ができたら、次は候補会社への問い合わせと要件定義のすり合わせに進んでください。要件定義の進め方はシステム開発の要件定義を成功させる完全ガイド、費用の妥当性判断はそのシステム開発費用は妥当ですか?中小企業が知っておくべき相場と成功の秘訣がそれぞれ参考になります。
Web開発のパートナー選びで迷った際は、自社の要望がどのカテゴリに属するかを整理したうえで、そのカテゴリを得意とする会社に声をかけることが、失敗しない発注の近道です。
システム開発 完全チェックリスト――発注前・発注中・完了後の3フェーズで使えるチェック集

この資料でわかること
システム開発の外注・発注を初めて経験する担当者や、過去に失敗を経験した担当者が、発注プロセスの各フェーズで「何をチェックすべきか」を明確に把握できるようにする。
こんな方におすすめです
- 初めてシステム開発を外注する担当者
- 過去の発注で失敗を経験した方
- ベンダー選定の基準が分からない方
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